付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「テクニカラー・タイムマシン」 ハリィ・ハリスン

2007-10-11 | 時間SF・次元・平行宇宙
 ハリスンの作品でいちばん好きなのは『テクニカラー・タイムマシン』。モンキー・パンチのイラストがきれいに決まって面白かったですね。
 ハヤカワもこのあたりのラインナップはマンガ家を表紙に起用していましたが、テンポが良くてユーモラスなハリイ・ハリスンの作品はライトノベル向きだと思います。(……と思っていたら、『異世界AV撮影隊』なんてコミックが出てましたが、かなり近い)

 倒産寸前の映画会社がみつけた金の玉子はタイムマシン。世に認められない天才科学者の発明を手に入れた会社は、これならセット代もエキストラの給金もタダだ!とばかり、バイキングのアメリカ遠征をテーマにした歴史大作の製作にとりかかるのだ!
 普通にセットをつくるより安い予算でタイムマシンを完成させ、歴史を遡って、実際に起きた出来事を撮影するだけと簡単な仕事になるはずだったのだが……。


 最近だと、幸村誠の『ヴィンランド・サガ』のネタになっているあたりの世界ですね。一度復刊しているので、手に入れやすくなってないかな。タイムトラベルものとか映画業界ものとかバイキングものをコメディで読みたい人にはオススメ。
 三葉虫でバーベキューとか次第にバイキングの思考に染まっていくスタッフとか本番突入してしまうお色気担当女優とかネタを絡めつつ、ちゃんとタイムパラドックスとか歴史改変ネタを取り込んでいるところがお見事。

「戦争は基礎研究に出資しない。だが真の発展が生まれるのは基礎研究からだ」
 ジェンス・リン博士の言葉。産学協同が唄われ、またそうでないと予算も出ない時代ですが、基礎研究は疎かにしないで欲しいものです。

「愚かな人間にのみ、理性と狂気は相以て見えるものじゃよ」
 ドクター・ヒューイットの言葉。自信満々なマッドサイエンティストの言葉でした。

 しかし、映画のセットを用意したり、エキストラ役者をあれこれ手配するより、科学者に投資してタイムマシンを開発させる方が安くつくというのは、そんなものかもしれないなーと思ってます。
(2007.10/11 2019.08/29改稿)

【テクニカラー・タイムマシン】【ハリィ・ハリスン】【モンキーパンチ】【ハヤカワ文庫SF】【バイキング】【ポルノ】【タイムパラドックス】

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