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次期繊維ビジョン チーム・繊維 Ⅱ

2007年01月31日 | アパレル放談

6月に発表される次期繊維ビジョン注目と期待(懸念?)をしています。
4年前の繊維ビジョンは、[繊維の流通の構造と非生産性が、過剰在庫と在庫ロスを生み、原価の4倍という他国に見られない構造になっている」こと
を指摘し、その構造改革の一環として、「川中製造業者の自立支援事業」が始まりました。
その事業は今年で最終年となります。
総額150億という多額の支援事業です。
業界紙に個々の支援事業の事例検証の記事が掲載されていますが、全て成功とはなっていない状況で勝敗の星取表は「負越し」の感じがします。

但し、この事業が契機となり、永年タブー視されて来た下請業者の流通市場への参入障壁が無くなったことは、大きな成果といえます。

例えば、従来流通の枠外にあった染色加工業が、テキスタイルの新しいコンバーター的機能を発揮しつつあり、テキスタイル流通の中心になったことが特筆される程度で、本来目指した新しいビジネスモデル(流通)が確立したとは言えません。
多くの染色加工業社は、自動車産業などの他産業や海外との取引で培ったノウハウや取引基準をテキスタイルの流通に取り入れて流通を整備し成功しました。

反面、川上から川中の流通に比して、川中から川下の製品の流通は、未だ混乱の時期と見えます。

先の繊維ビジョンが、川上・川中の視点でのビジョンであったために、繊維流通の一番の問題点である「川中から川下流通の取引基準や慣行」に対して、充分な指針が示されていなかった事に大きな問題があったと思われます。

現行の繊維ビジョンが出てからも、多くのSPAやセレクトショップ、TVショップ、WEBショップなど新しい川下の業態が誕生し、拡大しました。
その取引の形態や条件は、
いずれも旧態の取引形態や慣行をベースにしたもので、新しい革新的な取引のモデルではないのが現状です。
敢えて言うなら「中抜き的取引」が多く誕生したに過ぎません。

その結果、商社のOEM事業や下請製造業者、零細なOEMメーカーにシワ寄せが来て、「上代4倍どころか5倍以上(原価20%以下)」という、以前にも増して異常な事態が見受けられます。
結果的に、顧客への転嫁につながっています。

繊維ビジョンの所管が、経済産業省繊維製造局(繊維課)であり、
経済産業省の他局との障壁の問題もあると推察できます。
次期の繊維ビジョンが、この改善(改革とは敢えて言わないが・・)に踏み込んだ提言・指針が出される事を期待します。

其の意味で「チーム・繊維」と言うキャッチフレーズが気にかかります。
川下の視点い立った「チーム・顧客」?が必要と思います。


次期繊維ビジョン  チーム・繊維

2007年01月29日 | アパレル放談

次期の繊維ビジョンが6月を目途に策定と経済産業省の内山俊一製造産業局次長の談話が週末の業界紙に掲載されていました。
現在の繊維ビジョン(白書)は平成15年に発表された記憶があります。
バブル崩壊、中国、欧米からの輸入攻勢、金融界の貸し渋り、商社の営業方針の激変、百貨店、スーパーの企業倒産、アパレルの倒産、下請工場の廃業など未曾有の厳しい状況下での策定と推察します。

私が、訳あってアパレル企業を退職し、私自身のビジョン作りをしなければいけないの次期であったこともあり、興味がありました。
当時のインパナトーレの起業に白書の内容が、大きく
影響したと思っています。

審議会の委員の構成から考えると、川上から川中、川下の業界団体の長の英知を集めた提言ということになり、それなりに時代の分析と指針をまとめ上げています。

私は内容に対するコメントをする立場にはありませんが、審議会委員が川上、川中代表に集中しており、指針の前提となる現状分析が、川上・川中の立場で行われており、川下(顧客視点)の市場(消費)分析が浅いように感じます。
川下(顧客視点)の代表が多く構成されていたら、もう少し効果的で実効性のある指針が出せたのではないかと思います。(川中自立支援事業・人材育成事業・海外事業・SCM・IT化事業などの事業内容)

