冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

強風・ガスガスの谷川岳

2017-02-09 21:11:05 | 旅行
毎年冬の谷川岳には登っています。大贔屓の山なので。谷川岳自体もですが、雪の主脈稜線が大迫力。ただし、天気予報で晴れ・高気圧が関東を覆う、となっていても実際には綺麗に晴れてくれることは稀で、その美しさを堪能できる可能性は低めです。今回も天気予報では晴れだったのですが、実際にはかなり苦戦を強いられる厳しいコンディションの中の山歩きとなりました。

新幹線は使わず、上越線の水上駅を9時53分に出るバスで谷川岳ロープウェイを目指します。10時13分に着く予定。もっと早く着くことができればいいのは間違いないですが、この時期は朝一番だと強烈なラッセルを強いられるので、谷川岳のようなメジャーな山では敢えてスタートを遅くしてトレースができてから登るのも手です。
この日は晴れて風も穏やかなはずなのに、(確かにロープウェイの乗り場付近は晴れていましたが)山頂方面は雲の中。ロープウェイの中から湯桧曽川対岸の白毛門方面を見ても、やはり山頂は雲に覆われています。


そして、この日は意外と風が強かった。ロープウェイの終着である標高1,300メートル地点で8メートル。その後は10メートル以上の風だったでしょう。ゲレンデ横を15分くらい登って登山道に出てからは、多分15メートル前後の風だったはず。そして、ガスも結構かかっていて視界もあまりよくありません。


まあ、人気の山なので登山者は多いです。しかし、こんな状況だと景色もよくなくて、写真をあまり撮らずに黙々と登る修行登山状態。主脈稜線方面を見上げてもこの通り。


見下ろすと寒さが倍増の景気。


振り返っても、綺麗に赤城山方面が見えてくれるわけではありません。


標高差約700メートル、2時間くらいの登りですが、景色がよく見えない中で強い風に吹かれて飛ばされそうになりながら黙々と進むのは結構つらいです。


終盤、西黒尾根からの道と合流するところにある巨大な道標ですが、今年はほぼ完全に雪に埋まっていました。去年は台座がかなり見えていたのと対照的。去年は少雪、今年はなかり多雪のようです。


で、12時半頃に双耳峰の手前のピークであるトマノ耳に到着。


視界のない悲しい山頂。一応自撮りしますが、風速は体感20メートル状態。山頂にいる人も皆余裕なく、1,2枚山頂写真を撮って即下山。


私は、昨年の快晴のコンディションの時には登山者の渋滞に巻き込まれて時間が厳しくなってしまい、オキノ耳に行けなかったことを悔やんでいました。そのため、今年は少し危険な天候ではありましたが、勝手知ったる10分間の道なのでオキノ耳まで歩きました。

途中の岩に作られる自然の造形美。風が強すぎて写真撮る余裕がほとんどないので、構図とか考えずにシャッター切っただけです。


そして、まあ山頂はトマノ耳同様に残念な視界。登頂することに意義を見出しているんでいいんですけどね。谷川岳に対する敬意みたいなもので。


主脈稜線もほぼ見えない。これでも一瞬ガスが晴れた時ですが。


とにかく風が強くて危険な感じだし、何よりも寒いので早々に下山です。そして、ありがちなパターンですが、下山を始めると徐々にガスが取れてくるという展開。




半分くらいコースを戻るとこのレベルの青空。今回はお天気に恵まれませんでした。残念。1時間くらい登頂が遅ければいい景色だったでしょう。




日光白根山、武尊山方面も綺麗に見えます。


そして、ゲレンデ上の見晴らしのよいところまで戻ってきました。谷川岳はこの雄姿。これが見られただけでもよいとする。そうするしかない。


白毛門方面も晴れました。


ちなみに、風は最後まで強くて、このように雪片が地吹雪のように飛びまくっていました。


バスがタイミング的に来ない時間だったので、帰りは土合まで歩いて鈍行で東京に戻りました。地下駅で有名な土合ですが、高崎方面に行くプラットフォームは地上なんですね。


毎年恒例の谷川岳ですが、今年はちょっと残念な結果に。それでもオキノ耳まで行くことができたので達成感はあります。この冬の目標は白毛門。晴れた日に白毛門から望む谷川岳の姿が見たいのです。

今シーズン最初の雪山は上州武尊山

2017-01-29 18:29:05 | 旅行
天気図と天気予報を見ながら、いつもの冬と同じく有給消化のタイミングを計る日々。今年は1月に入ってからの寒波によって、主だった山々には結構積雪がある模様。天気さえ良ければ白い山と青い空、そして樹氷や霧氷にシュカブラといった絶景が待っていいるのはお約束。まずは1月26日の木曜日に、スキーバスを利用して上州武尊山に登って来ました。

新宿に7時集合のオリオンツアーのバスを利用します。目指すは川場スキー場。積雪は2メートル70センチということで十分。スキーバスの利点は、他の公共交通機関と違って現地まで直行だし、値段もお得なこと。リフト券付きで5,600円でした。電車やバスを乗り継いで、さらにリフト券を買うより断然お得。


