「業際」を超え・「域際」を超え・「世代の際」を超えて!

理論を貫いて実践に生き! 実践を通して理論を究め! 前へ前へと進もう!

インターンシップ  ユーターンシップ? リターンシップ?

2006年11月30日 | 今様隠居道
教育側のインターンシップの重要性については教育界も企業も理解しつつあるように思えます。
大学や専門学校のカリキュラムにも積極的な取組みが見受けられます。
学生側も真剣に自身のキャリアアップに関心を持ち出しつつなっているようです。

逆に企業側を見ると少し景色が違うように感じられます。
企業側の第一線の企画や仕入生産の担当者、営業の方と面談する機会が多くありますが、ジェネレーションギャップを感じます。

私の年齢(62歳)からすると、そのジェネレーションギャップは私が感じるものですが、私は逆に第一線の中堅社員の方に、それを感じてしまいます。

アパレル業界が激変しているにもかかわらず、案外今までの古典的なスタイルから脱却していない方が多いような気がします。

殆んどの方は、激変については理解し、痛感されていますが、日常業務に忙殺されジレンマを感じているのが現実です。

企業側も新しい戦力を求めてインターンシップへの積極的な参加も重要とは思いますが、既存戦力の再活性化が重要と感じます。

新戦力の育成をインターンシップとするならば、既存勢力の再活性のユーターンシップ(?)、リターンシップ(?)の再教育が急務と想います。
  ちなみにユーターンシップ、リターンシップは私の造語です。
  しばらくは通用しないかも知れませんが、近い将来業界語に
  なっているかも知れません。

インターンシップと企業

2006年11月29日 | 今様隠居道
アパレル業界にとって優秀な人材の確保が重要と認識されだしました。
特に販売職の安定的な確保が緊急課題となってきています。
アパレル業界だけでなく全産業的な課題といえます。
先週のファッションビジネス学会の勉強会でも、このことが話題になりました。
専門学校や大学なども少子化に伴う入学生の確保や産業界にとっても優秀な人材確保のためにはインターンシップの充実が必要となっています。
何事にもトレンドに敏感に反応するワールドが、産業界のこのトレンドにいち早く反応してパート社員の正社員化を打ち出し話題となっています。
また専門学校との販売員教育の共同取り組みなども合わせて発表しています。
詳しい雇用の条件や教育の内容についてはマスコミ情報だけなので解りませんが、素早い反応に一応賛辞を送りたいと思います。 最近若い女性から相談を受ける事がありました。
4年生の大学を卒業し一流企業に勤めている女性です。学生時代のアルバイトしていたアパレルの販売職に興味を持ち就職が内定していたそうですが、両親の反対で断念し、現在の一流企業で働いているそうです。
半年が経過して、ファッションへの憧れと想いが断ちがたく、転職の相談でした。
両親がアパレルの販売職に反対した理由は、販売職という職種に良いイメージを持っていないいためのようです。 その両親の誤解だけでない現実があるように思えます。
販売職を「派遣社員・委託社員・マネキン」などとして処遇したり、「ファッションアドバイザー」と持ち上げたり、DC時代の「ハウスマヌカン=嘆きのハウスマヌカン」、資生堂の反省にも有るように、「ノルマと報奨制度」や最近問題化した「過重販売」など世間の誤解を招くような対応があったことは否定できません。

相談を受けた女性は、考え方もシッカリしており、キャリアアップに対する彼女なりの計画もあり好感を持ちました。私も二人の娘を持つ父親としての感情も理解する事ができ、「自分の想いを充分説明して、ご両親に理解を得るように頑張りなさい」と通り一遍の返事に終わりました。
ワールドさんの新制度がアパレル業界の販売職に対する世間一般の認知のアップにつながる事を期待します。

ファッションビジネス学会

2006年11月27日 | アパレル放談
ファッションビジネス学会関西支部の研究会に出席することが多くなりました。
学会の詳しい内容は添付のHPと私のブログ記事をご覧いただくとして、ファッションビジネスの教育に関わっている先生方の情報と研鑚のための会です。
先週土曜日の講師は森パーソネルクリエィツ代表取締役の森貞雄氏とフィールプラン代表のの山本ひとみ氏を講師に迎えての研究会でした。

森氏は繊研新聞の業務局で学生の就職セミナー関係の仕事が長く、デザイナーや学生の雇用に関するベテランです。
退職後に、その関連の会社を起業して忙しく頑張っておられます。
忙しいのは昼間だけでなく、相変わらず夜の方も大変忙しそうです。
いつもマイクを通して聴くのは、講義用マイクでは無く、エコー効いたカラオケ用のマイクでした。
エコーの効いたマイクではない講義を聞くのは初めてで、少し緊張して拝聴しました。

