雪にとざされた夜こそ、
こんな愉しみを。
気のおけない友人たちと
夜咄(よばなし)のお茶会。
ろうそくの灯火だけを頼りに、
その部屋へすすむ。
いつもは音楽で集まるメンバーなので、
掛け軸には「楽」の文字。
この日 使われる 楽茶碗(らくちゃわん)にもかけている。
客が全員座したところで
亭主が静かに入室。
闇の中に、張りつめた空気が漂う。
粛々と茶事はすすんでいった。
闇に浮かぶ小さな明かりは
とてもあたたかで愛おしく感じる。
また闇の中には無限の世界があるように思え、
外の闇、あるいは雪とつながり、
想像力は奥深いところまで広がっていった。
お茶を一服いただくと、
体の中からほんのり暖まり、
みなの緊張も少しほどけて、
心に「楽」の明かりが灯った。
そしてゆったりと夜が流れていった。
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