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成道会の立禅・5 はさむ意識

2023-06-27 00:38:23 | 格闘技、武道

意念による身体内部の調整が理解できたら、その部位を増やしていく。
これは指導者によって様々だと思うし、意念の持ち様などはこうでなくてはならないといったものはないので、それによって内勁を理解できることができるのであればどんなものでもよいと思う。

今回紹介するのは成道会で標準的に用いている意念の持ち方であり、各自の内勁獲得の方法の手助けとしてとらえてもらっていいと思う。

骨格の先端が伸び続けようとする意識に加え、指の間に綿を挟んでいるような、手の平ではボールを包み続けているような感覚、顎の下にボールをはさんで落とさないようにしている感覚を持ち続ける。

これまでの骨格が伸び続けているという意念に「はさむ」というものが加わる。

これを用いて、手首と肩の間、右肩と左肩の間、両肘の間に棒をはさんで落とさないようにイメージする。

これにより、腕の支持力は格段に向上し身体の中の弾力感は増大する。
触れるものをはじき返すような弾力が現れ、腕の前後方向の支持能力、両肘を横に支える支持能力、両肘を下に降ろそうとする支持能力が確認できるようになる。

両肩の前では棒をはさみ、右の肩と右の股関節でも棒をはさみ、左の肩と左の股関節でも棒をはさみ、骨格を支えてみる。
これができたら、右の肩と左の股関節、左の肩と右の股関節でも棒をはさんでみる。
そのようにすると、腕にかかる負荷を肩甲骨で受けている状態から股関節で受けている状態に移行する。
このことにより骨盤という人体の中でもより大きなユニットを支持能力に参加させることになる。

推手の場合、相手から伝ってくる力に対してどのように対処していくということを立禅における静止した状態の中で模擬的に訓練できるようになる。

この段階に入ると、打撃においてはパンチの性質に明らかな違いが現れるようになり、より漏れの少ない状態で衝撃が相手に伝わる、いわゆる硬い打撃が自然に身に付いてくる。

このようにして「何かはさむ」という意識が使えるようなってきたら頭と仙骨で何かをはさんでいく。
すると、背骨は弓のような状態になり、腰の後ろ側にある命門というツボは開いたようになり、背中側の骨格は広がり動物の骨格により近づいた状態となり、腕は動物としての前足に近づき、その支持能力を発揮しやすくなるものと考えられる。

これが、成道会における立禅の第4か第5段階である。
この「背骨ではさむ」という意念が獲得できたら次の段階に入っていく。

 

太氣拳成道会
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成道会の立禅・4 先端が伸びる意識

2023-06-12 08:36:29 | 格闘技、武道

膨張感が得られたら、次の段階ではいよいよ意念を用いた身体内部の調整に入っていく。

その前に、日によって重みが感じにくかったり、膨張感が現れない、あるいはそのような感覚が現れるのに時間がかかるといった場合もある。
しかし、やがてこれらの状態が当たり前に自然と身体に備わる段階が来るので、そのまま進んでいってもいいと思う。
その日、その時の精神状態や疲労などによって筋肉の状態は微妙に変わるし、それによって感覚の出現に差異が生じることもあるが、熟練してくるといつでもこの感覚が備わるようになってくる。

身体の中に膨張感が得られたら、次に手の指先が伸び続けている、身体中の関節という関節が伸びようとしている、とイメージして立つようにしていく。
あるいは全身の毛根が開いていく、髪の毛がスーパーサイヤ人のように逆立っていくというイメージもよい。

最初はつかみづらいかもしれないが、やがて、そのようにイメージすることによって本当に身体が広がっていくような感覚が得られてくる。

これらは動きとして現れにくいけれど、身体の内部で微妙に発生している伸筋の活動であり、筆舌に尽くしがたい独特なものである。
しかし、この意念によるこの微妙な筋肉活動を理解することができるかどうかが、これより先の立禅による能力の開発を左右すると言っても過言ではない。

意念による微妙な筋肉活動を誘導することができるようになるための初歩段階が、身体の先端が伸び続けようとする意識である。
次の段階ではこれらの意識をさらに多様化して、身体の各部位に発生させていく。

