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中小企業の海外戦略

2011年08月08日 | アパレル放談

最近、中小企業や起業者による中国展開のニュースをよく聞く。

 吉​川稔氏も中国ビジネスに着手したようだ。

その他流通のコンサルタ​ントやコーディネーターも中国ビジネスに触手を動かしている。

昨年の5月に日本繊維新聞・廃刊の依頼で投稿したレポートを思い出しました。

私が10年ほど前から自分の海外ビジネスのベースとしてきた考えをまとめたものです。

数​年前に書いたBlogを添付します。

ご覧いただければ幸いです。

 

日本繊維新聞『私論試論』
最近中小のアパレル企業やOEMメーカーから海外進出についての相談を受けることが多くなった。国内でのアパレルの将来性に限界を感じての考えだろう。昨今の生産、流通構造の激変に加え、少子高齢化が現実的になってきた今日では、これまで行なってきた既存の業務改善や合理化などの経営努力だけでは難しいのが現実だ。Eコマースへの取組みや自社の流通チャネルの改編、多チャンネル化などのマーケティング力強化が重要となる。その意味で、海外戦略(グローバル化)も重要な課題となってきた。前々から私は“グローバル化”と“リージョナル化を区分して考えることにしている。リージョナル化とは東アジア圏を指している。
私は勝手に『醤油文化圏』と称している。醤油文化圏は歴史的に見ても、衣食住、宗教、音楽芸能など交流によって、それぞれの文化圏が交流し、それぞれ進化、分化していったと言える。服飾文化は、欧米の文化がグローバルスタンダードを形成している。
『チーズ文化圏』と言えなくもない。チーズ文化圏への挑戦は、ユニクロが目指そうとしている。資金や人材の乏しい中小企業の海外戦略は、同じ文化を共有している「醤油文化圏」に限定すべきと私は考える。アパレル・ファッション産業は、文化的情緒的な産業であり、人と人との交わりによって成り立っていると言っても過言ではない。

アジア文化圏においてのビジネスは、殆どがトップ同士の信頼に基づいて行なわれる。当事者能力を有していない大企業の幹部クラスとでは、ビジネスの濃密さが違ってくる。その点で中小企業の方が大企業にとって優位と言える。例えば、大企業の決裁の遅さや、ビジネスライクに偏ったクールな対応の仕方などへの不満を中国や韓国、台湾、香港のトップからよく聞かされている。大企業に比べ劣るのは資金力と人材だ。それを補う方法として、当該地のカウンターパートナーとのアライアンスが中小にとって最善と私は常々考えている。今から10年ほど前に、香港貿易発展局のセミナーで聞いた『中小企業の国際アライアンス戦略』のレポートが強く印象に残っている。100ページ程の実証研究で、私の海外ビジネスのバイブルとして、今でも活用している。私の海外ビジネスに大きな影響を与えてくれたレポートだ。その内容は、『リスクの大きい直接投資以外に、現地の資源を有効利用することで資本の移動を伴わない経営手法、つまり戦略的提携やアライアンスが有効である。アライアンス成功のカギは“相手企業から学ぶ姿勢”が重要である』。中小企業が海外展開(リージョナル化)を目指そうとするのなら、この姿勢が重要と考える一方、「相手企業に学ばせる」ことの出来る自社の資源、強み(商品、ノウハウ)の再確認と強化が重要となる。私論だが、自社に一つだけでも強みがあり、それを成し遂げる強い意志があるならば、『リージョナル化は中小企業に取って難しいものではない』と私は考える。