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南北アメリカについての日本語文献 その3

2014年08月31日 | 中南米・カリブ海・キューバ革命・ゲバラ

               ▲ 『ラテンアメリカ 政治と社会』 全面改訂版 2004 新評論 3200+税

 

南北アメリカ日本文献 その3

なかなかその気にならないと入手しないラテンアメリカについての日本語文献

国本伊代 『概説ラテンアメリカ史』 1992 新評論 や 『ラテンアメリカ研究の招待』 1997 新評論 を読んで、「ラテンアメリカシリーズ」という新評論から出版されているラテンアメリカに関する研究シリーズがあることを知り、気になっていた。

全面改訂版の『ラテンアメリカ 政治と社会』 は比較的新しいせいか、古本屋には出回っていないので、そのままになっていたのだ。

グレック・グランディンというラテンアメリカ研究者が、何年か前(2012年)、「デモクラシー・ナウ」の番組にゲストとして招かれ、そこで、エイミー・グッドマンとラテンアメリカの新自由主義が荒れ狂った20世紀後半を厳しく批判、また最近パラグアイの議会によるルーラ大統領追放を告発していた番組を見たのだ。その時のグレック・グランディンの怒りの迫力に興味が湧いた。

グランディンの著書『アメリカ帝国のワークショップ』は日本語訳になって明石書店で出版されていることが後でわかった。入手して読むと期待通りの、アメリカの新自由主義の深層とアメリカの中南米政策の悪事に迫るものだった。

デモクラシー・ナウ日本語版のブログ記事あります。ここ▼

http://blog.goo.ne.jp/jfk1122zzzya/e/4c93f6c6ef723467e5658ce0d7d26c0b

 

我が家には、80年代後半から90年代前半くらいまではいくつかラテンアメリカについての本はあるのだが、その後のアメリカによる新自由主義の実験と、軍事独裁が荒れ狂ったラテンアメリカを伝える本がなく、1980年代・90年代を概観できる本を探していたのだが、最近になってようやく、『ラテンアメリカ 政治と社会』 全面改訂版が古書店に出てきたので読んでみることに・・・・

 

 ▲ 『ラテンアメリカ 政治と社会』 全面改訂版 2004年 新評論  目次

 

2014年8月の読書は、ラテンアメリカ関係ではこの1冊。

ラテンアメリカ関係の読書は、文学・古代史関係で、学生時代にアルゼンチン作家ボルヘスの翻訳ガ盛んだったころ、面白く読んだ記憶がある。それから、はや・・・・・・0年・・・・・・・

70年代80年代のラテンアメリカは、ニクソン・キッシンジャー・レーガン・父ブッシュ等々の指導者による際限ない国家テロ支援と新自由主義の嵐。その殆どの国が、開発独裁型の軍人大統領の独裁の経験を持っている。

選挙で選ばれた国家元首が一夜にして、クー・デターで政治転覆されるのは、ラテンアメリカの伝統?とも揶揄されるほど、陰謀のシナリオが至る所で行われていた。

『ラテンアメリカ 政治と社会』 全面改訂版 2004年は2000年初頭までの、ラテンアメリカの政治・社会の動向をそれぞれ専門領域の執筆者がまとめていて、ラテン・アメリカの関心がまだまだ少ない日本では、

国本伊代・中川文雄編著 『ラテンアメリカ研究への招待』 1997 新評論

国本伊代 『概説ラテンアメリカ史』 1992 新評論

と並び、ラテンアメリカを知る上ですぐれた書だと思う。

長い間私の中で空白だった90年代以降のラテン・アメリカの政治・社会の変化の概要を見る視点がここにはあった。

例えば新自由主義・グローバリズムと南米各国の関係、経済の変化について

ブラジル共和国前大統領ルーラ、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァの周囲の左翼学生運動家の物語は特に面白く読んだ。(鈴木茂が執筆した5章「ブラジルの社会運動と民主化」で詳しく触れている(111pー128p)

1968年、ブラジルが軍事政権だった頃、非合法の学生左翼組織のメンバーが、紆余曲折、社会・労働運動の経験を経て、2000年代初頭の左派政権の中核となっていくPT(労働者党)の運動史を振り返っている。

