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チャイナファッションフェアー(日中紡織成衣展)についてⅡ  「窪添・一日先生になる?」

2006年03月29日 | アパレル放談
今日から大阪のOMMでチャイナファッションフェアーが開催されました。
106社の出展です。
広州から内モンゴルまで広い地域の企業の出展で、出展者の少し幅が広すぎる面が感じられますが、じっくり探せば掘り出し物もあるかも?
以前から、この展示会を見ていますが、前と大きく変わったのは、出展業者の商談にたいする姿勢です。
以前は「参加することに意義あり」の昔のオリンピックの感じだったのですが、徐々にビジネスをしようとする意欲が感じられました。
9月には東京で開催の予定とのことです。

スタッフの希望者を集めた勉強会が開かれ、私が講師を務めました。
通訳を介した講義で、少し戸惑いましたが、商談の合間をぬって真剣に聞いてくれたので力が入って、約束の時間をオーバーしてしまいました。

彼らが知りたいのは「日本との商談に何が重要か」ということです。
「日本の礼儀」を教えてほしいと難しい課題がありました。
私は前から「ハーフ&ハーフの関係」つくりと「日本に良いカウンターパートナーを持つ」ことだと思っています。
今日は其の点を強調しました。

彼らが「日本の礼儀」を勉強するのなら、我々も「中国の礼儀」を理解し、わきまえることも重要です。(異論のある政治家も居られるかも知れませんが、それは政治の世界に任せればよいと思います)

講義をしていて、途中で思いついたのですが、海外とのビジネスについての私のブログを今日の参加者に見てもらえばよいと思いつき、このブログをこれから見てもらうように提案しました。
(日本語の解る方もかなり居られたので)

私のブログも海外の人も開いてくれる機会が出来そうです。

私が海外ビジネスで感じていることを時々ブログしますのでお付き合いください。

第6回チャイナファッションフェアー(日本中国紡織成衣展)の開催について

2006年03月28日 | アパレル放談
最近の業界紙の記事や広告に日本や中国での海外展示会に関するものが多い。
日本企業と中国企業双方が共にビジネスに対する期待が多いと言う事でしょう。

明日、29日から31日までチャイナファッションフェアー(日本中国紡織成衣展)が大阪OMMで開催されます。

主催は中国国際貿易促進会・中国中紡集団公司でファブリック、製品、服飾資材の総合展で今回で6回目の開催です。

過去数回展示会を視察しましたが、総合展のため情報収集程度に止まっていました。

このような総合展は回を重ねる度に充実するものと、縮小均衡になっていくものがあります。
この展示会がどちらに向かうのか興味を持っていたら、主催者から出展企業のスタッフに「中日のファッションビジネスの現状と課題」について私に話をしてほしいと依頼がありました。
参加企業のスタッフの勉強会の講師依頼です。

「日本の企業が中国のアパレルビジネスに何を期待しているか?」
「日本とのビジネス上の留意点」などについて日本側の現場の意見を聞かせてほしいとの要望です。

かねがね、日本と中国のビジネスの改善・発展に興味を持っていますので、双方に何か役に立てればとお引き受けしました。
日ごろ感じている現場の意見を述べようと思っています。

中国のスタッフ対象のセミナーなので、通訳を介してになります。
ロジックを組み立てた話にしなければいけないので、日ごろ漫然と考えている事を整理するに良い機会です。
却って当方の勉強にもなります。
彼らに役に立つ話が出来るようにと思っています。

真剣に日本とのビジネスについて取り組んでいるように感じられます。

私の「勝手連」的な呼びかけですが、時間有りましたら、チャイナファッションフェアーにご来場ください。


中国ファッション市場 開拓セミナーを聴講 Ⅱ

2006年03月26日 | アパレル放談
先日の中国ファッション市場開拓セミナーを聴講して、日本の中小企業が中国マーケットに関心を持っているか、あらためて知る事が出来ました。
回復の兆しが見えてきたとはいえ、日本市場の将来性に対する閉塞感によることが多いと思います。
確かに発展する市場を求めて進出する事は決して間違いではないと思いますが、充分な体制を組んで始めるべきと思います。

私の知っている限り、中小アパレルや企業が中国で成功している事例を見ると、成功要因に共通点があるように思います。
その共通点は下記のようです。
1)自社の国内の事業と中国の事業に一体感がある
2)退路を断った中国進出を行っている
3)社長か経営幹部が現地に常駐している
  (経営決定の即断即決が可能)
4)自社の強みと現地の特性を生かした経営を確立している
  (日本側の経営を一方的に押し付けない)
5)現地に良い事業パートナーか、現地人の幹部がいる

