維新から明治時代にかけて、さまざまな人間が登場し歴史の上に足跡を残してきました。
その中で、名は知られてるのにも係らず、人気のない人物がいます。
ここで話題にする山県有朋なんかも、その代表例ではないでしょうか。ほぼ同じ時代に生き、同じ長州の下級武士の出身である伊藤博文と比較すると、それはより明らかになります。
それでは、なぜ人気がないのか、といえば、伊藤のような明るさに欠けているということや、基本的に軍人であること、政治上反動的であることなどが挙げられるでしょうが、それ以上に、権力欲が露に出ていることもあるんじゃないかしら。
ちなみに、山県の最後の官位、栄典、公職は、次のようなものです。
正二位、大勲位、功一級、公爵、元帥、陸軍大将、枢密院議長、軍事参議官、議定官、臨時帝室編修局顧問、貴族院議院……。
小生、このような権力欲がどこから生まれるのか、今一つ分らないのね。
そこで生活歴を見てみると、研究者によって挙げられているものに、上士に対する下級武士(山県の家は、仲間(ちゅうげん)という卒)のルサンティマンがあります。
けれども、それだけでは説明になったような、ならないようなハッキリしないものです。というのは、ルサンティマンを抱いていて、上昇志向がない人も少なからずいたからです(坂本龍馬なんかは、上昇志向があったのかしら)。
また、そのルサンティマンが、体制への反逆という形で出る人もいました。
もう一つ考えられるのが、山県の師ということになっている吉田松陰やその門人たちが、山県にもっていた評価への反発というものがあります。
まあ、以上のようなものが定説のようになっているようですが、生育歴上の心理以外にも、何かありそうな気配がありますが、まだ確実には掴めていません(晩年は「老害」気味のある執念だが、それだけでは壮年期の権力欲の説明ができない)。
というのも、小生の周囲に権力欲の強い人物がいないからなのでしょうか(いれば観察ができ、類推もできるのでしょうが)。
半藤一利
『山県有朋』
PHP文庫
定価:610 円 (税込)
ISBN978-4569569215
*その他、入手しやすいものとしては、以下がある。
岡義武『山県有朋―明治日本の象徴 』(岩波書店)
藤村道生『山県有朋』(吉川弘文館)
川田稔『原敬と山県有朋―国家構想をめぐる外交と内政』(中央公論社)
松本清張『象徴の設計』(文藝春秋)
その中で、名は知られてるのにも係らず、人気のない人物がいます。
ここで話題にする山県有朋なんかも、その代表例ではないでしょうか。ほぼ同じ時代に生き、同じ長州の下級武士の出身である伊藤博文と比較すると、それはより明らかになります。
それでは、なぜ人気がないのか、といえば、伊藤のような明るさに欠けているということや、基本的に軍人であること、政治上反動的であることなどが挙げられるでしょうが、それ以上に、権力欲が露に出ていることもあるんじゃないかしら。
ちなみに、山県の最後の官位、栄典、公職は、次のようなものです。
正二位、大勲位、功一級、公爵、元帥、陸軍大将、枢密院議長、軍事参議官、議定官、臨時帝室編修局顧問、貴族院議院……。
小生、このような権力欲がどこから生まれるのか、今一つ分らないのね。
そこで生活歴を見てみると、研究者によって挙げられているものに、上士に対する下級武士(山県の家は、仲間(ちゅうげん)という卒)のルサンティマンがあります。
「山県辰之助は十一歳のとき、阿武川の堤で士分の若侍と争い、かれを川のなかに投げこんだ。その訴えを聞いた士分の父が怒り、平身低頭する山県の父をおどしつけると、辰之助の身柄を拉致して堤に戻り、その子にさんざん辰之助を打たせた上で『下士のくせになんたる増長、思い知ったか』と川に投げこんだ。危く溺れそうになるところを祖母に救いあげられた辰之助は、いつまでも号泣していった。
『武士になりたい。武士にさえなれば……』」(半藤一利『山県有朋』)
けれども、それだけでは説明になったような、ならないようなハッキリしないものです。というのは、ルサンティマンを抱いていて、上昇志向がない人も少なからずいたからです(坂本龍馬なんかは、上昇志向があったのかしら)。
また、そのルサンティマンが、体制への反逆という形で出る人もいました。
もう一つ考えられるのが、山県の師ということになっている吉田松陰やその門人たちが、山県にもっていた評価への反発というものがあります。
「松下村塾時代、山県狂介(有朋)の前で、稔麿が塾生たちを題材に戯れ絵を描いたエピソードがある。鼻輪を通さない放れ牛が高杉晋作(なかなか乗りこなせない男)、坊主頭で裃を着ているのが久坂玄瑞(廟堂に坐らせて堂々たる政治家)、木刀が入江九一(素質はあるが、まだ本物ではない)、そして山県狂介は棒切れ(?)だったというもの。塾生たちの性格がよく解ると同時に、稔麿の鋭い観察眼が窺える。」(半藤、同上)
まあ、以上のようなものが定説のようになっているようですが、生育歴上の心理以外にも、何かありそうな気配がありますが、まだ確実には掴めていません(晩年は「老害」気味のある執念だが、それだけでは壮年期の権力欲の説明ができない)。
というのも、小生の周囲に権力欲の強い人物がいないからなのでしょうか(いれば観察ができ、類推もできるのでしょうが)。
半藤一利
『山県有朋』
PHP文庫
定価:610 円 (税込)
ISBN978-4569569215
*その他、入手しやすいものとしては、以下がある。
岡義武『山県有朋―明治日本の象徴 』(岩波書店)
藤村道生『山県有朋』(吉川弘文館)
川田稔『原敬と山県有朋―国家構想をめぐる外交と内政』(中央公論社)
松本清張『象徴の設計』(文藝春秋)