沖縄・台湾友の会

《台湾に興味のある方》《台湾を愛する方》《不治の病・台湾病を患ってしまった方》皆んなで色々語り合いたいものです。

日本よ気付け、本当のワルは中国だ 櫻井よしこ

2022-05-30 16:38:17 | 日記
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日本よ気付け、本当のワルは中国だ
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         櫻井よしこ

日本ルネッサンス 第999回

この数週間、つい視線が向かう地図がある。太平洋を挟んで、右に南北米 大陸、左にユーラシア大陸があり、核保有国を赤く塗った地図だ。ロシ ア、中国、北朝鮮を中心にユーラシア大陸は赤く染まり、北米は米国が赤 い色に染まっている。そのまん中、太平洋の左端にポツンとわが日本列島 が心細げに浮かんでいる。今、世界で一番危険な地域は大西洋・欧州では なく、太平洋・アジアであり、わが国周辺なのだと実感する。

ウクライナへのロシアの侵略戦争で私たちは日々の戦況報告に気をとら れ、世界のパワー・バランスの大変化で日本がどれ程危険な立場にあるか に気がつきにくい。ぼんやりしているわが国には断固とした国防への気概 も備えもない。考えは甘く、制度は緩い。米国と協力して、国の命運が懸 かる対中戦略の具体策を定め、憲法改正を含めて備えるときだが、そこま での厳しい認識があるとは思えない。これでは中国が狙うのも当然だろう。

オースティン米国防長官は4月25日、ロシアが二度とウクライナ侵略戦争 のようなことができないように、「ロシアを弱体化させる」と語った。そ の言葉どおり、米国はロシアを衰退させる意図でウクライナにより深くコ ミットしつつある。

ウクライナの武器装備を補充、強化するための経済支援は、ロシアが全面 的侵略戦争に踏み切った2月24日から4月21日までで30億5000万弗(約3982 億円)に上る。ところが4月28日、バイデン大統領は新たに330億弗(約4 兆3087億円)の追加支援を議会に要請した。2月以降の実績と合わせると 総額約4兆7000億円、ロシアの2021年の軍事予算、659億弗(約8兆6000億 円)の半分を超える規模だ。

この侵略戦争で、ウクライナの側に立ち、プーチン氏を憎むのは自然な感 情であり、だからこそ米国のウクライナへの肩入れもうなずける。同時に ウクライナ戦争がアジアにどんな状況を生み出しつつあるか、日本の立場 から憂えざるを得ない。それを象徴するのが日本の危機を表す冒頭の地図 なのだ。

米国の弱体化

米国がウクライナ問題に深く関わり、経済資源や軍事資源を投入し続ける ことを一番喜んでいるのは中国である。彼らの大目標は米国との競争に勝 ち、地球上の覇者になることで、敵は米国だ。そのため中国は常に、米国 の弱体化を望んできた。ブッシュ(父)大統領の湾岸戦争、ブッシュ (子)大統領のアフガン戦争のとき、中国人は、米国が中東地域でどれだ けの力を使い果たすか、それによって米国の国力が落ち、地位がどれだけ 脅かされるかに強い関心を持った。

米国の消耗を切望し、戦争の長期化、出来れば泥沼化を彼らは願ったはず だ。今回も同様であろう。ウクライナとロシアの戦争が長引いて米軍がよ り深くコミットし、大規模援助で消耗し疲弊することを望んでいる。アメ リカさえ弱体化すれば、アジア太平洋は中国が制覇できる。

そのような展開は日米双方にとって非常に危険であり、そもそもバイデン 大統領の戦略にも反する。昨年米国はアフガン戦争からの撤退に踏み切っ た。バイデン氏は、撤退は真の脅威である中国に集中するためだと明言し た。しかし米国がウクライナ問題に深く関わりすぎれば、中国に力を集中 することなどできない。日本にとっての重大な危機である。だからこそ、 ウクライナ戦で如何に早くロシアの敗北を実現できるのか、日本もわが事 として考えなければならない。

