沖縄・台湾友の会

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中国金融行政は混沌、新機構へ再編はさらに混沌に拍車 「中央金融委員会」とか「国家金融監督管理総局」は何をする役所か?

2024-01-06 20:38:17 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024)1月6日(土曜日)
        通巻第8082号   
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 中国金融行政は混沌、新機構へ再編はさらに混沌に拍車
「中央金融委員会」とか「国家金融監督管理総局」は何をする役所か?
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 2023年9月以来、中国政府は地方政府の債務抑制に乗り出してきた。
要は返済不能な融資平台の借金を、いかにして破産状態を誤魔化し、国民をとりあえず安心させて、「共産党にまかせておけば安心だ」という、誰も信じない神話をつくりだすことにある。手口は地方政府に新債券起債を許可し、傘下の投資会社が抱える「隠れ債務」の借り換えを促すのである。

初回の発行枠は30兆円規模。マジックは金利を3%台として、投資家が釣られて購入していた8~9%の高金利債務の負担軽減が目的だが、投資家には不評で半分は受け入れがたいと拒否しているらしい。
地方政府が新起債する債券は金利を抑えるから返済負担を軽減する狙いだ。金利政策も重要だが、基本的な元金の返済には展望がない。

 国際通貨基金(IMF)は、融資平台の債務残高は2023年時点で65兆元(約1300兆円)に上ると推計した。筆者の推計は1600兆円だ。また中国の国債のうち、外国ファンドが保有するのはおよそ700兆円。

 かねてから中国中央銀行の汚職が伝えられてきた。
 24年1月、中国人民銀行(中央銀行)金融政策局長だった孫国鋒に判決が降りた。贈収賄、国家機密の意図的漏洩、インサイダー取引の3件で懲役16年半の実刑判決。
孫国鋒は政策情報漏洩(つまりインサイダー取引の元凶になる情報)で2,100万元の賄賂を集めたほか、内部情報を入手して株を安く買って高く売ることで1,109万元を稼いだとされる。
 いかにも権限を利用して自分の利益をごっそりと集める中国人らしい遣り方だ。

中国は1999年に東方、信達、華隆、万里長城という4つの主要な国有資産管理会社を設立し、中国銀行、中国建設銀行、中国銀行が保有していた不良債券該当の債権の買収、管理、処分を担当した。中国開発銀行、中国工商銀行、中国農業銀行が国有資産管理会社に事実上の不良資産を売却した。

2023年11月にフィッチは中国国債の格付け見通しを引き下げた。またムーディーズはチャイナシンダとチャイナオリエンタルを格下げし、監視リストに加えた。さらに中国の大手銀行8行の格付けを引き下げた。
2023年9月末時点で中国商業銀行の不良債権が過去最高の3兆2000億元に達した。 

習近平は国務院の専管事項だった金融政策権限を、新設の「中央金融委員会」に移行し、要するに人民銀行は当該委員会の管轄下にはいった。
11月になって、何立峰副首相が中央金融委員会弁公室主任に任命されていたことが明らかになった。金融業界監督強化のため3月に設置が発表されたもののトップは李強首相と観測されていた。

また金融事業、不正を監督・監視する権限は「国家金融監督管理総局」が担当することとなった。
23年3月に共産党は、「党と国家の機構改革プラン」を発表し、中央金融委員会と中央金融工作委員会、国家金融監督管理総局を設立した。局長は李雲沢(前四川省副省長)。

これは地方金融監督管理体制改革の深化、中国証券監督管理委員会の国務院直属機構化、中国人民銀行支店機構改革など再編が進んできた。
国家金融監督管理総局は中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)を基に設立され、証券を除く金融業界の監督管理を担う。銀保監会は廃止された。

24年1月4日、フィッチ・レーティングスは中国国有の資産管理会社4社の格付けを引き下げた。
中国信達資産管理と中国東方資産管理、中国華隆資産管理、中国長城資産管理の四社が引き下げとなった。この四社、1999年に鳴り物入りで設立された資産管理会社である。

金融債権を専門家から取り上げ中国共産党が管理指導すると言うのだから、事態は必ず悪化するだろう。

ASLM、中国向け半導体装置の出荷を直前に停止  半導体製造プロセスの中枢はリソグラフィ技術

2024-01-06 20:37:26 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024)1月5日(金曜日)
        通巻第8081号   
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 ASLM、中国向け半導体装置の出荷を直前に停止
 半導体製造プロセスの中枢はリソグラフィ技術
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 ASLMはオランダ国籍で、世界最大のリソグラフィ技術を誇り、台湾、韓国、中国、米国、そして日本へ半導体製造装置を輸出してきた。2024年1月2日、ASLMはオランダ政府の輸出許可が下りなかったとして中国の半導体大手SMIC(中芯国際電路)向けの半導体装置NXT2050iとNXT2100を出荷直前に取りやめた。
 すでに米国はASLMに対して「ツィンスキャンの「NXT1930Di」の輸出も禁止している。

 中国外交部は「資本市場の原則を守れ、法と重視しろ」と噛みついたが、ASLMは応じなかった。
この装置はリソグラフィで、中国では唯一、SMEE(上海マイクロ電子)が、28ナノ半導体製造に成功し、ウィチャットなどに用いられている。

 半導体製造プロセスの中枢はリソグラフィ技術である。半導体製造の前工程だけでも次の工程を経る。
回路、パターン設計 → フォトマスク作成 → ウエハ(シリコンインゴッド切断)
→ ウエハ研磨 → 表面酸化 → 薄膜形成 → フォトレジスト塗布 → 露光と現像 → エッチング →洗浄 →イオン注入 → 平坦化 → 電極形成 → 検査

これらの前工程を経て、つぎの後工程へと進む。この工程の中枢が「フォトレジスト塗布→露光と現像」のプロセスで、リソグラフィ技術が活かされ、ASLMは、世界最大のメーカーである。
しかしこれらの措置で中国の半導体進展を阻止できるか?