古都探索日記

奈良や京都の散策日記

私の上野考

2006-04-07 23:16:18 | 自己紹介
私の上野考 (独断と偏見による)

 「ふるさとの訛り懐かし停車場の人混みの中にそを聴きに行く」と石川啄木が詠んだように上野は東京の裏口、言い換えると東北地方の入口となる。私なんぞ高度成長時代の集団就職列車の到着シーンを反射的に連想してしまう。何かズーズー弁が聞こえてきそうな東京の中の田舎と思われがちであるが事実は正反対である。
 先ず第一に(今更説明の必要は無いのだが)西郷さんと動物園の奥のそう広くない地域に大小種々様々の美術館、博物館、文化財が数え切れないほど存在している。それに東京藝術大学、東京文化会館が加わる。世界中を見てもこんなところは稀ではないか? 上野の山はお宝の山。
 第二に四季折々に移り変わる景観の豊かさ、美しさがあげられる。桜の開花とその下での喧騒は毎年必ずTVニュースで報じられる国民的関心事である。私は初冬の夕映えの不忍池が好きだ。何故か郷愁のような感傷に浸れるからだ。
 第三に商業地域に数多くの老舗、名店が点在している。それらのウィンドウディスプレイは垢抜けているし、食べ物の味は繊細で洗練されおり銀座のものに引けを取らない。池之端「伊豆栄」の鰻重を昭和天皇が出前でとっていたのは有名な話である。アメ横界隈も見逃せない。食品のみならず衣料品、化粧品、輸入雑貨の小さな店が密集している様はどこか日本離れしているし、大阪鶴橋を思わせるコリアンタウンやユダヤ商人が潜んでいそうなジュエリーショップもある。昼間から客で溢れている立ち飲み屋や怪しげな風俗店が軒を連ね身の危険を感じる程である。江戸時代、出会い茶屋、陰間茶屋なるものが並んでいたと言うが、その方の伝統もしっかり受け継がれているのだ。
 北は戦前の面影を残す谷根千、東は下町の代表浅草、南は江戸っ子のふるさと神田、西は東京大学の中心に鎮座する上野はその文化、芸術の質、量、密度、集積度、多様性に加え、景観、歴史、立地、寛容さ、猥雑さで他を圧倒して寄せ付けない正に東京の中の本物の古都に相違ない。そしてそのことを喧伝しないのも控えめで如何にも粋で都会的、好感が持てる。
 較べると六本xxズなどはホリxxンのような上昇志向の強い目立ちがり屋の田舎者が有難がって集まる季節感の無い野暮な偽物に過ぎずわざわざ出かけて行くような
ところではない。
 最後に ♪うえのはオイラのこころのエキだぁー 全くそのとおり!!
コメント
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