沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

「TSMCは世界で最も重要な企業。海峡両岸の紛争で生産停止を余儀なくされれば、 世界的不況につながる」(『ニューヨーク・タイムズ』、1月27日 )

2024-01-29 09:44:15 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024)1月28日(日曜日)
        通巻第8109号  
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「TSMCは世界で最も重要な企業。海峡両岸の紛争で生産停止を余儀なくされれば、
世界的不況につながる」(『ニューヨーク・タイムズ』、1月27日 )
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台湾の半導体はアップルやNVIDIA(エヌビディア)のスマホ、ゲーム機、チャットGPT機器などへ供給されている。『台湾の半導体四天王』とはTSMC(台湾積体電路製造)、UMC、世界先進積体電路(バンガード)、そして力晶半導体で、これら四社の世界シェアは70%に及ぶ。
  ハイテク半導体の7ナノと5ナノでは92%、そして5ナノ以下の半導体を量産しているのはTSMCと韓国のサムスンの2社だけ。

 業界の推計に拠れば、もし台湾製半導体を失えば、アメリカのGDPは5~10%低下する。
ニューヨーク・タイムズ(1月27日 )でニコラス・クリストフが書いた。
「TSMCは世界で最も重要な企業である。海峡両岸の紛争で生産停止を余儀なくされれば、世界的不況につながる。しかし、中国が台湾の占領に成功したとしても、TSMCは北京政府に裨益しない。なぜなら台湾の技術者が働き続け、ウェーハ工場が破壊されずに済んだと仮定しても、国際的なサプライチェーンに依存するからだ。中国によるTSMC接収は『電池のない携帯電話』をのみ込むようなことになるだろう」。
 クリストフは「ただし」として付け加えた。「TSMCは電力を大量に消費しているため、紛争が激化すると、中国が生産を妨害するために台湾の電力網にサイバー攻撃を仕掛け生産が中断すると、世界経済に悪影響を与える」

 こうした脅威を煽る報道が生ずるのは、台湾人エンジニアや企業経営者が多く出席した国際会議で中国の学者が「TSMCをそっくりのみ込めば良い」と中台戦争の未来予測の際にのべたことに端を発し、ペンタゴンに飛び火した。戦争シミュレーション専門家が「そのときはTSMC工場を破壊し、中国には渡さない」とするシナリオも存在するとの応酬があって、物議を醸していた。

3ナノ半導体を量産する韓国の半導体メーカーに珍客があった。
 サムスンは2030年には無人でAIが製作する半導体工場を作ると宣言しているが、そのサムソンとSKハイニックスの工場をサム・アルトマンが訪問した。アルトマンはいうまでもなく「オープンAI」のCEOだ。

 台湾TSMCとの関連文脈で考えるとアルトマンは危機の際に半導体供給先の代替メーカーを探しているのかもしれない。日本より高度な半導体を量産する韓国に米国の先端企業トップが訪問するのは珍しことではなくなった。

 フィンテックに乗り遅れたとみられた韓国の銀行業界も、気がつけば日本の先を走っていた。ネット銀行は日本では楽天などが若者に人気があるが、普及率は迅速とは言えない。韓国では新興のカカオバンク(2017年開業)が早くも2300万口座を獲得し、Kバンクが953万口座となった

 日本のネット銀行第二位の楽天銀行(トップはゆうちょ銀行)はようやく1000万アカウントに近づいた。
ソニー、イオン、SBI、ローソン、セブン銀行など雨後の竹の子状態で既存の銀行窓口はがらんとしている。証券会社は支店をつぐつぎと閉鎖統合し、株式取引はいまやネット空間へと移行した。AIは銀行証券の有り様を革命的に変えた。

急ぎ、自力で守れる日本になれ       櫻井よしこ

2024-01-27 19:06:38 | 日記
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
                 頂門の一針 6759号 

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 急ぎ、自力で守れる日本になれ
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           櫻井よしこ

上川陽子外相が1月7日、ポーランドを列車で出発し、ウクライナの首都キーウを訪れた。事前公表がない隠密行動でゼレンスキー大統領への表敬訪問の後、NATO(北大西洋条約機構)加盟が決定しているフィンランド、スウェーデン、さらにオランダ、米国など8か国を訪れるという。