失敗している企業は逆の事例が多い
1)国内事業と海外事業とが分離されてる。
  (海外事業が別プロジェトで運営されている)
2)国内の人事制度で担当者も定期的な移動でよく変る
3)経営者や幹部は殆ど株主総会や定期な出張程度が多い
  (即断即決の体制がとられていない)
4)日本人スタッフによる、日本人ネットワークの情報で行われている 
5)経営も自社の経営方針の一方的な押し付けで、現地の特性を生かしたものになってい  ない
大手企業にその傾向が強く、中小の場合は社内に人的、資金的な資源が乏しく、却って現地化が進みやすい事が幸いしているのでしょう。

私は海外展開について相談受けた時に、「自分が信頼できる現地のパートーナーやスタッフが見つからないときは、海外事業は行わない事」と答えています。

また、何を目的にして、海外進出を行うかを決めるべきと思います。


中国ファッション市場 販路開拓セミナーを聴講

2006年03月23日 | アパレル放談
昨年の12月に続いて、第2回目中国ファッション市場 販路開拓セミナーが神戸市産業振興センターで開催されました。

主催は神戸市、神戸・阪神協議会、神戸ファッション協会の「上海・長江交易促進プロジェクト」の一環として、地元企業の中国での販路開拓を支援するためのセミナーです。

私も神戸に在住しており、行政のこの試みに興味があるのと、セミナーのコーディネーター兼講師のアパレルウェヴの千金楽健司社長やサポートしている神戸コレクションの高田恵太郎氏とも面識もあり聴講しました。

講義の内容は上海市場の現状と中国展開で問題となる商標登録の問題についてと既に進出している東京のインナーファッション専門店のオカダヤの蛭川勝五常務の出店とその後の苦労話(エピソード)をケーススタディーとして話がありました。

その後参加者による交流会がありました。

参加者の多くは中国に販路を求めている中小企業の経営者や幹部の方が中心でした。

自社に人材や機能がある大手企業ではなく、資金も限られた中小企業経営者へのガイダンス的な内容でした。

アパレルウェヴさんやオカダヤさんも大手のシンクタンクや大手リテーラーように、中国の高度なマーケティングや複雑なデーターベースをもとに、難しいマーケティングや戦略の話をするのでなく、実務的な事例の披露で参加者にとっては、返って解りやすい内容に感じました。

セミナーを聞いていて、20年位前、私がイトキン時代にアメリカ担当を前任者に代わって引き継いだ時に、電通の著名なマーケティングプロデューサーから聞いた言葉を思い出しました。
電通のプロデューサー曰く
「窪添さんが、このアメリカ事業を成功させたら、窪添さんは日本人として最初の成功者であり、第一人者になるでしょう」「何故なら日本は、時計やカメラ、家電製品のような文明商品をグローバル化した事はあるが、文化商品をグローバル化させたことは未だかって無い。ファッションは文化商品だ」「欧米への文化商品の伝播は不可能だ」といった禅問答のような話がありました。

その後電通のプロヂューサーが予言したように、アメリカ進出は撤退を余儀なくされました。
20年も前の話でインターネットの普及やメディア、交通・物流が大きく変化してきており、昔とは同一ではないと思いますが、何故か頭から離れません。

同一(類似)の文化圏(私は醤油文化圏と勝手に名付けています)ともいえる中国へのグローバル化については、、アメリカと違い、可能性があると思えます。

世界の生産国になっている中国への展開は、物の輸出では無く、文化の輸出に重点を置くべきと思います。

中国展開を考えるときに、マーケティングや法律、商慣習、人事の問題の研究も大切ですが、自社の製品の文化性や強みを充分に確立する事だと思います。

その点、千金楽社長の提唱する「組合プロモーション=共同して文化=IDENTITYつくりをする」考え方は賛同できます。
共同して中国で神戸ブランドの確立をして中国でのビジネスを行う考え方は、特に中小企業の海外展開の方法としては興味があります。
(護送船団方式やみんなで渡れば怖くない的なものではなく)

