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ファストファッション?

2009年11月26日 | アパレル放談
「暴力的な価格がはんらんする今、圧倒的なプライスパフォーマンスをもっと追及しなければならない」
サンエーインターナショナルが年商150億円、第二の柱に育成中の“ファストファッション・フリーズマート」に対する執行役員のコメントが今日の繊研新聞に掲載されていた。
仕入先との太いパイプ作りやSCMの再構築はもちろん、「販売・管理費の見直しに着手した」、模索しているのは「原価率の上昇を前提にした高効率なビジネスモデル。きれいに売り切る仕組みつくりを急いでいる。同時に納品作業や店舗間移動を見直し、物流などオペレーションの効率化を進めている。「要するに、もっと小売りっぽくならならなきゃいけないということ。有力店のノウハウを研究し、経費を最大限に圧縮する考えだ。
全て、ごもっともなお話しだ。
読まれた繊研新聞の購読者は殆どが理解された内容と思う。

サンエーの執行役員が、この「フリーズマートブランド」を「ファストファッション」と誤認していることに、私は、「大きな矛盾」を感じた。

私は、「ファストファッション」はグローバル競争の段階に入っていると考えている。
「ファストファッション」は、規模の戦いに入っていると考えられる。
この規模に勝利するのは哲学・倫理が重要で、トップの哲学・倫理が最重要と考える。
成功しているファストファッションの共通点は、トップの哲学・倫理が全社に享有されていることだ。
それを無くした時に瓦解が始まる。

世界のSPA、ファストファッションと言われている企業で、日本ほど多ブランド展開を行っている例はない。
ちなみに、サンエーのトップに自社のブランドを聞いても、全部スラスラといえないのではないかと意地悪な想像をしてみた。(他の大手も同じと思うが)
SPA、ファストファッションは全社統合の事業だ。
執行役員は「ファストファッションは、現状の苦境を脱するための手段」との考え方かも知れない。
執行役員の真意は別のところにあって、取材した繊研新聞の記者が執行役員の「哲学」の部分を充分に伝えていないのではないかと穿った見方をしたくなるほどだ。

前々から、このブログにも「アパレル業界の矛盾」、「SPAの矛盾」として、何度も指摘してきた。
アパレル系のSPAも同様の矛盾を指摘してきた。
時間があれば是非読み返していただきたい。

どうしても看過することが出来ないことがある。
冒頭の執行役員のコメントだ。
「暴力的な価格がはんらん」との現状認識だ。
一部に暴力的価格と思えないものがあるので全面的に否定するわけではないが、
「成功しているファストファッションやSPA」には当てはまらないと考えている
私はSPAやファストファッションが順調か否かを判断する基準として、「仕入先の評判」を重要視することにしている。
ユニクロ、ポイント、しまむらなどの成功している企業の仕入先からの評判は、概して、すこぶる良い。
価格も安く、厳しい対応を仕入先に要求していると想像され、仕入先からの悪評は聞くことは少ない。
中国やアジアの取引先からの評価も高い。
もちろん厳しい要求に対して、大変な努力をしていると想像するが、
寧ろ誇りを持っているように感じられることが多い。

ユニクロの最近のプロモーションには、少し懸念を感じるが、
トップの哲学・倫理を基調に順調に運営されていれば、「顧客にも仕入先、株主などのステークホルダー」にCSRの問題は無いと考える。
そういう意味で「暴力的な価格はんらん」と限定することには反対意見を持っている。

あえて、非難を覚悟で断定するならば、「暴力的価格」との非難は、既存の業界側にあるのでは無いのではと考えている。
全ての企業とは言わないが、「繊維・アパレル・流通・小売の業界の矛盾」を「暴力的な取引で仕入先(これも顧客)に転嫁」し、「暴力的な高い価格を顧客に転嫁」してきたことにあると考えている。
私も「考えているというより反省」しているというべきなのだろう
その反省が、このBlogを続けられる原動力になっているのかも知れない。


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