●ビール麦
疫痢から救われた私は、父や母からいよいよ体の弱い子として見られ、ある意味まったく甘やかされて育っていったのです。
それでもだんだん大きくなるにしたがって、子供らしく元気に遊ぶようになっていきました。
父と母の頑張りで畑での作物の収穫もまともになっていきました。
まだ、私が小学校にあがる前のことです。
家のすぐ近くの畑でビール麦が作られていました。
ビール麦といえば、穂先が二列平べったく並んだ、穂先の長い麦でした。
小さい私には自分の背よりも高いビール麦のなんと大きなものだったでしょうか。
そのビール麦の刈り入れの時のことです。
当時小学校も中学校も農繁期休みというのがあって、農産物の刈り入れの時期には子供たちも労働力の一人として、学校を休んで家の手伝いをするのが普通でした。
すぐ上には兄が二人いて、一番上には姉のいる家族でしたから、子供といえども家族総出で刈り入れをするのはごく自然なことです。
ひ弱で小さな私でも、家族の一員ですから、ビール麦の借入を手伝うことは当然だと自分は思っていたのです。
と、書くとかっこよいのですが、子供時代の兄弟間にありがちなことですが、あんちゃんと同じようにあてにされたかったのでしょう。
刈り取ったビール麦を一ヶ所に運んで積み上げる作業を手伝っていたのです。
自分の背よりも長いビール麦の束を抱えて運ぶ働きが自分にも出来るんだ。という所を見せたかったのです。
そんな私を、父も母も邪魔だからといって畑から追い出そうとして叱るのですが、作業が忙しいので、しつこくは出来ません。
そのうち、自分の背丈を越えるようなビール麦の束を抱えて運ぶ私を叱ることもしなくなりました。
あのビール麦というのは、穂先にある棘棘のあるなんていうんでしょうか、モミの先っぽなんですが、アレはモミに対して逆目のぎざぎざが付いているんです。
そいつが顔に付くと痒くなったりするんですが、あのぎざぎざの付いた穂先が私の口に入りました。
子供ですから、力を込めて持ち上げるとき、口が開いていたのでしょう。
棘棘が口に入ってくるので、ペッペと吐き出すのですが、逆目ですから口を動かせば動かすほどかえって口のなかに入り込んできます。
それを手で取ろうとした私は、それをつかむために手を口の中に入れたのです。
そうしたら、さらに奥に穂先の棘棘が入り込んで、なんと喉の奥のほう舌根の近くに刺さってしまいました。
それを取ろうとするものですから、げほげほしてしまい泣き出してしまったのです。
父も母もその異変に気づき、喉を見てくれたのですが、かなり奥のほうに刺さっており、大人の手では届きません。
兄の手でどうかとやってみたのですが、やはり届きません。
それで、今度は家に私を連れて帰り、スプーンを二つ重ねてピンセットのようにして取ろうとしましたが失敗に終わりました。
私は、とにかく喉の奥に異物が刺さっているわけですから、痛いのと、吐き気に見舞われてげほげほしっぱなしです。
結局、腸カタルで救われ、疫痢でも救われた診療所へと連れて行く羽目になったのです。
この時は、貧乏な我が家にも自転車という近代的な乗り物がありましたので、自転車で行きました。
診療所に付くと、先生に大きく口を開けるようにいわれピンセットで簡単に取れました。
そして、黄色のチンキみたいなものを塗られておしまいです。
家族の一員として、ビール麦の刈り取りの手伝いにチャレンジした私は、結局役立たずの家族としての結果に終わってしまったのです。
◆今日の祈り
全能なる御父天の神様、あなたの豊かな恵みと祝福に心から感謝申し上げます。
主の御前にあって愚かで弱く罪深い私ですが、どうかお許しくださいますように。
願わくは主よ、しもべは小さなときひ弱で、貧弱でした、そのような私ですが、しもべの働きを志すものとして、今日を迎えるほどに成長しました。
それらのすべては、主の恵みの賜物であり、両親と兄弟の働きによるものです。
どうか主よ、わが兄弟姉妹を祝福してください。
父母を祝福してください。
ご再臨のおりには、彼らをも救いへとお導きくださいますように、この祈りと願いとを尊き御子、主イエス・キリストの御名前を通して感謝してお祈り申し上げます。
