語りかける花たち

角島 泉(かどしまいずみ) 花日記
 ~石川の四季、花の旅、花のアトリエ こすもす日々のこと


ガラスと氷と音、そして花  

2014年08月19日 | 作品展、コンサートなどのイベント
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かなり遅くなってしまったが、

ガラスと氷の催しを記録しておきたい。

三年に一度、と決めて臨んだ 二回目のコラボ作品展だった。
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ガラス/ 井上美樹、大迫友紀

氷 菓/ ムシャリラ・ムシャリロ

  花/ 角島 泉

ギター演奏(特別参加)
   / 太田真佐代


まず、何よりも素晴らしかったのは、

ガラス作家、井上美樹と大迫友紀による

空間いっぱい使ったインスタレーションだった。







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狹い暗い階段を上がって、明るく開けた三階の空間に、

たくさんの光の粒が浮かび、風に揺れている。

梅雨の最中のこと、外の雨と呼応して

部屋中に雨粒が降りてきたようだった。



井上美樹さんは、まるい雨

大迫友紀さんは、線の雨


4つの部屋それぞれの床の比率や天井の高さをふまえ、

二人で分担しつつ見事に呼応しあうしつらえだった。


さぞかし綿密に打合せたのかと思いきや、

「私はマル」「「じゃ、私は線」

たったこれだけだったそうだ。

普段はうつわ作りが中心の二人、

このような空間の演出、インスタレーションは

大きな挑戦であったと思う。

人気作家で、たくさんの作品展をかかえながら

よくここまでの準備を進めてきたものだと思う。


その空間作りの秀逸さ、響きあいの美しさは

写真では到底 伝えることができないのだが、

イメージのかけらを残しておきたい。







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つづいて、大迫さんの「線」の表現



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風でゆらゆら揺れて、

光の粒が絶えず艶めいている。

紐を通した極細のガラスの管も、

大迫さんが丁寧に吹いて作った。

透明ガラスにところどころ加えたブルーが、

外の光の本質をとらえているようで

抽象表現でありながら、

リアルな雨を感じさせてくれた。


雨の下に置かれた一輪挿しに、植物を入れてほしいとのことで、

ちょうどその朝、手に入ったグリーンスケールという穂、

緑の粒がチラチラ揺れるのを

雨の跳ね返しに見立てて生けた。








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そしてもう一つの表現、「音」

二人の作家それぞれの光の音が、

時折、外の雨音と響き合い、楽しかった。


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ガラスの魅力は、透明さゆえ、

周りのものを取り込み、

光とともに絶えず変化することと言えるだろう。

見る時間によって、表情を変えるので

何時間も眺めている人、

何度も訪れる人、

私も、揺れる光を見ていると、

我を忘れて浮遊してしまった。


この写真は、人が絶えたほんのひととき

二人のガラス作家がくつろいでいるショット。


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居合わせた、柴田洋志さんが撮って下さった。



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さて、このイベントのもう一つの顔、「氷」。

二人のガラス作家の器でいただく、おいしい氷菓。

ムシャリラ・ムシャリロさんによる、

シチリア風シャーベット、グラニータを堪能させていただいた。









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「氷」の看板は、

このイベントの6日間のために

グラフィックデザイナーの安本須美江さんが描いて下さった。

両面、違うイラストで、

イベントで展開される物語が表現されている。




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ムシャリロさんは、普段、植物性の素材だけを使った、

オーガニックなお弁当屋、カフェを営んでいる。

3年前はやはり素材にこだわった

かき氷の美味しいシロップを作って下さった。

そして今回は、このためにアメリカ製のマシーンを導入、

地物のおいしいフルーツや、

特別に焙煎を頼んだオーガニック珈琲など、

厳選された、タイムリーな素材を使って

ふわふわで、シャリシャリした極細の氷の粒

細胞にすっと浸透していくような

初体験の極上シャーベットだった。


このグラニータは、なんと石川県の能登島で実った

有機無農薬レモン。


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レモンの木はたった二本、年間200個も採れないので、

一般市場に出回ることはないそうだ。




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そして、完熟の状態で採られたラズベリーも

農家から直接ゆずってもらわない限り

なかなか手にはいらないものだろう。

一番美味しい状態になるまで木になっていたから、

本当に、ビタミンが豊富でおいしくて、

体に染み込む心地よさだった。



カフェ・アグレさんによる、氷菓のための珈琲

は、冷たくても華やかな香り、

いつまでも余韻が残るおいしさだった。



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そのほか、とてもおいしいスイカや

生姜と黒糖のグラニータなど、

日替わりで、作りたての氷菓を頂くことができた。

ムシャさんは、暇さえればいろんな生産者の人を訪ね歩き、

良い素材の、良いタイミングを 

学び活かそうとしている。

その真摯な姿勢が人気の理由だろうと思う。


ムシャリラ・ムシャリロ
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そして最後にもう一つ、

極上の「音」との響宴を記しておきたい。

大好きなギタリスト、太田真佐代さんの、

細やかに紡ぎだされる美しい音。

ガラスと花の中で聴かせていただいたこと。

心のひだに沁みこむような、優しく生命力のある音だった。


太田真佐代





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ガラスの光も、花も、氷も 音楽も、

すべて儚い夢のごとし。

でも、なにかを感じとり、

体験した人それぞれの心に体に

余韻として何か響いているものがあったなら

みんなで悩みぬいたかいがあったと思う。


精魂つきたので、次の三年後、という声は

今のところまだ誰からも上がっていない。

でもいつかまた、4人の情熱が同じベクトルで立ち上がったら、

新しい何かが生まれるのかもしれない。

しばらくはコツコツと、目の前に咲く花のことを。

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