地政学的に日米が最も懸念しなければならないのは、中国とロシアが手を 結び、ユーラシア大陸を事実上中国が支配することだが、いま起きている 事態はまさに中露連携である。バイデン政権は、最大の脅威である中国へ の対応に集中もできず、中露連携も阻止できず、戦略的方向性を失いつつ あるのではないか。

一方中国にとって、米欧がウクライナに集中している今は戦略的好機だ。 彼らは国力の基本としての軍事力構築を脇目もふらずに進めている。

「人民解放軍(PLA)のミサイル部隊と爆撃機は、2030年には中国本土 から3200キロm以内に位置する850箇所の目標に対して2回、1400キロm以内であれ ば4500箇所を超える目標を2回攻撃できるようになる」と、米シンクタン ク、ハドソン研究所研究員の村野将氏は指摘する。

中国の核・非核両用の戦略ミサイルは日本、台湾双方を射程内にとらえ、 楽々と複数回攻撃する能力をあと数年で持つ。太平洋の西の端、日本周辺 はすでに核とミサイルの密度が最も高い地域だが、さらにその密度が高く なり危険度も増すのである。

国土買収

バイデン政権が宣言したように、本当の脅威、より手強い敵は中国なの だ。その中国に最も狙われているのが日本であることは、多くの日本国民 がすでに感じとっているはずだ。その意味で国防力強化政策が急がれる が、GDP2%分の国防費では到底足りないだろう。

中国は日本にどのような侵略の手をのばしてくるだろうか。プーチン氏の 轍は踏まないだろう。4月に明らかになったソロモン諸島との安全保障協 定のように、ソロモンの国会さえも気づかない内に、また豪州や米国に阻 止する時間も与えず、中国はあっという間にソロモン政府中枢を事実上 乗っ取った。賄賂か脅しか、狙いを定めた対象を取り込む彼らの手練手管 は無尽蔵だ。

日本はソロモン諸島のことを笑えない。7日付産経新聞の宮本雅史編集委 員による「国境がなくなる日〈洋上風力に触手 日本を丸裸〉」は、中国 が日本の洋上風力発電事業を受注し、日本の電力供給の元を押さえる動き に出ていると警告する。たとえ一部といえども電力の供給源を他国、とり わけ中国に握られることは危険だが、それだけではないと宮本氏は語る。

「たとえば富山県入善町の洋上風力発電事業に中国企業が入ることになり ました。発電業者は、発電機を設置する海域の風力、海流、海底の地形、 地質などを調査することができます。受注企業は最大30年間、その海域を 占有し、調査できるのです」

中国資本による日本の国土買収を20年以上も取材し、日本侵略の魔の手の 実態を知る宮本氏はこうも語る。

「森林、水源地、農地などの国土だけでなく、海洋国家日本の、海と海底 までが中国資本の手に渡ってしまいかねないのです」

恐ろしい話ではないか。中国の脅威に立ち向かうには国防力強化だけでは 到底足りないのである。政治家は危機のアンテナを針鼠のように自分の周 りに立て巡らし、中国の脅威を米国にも強調せよ。問題を把握し、国土も 海も中国に奪われない法整備を全智全能を傾けて実現せよ。



自衛隊明記に傾く公明党  【阿比留瑠比の極言御免】  

2022-05-28 18:09:33 | 日記
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自衛隊明記に傾く公明党
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【阿比留瑠比の極言御免】


 公明党は、憲法9条への自衛隊明記を主張する自民党案に賛成する多数 派の世論に押され、じわりとこれまでの消極姿勢からの軌道修正を図って いるのではないか─。13日の当欄でこんな見立てを書いたところ、早速19 日の衆院憲法審査会で、北側一雄副代表がこう発言する場面があった

 「自衛隊は最大の実力組織だから、それに対する民主的統制を憲法上に 書き込んでいく。これは民主主義、国民主権という観点からも非常に憲法 価値にふさわしい」

 「憲法上のどこに書き込むのがふさわしいか。自衛隊法7条(首相の指 揮監督権)を憲法価値に高めていく意味は理解できる。首相や内閣の職務 を規定する72条か73条に書き込んでいくことも考えられる」