岸田文雄首相の支持率が低迷する中、ポスト岸田の有力候補に上げられる上川氏には、ウクライナの現状をつぶさに見てほしいと思う。自力で自国を守れない点でわが国とウクライナはいわば立場が近い。ウクライナが経験している困難、困窮、戦いの中では日々、ウクライナ国民の命が奪われている。弱い国ウクライナが、強欲大国ロシアに攻められた悲劇は、中国の脅威に晒されている日本にとって他人事ではない。

現在ウクライナが窮地にあるのは、最大の支援国である米国が共和党の反対で600億ドル(約9兆円)のウクライナ支援に関する予算案を可決できていないからだ。バイデン大統領は、米国の支援が途切れればロシアが喜ぶだけで、ウクライナは戦争継続を諦めなければならず、敗北すると警告する。それでも共和党は応じないのである。

米国はこれから1年、およそ全てが大統領選挙に向けて激しく動き始める。米国内の動向を見ると、トランプ氏再選の可能性がふくらんでいる。ウクライナ支援の重要性を強調するバイデン氏とは対照的にトランプ氏は、自分が再選されれば1日でウクライナ戦争を終わらせると豪語する。つまり、ウクライナ支援を打ち切るということだ。

バイデン氏の民主党にはウクライナ支援の予算を通す力がなく、トランプ氏の共和党にはそもそも支援継続の意志がない。いずれもウクライナにとって荊(いばら)の道だ。

ロシアの侵略戦争は来月で2年になる。ゼレンスキー大統領らは米欧諸国にウクライナの空を守る戦闘機を要請し続けているが、要請は満たされておらず、ウクライナは制空権を失ったままだ。元空将の織田邦男氏は、どんな戦いでも制空権なしには勝利は覚束ないと断言する。ウクライナはすでにロシアの格好の餌食となっており、激しいミサイル攻撃を受け続けている。それでもウクライナの人々は本当によく戦っている。武器装備の圧倒的不足で、苦しい戦いが続いているにもかかわらず、今も国民の74%がロシアへの徹底抗戦を支持している。

プーチン露大統領は国際法も国際秩序も踏みにじりつつ、侵略戦争を最後まで戦い抜くと喧伝する。すでに30万人以上の兵が死んでいることをロシア国民は恐らく知らないであろう。斯(か)くしてプーチン氏は3月、見せかけの大統領選挙で圧勝する。

長引く戦いでロシア軍の武器在庫は底が見え始めているのか、プーチン氏は北朝鮮の金正恩総書記から弾薬やミサイルの供給を受け、見返りにミサイル技術を与えて緊密な関係を築いた。中国はこの間、一度もプーチン氏を非難していない。逆に原油・ガスの購入でロシアを支援してきた。ロシアは中国依存を高め、中国の影響圏に絡めとられてしまった。こうして中国のユーラシア大陸支配が進む。

ウクライナ敗北の余波

中露の連携に中東ではイランが、極東では北朝鮮が加わり、中、露、イラン、北朝鮮の「悪の枢軸」が出現した。日米英欧は彼らに対抗して連携を強めなければならない。

こうした中、ウクライナを訪れた上川氏はクレバ外相と会談し、日本政府の支援続行の立場を伝えた。対無人航空機検知システムなどのため、3700万ドル(約53億円)をNATOに拠出するという。

それもよい。が、ウクライナの切迫振り、米国の9兆円規模の援助予定額を考えればもどかしい。繰り返すが、ウクライナの敗北の余波はあらゆる意味でわが国を襲うことになる。日本の国益のためにも自衛隊の古くなった戦車、ミサイル、砲弾などを、鉄クズにして処分するのでなく、そのままウクライナに送れるように法改正すべきだろう。現地を訪れた上川氏は情勢の厳しさを明確に見てとったはずだ。その理解の上に立って日本国のなすべきことに徹するべきだ。

岸田首相は古くなった自衛隊の武器装備の移転について、従来どおりの慣行を守ろうとする。しかし今はすべてが従来どおりにはいかないのだ。100年に一度の地殻変動、とんでもないどんでん返しの連続だ。