頭のてっぺんは天井を押し上げ続けるようして、関節の広がりは脊柱の椎間にも及び、脊椎の関節は広がり続け、全身の毛穴は広がる。
そのようにイメージすることで全身各所がくまなく、軽く膨張したような感じになる。

特に背中側では肩甲骨が自然に外側に広がった状態となり、腕が動物の前足としての役割である支持能力を復元してきている状態でもある。
ムエタイの選手がアップライトで背中を大きく広げて構えるのも、この骨格の支持能力を引き出し、ディフェンス力やパンチ力を得ようとしていることが考えられる。

意念による筋肉状態の調整が出来るようなってくると、それを応用して次の段階に進む。

 

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成道会の立禅・3 膨張感

2023-05-29 07:54:01 | 格闘技、武道

身体の重みを感じ取り、その重みを体の最下部におけるようになってくると、少しだが、自身の身体内部を観察して感じ取ることが出来るようになってくる。

次の要求としては、ボールを抱えているような姿勢である腕の中に何らかの圧力、膨張感を感じとることである。

この感覚は言葉では表現しようもないのだが、わかっている人はわかっている状態であって、自身で体験して理解していくしかない。

「いっぱい空気の入ったぱんぱんになっているもろい紙風船を割らないように、壊さないように、それでいて腕の間から離れてどこかに行ってしまわないように、このもろい紙風船を腕の中に保持せよ」とイメージするのであるが、やがて、あるはずのない紙風船やボールが本当にあるかのような感覚が腕の中に現れてくる。
腕の中に抱えているボールが膨れてくるような何とも言えない膨張感が現れてくる。

この時点では肩周辺の筋肉の弛緩がさらに進んで、屈筋の活動よりも伸筋の活動が優位になってきている状態で、立禅のあの独特のボールを抱えたような姿勢の中で伸筋の活動が優位になって、腕の中に膨張しているような感覚が現れてきているものと考えられる。
これは、この状態を体験した人でないと分からない状態であって、この経験がない人にいくらこの状態を要求しても理解することすらできないだろう。

しかし、立禅を組み続けることによって、いずれ「こんな感じか」と理解できるようになる。
このような共通の認識ができるようなってくると、その後の様々な感覚が引き出しやすくなってくる。

料理の味を説明することは難しいが、塩味が効いていてそれでいて甘みがあってシソの風味があって・・・。などと説明されると想像することはできる。
この場合、料理の味を説明するために誰もが持っている塩味、甘み、シソの風味という共通認識を用いて料理の味を伝えようとする。

立禅の場合も、通常の運動では得られることない感覚をキーワードにしてその状態を確認して引き出していくことが多いが、共通認識できる材料があれば、次につなげていくことも出来る。

立禅に際に腕の中に現れる膨張感も然りで、一度認識出来たら、その状態を再現させることが可能となってくる。
身体で認識、確認することを体認と言い、この武術では重要な要素である。

腕の中に現れた膨張感は、初期段階でも人によっては身体全体に広がることもあり、この段階では伸筋の活動が優位になり、骨格を広げて使うということが少しだけど出来ている状態でもある。
この段階が確認出来たら次の要求に進んでいく。

 

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成道会の立禅・2 重みを下におく

2023-05-14 21:47:59 | 格闘技、武道

一定時間の間、姿勢を変えることなく立ち続けることが出来るようになると、辛いながらも心地よい、心地よいけれど辛いといった矛盾した状態になる。
これは余分な筋肉の緊張が取り除かれて姿勢を維持するためだけに必要な筋肉の緊張を保つことで立ち続けることが出来ている状態へと移行して来ている段階とも言える。

すると、少しずつ自身の身体内部の状態を感じ取れるようになってくる。

この段階での要求としては身体全体にずっしりとした重みを感じることである。
姿勢を保持するために緊張している筋肉とは反対に余分な緊張が取り除かれた筋肉は弛緩し骨格に対して垂れ下がる、ぶら下がるといった状態になる。

骨格を引っ張って支えようとしている状態の筋肉と、骨格に対してだらんと垂れ下がっている筋肉が混在してこの状態を保持しているのであるが、弛緩している筋肉の部位が増えると、身体全体にずっしりとした感覚、重みが感じ取れるようになる。

