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地球族日記

ものかきサーファー浅倉彩の日記

夕暮れ

2010年05月05日 | たまに詩人になります
気付くとぼくは、海に立っていた。
とおくのほうに、かすかに残る一本の線が、海と空の境目を告げていた。
しめつけるような群青にすべてをからめとられながら、
ぼくのこころは、くりかえし、きみといたとりもどせない時間を想った。
今想えば、奇跡としかいいようのない、
でもあのころは、そうとわかっていたはずなのに、
ただ無邪気に過ごしてしまったかけがえのない時間を。
もう一度、あのころのきみとぼくに出会えるのなら、
ぼくはきみになんと言うだろう。なんと言えばいいのだろう。
きっと、想っていることの100分の1も言葉にできずにぼくは、
この宇宙が生まれてからただひとつ変わっていない、
やさしくて残酷な時間の流れに身をまかせるにちがいない。

何度でも。

何度でも。

悲しみの交換

2010年02月02日 | たまに詩人になります
雲は風とともに 
風は太陽とともに 
悲しみは月とともに 
この星をめぐり
今日あなたのもとにやってきた
今日私のもとにやってきた

昨日、大切な友達がひとり、弱って私に電話をかけた
その彼は幾度となく孤独な夜を救ってくれた人だった
私が長いトンネルのまん中で、はるか先にある光を見失っていたときも
砂漠のまん中で立ち往生して蒸発しかけていたときも
私が私であることをありのままに受け入れて
やわらかな肯定の光で包んでくれた人だった
だから、昨日の晩私にとって何よりも大切だったことは
彼が心に詰まらせた濁りを自分の力で外に溶かし出す横で、
まったく無防備に暖炉の火と一緒に彼の言葉に耳を傾けることだった
それが何よりも大切なことだった

いつかの昔に私にめぐってきた悲しみは、
昨日、吹雪の中で彼をおそった悲しみは、
今、知らない誰かの心をノックし、
いつかの未来にまた、私にめぐってくるだろう

私たちは、友達だから、悲しみを交換する
悲しみを交換できるだれかがいることを、
私たちは、幸せと呼ぶ

エピローグ

2009年06月29日 | たまに詩人になります
過ぎゆく日々に、くさびを打つ音が、
黄金に萌えるmanaの下、ひびきわたる
ある日コンクリートを食い破り、
姿を現した天の使者は、
3日間で世界を飲み込み、
星は静寂に包まれた
種を持つもの、
物語を持つもの、
禁忌をかたるもの、
木と鉄を練るもの、
味を操るもの、
水と火をこねるもの、
愛をあらしめるものだけが、
無窮の荒野に残された
めぐりめぐる永遠の螺旋の果てに、
遙かなる海は
ひとひらの言葉の身投げに手を貸した
空に矢を放つ無数の手 
ぼくらの園 
苔むした石に刻まれた古き箴言の示す先で
3万4097メガメートルの未来が
清廉な産声を上げた

もうすぐ、新しい世界がやってくる


6月6日

2009年06月12日 | たまに詩人になります
くちびるがしびれるほど好きなせいで
今日はなんだか上手におしゃべりできない

大事ななにかを忘れてくのがこわくて、
心の奥の大事ななにかがこわれてく

もうおとななんだからって
過去には戻れないんだからって
言い聞かせたっていつだって
あの頃がなつかしいって
心底笑って空にさけびたい

かっこわるくたって
これが私の生き様だって胸張って
どこに続くかわかんないこの道を
堂々と歩いていけばいい

世界の裏側を暴くより
今ここにある奇跡を感じて
世界でたった一人の君に優しくしたい


ヘレンの言葉

2008年11月24日 | たまに詩人になります
人生で一番大切なことって何?
ヘレンは迷わずこう答えた。
友達だよ……
僕はこの言葉を一生忘れないと思う

星野道夫


ヘレンの言葉をおめでたいくらいに信じられる出来事がたくさん起きた。

明日海行かない?っていう小躍りしちゃううれしいメールの6時間後、
2人と2枚のボードは環七を走り出した。

今日は湘南。波の神様の今日しか使えないガイドで、道端の草にまで思い出がしみこんだ鎌倉の海に行くことになった。

驚くほどではない展開に感動しちゃうときが誰にだってある

途中、多摩川を渡るときに見た
ピンクの地平線と、真珠色の川面を私は一生忘れないと思う

そして、134号線から稲村ヶ崎越しに見たユキボウシの富士山も

空は嘘みたいにピンと晴れ渡り、あの頃の私たちと同じようにインカレ前の学生が風を操っている

あれダメだ うっかりセンチメンタル路線になってる

懐かしさはスパイス。昔合宿所だったボロ家がカフェになっていることを2人ともが耳に留めていて、見に行ってみたいと思っていたことをお互いが知ったのは今日、2008年11月22日のこと。