日本の安全保障環境は劇的に変化している。新たに出現した状況の厳しさを思えば、日本の未来に直接責任をもつ政治家たちは夜も眠れないであろう。烈しい変化に合わせてわが国の法も、さらには憲法も変えなければ日本は無傷でいられない。

米軍需産業の衰退

長く平和ボケを続けてきた日本人に、ウクライナは自力で自国を守れない国の弱さと悲劇を十分に見せてくれている。日本国はウクライナのようになってはならない。繰り返すがそのために、ウクライナを支援し、ロシアを牽制するのだ。その気概の先で中国を牽制するのである。

ウクライナ侵略戦争、ハマス・イスラエルの戦争、さらに中国の台湾・日本への侵攻、全てで頼りにされているのが米国だ。しかし、米国の実情を知れば背筋が寒くなる。昨年12月、日本政府は米国ライセンスで国内生産する地対空誘導弾パトリオットを米国に輸出することを決定した。ウクライナ支援で減少した米国の在庫を補充するためで、バイデン政権は日本政府の決断を高く評価した。パトリオットの輸出を強く望んだのは米国側だった。背景に米軍需産業の衰退があった。

22年5月に、バイデン政権とロッキード・マーティン社は対戦車ミサイルのジャベリンの生産を24年までに倍増させると合意した。だが目標達成時期は26年に先延ばしされた。

米国は20年に対艦ミサイル、ハープーンを台湾に売却すると発表したが、納品は26年まで待たなければならないことが判明した。

米英豪の軍事連携、AUKASの取り決めで米国は豪州に原子力潜水艦を輸出することになった。しかし、米国の原潜建造能力が1年で1.5隻にとどまるため、豪州への売却はかなり遅れると見られる(WSJ、23年12月7日)。

中国は過去2年間で巡洋艦、駆逐艦17隻を建造したが、米国が同様の結果を出すには6年かかるとWSJは同記事で分析した。

米国の実態には驚くばかりだ。しかしわが国の実態はもっと酷い。何十年も国防の努力をしてこなかったために、軍事産業全体が縮小してしまっている。実態を認識して、忍耐強く立て直すしかない。岸田首相は軍事部門のそうした産業構築の努力をこれまた忍耐強く支えなければならない。          



中国人はなぜ軍や警察を敵視しているのか。 「はい、中国では賄賂を取りしまる警察が賄賂漬けです」

2024-01-27 19:03:52 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024)1月27日(土曜日)弐
        通巻第8108号  
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中国人はなぜ軍や警察を敵視しているのか。
「はい、中国では賄賂を取りしまる警察が賄賂漬けです」
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 はい、中国では賄賂を取りしまる警察が、じつは賄賂漬けなのです。
 大連、旅順、瀋陽(奉天)など日本に馴染みの深い遼寧省(人口4200万人)。その遼寧省警察トップが地元業者の不法行為を黙認し、巨額の賄賂を受け取っていた。
 李文喜・元庁長は在任中に凡そ111億円の賄賂を受け取っていた。23年に執行猶予付きの死刑判決。手口は鉱山企業が違法採掘の捜査を逃れるため李庁長を買収した。

 こうした体質はまるで変わらない。
 鉱山の入り口に「立ち入り禁止。操業停止中」と看板や標識があるが、実際には採掘している。これは常識、操業停止中の看板は撮影用である。
 違法操業の鉱区で『事故』が起きると隠蔽する。事故で犠牲になっても補償金は雀の涙。未亡人が告発すると翌日河に屍体が浮かぶ。事故と聞いて現場に駆けつける新聞記者は『書かない』と言って現金を受け取る。中国の『新聞記者』って、恐喝屋という裏の顔をもつ手合いが多い。

後任の薛庁長は収賄に明け暮れて、総額は28億円の賄賂を受け取った。
その後継の王大偉・前庁長は114億円を受け取った。アルミ製品メーカーのオーナーが、外為関係の不正を摘発されたため、捜査に手心を加えてもらった。賄賂には人民元と米ドル紙幣の現金が400万米ドル。この手口はマカオに4回招待し、わざとギャンブルに負けて「合法的に」香港ドル(邦貨換算で38億円)を渡すなど。遼寧省の警察では空前の巨額賄賂事件となった。