現在のブラジル共和国の大統領の記述はこの本にはないが、ルーラ大統領の後任には、2011年ルセフが就任している。この時期以降の最新のブラジルの政治・社会の状況を伝える本は読んでいないのだが。

この本『ラテンアメリカ 政治と社会』の巻末には簡潔なラテンアメリカ政治史年表と事項・人名索引が掲載されている。やはり、このようなものが整備されていると利用価値が大いに高くなる。

1944年以降からのラテンアメリカの政治史を巻末の年表(作成睦月規子)から以下に選択して抄出。

1944年 グアテマラ革命開始

1945年 アルゼンチン、軍に監禁のペロンの釈放求め労働者のデモ

1946年 アルゼンチン、ペロン、大統領当選

1947年 米州相互援助条約 (リオ条約)調印

1948年 米州機構成立

1949年 コスタリカ、憲法により軍隊廃止

1952年~1964 民族主義革命運動によるボリビア革命

1954年 パラグアイ軍事クーデタ。 グアテマラ 米国が組織した反革命軍侵攻

 (チェ・ゲバラは、アルゼンチンの医科大学の先輩とともにロシナンテ号と名付けたぼろオートバイで南米各地を医学生として旅行を続けていた、最後に反革命のテロが相次ぐ争乱のグアテマラを訪れ、このときのグアテマラの現状を、青年の目と身体で見聞していた。このことが彼の次のステップとなっていく ブログ主 注)

1959年 キューバ、カストロが革命政権樹立

1960年~80年代 カリブ海諸国13国独立

1960年 中米共同市場発足

1961年 ラテンアメリカ自由貿易連合発足、 ケネディ政権「進歩のための同盟」政策開始

1962年 キューバ・ミサイル危機

1964年 ブラジルで軍事クーデター、以後以後ラテンアメリカ全体に軍政化の波

1968年 ラテンアメリカ司教協議会(メデジン会議)で「解放の神学」 承認される。メキシコ学生の反政府運動。メキシコでオリンピック開催

1969年 エルサルバドルとホンジュラスの間でサッカー戦争勃発

1970年 チリ、アジェンデ(人民連合)政権発足

1973年 チリ、軍事クーデターでアジェンデ政権崩壊、ピノチェト政権成立

1975年 ラテンアメリカ経済機構設立

1976年 アルゼンチン軍部、クーデターで実権掌握

1977年 パナマと米国 「新パナマ運河条約調印」

1978年~1990 ドミニカ共和国で独裁政権終焉、以後、ラテンアメリカ各国で民主化

1979年 ニカラグアで独裁政権倒壊、サンディニスタ革命政権樹立、エクアドル、民政移管

1980年 ブラジルで労働者党結成、ペルー民政移管

1980年代 中米紛争激化 (米国のレーガン・ブッシュ政権が背景か)

1982年 ホンジュラス、民政移管

1882年 アルゼンチンー英国間フォークランド(マルビナス)戦争

1983年 米国、東カイブ海諸国機構軍率いグレナダ侵攻

1983年 アルゼンチン民政移管

1984年 エルサルバドル、民政移管、

1985年 ウルグアイ、民政移管、ブラジル、民政移管

1986年 グアテマラ、民政移管

1987年 中米5ヶ国大統領、和平合意文書に署名

1989年 パラグアイの軍事政権、クーデターで崩壊、 中米5ヶ国、コントラ(反革命ゲリラ)解体で合意

1989年 米軍、パナマ侵攻しノリエガ将軍を逮捕

1990年 ニカラグア、サンディニスタが総選挙で敗北。 チリ、民政移管。エクアドル「インディヘナの反乱」(先住民蜂起)

1993年 国連、1993年を 「国際先住民年」と定める。

1994年 メキシコでサパティスタ民族解放軍蜂起

1996年 米国、対キューバ経済制裁「ヘルムズ・バートン法」成立。 グアテマラ和平合意。

1998年 元チリ大統領、ロンドンで逮捕される。 ベネズエラ大統領選でチャベス当選。パナマ運河返還

2000年 メキシコ大統領で国民行動党のフォックス当選、制度革命党の一党支配終わる。

2001年 アルゼンチン 金融不安で暴動勃発、大統領辞任。

2002年 ボリビア大統領、先住民候補エボ・モラレス躍進。 ブラジル大統領選労働者党ルーラ当選。 キューバ反体制派、民主化運動「バレラ・プロジェクト」を展開。キューバ「社会主義は不可侵」条文を憲法に挿入。