「新時代の人材確保と育成の取り組み」というファッション業界だけでなく、
日本産業界全体にとって重要な課題の内容でした。

山本ひとみ氏は「産学における現状の問題点と改善策に基づく教育メニュー提案」で、産学の現状の問題点とビジネス教育とインターンシップに関する提言とメニューの詳しい講義でした。

私が最近この種の勉強会に積極的に参加しているのは、長くもの造りと販売の現場に携わって来ましたが、もの造りや販売(広くマーケティング)は、結局のところ、人の力が原点であり、環境が大きく変化した業界の現状と将来のためには、「人つくり」が重要であることを最近痛切に感じています。
この「人づくり」に何がしか関わることが出来ればと思っています。

文字通り「60の手習い」ですが、私の座右の銘の「理論を通して実践に生き、実践を通して理論を究める」の遣り残している部分を遅まきながら始めています。

健康について

2006年11月20日 | 今様隠居道

最近Blogの投稿を休みがちにしていました。
原因は、先日流行性の結膜炎が伝染してしまい、
パソコンに向う時間を制限されていました。
結膜炎後の経過が良くなく思いの他時間がかかってしまいました。
これも年のせいかと気にかけていました。

先日大学時代の友人達4人で六甲山のトレッキングをしました。
「100名山」全山踏破に挑戦している者、シルーバー大学でアウトドアを習っている者や大学時代にワンダーフォーゲルに在籍していた友人などで、私だけがビギナーでした。
初めての六甲山のトレッキングという響きと何時もドライブで登っている山なので、軽い気持ちで参加しました。
芦屋川からロックガーデン、七曲がり、一軒茶屋を経て有馬温泉までの12キロのコースでした。
登ってみるとトレッキングではなく六甲山登山でかなりハードな登山でした。

私はビギナーで途中リタイヤするのではないかと危惧していましたが、逆に体力に自信が有った筈の他2名が酸欠状態になったり、脚の痙攣などで6時間かけての登山でした。

途中にABCテレビの取材を受けました。
最近多発している中高齢者の登山の遭難に関する内容の取材でした。
我々のグループが取材意図に合っていることに少し抵抗を感じながら取材を受けました。
先日の夕方のニュース番組でワンカット程度ですが放映されました。

平日にもかかわらず(平日だからかも知れませんが)我々以上の世代のグループの多さに今更ながら驚きました。
熟年世代のマーケティングについて、研究が盛んですが、机上のミーティング、デー―ター分析や市場調査も重要ですが、自分のその立場に立ったこのような体験も重要性を再認識しました。

体力のことを一番心配していた私は、何も無く元気に完全踏破しました。
体力に少し自信が持てました。
出来るだけエスカレーターを使わずに歩く事を心がけており、
日ごろの大阪船場界隈でのタウントレッキングのお蔭かと思っています。

終了後の有馬温泉のお湯に温まった身体に、冷えたビールが最高でした。
再度の他山への登山を約束して、心地よい疲れで家路につきました。



 

 

 


大阪文化服装学院創立60周年記念パーティー

2006年11月14日 | アパレル放談

先週の水曜日(8日)に大阪文化服装学院の創立60周年記念のパーティーがウエスティンホテルで催されました。
招待をいただきそのパーティーに出席しました。
教育、マスコミ関係者をはじめ、アパレル、SPAなどや業界で活躍している卒業生などが多数出席し,盛況でした。
森光一理事長は冒頭の挨拶の中で建学精神の「社会への還元」、「学生への還元」と「誠実で良心的な学校経営」の基本理念の再確認を強調され、「創立60周年を迎え、新たなステージ」への経営方針や「Plan Do」の新しいCIの発表がありました。

創立60周年といえば戦後間もない創立という事になります。
日本全体が自分の生き残りに奔走した混乱期に「社会への還元」という高邁な建学精神は、時代背景を考えると、創立者である森理事長の祖父の識見の高さに驚嘆します。

私はアパレル企業での現役時代に数え切れないほどのデザイナーやパタンナーと一緒に仕事をしました。
印象に残っている同学院の卒業生の顔を思い出すと、「目立った派手さは無いが素直で、純粋な頑張りやさん」が多いイメージが残っています。
こんな所にも建学の精神が生かされているのかも知れません。
仕事の性質上、個性の強さはある程度必要なのかも知れませんが、企業側としてはチームプレィの出来ることも重要と思います。

大阪文化服装学院の「新たなステージに向けて」更なるご発展をお祈りします。




 


 

 

 

 


繊研レディースバイヤーズ賞受賞のオンワード樫山の事=事業継承

2006年11月06日 | アパレル放談

バイヤーズ賞の独占的受賞のオンワード樫山について、受賞の背景を考えていると、アパレル業界にとって、興味のあることが次々伺えます。
私はアパレル業界の創業は戦後に集中していると考えていますが、樫山は1927年創業の戦前の会社です。