 9条には手を付けたくないが、72、73条であれば容認できると示唆した のか。アドバルーンを揚げて反応を見ているのか。

 これについて、山口那津男代表は24日の記者会見で「北側さんの個人的 考え方」と断ったうえで、こう肯定的なコメントをした。

 「(憲法に)自衛隊に対する明文の規定はない。自衛隊法以下、実定法 の規範の体系がすでにできているので、そうしたことを憲法とのかかわり で文民統制を明確にしようとする議論はあってしかるべきだ。大いに幅広 く議論していい」

 党代表と副代表が国の根幹である憲法について、それぞれ勝手に発信し ているとは考えられず、これは連携プレーなのだろう。

[国防意識の高まり]

  公明党の昨年10月の衆院選の公約では、自衛隊明記についてこんな木 で鼻をくくったような消極的なものだったことを思うと、明らかに変化し ている。

 「多くの国民は現在の自衛隊の活動を理解し支持しており、違憲の存在 とはみていない。引き続き慎重に議論していく」

 言外に、国民は自衛隊を違憲だとは思っていないから別に明記する必要 はなく、放っておきたいとにおわせる書きぶりだった。

 公明党は平成27年9月に集団的自衛権の限定行使を容認する安全保障関 連法が成立して自衛隊の活動範囲が広がったことから、憲法9条改正や自 衛隊明記に関しては「その必要がない」と慎重姿勢を強めていた。

 それがロシアによるウクライナ侵略をきっかけとした国民の防衛意識と 安全保障問題への関心の高まりを受けて、自衛隊明記も真剣に検討せざる を得なくなったのだろう。

 そうして今回、自衛隊への「民主的統制」「文民統制」をキーワード に、憲法に足らざるところを加える公明党のもともとの主張である「加 憲」路線に片足をかけたのではないか。

[安倍元首相が主張]

  ただ、この論点はもともと安倍晋三元首相が首相当時の29年から「9 条にシビリアンコントロール(文民統制)をしっかり明記すればいい」と 提案してきたことでもある。
 安倍氏は23日にも、中曾根康弘元首相が率いた超党派の「新憲法制定議 員連盟」による「新しい憲法を制定する推進大会」でこう訴えていた。

 「国を守る軍事組織が憲法に明記されていない国はほとんどない。シビ リアンコントロールが貫徹されるという意味でも、憲法に明記する必要が ある」

 明記する先が9条か72、73条かという違いはあるものの発想は異ならな い。公明党は安保関連法にも当初は強く反対したが、19日の衆院憲法審で は北側氏は高く評価していた。結局、最初から安倍氏の主張に耳を傾けて いればよかったということになる。

自民党のPBを巡る路線対立が激化してきました。 5月17日の財政政策検討本部の提言では、 本来は、「PB目標を破棄または目標年度の延期」 という表現が入る予定だったのですが、

2022-05-27 10:47:22 | 日記
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
               頂門の一針 6150号 

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PB黒字化目標をめぐる政治バトル
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       三橋貴明

自民党のPBを巡る路線対立が激化してきました。
5月17日の財政政策検討本部の提言では、
本来は、「PB目標を破棄または目標年度の延期」
という表現が入る予定だったのですが、

財政健全化推進本部の麻生最高顧問が
「路線対立を鮮明化するのは良くない」と横槍を入れてきたため、「カレ ンダーベースでの目標設定が、政策の選択肢をゆがめることがあってはな らず、今後、十分に検証する」という文言にしたところ、

財政健全化推進本部の方は、「財政健全化の旗を降ろさず、これまでの健 全化目標に取り組む」と、25年度のPB黒字化目標が掲載された原案を提 示したため、自民党の積極財政派が激怒。

20日の財政健全化推進本部にて、緊縮派対積極派のバトルが展開されまし た。積極財政派は、「財政を守って国の運営がうまくいかなかったら本末 転倒」「(PBは)古い財政目標だ」と、猛反発。