神戸コレクションの高田氏が提唱している神戸コレクションという、文化=IDENTITYを輸出すると言う構想には興味を持っています。

「神戸コレクションIN上海」が早く開催されることを期待します。


ユニバーサルファッションのこと ・ユニバーサルファッション協会(UNIFA)のこと

2006年03月19日 | アパレル放談
ユニバーサルファッションは、ファッションアパレル業界では、アウトオブファッションとして捉えられているのか、この業界では余り話題にならない。
業界紙なども記事にすることが少ない。

ユニバーサルファッションの定義も明確に確立していないのが現状のようです。

カテゴリでも、介護用品との境界も明確ではありません。
ユニバーサルファッション商品を行政関係や小売業界では介護商品と位置づけているように見えます。

実のところ私も井上服装㈱の井上正人社長から教えていただくまで、介護ファッションとユニバーサルファッションと同義語的な認識でした。

井上服装㈱の井上社長から、「ユニバーサルファッションの研究と普及」を目的としたNPO法人があることをお聞きしました。
協会名は特定非営利法人ユニバーサルファッション協会=UNIFAです。  
井上社長も会員とのことです。

協会の目的は「年齢・サイズ・体型・障害に関りなく、誰もが自由にファッションを楽しめる社会創り」で、活動内容は
①勉強会・ミーチィング ②商品推薦制度 ③UNIFA通信 ④広報活動 
⑤受託商品開発・商品モニター等です。

協会がユニバーサルファッションのカテゴリーを下記の3つに分類しています。
①サイズ及び体型に配慮した一般商品
②機能性に配慮したユニバーサルファッション
③介護衣料障害専門商品
ユニバーサルファッションを「誰もが、快適で、生きる歓びに充ちた生活を送る為のファッション」と広義捉えています。

要するにユニバーサルファッションとはファッションをユニバーサル化することだと思います。

井上縫製のユニバーサルファッションの新ブランドもこの考え方に基づいています。
加齢に伴って生ずる体形の変化に注目したスラックスです。
文化服装学院が50歳代の女性の体体形を科学的に分析した3タイプのモデルを作ったと繊研新聞が記事掲載していました。
文化服装学院の研究の取り組みを大いに評価したい。

ユニバーサルファッション協会のホームページのURLはhttp://www.unifa.jp

ユニバーサルファッションのこと 井上服装㈱のこと

2006年03月16日 | アパレル放談
先日大阪産業創造館で新ブランドの記者発表会に同席しました。
ユニバーサルファッションのブランドを立ち上げたのは大阪市東住吉区の縫製業の井上服装㈱です。

井上服装㈱は創業40年プレタポルテ婦人服を得意とする工場です。

私が20歳代のMDだった頃からのお付き合いで、最近は疎遠になっていたのですが、
井上正人社長から昨年11月にご依頼が有り、ブランディングのサポートをしています。

ブランデングといってもブランドの内容は「ユニバーサルファッション」の商品です。
ライセンスブランドやヤングキャリアのブランドの経験は豊富ですが、このゾーンは初めてです。

井上社長のユニバーサルファッションに対する思い入れと、主に下請け的存在である縫製工場(町工場)さんがメーカーとして自立しようとされている意気込みに賛同してお引き受けしました。

井上服装㈱は、昨年度の経済産業省の中小繊維製造事業者自立事業に採択されて、
商品は昨年から販売されておられました。

昨年度の自立事業は、ユニバーサルファッション商品をトータルブランド化して、
専門店や地方問屋を中心にイベント共催で販売する事業モデルでした。

トータルブランドであったので、商品の品種、カラー、デザイン点数や価格など工場が継続的に企画・製造・販売していくには、資金的にも人員的にも無理があると判断せざるをえませんでした。

将来的に有望視されているユニバーサルファッションを他社に先駆けてトライすると言う試みは、事業モデルとしては先見性があったと思います。
経済産業省もこの点を評価したと思います。

井上服装の自立事業は昨年で終了し、2年目を迎えるにあたり、企画と販売の指導を要請されました。

商品企画にあたって、「現在市場で流行っている商品ラインをユニバーサル化する」と
単純に考えて、手始めにストレッチ性のある素材を使って穿きやすく、身体にフィットするユニバーサルデザインのスラックスを8型企画しました。

逐次トップスや其の他のアイテムを単品として強化する予定です。

ユニバーサルファッションは潜在的な需要は期待されていますが、その受け皿となる販売チャネルが未整備の状況です。

専門店、地方問屋のイベントだけでは限界があり、新しいチャネルの開発、育成が必要と思われます。

潜在的な需要に直接的にワークしていくことが重要です。
直営店やイベントなどのReal販売チャネルだけでなくWebを使った、B-to-CやB-to-Cを提案したところ、井上社長もWebを使って潜在需要への直接的なインフォメーションに賛同してくれました。