 起訴されると裁判となる。裁判官も買収次第で刑が加減される。殺人犯でも無罪となり、窃盗犯でも裁判官の機嫌がわるかったり賄賂が少なかったりすると、重罪扱いされる。
だから裁判は異なる行政区の裁判所に移されるのである。
 中国人がなぜ軍や警察を敵視しているのか。庶民は賄賂と権力の癒着構造を知っているからである。軍が威勢の良いことを言いながら、物資を横流しし、軍経営のホテルは娼婦館であり台湾侵攻を呼号しても、あの軍は張り子の虎、闘わないだろうという軍人の体質を知っているからである。
日本のように警察を信頼し、自衛隊を頼りにしている国柄とは根本が違う。


ミャンマー国軍のクーデターは「西郷なき西郷軍」?   軍と仏教高僧との融合統治が機能不全に陥ったのではないか

2024-01-27 19:01:37 | 日記
 「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024)1月27日(土曜日)
        通巻第8107号  <前日発行>
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 ミャンマー国軍のクーデターは「西郷なき西郷軍」?
  軍と仏教高僧との融合統治が機能不全に陥ったのではないか
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ミャンマーで「本当は」何が起きているのか?
 大手メディアは投票箱民主主義至上史観だから、本質的なことが見えてこない。
 2021年2月、ミャンマー国軍はクーデターに打って出た。ところが、ミャンマーの民衆が想定外に強く反発し、「民主主義を蹂躙した」として大規模な抗議集会が開かれた。抗議デモに軍が出動、多くの死傷者がでたため国際社会から批判に晒された。


 欧米の傀儡といわれたアウン・サン・スー・チーを支持する人たちは外国のメディアが同情的に報道したので、鮮明に反政府の旗を掲げた。こうなると正義はどちらにあるのか、よく分からない政権運営が続いた。因みに2021年のミャンマー経済はGDPがマイナス18%、通貨は暴落し、庶民は生活苦に喘ぐ。


 クーデターから三年が経った。欧米のメディアの複写機である日本は「国軍=悪」vs「民主主義団体=善」のスタンスを依然として維持している。スーチー政権のときにロヒンギャ70万をバングラデシュへ追い出すと、欧米メディアは一斉にスーチーを「人種差別主義」「ノーベル賞を返還せよ」と猛烈な批判に転じたが、日本はそのまま、ミャンマー国軍批判である。
 この価値基準は「イスラエル=悪」vs「ハマス=善」、「ゼレンスキー=善」vs「プーチン=悪」と、リベラルな西側政治家やメディアが作り上げたフェイク図式に酷似している。ミャンマー国軍ははたして悪魔なのか?


ミャンマーの社会構造は宗教を抜きに語れない。
仏教徒が90%をしめ、しかも上座部(小乗仏教)である。僧侶が800万人もいる。
軍隊は徴兵制で43万人(実態は15万に激減)。


つまりこの国は軍と仏教世界との融合で成り立つ。軍は元来、エリート集団とされ、国民からの信頼は篤かったのだ。それが次第にモラルを低下させ、徴兵ゆえに軍事訓練は十分ではなく、そもそも戦意が希薄である。愛国心に乏しい。


 軍クーデターは伝統破壊の西欧化に反対した政治的動機に基づく。単なる権力奪取ではない。つまり「西郷軍が勝って、近代化をストップした」ような政治図式となるのだが、現在のミャンマー軍(ミン・アウン・フライン司令官)はと言えば、「西郷隆盛なき西郷軍」である。権力は握ったものの何をして良いのか分からないような錯乱状態にあると言える。


 軍人は経済政策が不得手。コロナ対策で致命的な遅れをとり、猛烈インフレに襲われても、適切な対応が出来ず、外資が去り、自国通貨は紙くずに近く、闇ドルが跋扈している。
国民は外国で反政府活動を活発に展開する。国内各地には武装組織が蠢動を始めた。


