冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

Jazz現代の名盤 その44

2011-11-06 21:08:25 | 息抜き
週末息抜きシリーズです。そして秋の夜長シリーズ第3弾。

Whirl。Fred Hersch trip。とても叙情的な作品です。
徹底的に夜向け。太陽の下では聞きたくないアルバムでしょう。

Fred Herschというピアニストは結構有名な人で、このアルバムも広くよい評判を聞きます。Amazonのレビューなども好意的。
何でも病で2ヶ月も昏睡状態を経験しながらも生還し、リハビリ後に録音したものらしいです。そういう裏話はなしにしても、極めて抑制の効いた演奏は上品で奥深く、日本人の美意識にもマッチするものだと思います。
全曲完成度が高い演奏。パワーより美的な要素、穏やかなメロディ、優雅さなどを求める人向け。曲と曲の間のバランスもよい。
このアルバムについてのの海外の評価を見ても、エレガントとかリリカルとかいう表現が目立ちます。

秋の夜長や冬の寒い夜には、こういうアルバムが醸し出すしっとりとした雰囲気ととても調和するものです。
1曲目の"You're my Everything"を聞けば、安心してこのピアニストの美意識に任せることができると思うでしょう。典型的な叙情派ピアノトリオの演奏で、大人な音楽への期待を裏切りません。
Hersch自身の作曲である2曲目の"Snow is Falling..."や5曲目の"Mandevilla"、7曲目の"Whirl"などは、アメリカの白人ピアニストの知的なメロディと演奏が、これまた典型的で期待を裏切らずに展開されます。
要するにこのアルバムは叙情派ピアノトリオの予定調和型アルバムで、静かな夜に美しい音楽を合わせたい時にピックアップすれば間違いは起こりません。

Bill Evans信奉者は今でも多いと思います。Evans派とかいう言葉もあるくらい。
その方向のアルバムとしては、近年の白眉と思います。

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冷たい風のような火を燃やすものたち