次回の白書は、紡績、機屋、流通の個別業種の分断化から脱却し、「チーム・繊維」として世界と戦えるチームにする構想を業界紙で経産省の内山次長は示唆しています。
次期の白書が川上⇒川中⇒川下発想のチームつくりでなく、川下⇒川中⇒川上の視点に立ったものになることを期待します。
その意味で審議会委員の構成が興味深いものです。

平成15年の繊維白書をインターネットでご覧になれます。
日本の繊維産業が進むべき方向と採るべき政策


NHK番組の夢の美術館「世界の至宝百選」を観て

2007年01月28日 | アパレル放談
日曜日のNHKハイビジョンの「夢の美術館」の特別番組で世界の至宝や工芸品を紹介する番組がありました。
一部とニ部の構成で7時から10時までの長時間番組でした。裏番組でキムタクの「華麗なる一族」がありご覧になった方は少ないのではないかと思います。
キムタクの番組を裏番組と書いてしまいファンの方にはお叱りを受けるかもしれません。
「夢の美術館」のほうが裏番組といったほうが適切かもしれません。
有名無名を問わず世界の工芸品の100点を選びその作品の作品を通して時代背景や当時の生活を偲ぶ番組でした。
昨今のクイック、ローコスト、アウトソーシングのアパレルの物つくりに少し疑問を感じている私の特別な感情かもしれませんが、時間をかけた匠の渾身の物造りに触れて、時代を経た美術品に深い感銘を受けました。
世界の至宝とは比べるべくも無いが、アパレルにも時によっては、「匠の渾身のものつくり」も必要と感じました。

インターンシップ

2007年01月26日 | 今様隠居道

最近Blogの投稿が少ないと知人から心配のメールがありました。

2月に10日間ほど専門学校の今春の卒業生対象の就職前の研修講座の講師の依頼があり、その講座の準備のために何かと多忙です。
講義時間が10日間で延べ60時間の長時間の講座です。
アパレル関係の企業に就職を控えた学生に実践的なトレーニングを目的とした集中講座です。
時間的にハードですが、業界の新戦力となる学生達の役立てればと考え引き受けました。


講師をすることによって、以前から興味を持っていたインターンシップの一つスタイルが作れればと思っています。
講座のカリキュラムの作成も一任され、その意味では遣り甲斐があり、責任も感じています。

講座を通して私自身も勉強をしてみたいと思っています。
紡績、テキスタイル、アパレル、小売やその生産、流通の企業にも協力をお願いしながら、実際の流れに添った講義を考えています。
テキスタイル、アパレル、リテール業界の生産と流通を再検証してみようと思っています。
長く続いた川上⇒川中⇒川下の生産と流通の流れが変化し、混乱したままの状態で、時代に即応した新しい構築が出来ていないのが現状です。
その再検証を通して、大きな変化と混乱したアパレル業界の生産、流通の今後が見えて来ると考えています。

講義を通して若い学生さん達から新しい情報やエネルギーを貰えることも楽しみです。


新年会・技術伝承会?

2007年01月18日 | アパレル放談

新年会を兼ねて先輩諸氏と食事会をしました。
年に数回お会いして旧交を温める会です。
品質管理のベテラン、一級技能士の縫製工場主、メリヤス関係の社長、元アパレル幹部の方など、
いずれの方も古希、喜寿、傘寿を超えらた方々です。
還暦を越えた私が一番の若輩者です。

お互いの年齢のこともあり、その会は夕刻5時の比較的早い時刻から始まりました。

自然と、お互いの若かった頃の思い出話し(自慢話し)が始まります。

私がMDだった時に大ヒットしたスラックス(当時はパンタロンといっていましたが・・・)の話し(自慢)になりました。

今のブーツカットのローライズパンツのような商品でした。
ローライズ(当時はヒップボーンといていましたが・・・)ウエストとフィットしたヒップが生命線でした。
現在のようなストレッチ素材も無く、パターンと縫製が勝負でした。
パタンナーと縫製工場の方と協力して、メンズのテーラードスラックスの技術を応用する事を思いつきました。
特殊な「プレス用の馬」を別注し、中間プレスで「股繰りの癖取り」の工程を入れて縫製しました。
当時としてはスラックスの中間プレスは殆んどやっていませんでしたが、
ウエストの緩みとヒップのフィット性が出て、その商品は、長くベストセラーになりました。