2003年 ブラジル、ルーラ(労働者党)政権発足。 

2003年 ホンジュラス、エルサルバドル、ドミニカ共和国、ニカラグアがイラク派兵。

(地球の裏側から、アジアでの、世界戦争へと駆り出されている従属国家がまだまだ存在している。スペイン帝国、大英帝国を引き継ぐアメリカ帝国の刻印はまだ終わっていない。『アメリカ帝国のワークショップ』2008年 明石書店 の著者、グラック・グランディンは、アメリカが起こしたイラク戦争で最初に死亡したアメリカの部隊の青年について記している。グアテマラ内戦で両親を亡したグティエレスは、路上生活者として投げ出され、長い旅路の末、メキシコ国境線を越え、アメリカにたどりつき、さらにアメリカの少年院を経てイラクの戦場に送り込まれていたこと。ラテンアメリカ出身の青年であったことを書いている。(前掲。『アメリカ帝国のワークショップ』2008年 明石書店265頁)なんともすさまじいラテンアメリカ520年の歴史・旅路ではないだろうか。ブログ主 注)

2004年 ハイチ、内乱でアリスティド大統領辞任

(今回はここまで、時期みて、追加、修正を加え2014年まで作成する予定)

上記のラテンアメリカ簡潔年表を確認しながら、予てから思っていたことだが ラテンアメリカを見ると 「すべてを欲しているアメリカ・帝国」 が見える、とあらためて確信する。

  ▲ グレック・グランディン 松下冽 監訳 『アメリカ帝国のワークショップ』 2008年 明石書店 3800円+税 この本少し高いが、古書店に出る時がある。すぐに入手しよう。明石書店の本、なかなかいいものが多いのだが、価格設定が高いよ。売れないのでますます、初版で出版費用を回収しようとしているのか、ますます価格が高くなり、悪循環に陥ってしまっているのだろうか。

 グレック・グランディン の 「デモクラシー・ナウ」でのインタビュー番組の記事 当ブログにあります。 ここ▼

http://blog.goo.ne.jp/jfk1122zzzya/e/4c93f6c6ef723467e5658ce0d7d26c0b

また「デモクラシー・ナウ」日本版の番組は ここ▼

http://democracynow.jp/video/20120625-1

必見番組動画です。

 

 

さて

2014年7月15日のBRICS銀行発足はブラジルで開催され、関係国ブラジル・ロシア・中国・インド・南アメリカの首脳が会合し、海外ニュースになったが、以外と日本では小さな扱いであった。

プーチンがBRICS首脳と一緒に撮られた晴れやかな記念写真の映像は、ロシアのニュースで大きく報道されている。

プーチンがロシアに帰ったその直後、7月17日マレーシア航空MH17便がウクライナ東部で墜落。ロシア非難の欧米の大合唱が開始される。

そうこうするうちにブラジルで2014年秋に実施される大統領選に向け選挙活動中の候補者の搭乗した小型飛行機が今年の8月13日に墜落、社会党候補エドゥアルド・カンポスは死亡。現職のルセフ大統領が10月に行われる大統領選、1回目の投票で過半数を越えて一気に決着をつけなければ、再度の決戦投票に持ち込まれる。現職に次いで世論調査支持率第2位につけていた候補の死亡によって、決戦投票の際の合従連衡次第では、左翼色のある改革派労働党の現職ルセフ大統領は、アメリカ・グローバル資本に支援された候補に敗北する可能性も出てきた。

また今年の3月に起きたマレーシア航空370便は北京行きで、習近平政権を揺さぶるようイスラム過激組織のハイジャックのように偽装計画された可能性もある。これは、なぜか全く、経過も結果も不明であるが。その後世界のマスメディアも固く口を閉ざしたままだ。

