![Img_2603 Img_2603](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/a6/1271a19bf9e3ed21f2dd5a6539726879.jpg)
かなり遅くなってしまったが、
ガラスと氷の催しを記録しておきたい。
三年に一度、と決めて臨んだ 二回目のコラボ作品展だった。
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ガラス/ 井上美樹、大迫友紀
氷 菓/ ムシャリラ・ムシャリロ
花/ 角島 泉
ギター演奏(特別参加)
/ 太田真佐代
まず、何よりも素晴らしかったのは、
ガラス作家、井上美樹と大迫友紀による
空間いっぱい使ったインスタレーションだった。
![Photo Photo](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/f1/94b01b322ce970897c4f5602a072460f.jpg)
狹い暗い階段を上がって、明るく開けた三階の空間に、
たくさんの光の粒が浮かび、風に揺れている。
梅雨の最中のこと、外の雨と呼応して
部屋中に雨粒が降りてきたようだった。
井上美樹さんは、まるい雨
大迫友紀さんは、線の雨
4つの部屋それぞれの床の比率や天井の高さをふまえ、
二人で分担しつつ見事に呼応しあうしつらえだった。
さぞかし綿密に打合せたのかと思いきや、
「私はマル」「「じゃ、私は線」
たったこれだけだったそうだ。
普段はうつわ作りが中心の二人、
このような空間の演出、インスタレーションは
大きな挑戦であったと思う。
人気作家で、たくさんの作品展をかかえながら
よくここまでの準備を進めてきたものだと思う。
その空間作りの秀逸さ、響きあいの美しさは
写真では到底 伝えることができないのだが、
イメージのかけらを残しておきたい。
![Img_2478 Img_2478](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/38/c68a84dc032e7b15e71cdecb884684bd.jpg)
![Img_2474_2 Img_2474_2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/f6/be3b440a19a1e097a972498d2face0e0.jpg)
![Img_2413_2 Img_2413_2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/d2/c86dcd9956eafdfc9fb34652bd637e5b.jpg)
![Img_2399 Img_2399](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/44/bc4dac35fbdad9dbb9eabdda334edbe1.jpg)
![Img_2520 Img_2520](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/b6/d53c53f37c43f48a50e86f11adb434b7.jpg)
![Img_2394 Img_2394](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/0a/b2525fd39c57c6dfca96870b05feb755.jpg)
![Img_2612 Img_2612](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/d8/33ed5a8d433ea46def442d9c283ce274.jpg)
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つづいて、大迫さんの「線」の表現
![Img_2393 Img_2393](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/89/14e974026beb01750f86bf46595c0831.jpg)
![Img_2507 Img_2507](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/d2/bda359993089fb6357ab449aa249fb4b.jpg)
![Img_2425 Img_2425](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/98/a9e23b3b541b4f2ac09bafcf91551ba1.jpg)
風でゆらゆら揺れて、
光の粒が絶えず艶めいている。
紐を通した極細のガラスの管も、
大迫さんが丁寧に吹いて作った。
透明ガラスにところどころ加えたブルーが、
外の光の本質をとらえているようで
抽象表現でありながら、
リアルな雨を感じさせてくれた。
雨の下に置かれた一輪挿しに、植物を入れてほしいとのことで、
ちょうどその朝、手に入ったグリーンスケールという穂、
緑の粒がチラチラ揺れるのを
雨の跳ね返しに見立てて生けた。
![Img_2494 Img_2494](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/ed/8ab9ffc5aeaf98d3f0cbe332d02dbc7d.jpg)
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そしてもう一つの表現、「音」