その食事会は、スラックスの「跨グリの角度の倒し」の話しやジャケットの「袖つけのフリ・癖取り」、の話しなどから、酔いも手伝って、メンズのテーラースラックスの「○○タブ」のような、ブログに書くのが戸惑うような話しまで、技術の話しで盛り上がりました。

今朝のワイドショー番組で「警察署の伝承官」の話題を取り上げていました。
警官も7年問題に関連して、現場の刑事の大量退職が見込まれているようです。
「はぐれ刑事の安さん」のような刑事が少なくなってしまうと懸念していました。
警察の捜査活動ででも、近代的な科学捜査も重要ですが
現場の「叩き上げの刑事」の捜査も重要とのことです。
警察では「伝承官」制度をつくり、リタイアしたベテラン刑事による、
現場技術の伝承をしようとしているようです。
講習会や研修などの机上の教育では出来ず、現場実習で伝承するしか方法が無いようです。

現場の技術で成り立っているでテキスタイルやアパレル業界でも、
現場の技術を持った多くのベテランが現場を離れつつあります。
技術革新による近代化、合理化を否定するわけでは有りませんが、
その源となる現場的な技術の伝承も必要と考えます。

「捨て去る技術や悪習打破」も重要ですが、「残す技術と良い慣習の伝承」も重要ではないでしょうか?

私には伝承に値するような特段の技術は備わっていませんが、多くの諸先輩をテキスタイルやアパレルの伝承官と見立てて
「技術の伝承の橋渡し」でお手伝いが出来ればと思っています。

久し振りに楽しい、有意義な会でした。
これも技術の伝承会の一つかも知れません。



 


ブログ投稿一周年となりました 

2007年01月16日 | アパレル放談
昨年1月15日に始めたインパナトーレのBlogが1周年になりました。

三日坊主を懸念しながら始めましたが、曲がりなりにも1年間続けることができました。
アパレル現役退職後に何か違った形でつながりを求めて始めましたが、
Blog投稿のおかげで多くの方との接点を持つことができました。

商談の時や街で偶然お会いした時にBlogを読んでくださっている方と
Blogの話題になった時には、本当に続けて来て良かったと思います。

現在の仕事の守秘義務の事もあり、Blogの内容には制約がありますが、
留意しながらマイペースで投稿して行きたいと思います。

今年はBlogを通して双方向のコミニュケーションがより深まり、
業界で活躍されてる若い方や、私の同世代の方への応援メッセージを
Blogで発信したいと思っています。

今後とも宜しくお願いします。


正月雑感Ⅱ

2007年01月12日 | 今様隠居道
今年は正月休暇を長くとったせいもあり、色んな事をじっくり考える時間がありました。
テレビの正月特別番組や書物などもジックリ堪能しました。
政治・経済のこと、世相のこと、芸能・スポーツ、海外情報などの幅広く、普段と少し異なった観点から考えることができました。
政治や経済、世相の話題は、昨年までの小泉・竹中改革路線と安倍新内閣の評価についてが多かったようです。
長かった小泉・竹中改革路線の真っ只中で最後のアパレル業界の現役最後の時期を過ごしたこともあり、興味のある内容でした。

*長く続いた小泉・竹中改革政治は、江戸時代の三大改革に例えればどの改革に
 当たるのだろうか?
*これからも厳しい改革が続くのだろうか?
 小泉首相の所信演説の「長岡藩の米百俵」はどこに消えたのか?
*果たして優秀な人材は育ったのか?
 (案外六本木ヒルズで使われたのかもしれないが・・・?)
*安倍政権はその改革の「歪の癒し役」なのか?
*元禄時代は来るのか?
*それとも幕末時代が到来するのか?
*坂本龍馬はいるのか?
*坂の上の雲はあるのか?
等、頭の中の乏しい歴史の知識をかき混ぜていました。

正月に和服を着たせいか、子供時代のことを思い出しました。
真新しい下着と新調の服(少しダブツキ気味の・・)を着て、
着物姿の両親に、神妙に正月の挨拶をし、日頃と違った両親お着物姿に、
ある種の威厳と尊敬の念を抱いたものです。