10時半ごろにスキー場に到着し、早速登山届を提出してリフトへ。桜川エクスプレスとクリスタルエクスプレスを乗り継ぎます。リフトの降り口のところにいる係員さんに聞けば、登山口も分かります。リフトを降りたところからは赤城山がクッキリ見えました。この場所の標高は1,860メートルです。


前日まで降雪があり、平日なので入山者が少なければラッセル覚悟だったのですが、既に11時頃になっていたのが幸いし、先行者が10名程度いた模様。スノーシューはデポして最初からアイゼンで登りました。まずはこの岩を登って行きます。


かなりの急登を20分くらい強いられます。この時点では曇り時々晴れくらいの天気で、風が強く、午後にかけて雲が風で流されていくのに期待して登ります。
まあ、早朝に雲がかかっているとこのような霧氷に巡り合えるのがお得。アイゼンで木を傷つけないように注意しながら、霧氷のトンネルを抜けていきます。




振り返った図。既に結構登った感があるけれど、まだまだ序盤。この時点では雲がかかっていますが、この後直ぐに晴れました。


最初のピークとして目指す剣が峰が、ガスと風で飛び散る雪片の先に見えてきました。


雪庇が結構発達し始めていますね。歩くところを間違えると雪崩と共に落下は間違いなし。


12時前には剣ヶ峰(標高2,020メートル)に到着しました。道標は埋まっていて役に立たないですが、ルートは分かるので問題ありません。


武尊山の本体、沖武尊の姿をとらえましたが、まだだいぶ先が長い。


視線を右にずらしていくと、武尊山の他のピークが連なる稜線。稜線の位置によって雪の量はだいぶ違います。




さて、風が強いので早々に剣ヶ峰を下り、沖武尊を目指します。すると、樹氷ゾーンが見えてきます。


拡大。モンスターというほどには育っていないものが大半ですが、これくらいの樹氷はとても綺麗。


エビの尻尾が発達した木もあります。


樹氷ゾーンに向けて100メートルくらい標高を下げていきます。せっかく稼いだ標高がもったいない。今シーズン初めてのアイゼン歩行なので、足が重いです。


道標だったと思われるもの。今はモンスターの仲間になっています。まあ、立派なエビの尻尾だ。


谷川連峰~巻機山などの上越国境線の山々も真っ白です。こちらの方は、山頂付近に結構雲がかかっていました。


一方、時々武尊山の山頂を見ると、沖武尊の山頂には時々薄い雲がかかるものの、風が強いので直ぐに雲が移動する状況。これなら山頂でずっとガスに巻かれるということはなさそうです。


樹氷ゾーン突入。


結構モンスター級に育ったものもあります。可愛いと感じるのは私だけ?


太陽を背に。格好いい。


風が強いので、シュカブラもハッキリと形成されています。


そして、進行方向左手に雪の壁が。ここを登る必要はないのですが、その最上部が崩れつつある感じて怖かった。風も強かったし。風速は10メートルは優に超えていましたね。体感的に。15メートル前後じゃないかな。




そして、この辺りで振り返ってみると、剣ヶ峰が無茶苦茶格好いいことに気づく。樹氷や雪庇も従えていて。これ、自分の雪山史的にもかなりの絶景だと思います。


ちょっと拡大した図。風が強いので雪煙が舞っている。


雪庇を拡大。歩くところを間違えると雪崩と共に谷底へ急降下ですな。


ここからはひたすら急登です。一気に200メートル以上登るので、それなりにハード。でも、この日は体調が結構よくて、途中で立ち止まったりすることもほとんどなく順調に進めました。先行していた方々はラッセルで大変だったと思いますが、すでにトレースができていたので楽だったのも事実。まあ、それでも結構膝上まで沈むところは多かったですけど。風が強かったのも、本来暑がりの私にとっては悪くなかったです。会話を交わした何人かの方々は皆相当に寒がっていましたが、私はこれくらいの方が汗もかきにくくてよかったくらい。

山頂直下には風がつよくて作られた造形美が。草か低木なのかな。ただ単に風で雪の結晶が固まっているだけにも見えるけど。


そして、最後の急登を終え、1時頃に登頂です。最後は一生懸命足を運んでいたら、あっけなく山頂だったという感じ。まあ、風を受けながらまっすぐ進むのがたいへんでした。武尊山、標高2,158メートルの山頂ゲットです。