二人の作家それぞれの光の音が、
時折、外の雨音と響き合い、楽しかった。
![Img_2459 Img_2459](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/18/f7c026e42a2d7868f27e07cad7ae2da1.jpg)
ガラスの魅力は、透明さゆえ、
周りのものを取り込み、
光とともに絶えず変化することと言えるだろう。
見る時間によって、表情を変えるので
何時間も眺めている人、
何度も訪れる人、
私も、揺れる光を見ていると、
我を忘れて浮遊してしまった。
この写真は、人が絶えたほんのひととき
二人のガラス作家がくつろいでいるショット。
![Photo_2 Photo_2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/04/86/7724a9f7a68b3c80dc04421731744eea.jpg)
居合わせた、柴田洋志さんが撮って下さった。
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さて、このイベントのもう一つの顔、「氷」。
二人のガラス作家の器でいただく、おいしい氷菓。
ムシャリラ・ムシャリロさんによる、
シチリア風シャーベット、グラニータを堪能させていただいた。
![Img_2554 Img_2554](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/94/50a88ac1ec88f2e5b851a646679dec10.jpg)
「氷」の看板は、
このイベントの6日間のために
グラフィックデザイナーの安本須美江さんが描いて下さった。
両面、違うイラストで、
イベントで展開される物語が表現されている。
![Img_2633 Img_2633](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/be/aa6e765f38732d6892a6376734c25027.jpg)
ムシャリロさんは、普段、植物性の素材だけを使った、
オーガニックなお弁当屋、カフェを営んでいる。
3年前はやはり素材にこだわった
かき氷の美味しいシロップを作って下さった。
そして今回は、このためにアメリカ製のマシーンを導入、
地物のおいしいフルーツや、
特別に焙煎を頼んだオーガニック珈琲など、
厳選された、タイムリーな素材を使って
ふわふわで、シャリシャリした極細の氷の粒
細胞にすっと浸透していくような
初体験の極上シャーベットだった。
このグラニータは、なんと石川県の能登島で実った
有機無農薬レモン。
![Img_2544_2 Img_2544_2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/21/31cf301b1d6c6fe49d910cb3a4fc6d88.jpg)
レモンの木はたった二本、年間200個も採れないので、
一般市場に出回ることはないそうだ。
![Img_2438 Img_2438](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/a7/1843c580b50d62d8a0774a046963ae1c.jpg)
そして、完熟の状態で採られたラズベリーも
農家から直接ゆずってもらわない限り
なかなか手にはいらないものだろう。
一番美味しい状態になるまで木になっていたから、
本当に、ビタミンが豊富でおいしくて、
体に染み込む心地よさだった。
カフェ・アグレさんによる、氷菓のための珈琲
は、冷たくても華やかな香り、
いつまでも余韻が残るおいしさだった。
![Img_2560 Img_2560](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/40/f6/90ddbab5e9f14d52657fb11c8d6be0f4.jpg)
そのほか、とてもおいしいスイカや
生姜と黒糖のグラニータなど、
日替わりで、作りたての氷菓を頂くことができた。
ムシャさんは、暇さえればいろんな生産者の人を訪ね歩き、
良い素材の、良いタイミングを
学び活かそうとしている。
その真摯な姿勢が人気の理由だろうと思う。
ムシャリラ・ムシャリロ
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そして最後にもう一つ、
極上の「音」との響宴を記しておきたい。
大好きなギタリスト、太田真佐代さんの、
細やかに紡ぎだされる美しい音。
ガラスと花の中で聴かせていただいたこと。
心のひだに沁みこむような、優しく生命力のある音だった。
太田真佐代
![Img_2565 Img_2565](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/24/3e85b884fac5817cfcaa6ba0665f847e.jpg)
ガラスの光も、花も、氷も 音楽も、
すべて儚い夢のごとし。
でも、なにかを感じとり、
体験した人それぞれの心に体に
余韻として何か響いているものがあったなら
みんなで悩みぬいたかいがあったと思う。
精魂つきたので、次の三年後、という声は
今のところまだ誰からも上がっていない。
でもいつかまた、4人の情熱が同じベクトルで立ち上がったら、
新しい何かが生まれるのかもしれない。
しばらくはコツコツと、目の前に咲く花のことを。
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