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繊研新聞レディースバイヤーズ賞受賞のオンワード樫山のこと

2006年11月01日 | アパレル放談

今年の繊研レディースバイヤーズ賞の受賞は特徴的なことがありました。
Blogにも書いたように樫山の総合力の受賞と解釈できます。
10数年前のバブル崩壊後の市場と流通の変化に、適確に対応した、
マーケッティングや商品企画・生産・販売・SPのマーチャンダイズ面が
考えられますが、私は別の見方をしています。

成功の要因の第一は、オンワード樫山の会計基準にあったと思います。

0数年前は、他のアパレルが百貨店の買取委託という摩訶不思議な取引の条件が通常でした。
この摩訶不思議な条件下のなかで、アパレル側の会計売上基準を蔵出し基準で計上し、委託の店頭在庫は売掛金に計上し、未実現利益も利益として計上していました。

税務会計的には正常な処理かも知れませんが、それだけでなく、押込み販売的な手法でPL上の売上(粉飾)の確保と競争に奔走していました。

現在のキャッシュフロー経営とは程遠く、化粧品業界の資生堂の押込み販売に
よる400億円の返品対象の在庫の問題と同じ実態であったと言えます。

私は、10数年前に大手アパレルの名目売上(未実現利益売上)と実質売上
差異を推量した事があります。(特段の資料に基づいた物ではなく、赤提灯の戯れ事でしたが・・)

R社、T社、W社、I社、S社などを例に上げて、それぞれの企業の営業の姿勢を
もとに、名目売上と実質売上の差異を推定したことが有りました。

その結果、名目と実質の売上との間に大きな差異が出ました。

酒席の戯れ事と言いましたが、設立ご間もない当時の会社の営業幹部に、
委託の弊害と店頭管理の重要性を理解させるためでした。

その時に、オンワード樫山は百貨店取引の比重が多いにもかかわらず、差異を少なく見積もりました。
その理由は、当時からオンワード樫山は、委託取引の会計売上を
店頭売上基準で計上していたとのことでした。
(税務会計の基準か評価会計の
基準かの理解はしていませんが)

未実現利益売上に対する考え方が他社と異なっており、押込み販売では無く、
店頭起点の考え方が社内に定着していたものと思います。

その後キャッシュフロー経営導入に伴う各社の対応の結果、大幅な減収を
余儀なくされました。
ほぼ減収額と差異額とが一致した記憶が有ります。


既存のアパレル各社がキャッシュフロー経営の定着までに、
長い時間をかけた改革の苦闘が続くなかで、オンワード樫山は進化の為に着実に使う事が出来ました。
その成果が今回の受賞につながったと思います。

インショップ(消化売上)展開が基本のファ一イブフォックスグループやFRなどの新規参入のSPAが、大きく業績を拡大した事でも理解出来ると思います。

「逆さ日本史」の倒叙法的に言うと「オンワード樫山の繊研新聞レディースバイヤーズ賞の受賞は、委託取引の会計基準に対する昔からの考え方に有った」と言うことになるでしょう。

 





 



 



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