山頂は大展望台。苗場山や谷川連峰から上越国境の山々、そして尾瀬方面、日光白根山など、北関東の山々がほぼ全て見渡せます。


日光白根山の存在感は素晴らしい。あの山もこの日は快晴状態で楽しかったでしょうね。


これは尾瀬方面だったかな。至仏山と燧ケ岳は最後まで雲に隠れていました。


武尊山の稜線と日光白根山。


そして登ってきた剣ヶ峰方面。130メートルちょっとしか差はないですが、結構下に見えますね。上から眺めるよりも樹氷ゾーンから眺める方がいい感じ。


最後に一応自撮り。快晴で大満足。


20分ほど山頂で過ごし、下山を開始です。積雪の多い雪山の下山はふかふかなので膝への負担も少なく、たったと快適に下りることができて楽しいです。そして、武尊山の場合は進行方向に剣ヶ峰や樹氷ゾーンが見えるので、景色的にも下山時の方が登山時よりも楽しいです。


武尊山の山頂を振り返る。太陽の位置の関係で、この時間に見ると空の青が神秘的。2年前に登った蓼科山での快晴登山を思い出します。あの時のブルーも凄かった。


樹氷ゾーンに向けて、霧氷のトンネルを抜けます。


谷川連峰方面も完全にガスが取れた模様。この日はどの山に登っても満足度最高だったでしょうね。


再び樹氷ゾーンです。風で雪片が舞っていますが。


背後の上越国境の山々も格好いい。


シュカブラもやはり見事です。下山時には登山時と視点が変わるせいか、同じルートのピストンなのに気づくものにも違いが出ます。あとは、風が強くてあまり顔を上げていられなかったせいもあるかも。




剣ヶ峰の絶景ポイントも近づいてきました。


太陽も従えて、格好いいったらありゃしない。南極でもヒマラヤでもなく、群馬県ですが。




いつまでも見ていたいですが、後続者のじゃまになるといけないので剣ヶ峰に登り返します。剣ヶ峰から見た山々はやはり美しかった。


そして、最後にゲレンデ奥にあった大きな岩を下ります。その前に雪庇が凄いところがありました。まあ、これだけの積雪と風があればこうなるのでしょう。


やはり雪山の下山はペースが速く、2時半頃にはクリスタルエクスプレスのリフトトップに戻ってきました。風が遮られるところなので余裕があり、15分くらいダラダラ目のペースでアイゼンやスパッツを外し、戦闘モード解除です。


リフトで楽々下山したら、遅めの昼食です。川場スキー場は施設が新し目なのか、レストランも充実しています。登山の後はカレーの原則に従いましたが、ここは「タンドール」という東京に本店を持つ本格的なインド料理のレストランがあります。登山後に日本カレーではないカレーは初めてだった。


上州武尊山、快晴に恵まれてとても楽しい雪山登山となりました。今年のシーズンは幸先い感じ。できれば唐松岳とか乗鞍岳、八ヶ岳の赤岳か阿弥陀岳にも挑戦したいと思っています。

紅葉前の北ア 五竜岳~唐松岳

2016-10-03 22:51:29 | 旅行
9月の10日と11日の土日で北アルプスは後立山連峰の五竜岳と唐松岳を、テントで1泊のプチ縦走しました。
2年前の秋には後立山の盟主とされる名峰で百名山の一角、鹿島槍ヶ岳にテント泊初心者として臨み、お天気に恵まれて北アルプスの大絶景を楽しみました。鹿島槍ヶ岳の北側にあるのは同じく百名山の一角である五竜岳。ただし、この2つの名峰の間には八峰キレットと呼ばれる難所があるので、安全第一の私としては避けていました。まあ、今なら小屋泊装備であれば恐らく問題なく歩くことができるように思いますが、今回はテントでまったりしたかったのもあるのでここはパス。代わりに五竜岳のさらに北側にある唐松岳との縦走プランです。唐松岳は北アルプスの中では珍しく厳冬期でも一般登山者が登ることのできる山なので、いずれ冬季にも行ってみたいと思っています。

さて、いつもの毎日アルペン号ですが、山行を決めたのは何とバスの出る当日の金曜日。予想天気図がコロコロ変わる週で、当日まで土日の天気に自信が持てなかったのが最大の理由。いつもより大分早めに退社して慌ててパッキングしてバスに乗り込みました。
そして、問題は白馬五竜のエスカルプラザ前でバスを下されてからの2時間。と言うのは、5時頃にバスを下されてから7時半頃に動き出すゴンドラを待つことになるからです。もちろん、ゴンドラを待たずにゲレンデ脇の道を登って行けば時間を無駄に過ごすことはないのですが、体力を無駄に削ることになります。ここは体力温存重視でベンチでウトウトしたり、小さい植物園で花を見たりして過ごしました。幸い、お天気は悪くなさそうだ。


そして、ゴンドラの運行開始です。この頃までにはかなりの数の登山者がマイカーで到着していました。


早速リフト越しに五竜岳~唐松岳が見えます。真夏に行った南アルプスとは明らかに山容が異なる。緑多き南アルプスに対して、やはり岩稜の迫力が北アルプスの魅力。


ナナカマドの紅葉はまだまだですが、実は赤くなっていました。いい天気です。今のところ。


五竜山荘への道は遠見尾根という尾根を行きます。遠見尾根には小遠見、中遠見、大遠見などの小ピークがあり、そこからの眺望がいいので、天気がよければ敢えて巻かずに全部登るのがいいと思います。それほどアップダウンもなくてよい登山道だと思いました。が、序盤から終盤までずっと階段が多く設置されていて、これが地味に体力をけずる。


