一風斎の趣味的生活/もっと活字を!

新刊、旧刊とりまぜて
読んだ本の書評をお送りいたします。
活字中毒者のアナタのためのブログです。

ハイドンとハ長調

2007-05-30 00:24:40 | CD Review
Franz Joseph
HAYDN
THE COMPLETE
PIANO SONATAS VOL. 1
ROLAND BATIK
(camerata 25CM-471)

このようなハイドンの初期のピアノ・ソナタを聴いていますと、妙なことに気が付きます。
というのは、ハ長調の作品が多いのね。

このCDでは、全9曲の内4曲がそうなんです。次いで多いのがニ長調とト長調で各2曲となっています(ほぼ作曲年代順の構成)。
そこで、ハイドンのピアノ・ソナタ全体ではどうなのか。
自分で調べる時間がないので、ここは引用で("Hiromi's Blog" 5月23日より)。
ハイドンの書いたソナタの調性の多い順…全62曲中、失われた曲を含まない、52曲での調査結果
   ○は長調、●は短調
○ニ長調  9曲
○ハ長調  8曲
○ト長調  7曲
○変ホ長調 7曲
○イ長調  4曲
○変ロ長調 3曲
○ヘ長調  3曲
○ホ長調  3曲
○変イ長調 2曲
●ホ短調  2曲
●嬰ハ短調 1曲
●ハ短調  1曲
●ロ短調  1曲
●ト短調  1曲

まあ、短調が少ないのは、分っていたようなものですが、ここまで数値で示されると、ちょっとした驚きです。

これを時代順に分けてみると、おそらくはハ長調からニ長調へ、という結果が出そうなのですが、どなたかお調べになった方、いらっしゃいませんでしょうか。

前に一度書いたことがあるのですが、
「モーツァルトの、光と影の微妙に交錯する音楽と違って、秋の日差しに照らされた光景が、どこまでもくっきりと見えるように、ハイドンの音楽は明瞭です。
夏の厳しい光が、くっきりとした影をつくるのに対して、秋の光のようなハイドンの音楽は、陰影が施されていても、黒ではなく、セピアか淡いヴァイオレットが使われています。
一刷毛、二刷毛の一見単純な筆遣いが、濃厚に描かれた絵画よりも、ものの特徴を表すことがあるように、ハイドンは人生の喜怒哀楽をさりげなくつづっています。」
との感想が、調性からも明らかになるような気がします。

*ちなみに調性に関する資料によりますと、
ハ長調は、「調号がないために最も演奏しやすく、明快、単純、軽快、祝祭的。しかし逆に言えば半音階を含まないため深刻な表現には不向きであり、やや表面的な印象があ」り、
ニ長調は、「ニ長調はトランペットが華やかな祝祭調(トランペット調)であり、輝かしく高貴な印象」を与えるとのこと。