社長ご夫妻やパタンナーの西田さんらスタッフも頑張っています。
奥様の井上マネージャーはブログを始めました。
私が強引に薦めたのですが素直に取り組んでくれています。

これから大変な道のりですが私も一緒に頑張っていきたいと思っています。

井上服装㈱のホームページ  http://www.uf-inoue.co.jp





マーケティングのこと 神戸大学 小川進教授の本のこと

2006年03月07日 | アパレル放談
中華料理店の料理人が案外マーケティング志向かもしれないと勝手に決め付けました。
少し乱暴な決め付けですが、我々のアパレル業界は昔からマーケティングというものを軽視してきました。
軽視するより、嫌う傾向がありました。
昔、電通の営業担当から聞いた事ですが、「ファッションアパルはイメージ的にマーケティング志向と想像していたのですが、実際はマーケティングマインドは全然無いですね!
他の産業の方が真剣にマーケティングに取り組んでいますよ!
アパレルは現状の流行をすばやく追うだけにのようですね!予想外でした!」と嘆いていました。
決まったチャネルに、より早く、より安く(よい条件で)、より多く供給するだけでよかった時代はマーケティングは必要なかった。
そんな面倒な事をするより、売れ筋を探すことに力を注ぐ事の方が重要で、マーケティング=マーケットリサーチと解釈して軽視する傾向が強いと思います。。

昨今チャネルが大きく変化して、川上、川中、川下の垂直的な生産流通が崩れ、川上から川下まで複雑に入り組んだ網の目のようなチャネルに変化しています。

顧客の消費志向も変化しています。
情報、物流も代わり、グローバル化も進んでいます。
すべての面でボーダレスになっています。

今こそマーケティングの重要性がでて来ました。

しかし多くはこの重要性に気付きながら、具体的にどのように取り組んでいいのか、わからない状態と重います。

一流のコンサルタントの先生に依頼するだけでは解決するわけでもなく、為すすべが無い状態です。

私は最近仕事柄、いろんな企業に出入りさせていただいて、このことを肌で感じます。

相談を受けたときに、難しくマーケティングのことを考えずに、社員の考え、行動を変える刺激を与える方法を薦めています。

千倉書房の「初めてのマーケティング:ドクターオガワに会いに行こう」を推薦しています。
著者は神戸大学の小川進教授です。  
マーケティングのほんとなると、コトラーだドラッガーだの難しい本ばかりで、読んでも難しい専門用語の羅列で、何冊も本棚の飾りになってしまいます。

しかし、この本はぜんぜん異なったアプローチをしています。
上田バロンさんのイラストを中心に絵本仕立てです。

小川進教授の狙いはマーケティングを解りやすく解説し身近なものにすることにあるようです。
(聞いた話で真偽の程は解りませんが、最近の大学生も難しい原書を教科書にしても読まないらしく、この本の出版を企画されたようです。授業の教科書にしておられるとのことです。)

マーケティングのごく基本的な14のポイントをイラストで解りやすく解説しています。
新入社員教育はもとより、中堅幹部社員にも、基本を知る上で、役立つ内容だと思います。

去年に出版された本なので、まだ店頭で売られているか解りませんが、大きな書店では売っているかも知れません。

ベテラン社員の「目から鱗」になるかも知れません。





白楽天のこと・リーズ゛ガーデンのこと

2006年03月06日 | 今様隠居道
還暦を前にして、新しく新中華の店を開店した白楽天山下司氏のことを書きました。
今日は同じ中華の店のリーズガーデンの李木村氏について触れたいと思います。
リーズガーデンは神戸の六甲アイランドのリンクというショッピングビルにあります。

白楽天と異なり、大きくて豪華な店です。
円卓テーブル、椅子席があり大きな宴会も可能で、香港や台湾の一流レストランにも劣らない構えです。

オーナーの李木村氏は台湾人でテレビや雑誌などに出ている料理人です。
中華料理の書物も6カ国?で出版しているとのことです。
店の作りも立派で、食器は時々ロイヤルコペンハーゲンを使用しています。
そんな時には少し緊張して料理を食べてしまいます。
オーナー自ら料理の説明をしてくれます。
料理は明石の新鮮な魚介類を使った新台湾海鮮です。

