「ウは宇宙ヤバイのウ！〔新版〕」 宮澤伊織

「可哀想でしたね。あなたがもう少し慎重に行動していれば、あの爆弾もまだ元気だったはずなのに」
　スマート爆弾によるテロで暗殺されかけたクー・クブリス。
　空々梨の通学路に仕掛けられていたスマート爆弾さんは、125代続く一族の跡取りであったという……。

　平凡な女子高生だったはずの久遠空々梨は、下校途中に従姉妹の非数値无香（ひすうち・ぬるか）からいきなり「で、どうするんですか？」と詰問された。
　どうするってと仰ぎ見れば、頭上には迫り来る直径400Kmの巨大隕石。
　それをあと30秒でどうにかしろと言われてもなんとかできるはずもなく地球は滅んでしまったのだが、目を覚ますとそこは隕石衝突の３日前。ヌル香によれば、空々梨は星間諜報組織〈偵察局〉のエージェントのクーだったが、世界線混淆機の起動によって記憶を失って日本の女子高生になってしまったらしい。恐るべし、平行世界……。

　ハリイ・ハリソンやキース・ローマーの作品を彷彿とさせるスラップスティックＳＦ。ＳＦ関連の小ネタをちりばめつつ、元ネタを知らなくてもついつい笑いながら読んでしまうジェットコースター小説です。一迅社文庫版を大幅に改稿し……具体的に言えば主人公の男子高校生が、女子高生になってました……って、そこからかいっ!?
　なぜ、今、ハヤカワから?!……と思ったけれど、『僕の魔剣が、うるさい件について』の宮澤伊織じゃなくて、『裏世界ピクニック』の宮澤伊織なんですね。納得。同じ作者だったんだ……。

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