付け焼き刃の覚え書き

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「小説どろろ」 辻真先

2021-06-16 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「勝つわ……百鬼丸」
 それが村娘みおの最後の言葉。

 時は室町時代も後期。長く続く戦で両親を失った孤児、どろろは盗賊稼業で糊口を立てていた。
 そのどろろが出会ったのは、父親によって身体を48匹の妖怪への貢ぎ物にされた百鬼丸だった。彼は失われた身体の部位すべてを鉄や木の作り物とすることで生きながらえ、日本全国を巡って妖怪を倒すことで奪われた部位を取り戻し続けていた。
 最初は百鬼丸の刀を奪うべくつきまとっていたどろろだったが……。

 手塚治虫のマンガが原作の、日本全国妖怪退治道中記。定番の万代さまから、妖刀、白面不動、妖狐ばんもん、無情岬経由で船幽霊まで。ノベライズとしてはそつなく少年向けの伝奇アクションにまとめた感じですが、最後は「少年2人は旅立った」エンド。えーっ!?って思うよね。手塚治虫のフェチが抜けてます。
 この作品が手塚作品初のノベライズで、最初の刊行は1969年。それが1978年に復刻されたのが、このソノラマ本。さらに2007年にも復刊しています。
 あおり文句でわざわざ「北野英明のさし絵でおくる」とか謳ってますが、イラストの北野英明は、手塚治虫のアシスタント出身のアニメーターで、『どろろ』『ジャングル大帝』などの作画監督などを務めた人。日本で最初に麻雀漫画を連載したマンガ家でもあるそうです。

【小説どろろ】【辻真先】【北野英明】【手塚治虫】【ソノラマ文庫】
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