まあ、階段で削られる以外は快適です。まだ標高的に森林限界を抜けないので時々見晴らしのいいところから眺める程度ですが、白馬三山方面も見えます。


そして五竜岳。なかなかゴツイですね。


五竜岳と唐松岳。今回のターゲット。


Google+がいつものようにパノラマ化してくれた写真。このような眺望だけでも十分楽しめると思うので、無理やりピークハントする意味は実はほとんどないと思う。


もう一度白馬三山方面を見ると、徐々に夏雲が上がってきています。もう9月なのですが、気温が比較的高かったこともあり、雲の上がりが急でした。


なお、遠見尾根は比較的楽なようなことを先ほど言いましたが、ゴンドラを下りたところから五竜山荘まで標高差は960メートルあります。累積では当然1,000メートル以上の標高差があるので、テント泊装備だと楽ではないはずです。死にそうに苦しくはなくても。そして、その苦しみは後半に一気に訪れます。ちょっと地図を見落としていて、後からかなり苦しみました。

高山植物は、時期的にあまり目立ったものはありませんでした。季節外れのアカモノ?


いつものコゴメグサ。


エゾリンドウでしょうかね。


この辺りは名称不明。




それにしても、だいぶ雲が上がってきてしまった。


登山道も雲の攻撃を受けている。


それでも、まだこの時点では白馬三山から五竜岳までの稜線は綺麗に見えていますね。




展望のよい小遠見に着きました。階段で結構削られましたが、既に470メートルくらい標高を稼いでいるので、この時点では五竜岳の遠見尾根は楽勝なんじゃないかと思っていました。後でとんでもない反撃を受けますが。


双耳峰の鹿島槍ヶ岳方面も見えます。この時点で鹿島槍の山頂にいれば、立山連峰から槍・穂高連峰まで前部見渡せたことでしょう。


五竜岳。相変わらずゴツくて迫力満点ですが、背後が青空から白い雲に変わりつつあるのにお気づきでしょうか。


中遠見に到着。


ここではテント泊装備で楽しそうに3人で登山されているグループの方々と少し語らい、写真も撮っていただきました。ありがとうございます。この日は思いのほか暑かったので、シャツの2枚重ねは必要なかったですね。


再び鹿島槍ヶ岳方面。


そして五竜岳。同じモチーフの写真ばかりですが、高山植物の時期ではないのでどうしても山の写真が多くなる。


中遠見から進む道でも階段に地味に削られていきます。まあ、まだこの頃は余裕あった。それがいけなかったような気もするけど。持っていたパンとか積極的に食べた方がよかった。今思えば。


大遠見到着です。


やはり眺望よろしい。


が、ガスが確実に上がってきている。ガスとの競争には基本的に勝てないことを経験的に知っている人は多いはず。


つかまってしまいました。


ここからは西遠見と名付けられた場所まで、これまでとあまり変わらない比較的楽な道が続きます。途中には少ないけれどお花も咲いていました。








西遠見からは登山道の状況は一変します。森林限界を越えてガレ場でかなりの急登。危険な感じではないですが、苦しい登りです。その序盤はガスの先にそれなりに眺望を求めたりして余裕があったものの、途中からバテバテ。


バテすぎて写真も撮っていません。鎖場も登場するのでそれなりの岩場ですが、道の難度の問題ではなくてシャリバテでしょう。栄養補給のタイミングを失敗しました。ゴンドラを下りて登り始めたのが8時前というタイミングでいつもよりもかなり遅かったこともあったと思いますが、遠見尾根が意外と楽に行けてしまったので舐めていましたね。最後の登りは普通のアルプスの高山の厳しさがありました。シャリバテたタイミングでパンなどを口にしても、エネルギー化するのにある程度時間がかかるから遅いですし。

バテバテで14キロの荷物でふらつきながらも五竜山荘手前の白岳に登頂し、五竜山荘に向かいます。足がふらついていて、何でもないガレ場で軽くスリップも。南ア縦走をこなして自信過剰になったとは思えませんが、この日の山行は褒められたものではないですね。ソロなのでもっと気をつけないと。


五竜山荘は鞍部に建てられていて、至近のテント場は稜線のテント場です。稜線は風にやられると怖いですが、幸いこの日は比較的弱い風で助かりました。
山の東側(長野県側)からは雲が上がってくるのですが、西側(富山県側)は比較的晴れていました。


