冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

中国旅行して投資主導の成長を実感

2012-07-08 21:03:36 | 旅行
7月の第1週はバケーションをもらって海外に行ってきた。中国の南西部の山のほうです。
割と海外旅行はしているほうかもしれないけれど、中国本土はビジネス以外では今回初めて。
香港は住んでいたし、当然マカオも行ったけど、本土は何となく避けていた。何となくだが。
でも、特に大自然と少数民族の生活に興味があるので、ついに今回雲南省の麗江とシャングリラ(香格里拉)に行ってきた。
旅行の写真などは追ってブログにもアップロードするつもりだが、今日は帰りの飛行機のトラブルで日程が狂って疲労しているため、簡単に経済的なお話を。
それにしても、バケーションで旅行していてもいろいろ考えてしまう癖は得なのか損なのか。別に経済的な話だけじゃなくて、ああこの国の社会のこの部分はこういうことかとか、話ではこういうことになっているけど実際にはこれが核心だな、とか考えてしまう。まあ、自分のことだからいいけど。

今回の2つの目的地のうち、麗江は古城と言われる旧市街が世界遺産に指定された美しい町で、ナシ族という少数民族がこの町を作って反映させてきた。
美しい山地に囲まれた盆地に水路を縦横にめぐらし、ナシ族伝統の白壁もしくは灰色の小さめの石を組んだ壁にきれいにそろった瓦屋根で統一された家々が密集している。屋根にはナシ族特有の魔よけのようなものが乗っている。住民は伝統的に水路の水を生活に使っていて、統一感のある町並みと水を利用するナシ族の生活がNHKなどでも町歩きシリーズで取り上げられたりして、人気がある。
私も町並みとナシ族の生活に興味があったのだが、感想は。。。ウルトラ観光地化されていてテレビで見るのと大して変わらん!という哀しいものだった。
確かに町は美しい。しかし、本当に古い家々は限られている。むしろ、明らかに観光業の振興を目的として最近立て直したものが多い。
伝統的な建築様式に気を使っているので町自体は美しいが、そこに土産物屋だけでなくCDショップやピザハット、果ては何故かアフリカのドラムを売る店までも入って商店街を形成していては、ナシ族の生活とは関係なさ過ぎる。
ナシ族のおばあちゃんの中には、今でも竹で編んだ籠を背負って市場で買い物してきた姿を見せてくれる方もいる。
しかし、町で見かける伝統衣装を着たナシ族の人の多くは、なんと掃除のおばちゃん。
おそらく、中国政府あるいは雲南省が少数民族支援のために職をあてがってやっているという構図だ。
その極端な例が、町の中央の広場で輪になって踊るナシ族のおじいちゃん、おばあちゃん。普通に暮らしていれば別に毎日踊りたいわけでもなかろうに、観光客のために踊ることで一種の給料を政府からもらえるということで踊っているのだと思う。さすがに直接聞いて確かめたわけではないが。
そして、結局儲けるのはドカドカとこの地に流れ込んで店や旅館を牛耳る漢族。ナシ族のことを思って何となく腹の立つ重いであった。
というわけで、町で私が一番気に入ったのは実は市場だった。ここの活気は他の途上国の市場と比べてもかなり凄い。鶏肉なんか売っていない。牛も豚も頭から内臓まで完璧な品揃えだが。なぜなら鶏は生きたまま売られているから。素晴らしい。
ちなみに、郊外の村まで日焼けを恐れず自転車を往復で30~40キロくらい走ればナシ族の飾らない生活を見ることは可能だったので、その意味ではがっかりしなくてすんだが。

シャングリラは、イギリス人が20世紀前半に書いた「失われた地平線」という小説の元になった、と「自分で宣言した」とんでもない町。そして、その宣言とともに観光投資が膨らみ、一気に観光地化した。
私も行く前からこの部分については心配していたのだが、そうは言っても確かに3,400メートルを超える大高原地帯でチベット族がチベット仏教を信仰しながらヤクを飼って生活している土地だし、実際にチベット仏教大きな寺院とその壁画など美術品もある。
信仰に厚いチベット族の暮らしを間近に見ながら、抜けるような青い空と白い雲、金の屋根のチベット寺院、そして濃い緑の高原の牧場というのは魅力的に思われたので、だいぶ前から行ってみたかった。
で、確かにとても美しかった。空も雲も寺院も町並みも牧場も。
しかし、なんと旧市街の周りには、その1,000倍規模の新市街ができており、共産主義国家特有のウルトラ巨大箱物がどんどん作られていた。
総合教育施設なるものは中学校から歴史研究大学院まであるようだが、すさまじい巨大校舎。ホテルも市庁舎も病院も超巨大。
誰がこんなもん使うんだって感じ。ちなみに、麗江の近郊にもアメリカのGated Communityさながらの住宅地が作られていた。
大体、3,000メートル以上の大高原に片側3車線のハイウェイ作る神経が意味不明じゃ。

まったく、中国の成長の45%が投資に依存しているというのが実感として分かる旅だったよ。
そんなことを実感するのが目的ではなかったんだけど。

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