アーメン
疫痢から救われた私は、父や母からいよいよ体の弱い子として見られ、ある意味まったく甘やかされて育っていったのです。
それでもだんだん大きくなるにしたがって、子供らしく元気に遊ぶようになっていきました。
父と母の頑張りで畑での作物の収穫もまともになっていきました。
まだ、私が小学校にあがる前のことです。
家のすぐ近くの畑でビール麦が作られていました。
ビール麦といえば、穂先が二列平べったく並んだ、穂先の長い麦でした。
小さい私には自分の背よりも高いビール麦のなんと大きなものだったでしょうか。
そのビール麦の刈り入れの時のことです。
当時小学校も中学校も農繁期休みというのがあって、農産物の刈り入れの時期には子供たちも労働力の一人として、学校を休んで家の手伝いをするのが普通でした。
すぐ上には兄が二人いて、一番上には姉のいる家族でしたから、子供といえども家族総出で刈り入れをするのはごく自然なことです。
ひ弱で小さな私でも、家族の一員ですから、ビール麦の借入を手伝うことは当然だと自分は思っていたのです。
と、書くとかっこよいのですが、子供時代の兄弟間にありがちなことですが、あんちゃんと同じようにあてにされたかったのでしょう。
刈り取ったビール麦を一ヶ所に運んで積み上げる作業を手伝っていたのです。
自分の背よりも長いビール麦の束を抱えて運ぶ働きが自分にも出来るんだ。という所を見せたかったのです。
そんな私を、父も母も邪魔だからといって畑から追い出そうとして叱るのですが、作業が忙しいので、しつこくは出来ません。
そのうち、自分の背丈を越えるようなビール麦の束を抱えて運ぶ私を叱ることもしなくなりました。
あのビール麦というのは、穂先にある棘棘のあるなんていうんでしょうか、モミの先っぽなんですが、アレはモミに対して逆目のぎざぎざが付いているんです。
そいつが顔に付くと痒くなったりするんですが、あのぎざぎざの付いた穂先が私の口に入りました。
子供ですから、力を込めて持ち上げるとき、口が開いていたのでしょう。
棘棘が口に入ってくるので、ペッペと吐き出すのですが、逆目ですから口を動かせば動かすほどかえって口のなかに入り込んできます。
それを手で取ろうとした私は、それをつかむために手を口の中に入れたのです。
そうしたら、さらに奥に穂先の棘棘が入り込んで、なんと喉の奥のほう舌根の近くに刺さってしまいました。
それを取ろうとするものですから、げほげほしてしまい泣き出してしまったのです。
父も母もその異変に気づき、喉を見てくれたのですが、かなり奥のほうに刺さっており、大人の手では届きません。
兄の手でどうかとやってみたのですが、やはり届きません。
それで、今度は家に私を連れて帰り、スプーンを二つ重ねてピンセットのようにして取ろうとしましたが失敗に終わりました。
私は、とにかく喉の奥に異物が刺さっているわけですから、痛いのと、吐き気に見舞われてげほげほしっぱなしです。
結局、腸カタルで救われ、疫痢でも救われた診療所へと連れて行く羽目になったのです。
この時は、貧乏な我が家にも自転車という近代的な乗り物がありましたので、自転車で行きました。
診療所に付くと、先生に大きく口を開けるようにいわれピンセットで簡単に取れました。
そして、黄色のチンキみたいなものを塗られておしまいです。
家族の一員として、ビール麦の刈り取りの手伝いにチャレンジした私は、結局役立たずの家族としての結果に終わってしまったのです。
◆今日の祈り
全能なる御父天の神様、あなたの豊かな恵みと祝福に心から感謝申し上げます。
主の御前にあって愚かで弱く罪深い私ですが、どうかお許しくださいますように。
願わくは主よ、しもべは小さなときひ弱で、貧弱でした、そのような私ですが、しもべの働きを志すものとして、今日を迎えるほどに成長しました。
それらのすべては、主の恵みの賜物であり、両親と兄弟の働きによるものです。
どうか主よ、わが兄弟姉妹を祝福してください。
父母を祝福してください。
ご再臨のおりには、彼らをも救いへとお導きくださいますように、この祈りと願いとを尊き御子、主イエス・キリストの御名前を通して感謝してお祈り申し上げます。
アーメン