テント設営後はパンなどを食べて休憩。ウトウトと2時間くらい休む。


五竜岳は雲の中。これでは登頂しても何にも見えませんね。と言うことで、疲れもあるし今回は山頂は諦めようかなと思いました。


後立山連峰は、東京からの公共交通機関アクセスが比較的よい山域です。従って、天気のいい時に八峰キレットに挑戦する時に五竜岳に登頂すればいいや、などという弱気の言い訳が自分の中に響きやすいのです。が、意を決して3時頃にアタック開始。1時間弱で登頂できるはず。時間的にはこれより遅くなると日没も意識することになりかねませんから、ぎりぎりの決断。
山頂への道は、アルプスの岩稜帯の山らしい感じです。普通に岩場、鎖場で、それなりに注意が必要です。


で、山頂までガスの中をよじ登って行くと、山頂直下で少し青空が見え始めたではないですか。


そして4時前に登頂。


周囲はガスに覆われていて展望はないのですが、なぜか五竜岳山頂だけ日が当たっているという状況。空が格好いい。


八峰キレット方面。キレットは雲の先です。手前に見えている尾根ではありません。


他の登山者の方も4~5名いらっしゃって、皆で45分くらい雲が切れるのを願っていたのですが、結局ダメ。一瞬だけ剣岳の影が見えたものの、写真を撮る余裕すらないくらいの一瞬でした。鹿島槍方面が見えなかったのが個人的には残念。まあ、これはホントに八峰キレットに挑戦してリベンジですな。最後に山頂写真をもう一枚。


テント場に戻ると、ガスに覆われていました。


この日の五竜岳は、軽装でサクッと11時半頃までに登頂しない限り山頂はガスに巻かれていたと思います。その中では、比較的恵まれた時間帯に登頂できたのだと思うので、神に感謝です。
晩御飯はカレー。1泊テント泊の定番である。ソーセージを茹でて入れるのも定番。まあ、工夫はない。


夜間は心配した雨も風もなく、比較的よく眠れました。そして翌日。天気予報では天気は下り坂だったのですが、私は午前中は北西の高気圧がそれなりに頑張ってくれると踏んでいました。夜明け前にテントを撤収し、白岳山頂でご来光を狙います。
夜明け前の五竜岳。


そして唐松岳。


白岳の先が既に明るくなり始めています。急がないと。


長野県側は雲海。


そして、雲海と高い位置にある雲のミルフィーユ状態の間から太陽が出てきました。


まん丸の太陽ではないけれど、これはこれで幻想的で美しい日の出でした。天気予報に勝った瞬間。


明るくなった後、五竜岳を見上げる。朝焼けにはなりませんでしたが、相変わらずゴツくて堂々としている。


そして唐松岳。これから歩く縦走路も見えています。一回かなり下ってから登り返しますね。結構大変そうだ。


少しずらして唐松岳から長野県側の八方尾根。今日の下山で使う尾根です。長野県側にある雲が早々に上がってこないことを祈るのみ。


唐松岳山頂ズーム。山頂でご来光を狙ったと思われる多くの人がいますね。


富山県側の景色。見えている山は毛勝山などでしょうか。この角度だと立山、剣岳は五竜岳の尾根に隠れてしまって見えません。


さて、縦走です。アップダウンはそれほど厳しくなかったと記憶していますが、それでも北アルプスの縦走路ですから、200メートルくらいは下って登り返すイメージです。ハイマツ帯越しに五竜岳を振り返ったりしながら進みます。


唐松岳がだいぶ大きくなってきました。唐松岳の手前は大黒岳。その後ろには牛首と呼ばれる岩場の難所があります。キレット状態ではないものの、昨夜テントで隣になった方の情報だと、かなり険しくて五竜岳直下の岩場以上に苦労する模様。しかもテント場からアタックザックで登った昨日の五竜岳とは違って、今日はテント泊装備のザックを担いでいますから気を引き締めてかからないと。


途中、シラタマノキやヤマハハコがちらほらありました。


この辺りまで来ると、五竜岳の向こうに剣岳、立山などの立山連峰が見えるようになります。


ちょっと日も当たっていい感じ。


剣岳にズーム。


その先には立山。さらに奥には巨大な薬師岳。昨年の夏に登頂した北アルプスのビッグマザー。


進行方向。雲海の上を歩くのは好みです。


一方、牛首にたどり着く前には五竜岳は長野側からの雲に飲み込まれつつありました。


そして、滝雲のように富山側に雲が落ち込んでいくという景色。稜線を挟んで上昇気流と下降気流なのか。


牛首の難所に差し掛かりました。鎖場が多いです。


ここで、50代後半の夫婦とみられる登山者から前に行くよう促され、こっちはテント泊装備で向こうは軽装だったのですが先に行くことにしました。ところがこの二人、どうやら女性の方はかなりゆっくりなのに男性は早いペース。私の後ろにピッタリついてきます。岩場で危険なので間隔を空けて欲しいところだし、何より自分から先に行くようお願いしておきながらピッタリ着いてくるのはかなり失礼。しかも、私が掴んでいる鎖を下から掴んだりして危険極まりない。思わずしかりつけました。安全を脅かすのはホントやめてほしいよ。
まあ愚痴っても仕方ない。折角のアルプスを楽しみましょう。牛首の難所からも、振り返ると立山連峰が見えます。