その後、安倍、麻生、西田、額賀の四者会談が行われたわけですが、本稿 執筆時点では最終提言は確定していないようです。

PB議論がバカバカしいのは、黒字化目標が「日本国民への経済制裁」そ のものであるのに加え、誰も「25年度黒字化」の達成など、できるとは 思っていない点です。
20年度、21年度のPB赤字は、40兆円超でした。

これを25年度に「ゼロ」にするとなると、数十兆円規模の需要消滅とな り、日本経済は恐慌に突っ込みます。

それにもかかわらず、なぜ緊縮派がPB目標にこだわるのかといえば、単 なる政治ゲームと化してしまっているためです。「PB黒字化目標は正し いのか、間違っているのか」ではなく、PB目標を骨太の方針に入れるこ とに成功するか(勝つか)、失敗するか(負けるか)という政治ゲームな のです。

「国民を赤字化(=PB黒字化)する目標」を巡った政治ゲームにより日 本国のデフレは続き、凋落が停まらない

さすがにこれは、先祖や子孫に対して申し訳なさすぎますよ。PB黒字化 目標廃止の声を上げてください。声を上げれば変わる、という話ではない ですが、黙っていると、絶対に変わらないのです。     


ウクライナ問題とバイデン支持率は結びつかない バイデン支持率は36%という惨状、中間選挙、民主惨敗か

2022-05-27 10:44:00 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)5月27日(金曜日)弐
        通巻第7350号 
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(休刊のお知らせ)小誌、土曜・日曜(28~29日)は休刊となります
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 ウクライナ問題とバイデン支持率は結びつかない
バイデン支持率は36%という惨状、中間選挙、民主惨敗か
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 バイデン大統領を「支持する」と答えたアメリカ人は36%(ロイター、イプソス5月24日)で前回の42%より、さらに6ポイント下落した。
APの5月16日の世論調査でも39%、いずれも四割を切っている。戦争指導中の米大統領の支持率は、通常あがるものであり(湾岸戦争時、ブッシュシニアの支持率は92%だった)、異常な事態といえる。

 ゼレンスキー大統領への熱狂的支援はアメリカにはない。台湾とバルド三国、ポーランドあたりまで。イタリア、スペイン、ギリシアなどは冷ややかだ。
左派のメディアが踊っているだけで、国民はしらけている。400億ドルという途方もないウクライナ支援は軍需産業を潤しただけで、当該産業のロビー活動が議会を動かしているが、共和党の多くは冷淡、ランド・ポール議員などは反対した。

ゼレンスキー大統領に強硬に戦争継続をしそうしているのは英国である。ジョンソン英首相の突出ぶり、また米国でもウクライナ支援に温度差があり、積極派はペロシら極左議員である。

 不人気の最大要素はガソリン代、猛烈インフレ、富裕層からは株安への不安である。
潜在的には息子ハンター・バイデンのウクライナ疑惑へ明確な証拠が揃ったことだろう。そしてトランプに濡れ衣を着せようとしたのがロシアゲートと呼ばれた一連の民主党の陰謀だったことも白日のもとにさらされ、トランプ再選の機運が各地で盛り上がっている。

 ガソリン代はリットルに直して1・2ドル(157円)が、六月には確実に206円となる。ガロン換算で6ドルというのは、普通のアメリカ人には耐えられない高値である。ましてバイデンが目玉としたクアッドはインドが熱意を失い、オーカスは豪に左翼政権が誕生したため、いずれ挫折する。
訪日して華々しく打ち上げたIPEFなるは、TPPを言い出して途次に止めたように本気でとる国は日本くらいだ。

上海ロックダウンは何が目的だったのか?    上海派つぶしは明白だが、外国人の半分が中国を去った

2022-05-27 10:41:49 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)5月27日(金曜日)
        通巻第7349号  <前日発行>
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 上海ロックダウンは何が目的だったのか? 
  上海派つぶしは明白だが、外国人の半分が中国を去った
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 江沢民派の牙城といわれた上海は、殆どの中国人から見ると「外国」である。ハイソで、知識人が多く、エリート意識をぷんぷんさせた上海人、じつは中国全土からは嫌われ者である。とくに二昔前の香港では広東人と上海人はお互いに口もきかず、縄張りのレストランは決まっていた。

