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オンワード樫山と資生堂のメガブランド戦略

2006年10月28日 | アパレル放談

オンワード樫山の繊研レディースバイヤーズ賞の授賞は、同社のメガブランド戦略によるところが多いと思います。
最近、メガブランド戦略で成功し業績を大ききく改善した化粧品の資生堂が話題になっています。

資生堂は、売り上げ減少を防ぐための手段として採った多ブランド戦略や委託販売戦略が業績の低迷につながったと、アナリストは分析しています。

先週のテレビ番組のサンデープロジェクトで、資生堂のメガブランド戦略のことが報道されていました。
化粧品業界の販売形態は、従前のアパレル業界と似通ったところがあります。

番組では、数年前のアパレル業界と似通った事例が紹介されていました。
資生堂もアパレル業界と同様に、委託的な販売形態で、「押し込み販売」による売り上げ拡大の手法に頼っていたそうです。
売上低迷を防ぐために次々と新ブランドを発表し100ブランドを超えていたそうです。

花椿会で知られている強固な販売網は、委託性を生み、キャシュフローの伴わない押し込み販売の売り上げ至上主義が資生堂の業績を圧迫していたのです。

「押し込み販売」とか「店頭起点」など、アパレル業界だけと思っていた業界用語が資生堂のトップが頻繁に使っておられるのを聞いて、資生堂の実態を垣間見た感じでした。

創業家で無く、始めての社長となった池田前社長が最初に着手した政策が委託販売の撤廃でした。
店頭を無視した押し込み販売の結果、協力店の店頭在庫が400億円に膨れ上がっていたとの事です。
その全量を200億円強の損失を伴って返品処理を行う大手術を行い、前田現社長にバトンタッチを行わったと報道していました。

前田新社長は100以上になっていた多ブランド戦を絞込み、MaquillageやTsubaki、Unoのメガブランドに集中する戦略です。
最近の広告宣伝を見ているとメガブランドへの集中化がうかがえます。

もう一つ注目すべきことは、資生堂の美容部員へのノルマ撤廃の政策です。
資生堂にとって美容部員を通じた強力な販売手法は創業来の伝統であり、店頭販売の原点でした。
その美容部員による店頭販売は、厳しいノルマにより成り立っていたといっても過言ではありません。

「真の顧客満足」と「店頭起点」を徹底するために、「店頭販売のノルマ撤廃」の断行です。
当然それに代わるモチベーションアップ策は採られていますが、売上ダウンのリスクを伴う大改革です。

最初に資生堂の番組を見た時は、社長の口から「店頭起点」「押し込み販売」と古い用語が出て、それを聞いて、「アパレル業界に比べ資生堂の旧態依然の体制」に奇異な感覚を持ちましたが、番組後半の「美容部員のノルマ撤廃の大政策」には、ノルマ主義が前提になっているアパレル業界のFAの実態を比べ、アパレル業界の後進性に少なからず衝撃を受けました。

心配された売上の減少も数%にとどまったとの事です。




 



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