地球族日記

ものかきサーファー浅倉彩の日記

このままではダメな件。

2010年04月06日 | お仕事日記
もし、日本に17カ所54基ある原子力発電所で事故が起きたら。

  経済産業省の担当役人は
  「その確率は交通事故より低い。事故のリスクを理由に原発を止めるというのは、
  交通事故が起こるから車を売らないと言っているのと同じだ」
  と言ってたけど。

  高級官僚が、交通事故と原発事故を同じレベルで語るなんて、、、とため息がほとばしり出たことは
  言うまでもありません。


もし、起きたら。

原子力発電所は、原子炉の冷却のために大量の水を必要とするので、
すべて海沿いにある。


  冷却に使われた水は8℃くらい温度が上がる。
  これは温排水と呼ばれる。

  実際、サーファー友達からは、
  浜岡原発の近くのポイントは水があたたかい、と聞く。

放射能が海に流れ出す。

  放射能とは、通常の原子が出さない中性子などを、
  文字通り放射している原子の総称。放射性物質ともいう。
  この中性子などが、人間の細胞を傷つけて死や病いにいたらしめる。
  総称なので、色々種類があって、有名なプルトニウムもそのひとつ。
  原子たちは不安定なので、中性子などを放射することで
  安定した原子になろうとしていて、
  安定するまで中性子を出し続ける。
  かかる時間は長いもので数百万年。

  数百万年。それはつまり、消えない、ということだ。

その放射能が原発事故によって海に流れ出したら、
私たちサーファーが愛するサーフポイントも、
海が与えてくれる素敵な時間も、
すべて消えてなくなってしまう。

それ以上に、放射能は水や空気や土に入り込み、
結果的に体にも入り込んで、内側から私たちの
細胞を傷つける。

これが、たびたび新聞で報道される"原発不祥事"の、
本当の怖さ。
"不祥事"で片付け、事実を一部しか伝えないマスメディアの責任も大きい。
政治資金"不祥事"とは、事の重大さのレベルが違うと思うけどなあ。
憲法で国が国民に保証している「生存権」にかかわる問題だと思う。


原発はクリーンとか、CO2削減に役立つというイメージが
刷り込まれているけれど、
それは原発やりたい電力会社の広告予算が莫大だから。
なぜそんなに広告予算があるかというと、
電力会社には、運営にかかった金額に一定の利益を乗せて、
そこから電気料金を計算する、という特別な経営が
国によって許可されているから。
電力自由化は部分的に実施されたけど、送電線網を握っている
既存の電力会社に圧倒的に有利な市場になっていて、
実質的に競争はない。

ある意味で、とても条件のいい会社。
そして、大きな責任やりがいと富と権力を握っている。
でも、電力会社の社長のポストを手に入れて、
勝ち組になったとしても、
ひとたび事故が起これば、
何もかも変わってしまう。
目の前のものや自分の手中に収めたものばかり見て、
必死に守ろうとして、毎日忙しく仕事をしているうちに、
そもそも大事なもの(=命)が脅かされている事を忘れている、
もしくは見ないことにしているんだな、きっと。

原発がCO2を出さないというのは、
あくまでも「発電時」だけ。
ちょっと想像してみれば、原料であるウランは日本にはないわけで、
遠くの国から掘り出して、タンカーに積んで、運んでくるときは
当然CO2を出していることぐらい、誰にだってわかる。

それに、日本の原発は地震のたびに止まるので、
止まった時には供給を補うために火力発電に頼ることが前提になっている。
電力会社は前述した特別な経営を許されているかわりに
「供給義務」を追うので、そこはきちんと補う。
おかげで中越地震で柏崎刈羽原発が止まったときも、
供給先である大都市圏は大規模な停電を免れた。
ありがとう。

でも!結果的に、CO2がたくさん出た。

90年度比でCO2排出量が8%も増えているうちの
9割は電力会社が原発の稼働率の低さを補うために、
石炭発電したことによるものだ。

原発でCO2問題は解決しない。

つまり原発は、
危険で、高コストで、低炭素性も低い。

他に発電方法がないかというと、
そんなわけがない。

今ある技術で、再生可能エネルギー社会は引き寄せられる。

再生可能エネルギーにも欠点はある。

だからこそ、原発をやめなければならない。

原発をやめる、と決めてこそ、
再生可能エネルギーの欠点を補う技術が進歩する。

このままじゃダメだ!と思うのだけど、
政府はどうやらそうは思っていないらしい。

「エネルギー基本計画 見直しの骨子案」
http://www.meti.go.jp/topic/downloadfiles/100324a02j.pdf

原子力立国を目指す方針と、技術開発戦略は、
原発が「夢のエネルギー」とされ、実際にやってみて何が起こるかわからないまま
計画が練られた1970年代から、まったく見直されていない。


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