 ▼まるで「西郷のいない西南戦争」でクーデターが成功した


 西南戦争は『道義国家』をめざし、挫折した。戦略を間違えた。というより勝利を計算に入れずに憤然と立ち上がったのだ。
佐賀の乱、神風連、秋月の乱、萩の乱から思案橋事件が前哨戦だった。城山で西郷は戦死、直前に木戸が病没、大久保暗殺がおこり、明治新政府は「斬新」な政策を実行に移した。しかし行き過ぎた西洋化、近代化。その象徴となった「鹿鳴館」に反対して国学派が復興した。


 ミャンマーの仏教鎮護国家の復活が国軍指導者の目的だった。
しかし彼らは広報という宣伝戦で負けた。都会は西洋民主主義、グローバリズムに汚染され、若者は民族衣装を捨てていた。西洋化は、あの敬虔なる仏教との国ミャンマーにおいてすら進んでいた。


 となりのインドでは巨大なモスクを破壊し、その跡地に大きなヒンズー寺院建立した。竣工式にはモディ首相自らが出席した。


 ミャンマー国軍に思想的指導者は不在のようだ。だからこそ、国軍は仏教の高僧を味方にしようとしてきた。しかし国内的に厄介な問題は同胞意識の欠如である。そのうえ山岳地帯から国境付近には少数民族各派の武装組織(その背後には中国)が盤踞している。中国はミャンマー国軍政府と「友好関係」を維持しているが、背後では武装勢力に武器を供給している。


 主体のビルマ族は70%だが、嘗て国をまとめた君主はいない。カチン、カレン、モン、シャン、カヤ族と、それぞれ少数の武装組織が国軍と銃撃戦を展開しているものの、反政府で連立は稀である。カチン、カレン、モン族は博くラオス、カンボジアにも分散しており、ラオスでのモン族は米軍について共産主義と闘った。敗戦後、17万人のモン族は米国へ亡命した。


 2023年10月27日、ミャンマーの反政府武装組織が初めて三派共闘し、シャン州北部で「国軍」と戦闘、驚くべし国軍が敗走した。国軍兵士数百が投稿した。
 中国の秘密裏の仲介で停戦状態となったが(24年1月26日現在)、ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)、タアン民族解放軍(TNLA)、西部ラカインのアラカン軍(AA)の「三派」の共闘はこれから「連立」となるか、どうか。


この三派以外にも不明の武装組織(なかにはギャング団、麻薬シンジケートも武装している)。なにしろミャンマーは五つの国と国境を接し、130の少数民族がいるとされる。 


国境問題の複雑さが問題をさらに複雑にする。ミャンマーが国境を接する国々とは、インド、中国、ラオス、タイ、バングラである。地域によっては少数民族が多数派となる。
西海岸の古都シットウエイはインドとの海路の拠点であり古代遺跡があるため外国人観光客が多い。
チャウピューは中国へのパイプラインがミャンマーを斜めに横切り雲南省へと繋がっている拠点、ここには中国企業が進出し、工業団地を建設中で、ロヒンギャとの暴動になった場所、行ってみる、と放火されたモスクの無残な残骸があった。やや東側の中部、マンダレーは雲南華僑の街である。
旧首都のヤンゴンと新首都ネピドーはアクセスが悪い。マンダレーは国際空港こそ立派だが、翡翠やルビーの商いはほぼ華僑が握る。そうした三都三様の物語が付帯する。


 ▼麻薬王


ラオス、タイ国境に拡がるのが統治の及ばない「黄金の三角地帯」である。
アフガニスタンにつぐ麻薬産出地域で、ギャング団と武装組織と博打場である。治安の安定はあり得ないだろう。


黄金の三角地帯の形成と発展、その後の衰退は国民党残党という闇とCIAの奇妙な援助があり、やがて彼らへの弾圧、そしてミャンマーとタイとの絶妙な駆け引きをぬきにしては語らない深い闇である。


国共内戦に蒋介石は敗れて台湾に逃れたが、南アジアで戦闘を継続したのが国民党の第27集団隷下の93軍団だった。およそ一万もの兵隊が残留し、シャン州をなかば独立国然とした。モン・タイ軍(MTA)は『シャン州独立』を目指した軍事組織で、ビルマ共産党軍が主要敵だった。


