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深喜毛織株式会社見学 “不況を生き抜く0円講座” 

2009年12月09日 | 今様隠居道
大阪商工会議所主催の『不況を生き抜く0円講座』でカシミヤの深喜毛織株式会社を見学した。

これ迄に大阪モード学園の生徒、大阪産業大学経営学部アパレルコースの学生を引率してと今回が3回目の工場見学だ。
学生たちには、原料から紡績、撚糸、織布、染色・整理・加工の工程がワンストップで見ることができる。
テキスタイルの生産工程を理解させるのに最適な工場だ。
いつも厚かましく無理をお願いしているのだが、快く受けていただいている。
大変感謝している。
私のお気に入りの場所がある。
資料室に創業から現在までの深喜毛織が製品化した生地のスワッチが奇麗にファイリングされ保管された資料室がある。
指図・設計書も同時に保管されている。
まるで図書室のように、年代別に閲覧できるようになっている。
  *余談ではあるが、昨今の繊維不況でこのような貴重な資料が
   霧散、消滅してしまうのではないかと心配している。
   大手紡績や合繊メーカーには、いくら非繊維化が進んでいるとは言え、
   消滅・霧散は心配ないだろうが、「京都のプリント・絹織物」、
   「摂津地区の莫大小」、「泉州、播磨の綿織物」、「丹後の絹織物」や
   「その他の地域の種々の織物」などを整理、保存しておく必要は
   無いのだろうか。   
   繊維の空洞化は避けられないが、そのような技術、ノウハウが
   繊維のグローバル化のために役立つ時期が来るのではないだろうか。
   “不況を生き残る”ためには、そんな余裕はないのかも知れない。
   ファッション産業を文化的な産業と考えるならば、文化の歴史が
   重要になると思えてならない。

深喜毛織で特筆すべきは、その企業理念だ。
ISO9001(技術・品質)のみならず、
ISO14001(環境・エコ)やOHSAS18001(職場環境)などの認証取得に早くから取り組んでいる。
プライバシーマーク許諾証(コンプライアンス・・・JISQ15001)
CCMI(カシミヤ・キャメル製造業者資格)加盟など、数多くの認証は際立っている。
この会社の経営姿勢を窺い知ることができる。
この認証制度に対しては、最近多くの企業が取り組んでいるようだが、私が感銘を受けるのは、早くからこれらに取り組み、全社の企業活動に完全に浸透し定着していると感じられることだ。
毛織物、カシミと言えば、日本にとっては逆境とも考えられる商品だが、これに果敢に取り組む企業姿勢には、何時もながら敬服する。
深喜毛織の物づくりの姿勢や技術、ノウハウはイギリスやイタリアとも遜色なく、寧ろ上回っていると考えられる。
今回頂いた会社のプロフィールには、これまでの英文に新しく中国語による説明文が加わって三ヶ国語表記になっていた。
『Japan FUKAKI cashimere』の表紙のタイトルが印象的だ。

私が残念に思うのは、深喜毛織のそのような物造りに対する『想い、意志』をマーケティング、ブランディングに充分に生かされていないのではないかと思われる事だ。
当然、ブランディングの重要性は充分理解されておられると思うが、『深喜毛織の想い、意志』が業界はもとより消費者の段階にブランディングが出来ていないのではないかという疑問が湧いてくる。
物造りに携わって居られる方は得てしてこの点を軽視しがちだ。
寧ろ罪悪視する傾向が強い。
物造りの立場に立てば、重要なことで理解は出来る。
しかしながら、これからの“厳しい環境を生き抜く”ためには、物づくりに加えてブランディング力の強化に取り組まれるべきと考える。
(工場見学でお世話になりながら、余計なお節介とお叱りを受けそうだが・・.)
概して、大阪の物造りの現場では、概して、この傾向が強いのではないかとカネがね思ってきた。
 *タオル業界は、海外攻勢で大変な状態だが、タオル業界でも、
  海外には出来ない高級タオルの分野で“生き残り”の兆しが
  見えているようだ。
  『泉州のタオル』は、オーガニックコットンで強みはあるはずだ。
  ところが、アートディレクターの佐藤可士和氏のブランディングによる
  効果の『今治タオル』の後塵を拝していると消費者である私には
  見える。

昔から大阪の企業は、このような「ブランディングなるものは邪道である」と言う風潮があるのではなかろうか。
ブランディング力強化も“不況に生き抜く”ための課題と考えられるのではないだろうか!

深喜毛織に関する過去のBlog
‘07年3月2日 ’07年3月6日 ’07年3月7日
深喜毛織Ⅰ
深喜毛織Ⅱ
深喜毛織Ⅲ


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