ザ・五竜岳も。


これを越えればそろそろ縦走も終わりかな。


その通りで、やっと唐松岳頂上山荘到着です。かなり大きな山小屋です。ここから唐松岳山頂へは20分ほど。


はい、到着です。標高2,696メートルの唐松岳は300名山指定を受けいます。この山が名山というよりも、この山からの景色が凄い。


まずは南側に五竜岳。その奥には蓮華岳、針ノ木岳や水晶岳、さらには槍・穂高連峰も。






針ノ木岳は既に雪渓がないですね。今年は雪不足だったので。いずれにしても、山頂近く以外は雲の下のようです。


南西方面は立山連峰。薬師岳と立山から。


そして剣岳のギザギザ。


北側には不帰の嶮の先に白馬の峰々。


北西は日本海が見えます。


唐松岳頂上山荘方面。長野県側の雲海が迫力。下界は曇りだな。


山頂では皆さん写真をそれぞれ撮りあっていますので、私も五竜岳を入れて撮っていただきました。


五竜岳にも雲海が徐々に迫っている。




白馬岳方面も。


ということで、またまた45分くらい山頂で遊んでいましたが、雲の襲来を受ける前に下山することにしました。時間的には余裕なのですが、白馬八方の温泉でゆっくりするのも悪くないと思って。下山を開始するとすぐにホシガラスがいて、ハイマツの実を取って食べていました。




下山中、上がってくる雲につかまる瞬間。こういう瞬間は格好いい景色ですね。


ということで、丸山ケルンはガスの中でした。


下山中は少しは紅葉が見られるかと期待もしましたが、まだまだでしたね。


八方尾根は高山植物も豊富なようで、時期がよければ大お花畑なんだろうと思わせる場所も幾つかありました。


まあ、ワレモコウの大群落とかあった。尾瀬よりずっと凄い密度。たいしたもんだ。


白樺の道。大分標高を下げてきましたね。紅葉の時期は綺麗な紅葉トンネルになるのでしょうか。


ウメバチソウやマツムシソウがちらほら。




八方池まで下りてきました。人生初八方池はガスにやられることが決定。


白馬三山をバックにした雑誌でおなじみの景色は当然望めません。まあ、稜線と山頂の景色を十分楽しんだので、今回の山行は既に勝利に終わっていますが。




ここからは木道になり、観光客の方も多いエリアです。花の時期に晴れれば、高山植物&八方池と白馬三山の絵で十分感動できそうです。


ノコンギク。水色の花が上品で、この季節では好みの花。


このあたりも、紅葉シーズンには赤や黄色に染まるのでしょうか。


そんなことを思いながら下山完了。と言うか、八方池山荘まで下りたら後はリフトとゴンドラを乗り継いで下界に戻ります。白馬の町を見ながらゆったり下山。これも悪くないです。体力の限界まで頑張って激下りするばかりが山歩きではありません。そう、農鳥岳から奈良田に下りる大門沢ルートなどは早めに忘れるべきです。


高原の牧場。のどかなものだ。南アも下山する時にはこういうのどかさがあってもいいと思うが、全然ないのが南ア。こういうところが北アに人気で負ける所以か。


白馬の町に下りてきました。15分くらい歩いて八方の湯に入ります。この温泉施設が帰りのバス停も兼ねています。




アルカリ性の泉質のようで、ぬるっとした感じのお湯でした。この日はトレランの大会をやっていて混んでいたのが想定外。
昼食は、八方美人というラーメン屋さん。温泉の湯を使ったラーメンとのこと。味は可もなく不可もなくという感じでしたけど。


バスの時間までは、近くのカフェでビール飲んだりして過ごしました。
五竜岳~唐松岳、それほどきつくないルートですが岩稜帯の楽しさも味わえるし、眺望が利く日であれば北アルプスらしい稜線からの絶景がまっています。稜線のテント場のテント泊も、風雨の問題がなければ楽しいし。まったり系のルートで景色だけはしっかりアルプスというお得な山域ではないでしょうか。是非とも天気図をしっかり読んで行ってみることをお勧めします。

南アルプス縦走の旅 その5 間ノ岳~農鳥岳~奈良田

2016-09-27 22:28:58 | 旅行
縦走している時は辛いけど楽しいし、景色や花に感動しているし、歩く時間だけでなく起きる時間や寝る時間も含めて時間管理もちゃんとしているし、もちろん滑落などの事故にも会わないように気を付けているから、色んな意味で気が張っています。ソロ登山の場合皆さんそうなんじゃないでしょうか。私の場合、無意識ながら結構必死で縦走の毎日を過ごしているのだと思います。結果として、下山すると2キロまではいかなくても少し痩せるし、筋肉が張った状態が2~3日続きます。

