地球族日記

ものかきサーファー浅倉彩の日記

人が大事。

2010年11月02日 | 自分日記
私は今、あんまりお金がない。
そして、これからもお金持ちになる予定はない。
だけど、今幸せで、これからも幸せでいる予定だ。



昨日、女子高生時代にすごくすごくすごーーくたくさん
一緒の時間を過ごした女友達が、
ロンドンから日本出張で帰ってきた。

4年ぶりの再会を喜び合った後、彼女は
「彩、ヒッピーになったんでしょ!」って満面の笑顔で問いかけた。

私から直接、東京生活からブラウンズフィールドに飛び出したことや、その経緯について話したことはなかった。
けれど、どうやら、共通の友達がそう伝えたらしい。

誰かが言った私についての言葉が、自分で表現しようとするより
端的で、シンプルで、的を射ていることってよくある。

言われて私は、最近別の友達に、
「インテリ・ヒッピーっていう新しい人種がいると思うんだよ。
例えば彩ちゃん」と言われて、けっこう気に入ってるんだってことを伝え、
その場にいた4人全員が笑った。
私はそのとき、11月初日の東京で、ロングTシャツにビーチサンダルをつっかけ、
グアテマラで買ったななめがけのバッグを左足で蹴りながら歩いていた。
そしてバッグの中には、ピュリッツァー賞受賞作ダニエル・ヤーギンの
「石油の世紀」が入っていた。

ヒッピーの定義は、
「よのなかを支配する体制的なしくみや考え方よりも
地球上のすべての"いのちの摂理"を大事にしてい生きる人たち」
だと私は思っている。
もちろん、これは時代背景によっても変わると思うし、
ヒッピーについてのとらえ方は人それぞれだと思うけど。

ちなみに、Wikipediaではこんな感じ。

※余談
「いのち」という言葉を使うとき、
神々しさと同時に、うすらさむさとか、うさんくささも
ついて回ると思ってる。
数年前に、社民党の福島瑞穂さんがテレビ討論で、
「今の政治はいのちを大事にしていない」と訴えているのを観たとき、
「なんかサムい」と思ってしまったことがある。
あれは、私の無知と誤解と無関心のなせる技だった。
だから、あえて使う。
だってそうなんだもん。

いのちの摂理からいくと、何よりも大切なのは、人と自然だ。
どちらも、曲線だけでできている。
どちらも、しくみが複雑で揺らいでいるから、大切にするのはとても難しい。

昨日も、私が大手メディア会社時代に
どれほど忙しくて疲れていたかが話題になった。
「浅倉はいつも、みんなの集まりに遅れて来て、『会社に戻らなきゃ』って言ってたよね。」って。
そういう頃を振り返ってみて、私は大切な友達を、
大切にできていなかった。と思う。

人を大切にするっていうのは、
なるべく元気な状態で、たくさん一緒に時間を過ごして、
言葉を使って思ってることを伝えて、
相手が言ってくれてることを聞くってことだ。

つまり、決して、高給取りの夫が妻にゴールドカードを
使いたい放題にさせるってことじゃない。

それで、実際のところ、人を大切にすればするほど、人生は豊かになる。
私は今、イタリアとメキシコと奄美大島と南伊豆とハワイと沖縄とジャマイカに、
泊めてくれて、一緒に時間を過ごしてくれる友達がいる。
全部、東京キャリア生活を卒業してから(つまりヒッピーになってから笑)
出会ったステキな友情だ。
私は彼らと私の間にある友情を、無邪気に信じている。
それは、お金を信じるよりも楽しいことだ。
お金があれば、世界中どこの高級ホテルだって泊めてはくれるけれど、
お金は、一緒に楽しい時間を過ごしてはくれることはない。

そして昨日、ジャマイカの次に、ロンドンが加わった。
「彩が一番最初に日本を飛び出すと思ったのに。何やってるの。
いつでもロンドンに遊びにおいで。その彼とでもいいよ。あと1年ぐらいはいるから。」と、
彼女が言った。

彼女が泊まる、東京タワーが見える高級ホテルの
夜更けのBarで。

「大人になったね」って笑いながら。
それぞれに、柿と洋なしのカクテルをすすりながら。
何度も何度もそう言った彼女の存在は本当にあたたかかった。

彼女との友情は、
手塩にかけて仕込んでずいぶん経ってから偶然見つけた味噌みたいに
熟成されて、丸みを帯びたいい匂いがした。

人生は奇跡だ。