私の二人の娘も結婚し、もう「お祖父さん」になりましたが、
孫娘がそんな感じを抱いてくれる「お祖父さん」にならなければと
遅まきながら考えています。

今年でインパナトーレも4年になります。
その間アパレル業界も大きな変革の時代でした。

システムも人も大きな変化がありました。
長く続いた企業や人も表舞台から去っていきました。

政治と同じく、少し行き過ぎた面や、歪を感じます。

しかし時代は大きく流れています。
多くの若い後継者が「坂の上の雲」を目指せるようにすることも重要と考えます。

私も今年で63歳になります。
長く「物つくり」に関ってきましたが、そろそろ「人つくり」に関ることが出きればと考えています。





正月雑感

2007年01月10日 | アパレル放談
今年の正月休暇は、例年より長く取りました。
昨日から仕事始めでした。
正月に着た着物を女房が陰干して片付けています。
昨年の正月は、大島紬を正月の3ガ日着て、お屠蘇に酔って着物を少し汚しました。

女房の小言を聞くことの無いように、今年は正月3日からウールの着物に着換えました。
少々汚れても良いという着易さはありますが、やはり大島紬に比べると着心地は随分劣ります。
着物の良さを再発見した今年の正月でした。

前々から、オシャレとはTPOの中でファッションを上手に表現する事と思っています。
私は、最近のファッションに少し疑問をもっています。
特に、ファッション業界に携わる方々のTPOを意識していないスタイルに奇異な感じがします。
ファッションとは変化する物で、当然変わるものと理解していますが、最近のTPOを無視した着こなしが目に余る気がします。
ある程度の決まりがあり、その中でオシャレをするのが良いのではないかと思っています。

その点、和服は「四季」や「決まりごと」がハッキリしていています。
その分だけ、着にくく、着物から遠ざかる要因かも知れません。

着る機会は少ないかも知れませんが、ファッションに関わる物として、着物の決まりごと着物地のことも勉強してみる事も無駄ではないと思います。

子供の頃、母親が「洗い張り」や、縮緬などの「染め直し」、紬や絣の「仕立て直し」をしたりしていたのを思い出します。
女房の母が、着物を解いて縫った絣の「チャンチャンコ」を今も着ています。

昔の日本人は、染め直しの出来る「染めもの」や裏表が使える「織りもの」などは、今その重要性が叫ばれている「エコロジー」を実践していたといえます。
日本人の物を大切にする心がうかがえます。
昔の日本の文化を見直す良い機会かもしれません。

今年の正月は暇に任せて、帯の結び方を増やしました。
帯の結び方は沢山ありますが、私は、今まで「片ばさみ」くらいしか結べなかったのですが、「一文字」や「貝の口」を覚えました。
アクセサリーを使わなくても、帯の結び方でオシャレをする昔の人の洒落心を見習いたいと思います。

今年はウールの着物を気が向いた時に気楽に着てみようと思っています。
今年は女房が仕舞いましたが、私も着物の畳み方もマスターしようと思っています。


謹賀新年 

2007年01月04日 | アパレル放談

新年明けましておめでとうございます。
昨年中はBlogをお読みいただきありがとうございました。
今年初めての投稿です。
もう直ぐ投稿2年目を迎えます。
今年も宜しく、ご拝読お願いしいたします。

私は、毎年「正月三が日」は着物を着ています。 
大島紬の着心地や博多帯を閉める時の衣擦れの音など
なかなか風情もあり、着物ならではの落ち着いた気持になります。

最近は初詣の時も着物姿の男性は、殆ど見かけなくなってしまいました。
正月ぐらいは着物を着てみるのも良いものです。

背筋もシャキッと伸ばし、正月気分も、また格別です。  

今日のTVニュースで、一部の熟年世代や若者が、
「男の着付け教室」で熱心に着付けを習っているのが報道されていました。
ブームといえないまでも、着物に興味を持った男性も増えてきたようです。


夏祭りの浴衣姿は若い女性中心に夏の風情になってきましたが、
正月くらいは着物で三が日を過ごすのも粋なものです。
日本の伝統的な装いも、アパレルという仕事をするにも、
意味あることに思えます。

今年は普段でも寛ぎたい時には、着物を着てみようと考えています。
皆さんも、お試しになってはいかがでしょう。