古都探索日記

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教会音楽への扉 バッハ中期

2019-06-28 09:12:40 | 音楽
 6月26日、朝日カルチャーセンターにて受講。講師は吉田文先生。画像はテキスト。

 今回のテーマはケーテン。まずヴァイマールからケーテンに転職する経緯について。

 1717年、領主の処遇に不満を持ったバッハは転職を申し出るが、逆に領主の怒りに触れ投獄される。30日の牢獄生活を経て年末にケーテンに移住した。

 ケーテンの領主アンハルト・ケーテン候レオポルドは音楽を愛し、高額な報酬と高い地位の破格な待遇でバッハを迎えた。ただしケーテン候は改革派のため教会音楽は不用でありバッハの創作活動は協奏曲、室内楽、器楽などの世俗音楽が中心となった。ブランデンブルグ協奏曲、無伴奏バイオリンソナタ&パルティータ 無伴奏チェロ組曲などの名曲はこの時代に作曲された。

 私生活では1721年に妻のマリア・バルバラが急死、1年後にアンナ・マグダレーネと再婚した。バッハの最も幸福な時代といわれている。

 ブランデンブルグ協奏曲の1番から3番までを手稿を見ながら視聴する。演奏はカール・リヒター盤。この協奏曲は謎が多いとされる。名前は謹呈されたブランデンブルグ・シュヴェート辺境伯による。これも謎の一つ。6つの協奏曲からなり編成は全て異なり、全てが長調である。

 第1番 へ長調 大編成、ヴィオリーノピッコロが使われる。全4楽章。

 第2番 ヘ長調 4つの高音の独創楽器、トランペットが活躍。

 第3番 ト長調 弦楽器のみ 第2楽章はわずか1小節だけ、これも謎。

 全てが楽しい曲である。謎とされる3番の第2楽章は即興演奏の場ではいか?の説がある。視聴ではリヒターのチェンバロの即興演奏があった。

 私はこの協奏曲集によりバッハが自分の才能を誇示しているように思える。手を変え品を変えて「これはどうだ、これはどうだ」と迫ってくる。また即興演奏の名手だったバッハを思えば3番の謎にも頷けるのである。このように変化と多様性に満ちた作品群は他の作曲家にはまず無いだろう。日本では第5番に偏って演奏されているのが残念である。

 私が好きなのは第1番の第4楽章のメヌエットのトリオⅡ、2本のホルンと3本のオーボエの掛け合いはジャズを彷彿させる。バッハはこの曲を世俗カンタータBWV207のリトルネロにホルンをトランペットの代えて再利用している。

 楽しいレクチャーありがとうございました。

 第1番のメヌエットのトリオⅡとカンタータ207番のリトルネロを聴き比べてください。トリオⅡが演奏されるまで5分間かかります。トリオⅠのファゴットも聴き応えがあります。
 下の各々各々をクリックする。

 メヌエットのトリオⅡ

 カンタータ207番のリトルネロ
 
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