この小さな壺は、金沢で作陶を続ける
二代目・開発文七(かいはつぶんしち)さんの作品で、
去年久しぶりに行われた作品展で魅了され
思いきって買い求めたものだ。
「この白い肌に現れた青色は、
何かの作用で偶然生まれたもので、
もう一度出そうと思ってもできなかった。」
と、開発さんは話しておられた。
青い星の宇宙を飽かず眺めては、
あまりの存在感になかなか花を挿せない日々だったが、
新年になって、突然心が軽くなったので、
雪の中から 椿を一輪 切ってきて 生けてみた。
開発さんと出会ったのは、
私が東京での花の勉強を終え、金沢に戻ってすぐのことだった。
浅野川沿いを散歩していて
6年ぶりに行われていた個展に遭遇した。
何の知識も先入観もなく、入り口付近に置いてあった
やはり小さな粉引きの一輪挿しに目が釘付けになり、
ほとんど無いに等しい預金をすっきりゼロにして
入魂の作品を買わせて頂いた。
それは、花の道に進む覚悟を決めた瞬間でもあったし、
「いつか開発さんの器にびしっと花を生けられるようになりたい」
という具体的な目標がさだまった日でもあった。
それから15年の歳月が流れ、
一昨年の夏に行った私の花展(個展)に
足を運んで下さった開発さんが、
「私の器にあなたが花を生ける作品展をしたい」
とおっしゃってくださった。
それはこちらから畏れ多くて言い出すこともできなかったこと!
私は天にも昇る気持ちだったが、
すぐにそれは身震いに変わった。
実際は大変な山が待ち構えているに違いないから。
その陶と花の作品展、
いよいよ来月の後半に開催することに。
近日中に、緊張しながら詳細をお伝えします。
.