前に西宮の苦楽園で小さなお店をやっていたとのことですが、大きなスペースの店を持つ前々からの夢を実現するために六甲アイランドに移転したとのことです。

自分の夢の実現や、新中華という点では白楽天と変わりませんが、商売の方法(マーケティング)については正反対と思います。

白楽天は小規模な店で、口コミを主としたミニマーケティングです。

リーズガーデンは大規模な店舗で、メディアミックスを駆使したマスマーケティングです。

夢の実現に対する二人の行き方は正反対ですが、顧客に対する料理の姿勢は同じです。
手法は違えど、お客様に満足してもらえば、二人の夢が実現すると思います。

マーケチィングの端くれにいる私にとっては、どちらも共感できます。

マスにしても、ミニにしても、二人に共通しているのは、口コミの効果をベースにしていることです。

口コミ効果を充分熟知しているのかもしれません。
案外、二人の料理人はマーケティングマインドを持った戦略家かもしれません。

白楽天のブログを見て「クロちゃん」からコメントいただきました。
元の白楽天の常連だった「クロちゃん」からだと思います。

彼もまた夢の実現のため、中国関連の新しい事業を行っています。
ユニークな試みで、興味を持って成功を祈っています。

今のところ白楽天のような、ミニマーケティングですが、ひょっとしたらリーズガーデンのようなマスにつながるかもしれません。

彼の同意が得られれば「クロちゃん」のミニマーケティングについて、そのうち書いてみたいと思います。

60歳を前にして新中華の店を出した白楽天のオヤジの話

2006年03月03日 | 今様隠居道
今日はビジネスの話題から外れますが、23年続けた盛業の中華の店を閉店して、カウンターだけの新中華料理の店を開店したオヤジの事を書きます。

大阪の南船場のビジネス街でサラリーマン相手の中華の定食と出前の店を23年間やっていた、白楽天の話です。
従業員を3人ほど使っての小さな店でした。

「安くて、早くて、美味しい」中華料理店の共通点は、「小さくて、汚くて、オヤジが無愛想」というのが多いが、白楽天は、この典型的な店でした。

オヤジの無愛想さは普通ではなく、鬼気迫る感じで、従業員はおろか、お客様でも一目置くような感じでした。
奥で鍋を振りながら、出口の勘定場が気になり、怒鳴りつけることなど、日常茶飯事でした。
そんな店でしたが、昼食時には何故か繁盛していました。

私も近くで勤務していた頃は、早さと値段に比しての美味しさで、週に2度ほど昼食時に通っていました。

其れが半年前にビルの立ち退きもあって閉店し、音信普通の状態でした。
もうそろそろ60歳になるので、現役を退いたのかと思っていました。

先日、人伝に、このオヤジが南の宗右衛門町で中華の店を開店しているとの話を聞いて、久しぶりに訪ねていきました。

店名は同じく「白楽天」で9人席のカウンターだけの店で、オヤジ一人で中華なべを振って、奥さんがフロアー?を担当している、「こじんまり」というより、「狭い」店でした。
店のカードには『これからは、じっくり料理をお出ししようと思います。その日の新鮮な素材だけで、献立させていただきます。カウンター席と料理人は一人だけのお店です。
まずは自慢の餃子でおもてなしします』とシンプルにこう書かれていました。

前の南船場の店とぜんぜん違った店で、あの苦虫をつぶしたような顔のオヤジが、にこやかに迎えてくれました。

料理も鮑、フカヒレ、旬の魚介類を中華で調理する、シノア・ヌボァーといった感じに変身していました。(このオヤジには新中華といったほうが合っているかも知れませんが)

何より変ったのが親父の顔でした。
楽しそうに、お勧め料理を創ってくれました。

昔話をしているうちに、オヤジの当時の無愛想さが話題になりました。

彼いわく、その当時は昼食時の2時間が商売の勝負で、1品を1分で料理しても、1時間で60品しか作れない、従業員の給料や家賃の事を思うと、戦場のようで必死だった。
其れが無愛想に移ったのかも知れないと苦笑していました。

前々からの夢で、何時かは、じっくりお客さんと語らいながら料理を出すのが夢だった。
今は幸せですと、昔と変って柔和な顔で語っていました。

奥様の顔が幸せそうだったのが印象的でした。

私も、会社務めのときは、オヤジ(山下司氏)のようにピリピリした感じでした。
会社のため、社員のためという脅迫観念に苛まれていたような気がします。
私も「白楽天」の山下司氏のような顔になっれるようにしたいと思います。

