1986年8月31日(日)
-カシュガルの市場散策-
小刀 55元
首飾り 4元
耳飾り 2元
髪飾り 4元
ポット 50元
刺繍飾りブラウス 20元
馬齢 5元
うどん 1元4角
茶水 6元
ナン 2角
スイカ 8角
ロバタク 1元
夕飯代 7元8角
(レート 1元=約42円)
カシュガルを離れる日が明日となり、ふと考えた。
天を突き雲をも遮る大山脈と、身を隠すところとて無い茫々と広がる砂漠。
両者に囲まれたこの街で、己の体すら思うように動かせずに居た私達は、閉じ込められた感が強くあった。
そして、絶えず頭にあるのは、如何にしてこの街を脱出するかだけだったように思う。
再び、この地を訪れることはあるだろうか・・・よしんば、あったとしても、こんなにのんびり滞在することは無いだろう。
今日は強く反省して、街の空気にどっぷり浸ることとする。
まず、脱出報告のハガキを投函(このハガキが日本に着いたのは9月18日だった)。
エィティガール広場のパフォーマンスうどん屋では、再び、カシュガルの味を噛み締めて、体力、気力ともOK。
それから、バザールをさまよい、ひやかし、熱中し、歩き回ること5時間あまり・・・これぞ「地球の歩き方」実践版。
刺繍入り絹のブラウスを散々迷って(20元=840円)購入し、レースのストールに飛びついてみれば日本製、カシュガルに来てから馬齢の音がとっても気に入ったので、何とか手に入れようと得意の絵を描き(何しろ漢語が通じないので表現しようがなく、でも、得意の絵もなかなか判ってもらえなかったのだが・・・)、鍛冶屋の店先では、真鍮製のポットを修理している・・・それを眺めること1時間、これもしっかり買いました。
私は何処に行っても(外国、日本を問わず)バザールが好きだ。
一番、生きている匂いのあるところと思う。
見つけると歩き廻っているが、ここ、カシュガルのバザールはとても魅力的。
ナンを焼いている少年達、道端の床屋さん、親の傍らで遊ぶ幼児等、ディスコ音楽に群がる若者、種々雑多な色、音、におい・・・・。人々の生活のエネルギーに呑みこまれ、外来者の自分が無くなってゆく・・・その感じが好きなのです。
明日の出発がつつがなく行くように、夕食からビール断ちをする。
(その後、私は、99年9月に再びカシュガルに訪れた。案の定、街はとても整備されており、広場のバザールもきっちり区画され、食堂等も衛生的になっていた。でも、生活感よりも観光客対象のような感じを受けた。それでも、広場付近から外れた場所では、一般人民が行き交う、懐かしいにおいのする市場があり、何故かほっとしたのだ。まあ、観光客の勝手と言われれば、正しく勝手な話ではあるが・・・)