考えるのは、あまりに長期間だったり1日のコースタイムが長すぎたり、大キレットのような長大な難所を含む旅はしないようにしようということ。どこかで気が抜けたりして事故を起こしそう。1週間とか2週間とか山籠もりする人もいるようだけど、私の場合はやめた方がいいのだと思う。ソロテントでは。あるいは、1日に歩く時間を平均6時間程度にしてアップダウンも少なめにするとか、難所がある場合は翌日楽な日程を組むとかしないと。

今年は遭難者がかなり多いらしいですが、明らかな準備不足やその反対で本当に不運な事故もあるでしょう。が、自分がもしも事故を起こすならちょっとした、一瞬のミスのような気がする。そしてそれは疲労が原因となる可能性が高いと感じている。ということで、この南ア縦走の旅も、ある意味で丁度いいレベルで計画実行できた冒険だったのだと思っています。

縦走4日目、日の出からまもない間ノ岳の山頂です。記念すべき初山の日の朝日と富士山。


南をむけば、これから歩いていく農鳥岳が左手前に。右には2日前に歩いた仙塩尾根と塩見岳。その奥には南アルプス南部の名峰たち。


南部方面ズーム。


農鳥岳アップ。ゴツいイメージですね。その奥には白峰南嶺から続いて笊ヶ岳などの山々が見えます。まあ、上級者の山域で、私は当分踏み込めません。


北の方は当然北岳。そして甲斐駒ヶ岳と仙丈ケ岳。前日は、この標識の左下側、三峰岳方面から登って来ました。今日は北岳方面から来て、農鳥岳方面に向かいます。


ザ・北岳。


空気のせいか、前日ほど空が真っ青ではなくて、少しぼんやりした感じの空気。これはこれで朝っぽくて悪くないですけど。
前日北岳山頂でもやった、登山靴と山のコラボ写真。お世話になっている登山靴と北岳。


そして富士山と。雲海に浮かぶ富士山を堪能。


こちらはザックも入れて。南部方面の名峰と。


自撮り。


さて、農鳥岳に向かいましょう。とは言っても、農鳥岳も格好いいのでなかなか写真を撮るのをやめられない。
農鳥岳と雲海の上に浮かぶ富士山のコラボ。農鳥岳からの大きな尾根は大唐松尾根でしょう。バリエーションルート。ハイマツ漕ぎでたいへんらしいですが、実は雪山シーズンに利用されるようです。上級者のブログを見る限り。


農鳥岳&南アルプス南部の名峰たち。雲があるのが山脈の東側だけで、大井川源流方面は雲がないのが分かると思います。雲がどこで発生してどう動くのか分かりますね。


農鳥岳拡大。農鳥小屋も見えています。赤い屋根が稜線に映える。北岳山荘の構図と似ている。


拡大。この稜線も格好いいです。北岳~間ノ岳稜線に負けない迫力。やはり白峰三山。雰囲気的にもちゃんと3つ揃ってますね。


農鳥岳で一番高いところは西農鳥岳ピークで、標高3,051メートル。これは農鳥小屋の奥にそびえるところの一番高いところでしょう。農鳥岳のピークは3,026メートルですが、これは1つ前の写真の左側でこぶのようになっているところだと思います。いずれにしても、あそこまで縦走するのは大変そうだ。地図で見て分かっていたことですが、この日のルートは結構厳しそうだ。

で、ここからはいったん農鳥小屋を目指して間ノ岳を下ります。この下りが結構なガレ場で神経を使いました。山歩き4年目ですが、やはり下りのガレ場は得意でありません。どうしてもペースが落ちる。そして、オンタデの写真を撮っていつもの現実逃避。


今回は面倒がってよくなかったですが、本当はこういうガレ場の比較的急な下りのルートではストックはしまうべきですね。あまり役に立たないと感じます。いざという時は手を使う方がずっと安全。ストックは、基本的に登りの樹林帯や比較的勾配の緩い稜線で使うだけにした方がよいと思っています。
で、ストックのせいではないですが、転ばないようにノロノロと下っている途中で少し休みながら撮った塩見岳、荒川岳&赤石岳、農鳥岳のズーム写真。写真撮ることを言い訳に1,2分立ち止まるのはいい休憩になるんですよ。実際。






そして、鞍部に建つ農鳥小屋。深沢さんだったかな。怖いということで有名な小屋番さんがいるところですが、どうやら小屋番さんの朝食タイムだったようでお会いできず。まあ、この小屋に飼われている犬にはしっかり吠えられた。


農鳥小屋のテント場はスペースがかなり余裕あるように見えました。日程が合えばこのロケーションは悪くないと思います。大門沢経由で奈良田に下るにもよいし、ここから間ノ岳方面に向かうのも、間ノ岳を回避して熊ノ平に向かうのも、いずれのルートを取るにも便利な位置でしょう。
そして、景色もいい。特にこの日は雲海が格好いい。鳳凰三山方面。


富士山方面。


これから向かう西農鳥岳。凄く険しい訳ではないですが、やはりテント泊装備で4日目となるとかなり疲労もあるのか、楽ではなかったです。あとは風。この日の風は結構強くて、稜線ではレインウェアの上着をずっと羽織っていました。