これについては元マレーシア首相を22年務めたマハティール(88歳・現在も元気で世界に情報を発信している)の発言が示唆的である。すでに20世紀末アジアのアジア通貨危機の際、その主たる原因として、アメリカ投機マネー・金融政策を批判していた。「日本よなぜアメリカ追従の政策ばかりしているのか、独立国なら独自の道を歩め」と警鐘を鳴らしていたなぁ。また2014年3月のマレーシア航空MH370便の失踪について、アメリカのCIAは知らないはずはないのではと自らのブログで意見を述べていた。88歳のマハティール、相変わらずアメリカに舌戦を繰り広げているなぁ。今でも彼の講演があるとアジアの国々から、心から彼を敬愛する市民が参集するのは頷けるよ。(元日本首相の中曽根康弘さん、プラザ・合意のいきさつのやりとりは記録に遺してくださいよ)

マハティールは22年もマレーシアの首相の地位を維持していた人である。アメリカ政府の東南アジア政策はマレーシアも例外ではなく、表の外交も裏の外交圧力も彼の身にふりかかり、マハティールはアメリカ政治の深層を知り尽くしているであろう。なぜ今、マレーシアとマレーシア航空機2機が狙われたのか。これは偶然とは思えない。グローバリズム投機マネーの拒否・戦後マレーシア経済の経緯、TPP参加に関わるアジアの動向もウォッチの対象としなければこの事件は解けないかもしれない。

7月17日のウクライナにマレーシア航空MH17便のウクライナ東部の墜落で、ロシアに支援された親ロシア派が撃墜したとして、ロシア非難を開始。

2014年に起きた3つの航空機不明と墜落事件は、地域も関係する国家もバラバラで、それぞれつながりは相互に全くないように見える。しかしある視点から考えると明確に共通性がある。

それは、事件の起きた国や、事件によって攻撃されている国が、世界ドル決済体制・グローバル経済システムである世界銀行・IMF体制脱却・展望として出てきたBRICS体制BRICS開発銀行発足について、出資をして、世界経済システムの再構築を模索しているBRICS5ヶ国のうちの3国であるということである。

2014年に起きたこれらの3つの事件は、

単に、偶然に、BRICS諸国に起きたことなのだろうか。それとも、ある寡頭勢力の知られざる激怒の兆候を示したものなのだろうか

本日8月31日(日)の ブログ 「マスコミに載らない海外記事」では

Wayne MADSEN
2014年8月30日| 00:00
Strategic Culture Foundation に投稿掲載された記事を翻訳してくれている。

タイトルは 「すべての要素がCIAによるブラジル大統領候補の飛行機暗殺を示唆」

原題 「 All factors point to CIA aerially assassinating Brazilian presidential candidate」

ブラジルで起きた大統領候補者エドゥアルド・カンポスが乗っていて墜落したセスナ機の詳細な情報がある。ぜひ読む価値のある記事であるとブログ主は思う。ウクライナ東部のマレーシア航空機墜落と、どこかで、何によって繋がっているかわかるのではないだろうか。

またこの記事を読むと、多くの世界各国首脳や政治的重要人物が、(疑惑の疑いがある)航空機事故に遭遇して、死亡しているのがわかる。

この記事では扱われていなかったが、ケネディ大統領暗殺事件時にCIA職員として、ダラスにいた疑いの高いハワード・ハント(ハントは1950年代日本の東京にCIA職員として工作活動に従事していたことがある)ハントの妻は、その後なぜか航空機事故で死亡している。妻が死亡した頃、ハワード・ハントはニクソン大統領に多額の金を要求(何かの大事件のもみ消し料なのか?)していたとされる。さらに、ケネディ暗殺事件の政府調査組織であるウォーレン委員会メンバーの一人であったヘイル・ボックスは、『ウォーレン委員会報告』のオズワルト単独犯行説の結論に全く満足せず、その後も疑惑追及に熱心であったが、彼の乗った航空機は遭難、未だに飛行機も発見されていないはずである。政治上重要な人物が突然航空機事故に遭い、それ以前の政治活動や政治状況が一変したとすると、これは一種のクーデターではなかったかと疑ってみる必要がある。このことだけで、戦後政治の軌道修正について 本が編めるのではないだろうか。・・・・・・・

            アドレスはここ▼ ブログ 「マスコミに載らない海外記事」

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/ciau-y-i-87b6.html 

 

            また、Wayne MADSEN による元記事はここ▼ にあります

http://www.strategic-culture.org/news/2014/08/30/all-factors-point-cia-aerially-assassinating-brazilian-presidential-candidate.html

 

 

 

 

 



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