ビールを2~3本飲んで5000円前後で贅沢で新鮮なネタの新中華がタップリ堪能できます。
(この種の料理店に比べて、ボリューム満点さは昔と変っていない⇒大満足)

昔南船場の白楽天でお世話になった人はぜひ行ってあげてください。
予約したほうがいいかも知れません。
電話番号は06-6213-0348「白楽天」
中央区心斎橋筋2-3-5(日宝ファインプラザビル1F) 宗右衛門町・畳屋筋
18時から5時迄営業 日曜定休

今日は料理評論家のブログのようで失礼しました。

白楽天の山下氏の生き方に、一つの料理人の生き様を感じました。
ファーストフード全盛の今日、じっくり物を作っていくスローフードも良いのでは?
ファッションにも同じことが考えられると思いました。
ファッションにもファーストフード一辺倒だけでなく、スローフードへの回帰も見えているような気がします。
また、白楽天の山下氏のようなスローライフにも共感を覚えました。
楽しい食事をさせてもらいました。

インパナトーレ雑感(頑張れ?京急百貨店の店長)

2006年03月02日 | アパレル放談
2月25日の繊研新聞の1面に”50代人気には「わけ」がある”のタイトルで、京急百貨店のサンフェルメールの記事が出ていた。
昔、同じターゲットの会社に私も在籍していた経験があるので、記事の内容を懐かしく読ませてもらいました。

京急の店長の悩みが、団塊世代のブランドの悩みと同じ悩みなので興味深かった。

私は、先日のブログで、「団塊世代は溶岩世代」と書きましたが、50歳代を広義に団塊世代とするならば、京急のサンフェルメールの売り場は、まさしく「団塊・溶岩世代」の売り場といえます。

店長が「ジーンズは一生穿かない・死ぬような思いで接客」と振り返っていましたが、本来の団塊・溶岩世代の大半は20歳代の時にジーンズを穿き街を闊歩していました。

ジーンズを穿くのが死ぬほどつらいのは、団塊世代のごく一部では無いでしょうか?
キネマ世代に流れこんだ、「溶岩世代」では無いでしょうか?
団塊世代の大半はジーンズに対して抵抗は無い世代と思います。

先のブログで、20歳代のファッション感度は、其の人にDNA化すると断定的に書きましたが、其のファッションDNAは結婚生活(家庭)の環境により、潜在化してしまっていただけの事ではないでしょうか?

いよいよ三従(親に従う・夫に従う・子供に従う)の自縛から解かれて、潜在化していたDNAが、顕在化しようとして、うごめき出しているのです。

さすが若い世代に穿いたミニスカートがに無理としても、ジーンズなどは何の抵抗も無いと思います。

ジーンズに対して、一時的に抵抗を持っただけではないかと思います。

其れを上手く引き出すのが販売のスタイルと思います。

お客のワードローブを作ってあげる事も重要ですが、新世代に流れ込んだ溶岩世代は、そんなお節介な販売を嫌う事も有ります。

案外、娘たちやTV等の影響で、お仕着せのトータルコーディネートを嫌っているかも知れんません。(ピーコのファッションチェック等を観ているとつくづく感じます)

我々の想像以上に情報武装している厄介な世代です。

百貨店側が団塊世代の売り場と思っているいても、案外キネマ世代が流れ込んだ売り場か、キネマ世代に流れ込んだ溶岩世代の売り場かも知れません。

本当の団塊世代は、既に他の売り場に流れ出しています。(溶岩)

何故なら、10年位前から百貨店や専門店は団塊世代のお客を遠ざける政策をとってきました。
本当に大事にしなければいけなかった潜在的なポテンシャルを持っている団塊世代を無視
して、顕在的な需要のあるヤングやキャリアブランドに媚を売り、安易に導入した当時のMDに問題が有ると思います。

無視された団塊世代は溶岩化してノーエージの売り場を求めて分散ししまったのではないでしょうか?

今慌てて、百貨店や専門店は、団塊世代の売り場やブランドの見直しが行われていますが、溶岩化した世代は、もう団塊世代化しないと思います。

京急の店長の必死のご努力には、頭が下がります。

本当に50歳代=団塊世代を売り場に呼び戻したいなら、百貨店、専門店側が、店長が死ぬ思いで接客しなくてもよい、違った溶岩世代へのアプローチが必要と思います。