のんきいきいき So(走) Happy! -櫻庭健一の日記-

いつも笑顔と感謝を忘れずに
甘っちょろいと言われても希望を捨てず生きる
過去の少しの試練はそれで乗り越えたのだから

父につく嘘

2013年11月23日 14時37分46秒 | Weblog
父につく嘘がある。
認知症を「利用して」の嘘だから罪深くもあるのだが。
父のためにつく嘘、と心の中で謝って使っている。

お風呂。
入れるのが結構難しい。
機能的にってことじゃない。
ひとりでお風呂に入ることは現段階でまったく問題がないから。
それでも「難しい性格」だからお風呂に入ってもらう方向に誘導するのが難しい。

「お風呂入ってくれる」
「お風呂入ろうか」
「お風呂だよ」

どれも反発する。
良くも悪くも根っからの社長さん体質。
人から指示されることを極端に嫌う。
「お願い」の形でもそこに少しでも指示の臭いがすると反発する。
長年の経験で辿り着いた妙案、てか良い表現。

「お風呂入りたかったらいつでも入れるから」

これなら大丈夫であることに気付いた。
指示の要素はないし、決断権は父にある。
ここでタイトルの父につく嘘の登場。

「昨日お風呂入ったっけ」

と父がここで聞いてくることがある。
正直に
「入ったよ」
と答えようものならさあ大変。
まず間違いなく
「じゃあ今日は入らない」
という答えが返ってくる。
そうなったらもうてこでも動かない。

そこでやむを得ず嘘をつく。
「入っていないよ」
そうすれば
「ああそうか」
と素直に入ってくれる。

毎日お風呂に入らなくてもいいじゃないかって話だが。
実はオシモの状態がおぼつかなくなっている。
やっとパンツから紙おむつに移行した。
その紙おむつに大きいほうをべっとりしていること、小さいほうで重くなっていることが多々ある。
そうなると衛生面からいって、毎日お風呂に入るというのも重要になってくる。

とはいえ父に嘘をつくのはやっぱり切ない。
育ててもらった恩。
それを嘘で返す。
切ない。
最終的には「父のため」と割り切るしかないわけで。

その他にも父のために細かい嘘をつくことがある。
「父のため」と言い訳はしてもやはり嘘は嘘だ。
心には重くのしかかる。
しっかりした部分を守る父。
おぼつかなくなる父。
子どもに還る父。
いろんな父が混在している。
出歩かない。
歩こうとしない。
外出は基本施設との往復だけ。
これでは衰えるばかりだ。

このペースで衰えていくとする。
たとえばあと十年とか。
そういうレベルで生きられるとは思わない、思いたいけれど思えない。
いろんな父を受け入れて。
最後まで一緒に生きていく。
できれば母のときと同じように。
お父さん。
嘘つきの息子を許してください。