国民党残党の軍人とシャン族の女性のあいだに産まれたのがクンサ(昆沙)。
のちに『麻薬王』と呼ばれる。中国名は張奇天で、一時はモン・タイ軍の2万5000名を率いた。軍資金は麻薬だった。
CIAが背後で支援した。アルカィーダを育て、やがて裏切られたように、ムジャヒデン(タリバンの前身)を育てたのもCIAだったように、やがて米国はクンサに200万ドルの懸賞金をかけた。


『麻薬王』と言われたクンサは紆余曲折の後、麻薬で得た巨費で財閥に転じ、晩年はヤンゴンにくらした。2007年に74歳で死亡した。米国の身柄引き渡し要求にミャンマー政府は最後まで応じなかった。
もうひとつの有力部族=ワ族はモン・クメール語を喋る少数民族で、いまワ族の武装組織は中国の軍事支援がある。


 ▼ミャンマー進出の日本企業は、いま


さて安倍首相が二度に亘って訪問し、日本が投じたティワナ工業団地はどうなったか。
ヤンゴンの南郊外に位置し、コンテナターミナルを日本が援助した。しかし国軍クーデター以後、西側が制裁を課し、日本政府が同調したため、日本企業の10%がミャンマーから撤退した。住友商事、KDDIなどが残留しているとは言え、投資のトップはシンガポール、中国、そして台湾、韓国が続く。
日米印の企業投資は実質的にぼゼロ状態だ。


拍車をかけているのが外交的孤立である。ミャンマー軍事政権を支持するのは中国である。背後では、ロシアが接近している。
 仏教界は分裂している。将軍たちと協力し、仏教とビルマ文化の両方を外部の影響から守る必要があるという軍の理念に共鳴した高僧もおれば、「ラカイン州で地元の仏教徒とイスラム教徒のロヒンギャ族の間で暴力的な衝突が起きると、『過激派僧侶』といわれるウィラトゥ師は、「ビルマ仏教はイスラム教徒によって一掃される危険にさらされている」とし、「イスラム教徒経営の企業のボイコット」を奨励した。
 軍事クーデターに反対するデモに参加した僧侶たちも目立った。シャン州北部の主要都市ラショーでは国軍の統治が崩壊した。


岸田首相は何をしに米国へ行くのか?    また毟られる。日本はいつまで米国のATMなのか?

2024-01-27 18:57:54 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024)1月26日(金曜日)
        通巻第8106号  
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 岸田首相は何をしに米国へ行くのか? 
  また毟られる。日本はいつまで米国のATMなのか?
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1月25日、ホワイトハウスは「岸田文雄首相が4月10日に訪米する」と発表した。
「?」。レイムダック入りして落選確実の耄碌爺さんに何をしに行くのかと多くの国民は不思議に思ったであろう。

ウクライナ支援予算が議会で通過せず、またイスラエル支援が民主党支援者からもブーイングされ、若者のボランティアが大量に民主党選対を去った。
いま、こんな体たらくのワシントンに、のこのこ出かける馬●は日本の首相くらいだろう。

バイデン政権の意図はいうまでもない。11月のサンフランシスコAPECのついでに行なわれた日米首脳会談で、バイデンは岸田首相に「国賓待遇」による訪米を提案した。日本を煽てる必要からだ。目当ては日本の財布だ。

カービー戦略広報調整官は記者団に「岸田首相の訪米は日米同盟や日米関係の重要性を明確に示すものだ」と意義を強調した。「インド太平洋地域の安全や繁栄、地域協力を強化する取り組みの重要性を訴える機会になる」などと綺麗事を並べ、「バイデン大統領は岸田首相に会うことをとても楽しみにしている」と心にもないことを付け足した。日本の首相が国賓待遇で訪米するのは2015年にオバマ大統領が安倍晋三首相を招いて以来。

 狙いはずばり、日本のATM化である。バイデンと英国ジョンソン前首相がプーチンを嗾けたのがウクライナ戦争の本質。ゼレンスキーは世界にカネと武器をたかりまくった。それもいよいよ終わりとなって、日本はウクライナ復興会議を東京でやらされる。能登の復興は後回し、ウクライナへの支援を優先させるって、基本がおかしくないか。