寒い寒い言いながらウェットに着替える。

ざばざば海に入っていくのを追いかけたら

突然首までボチャンて浸かってあったけー癒やされるフーッって叫び出した

天真爛漫を素敵に思ってうれしく笑った

穏やかに時間は流れて、私
あいかわらず友情と恋心の区別がつかない

だから結婚したいって言った

そしたらヤツは
苦労すると思うよおれマイペースだから
って言った

宮崎に転勤したら本気でついていきたいって言った

そしたら笑ってた

こいつオレのこと好きなんだなって思われたらしゃくだとか、手に入るとか入らないとか

大事なのはそれよりも今日の日が素敵だったってこと。素敵にしたのは絆と友情。

ヘレン、人生で一番大事なことは、やっぱり友達だね。


これはやはり

「結果が、最初の思惑通りにならなくても、
そこで過ごした時間は確実に存在する。

そして、最後に意味を持つのは、結果ではなく、
過ごしてしまった、かけがえのないその時間である。」
(『旅をする木』星野道夫)

につながっちゃうか~?

風見鶏

2008年05月29日 | たまに詩人になります
さびしさかたどった言葉

つぶやいて

南の空に投げた

涙ひとつぶキラリ

星になって消えた

あんなに近くにいたのに

もう二度と会わないと

決めた

古ぼけた思い出


大好きだったあなたのおと。

転がるように生きる私は

いつのまにか

通り過ぎてしまったの

隣で最後まで

聞いていられなかった

あなたの鼓動を 生きる音を 寝言を 寝息を

かすれた声でささやく

「おはよう」を

月が明るすぎる夜の

かわいた足音を

缶ジュースを開ける

音が知らせた

この世界の静けさを

Tシャツの背中で

指がすべって止まる

二人だけの一瞬を

見ないふりをした

振り返る風見鶏


にじんだ夜の足音

2008年05月27日 | たまに詩人になります
愛するということ
ただ人を、愛するということ

家で帰りを待つということ
二つの心が一つに重なる夢を見るということ

海のように風のように朝日のように夕焼けのように
君を包むということ
君に包まれるということ

えんぴつの線が心もとなくて
私は今日も電車に乗る

コーヒーの香りに誘われて足を止めたとき
君の髪の毛を思い出したの

あのジーンズを、覚えていますか?
君が好きだと言った

もう戻れない青春の日々
そっと忘れて砂に閉じた

ピンク色の雲が旅路の終わりに
落としていったひとひらの言葉

これで最後ねと何度も繰り返し
舞い落ちる涙でかすんだひと夏の夢

今からどこに行くのかは
きっと海が教えてくれるよ

音が、君の息をふるわせた夜
みっともないくらいに、溶けていったぬるい情熱

からっぽの心に
吸い込まれそうになるけど

いつかまた会えると信じて
空にむかってでんぐり返しをしたよ

雨の匂いに紫に染まったまつげ
薄れゆくからだ、追いかけることもやめた

交差点で振り返ったら
明日が、ほら、あんなにくっきりと
苦笑いでウィンクしてる

見上げた空の星影は濃くて
君はきっと悲しいほどお天気

本当のことなんて、どこにもなくていい
ただ今だけ、君のぬくもりにまどろんでいたい

原っぱで横になったら、
世界の割れ目がいじわるな口を開けた

ちぎった花を放り込んで、
私が埋めてあげる

もうさびしくはない
ここはあそこで、今があの頃だよ

君に私の、手のひらをあげる
耳たぶをあげる 
額の片隅のふわふわのうぶ毛をあげる

愛するということ
太古の森に隠された真実

青春の影

2008年05月27日 | たまに詩人になります
君の心へ続く 長い一本道は
いつも僕を勇気づけた

とてもとても険しく細い道だったけど
今君を迎えに行こう

自分の大きな夢を追うことが
今までの僕の仕事だったけど
君を幸せにする それこそが
今日からの僕の生きる印

愛を知ったために
涙がが運ばれて
君の瞳をこぼれたとき

恋の歓びは愛の厳しさへの
かけはしに過ぎないと

ただ風の中にたたずんで
君はやがて見つけていった

ただ風に涙を預けて
君は女になっていった

君の家へ続く
あの道を
今足下に確かめて

今日から君はただの女
今日から僕はただの男