ところが1989年から2013年まで、江沢民、朱容基、胡錦濤(生まれは隣の安徽省)らが政権の中枢にあって、中国経済の高度成長をしめし、中国人は賃金が上がり、自家用車は持てるし、子供は大學へ行かせられるほどに生活が向上した。このため、それほど露骨な上海嫌いを公言する政治家はいなかったし、いまも少数派である。

 習近平は、その上海派の親分=江沢民と大番頭だった曽慶紅に胡麻をすって近づき、上海書記から党総書記、そして国家主席に抜擢された。
政権発足前に最大のライバルだった薄煕来がつぶされ、幸運が転がり込んだものの、習近平政権の初期は江沢民の院政が継続しており黒幕は曽慶紅(国家副主席)と言われた。

 習近平は猫をかぶっていた。型破りの政権強化の陰謀が展開された。
朋友の王岐山を使って、だれも反対できない「汚職追放キャンペーン」を開始し、江沢民派幹部を片っ端から逮捕、起訴し、気がつけば江沢民は孤立していた。
 さらにはアンタッチャブルの軍幹部の政敵排除に動き、徐才厚、郭伯雄、房峰輝、張陽らを追い落とし、公安系のボスだった周永康も逮捕して、政敵をほぼ刑務所にぶち込んだ。 さらに追いうちをかけて胡錦濤の番頭だった令計画も逮捕し、共青団幹部にも手をつけ、李克強らを敵に回した。

 その総決算が、上海派を壊滅させる作戦だ。
 ゼロコロナと銘打った上海封鎖は3月28日に突如開始され、2ケ月となる。この間に日本人もふたり死亡した。外国人の半分は中国を去った。
 都市封鎖の厳密な対象が1500万の都心、行動範囲に制限のある管理区域が178万人。そして「防御区」とは、郊外の480万人を対象とした。同時に武漢、西安、長春、吉林などが封鎖されたが、すでに解除された。

 上海浦東地区にある工場は一部再開といっても、部品供給のサプライチェーンは機能せず、コンテナ船の沖合待ちが一ヶ月以上、荷揚げしようにも港湾労働者がいない。上海は世界有数のコンテナターミナルであり、貨物取扱量は、東京港の九倍もある。

 5月16日に上海副市長の宗明が記者会見し「六月には解除する」としているが、SNSでは「江沢民の時は野菜が配られた。朱容基市長の時代は誠実な対応がとられた」等と婉曲に習近平のやりかたへの不満が述べられている。

 セロコロナはカーボンセロと同様に逆立ちしても実現不能であり、げんに中国の石炭大手は増産へ転換している。脱炭素は口約束でしかなく、実現不能なことは最初から明らかであり、中国共産党が本気で取り組んでいる気配はない。

 となると、いったい上海封鎖とは何だったのか?
 政治的意味は習近平の政敵全滅を狙った一種政変だろう。全家庭に防護服をきた係官が無理やり進入し、消毒液をまき散らし、家財を破壊し、貴重品を取り上げ、ついには上海市民の外国渡航を禁じる措置を講じた。

 恨み骨髄の上海市民は書記の李強を非難する。これで李強の出世は望めないとする観測が強いが、それは世界的な判断基準であっても、中国基準ではない。ゼロコロナはノルマ暴走の側面がある。 
李強は浙江省瑞安出身。第十九期党大会で、政治局員に出世し、韓正の政治局常務委員への栄転にともなって上海市書記となった。

 「よくぞやった」というのがゼロコロナを標語とした習近平の宿題を忠実に実現したのだから、次の飛躍が望まれるのであって、失脚の可能性は薄い。
 文革の折、行政単位ごとに千名の死刑がノルマ化された。このため毛沢東の写真の入った新聞でモノをくるんでいただけの理由でも老婆は銃殺された。それが中国である。

            (註 朱容基の「容」には「金」篇)