多くの他のアパレル企業が創業者からの事業継承という問題に悩むなかで、
創業者の引退⇒番頭的な社員からの抜擢(中興の祖)⇒
役員から登用⇒役員から選出という理想的な手順で、パブリックな会社へ
脱皮したといえます。

アパレル業界は卓越した創業者が、カリスマ的な経営で拡大する傾向が強く、
その属人的な経営は、その属人性が故で、パブリックな経営の障害になるが
多く見かけます。

歴史のある百貨店業界も創業一族からの事業継承の成否で
その後の事業の盛衰が分かれました。
アパレル業界と創業の歴史を同じくするスーパーの業界の経緯を見ても
理解出来ます。

松下電器の中村邦夫社長の最近の著書でも解るように、
アパレル業界の事業継承を創業者のカリスマ性の維持か、
パブリックな継承になるか興味深いところです。

先日、神戸のジャバがジャバHD設立し、伊藤忠商事が35%の株式の
引き受けを行い、役員派遣を行なう契約が成立した記事が出ていました。

いよいよ日本のアパレル業界も古典的な経営から
現代的な経営に脱皮しつつあるのかと、複雑な想いがあります。

ライカやコロネットの支援と全く違った資本参加であり、
新しい事業継承のスタイルとして、
伊藤忠商事の果たす役割と意義は大きい物があります。

ハンカチ王子の商標権登録などという内容と全然次元の異なる
大きな意味を持っています。
今回の資本の参加で、過去のアパレル業界との取引から脱却した、
新しい取り組みを期待しています。




 


繊研新聞レディースバイヤーズ賞受賞のオンワード樫山のこと

2006年11月01日 | アパレル放談

今年の繊研レディースバイヤーズ賞の受賞は特徴的なことがありました。
Blogにも書いたように樫山の総合力の受賞と解釈できます。
10数年前のバブル崩壊後の市場と流通の変化に、適確に対応した、
マーケッティングや商品企画・生産・販売・SPのマーチャンダイズ面が
考えられますが、私は別の見方をしています。

成功の要因の第一は、オンワード樫山の会計基準にあったと思います。

0数年前は、他のアパレルが百貨店の買取委託という摩訶不思議な取引の条件が通常でした。
この摩訶不思議な条件下のなかで、アパレル側の会計売上基準を蔵出し基準で計上し、委託の店頭在庫は売掛金に計上し、未実現利益も利益として計上していました。

税務会計的には正常な処理かも知れませんが、それだけでなく、押込み販売的な手法でPL上の売上(粉飾)の確保と競争に奔走していました。

現在のキャッシュフロー経営とは程遠く、化粧品業界の資生堂の押込み販売に
よる400億円の返品対象の在庫の問題と同じ実態であったと言えます。

私は、10数年前に大手アパレルの名目売上(未実現利益売上)と実質売上
差異を推量した事があります。(特段の資料に基づいた物ではなく、赤提灯の戯れ事でしたが・・)

R社、T社、W社、I社、S社などを例に上げて、それぞれの企業の営業の姿勢を
もとに、名目売上と実質売上の差異を推定したことが有りました。

その結果、名目と実質の売上との間に大きな差異が出ました。

酒席の戯れ事と言いましたが、設立ご間もない当時の会社の営業幹部に、
委託の弊害と店頭管理の重要性を理解させるためでした。

その時に、オンワード樫山は百貨店取引の比重が多いにもかかわらず、差異を少なく見積もりました。
その理由は、当時からオンワード樫山は、委託取引の会計売上を
店頭売上基準で計上していたとのことでした。
(税務会計の基準か評価会計の
基準かの理解はしていませんが)

未実現利益売上に対する考え方が他社と異なっており、押込み販売では無く、
店頭起点の考え方が社内に定着していたものと思います。

その後キャッシュフロー経営導入に伴う各社の対応の結果、大幅な減収を
余儀なくされました。
ほぼ減収額と差異額とが一致した記憶が有ります。


既存のアパレル各社がキャッシュフロー経営の定着までに、
長い時間をかけた改革の苦闘が続くなかで、オンワード樫山は進化の為に着実に使う事が出来ました。
その成果が今回の受賞につながったと思います。

インショップ(消化売上)展開が基本のファ一イブフォックスグループやFRなどの新規参入のSPAが、大きく業績を拡大した事でも理解出来ると思います。

「逆さ日本史」の倒叙法的に言うと「オンワード樫山の繊研新聞レディースバイヤーズ賞の受賞は、委託取引の会計基準に対する昔からの考え方に有った」と言うことになるでしょう。