慣れてくると呼吸を利用して筋肉の弛緩を誘導できるようになる。
息を吸って吐いての吐く時に身体がずっしりしてくると感じるようにイメージする。
次にそのずっしり感を息を吐くのと同時に身体の下の方に降ろしていく。
身体全体にあったずっしり感が次第に下半身にしっかりと感じとれるようなってきたら、そのずっしり感、重みをより体の最下部にもってくる。
足の下、足首あたりから、可能であれば足の裏に持ってくる。

この状態になると重心が安定してちょっと押されたくらいではぐらつかない状態になる。
いわゆる「気を下に降ろした」状態である。

この時点で、身体内部では緊張と弛緩が配合された武術的な状態に移行して来ていると言える。

立禅における要求の第1段階が一定時間、姿勢を変えることなく立禅を組み続けることであるとして、第2段階は身体の重みを感じ取り、その重みを身体の最下部に降ろせるようになることである。

 

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成道会の立禅・1 立つ

2023-05-01 07:53:38 | 格闘技、武道

成道会では内勁の開発を最優先課題とする。

内勁があるかどうかによって技の性質が大きく変わるし、内勁の有無や勁力の強度によって推手での技術も大きく変わるので、内勁の開発と勁力の強化によって武術の性質が大きく左右されると私自身が考えているからである。

内勁が無くても身体を動かすことは出来るし運動もできる。
内勁によらずとも跳ぶことも走ることも出来るし、そのような運動能力を鍛錬によって向上させ強化して、格闘技としての攻防技術に沿った動きに転化していくというのが通常の訓練法と言えるだろう。
つまり、アスリートとしての運動能力の開発がそのまま動きとして反映されていく。

これに対して立禅によって得られる能力は通常の日常生活や運動によるものとは異なるものであって、内勁とは静止している時点で機能している、通常は自覚されることの無いような微細な力であり、しかし、それが有るのと無いのとでは動きや力量の性質がまったくと言っていいほど変わるものである。

それがわかっているから、自身の稽古では立禅がその中核となっているし、いつでもどこでもできる手軽さも手伝って、日々の生活の中に自然と組み込まれている。

前置きが長くなってしまったが、成道会では立禅を正確に学ばないとあらゆる練習の意味がまったくとは言わないけれど無くなってしまうとも言えるし、立禅による能力の開発が高ければ動きの練習はその量に頼らずにとも質を高めていける。
なので立禅が必須なのであるが、初心者と熟練者とではそれぞれの時点での目標も変わるので段階的に変化する内勁の内容を示していきたい。
言葉で伝えようとしても限界があるのかもしれないけれど、会員各位、参考にしてもらいたい。

立禅の初期段階では、一定時間、姿勢を変えずに立ち続けることが要求される。
15分と決めたら15分、30分と決めたら30分、とにかくその時間は最初の姿勢を変えずに立ち続ける。

これが初心者には結構辛く、最初は5分もしたら身体を動かしたくなるもので、その欲求を抑えて身体を動かすことなく立ち続けるというのは結構なストレスである。

しかし、この動きのない静止した状態でこそ、自身の身体の内部の微細な状態を観察することが可能となる。
通常、動きによって動きそのものを変えていくものであるが、自身の身体内部の状況を把握するためにあえて動かずに静止している状態を続けてみる。
ある意味、通常ではあり得ない状態に身を置いてみて、まずはその状態に慣れることから始まる。

座禅なども長時間、同じ姿勢で呼吸に意識を集中して組み続けるが、それには自身の精神をコントロールして落ち着かせていくという能力が求められる。
禅の世界では禅定と呼ばれる状態であるが、立禅においてもこのような状態が要求され、動きたいという欲求を抑制して静止した動きのない状態をキープし続けることができる能力を開発していく。
強制的に自信をリラックスさせるようなものであって、リラクセーション能力と言ってもよい。

これが立禅における初期段階の要求であり、これがある程度できるようになってきたら、つまり、一定時間、姿勢を変えずに立ち続けるということが可能となってきたら、次の段階に入る。

 

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