農鳥小屋から少し進んだところで、西側の展望がよい場所がありました。仙塩尾根が見える。


小さく見える熊ノ平の山小屋も発見。ここからのコースタイムは間ノ岳をトラバースするルートで2時間半ということですが、実際に見ると随分と遠いイメージです。


西農鳥岳を登っている最中に振り返って間ノ岳。やはりどの方角から見てもこの稜線は格好いい。そして、間ノ岳からの下りの道が楽でなさそうなのが分かるはず。


取りあえず斜面を登り切ったところで一息。塩見岳方面。蝙蝠尾根が完全に見える位置になりました。塩見岳、2日目に登頂してから後はどんどん離れていって遠くに見えるようになったのに、ここに来てまた少し近づいた。


振り返って間ノ岳と北岳。仙丈ケ岳も見えます。北岳がだいぶ小さくなりました。北岳の奥は八ヶ岳ですかね。


進行方向には、これから歩く稜線の上に富士山。このルートもまたまた絶景ルートですね。


ほとんど他の登山者がいませんが、いるとすると私より体力ある山歩きに慣れた感じの人だけです。まあ、マイペースで行きます。天気もいいことだし。
どうやら西農鳥岳の山頂らしきものが見えてきました。


登頂。1時間程度かかりました。コースタイムより少しかかったくらい。やはり疲労があるのか。まあ、大きな岩をよじ登る訳ではないけど、それなりの岩稜なので落石などに気を付けて歩きますからね。


この稜線をしっかり眺められるのはここで最後のはず。北岳~間ノ岳~農鳥岳稜線、素晴らしかったです。


この先の道。雲海を越えて富士山に続いているように見える。


もちろん、実際には農鳥岳から先は白峰南嶺の稜線が続いています。こちらも東側が雲海でいい景色です。


ここでイワヒバリ。


西農鳥岳から農鳥岳本体の山頂への道。それほど厳しい傾斜ではないんですけどね。なぜかハーハー言いながら歩いてました。3,000メートルで空気薄いせいでしょうか。


右手前方には仙塩尾根、蝙蝠尾根、そして塩見岳、その背後に荒川岳など。このルートから見ると南アルプス南部の山々の位置もよく分かります。


そして、どうやらやっと農鳥岳山頂のようです。山頂には結構人数の多いパーティが3組ほどいて、賑わっていました。


振り返ると、北岳が角度的によく見えていました。


そして鳳凰三山。


農鳥岳から見える富士山。残念ながら少し雲がかかっている。


そして塩見岳。もうおなじみになってしまいました。まあ、このシーン見に来るの大変なんで、写真多くても許してください。


農鳥岳山頂から続く大唐松尾根。バリエーションルートって、これ、まったく道がついてないように見えますけどね。


ここでも休憩含めて30分ほど時間を消費。他のパーティが出発されてから写真を撮りました。もう一度、北岳・間ノ岳を入れて山頂標識。


そして、これから下って行く道。その先には白峰南嶺。まだまだ道は続く。大きい山脈だ。


農鳥岳から大門沢の下降点までは素直な下りで、コースタイムどおりに歩くことができました。花も少し咲いていたけれど、これまでの、特に北岳の大お花畑の後だとやはり見劣りするのは否めず。




そして下降点。10時くらいだったと思います。印象的な黄色の標識と鐘。


雲海が見事な東側が開けているので、韓国から来られた登山パーティの方に写真を撮ってもらいました。




さて、体力的には何とか大丈夫そうなので、ここから往復1時間で白峰南嶺で一番北に位置する広河内岳を目指します。何度か書きましたが、白峰南嶺は山小屋も水場もないルートなので経験者向きで、ルート自体もハイマツ漕ぎ、藪漕ぎの厳しいところらしいです。しかし、広河内岳までなら初心者も問題なく行けるということで、南アルプスの大きな尾根の一部でも味わうために行ってきました。
実際、広河内岳への道はこれといって特徴ないので問題なく登頂できます。標高2,895メートル。地味な山ですが鹿島槍ヶ岳よりも高いという事実。八ヶ岳の赤岳より4メートル低いだけ。


ここから眺める白峰南嶺は気持ちいい感じで南にまっすぐ伸びていて、最初は森林限界の上を岩やハイマツの道が何となくイメージできますが、次第に樹林帯(実際にはハイマツ帯かも)の緑に道が吸い込まれていきます。こういう道を一人で歩いて山に入っていくのが、一段違うレベルの山歩きなんでしょうね。岩峰の岩登りもレベル高いと思いますが、道なき道というかけ獣道を進んで深い山に入り込むのも別の興味をかき立てるものがあります。




そして、白峰南嶺に並行して走るのは仙塩尾根。こっちは2日目と3日目に歩いてきました。長かった。2日目の最後の方はかなりバテていた。


最後に農鳥岳を振り返る。


さて、大門沢下降点に戻って本格的な下山開始です。この日は大門沢小屋にテントを張る予定。奈良田第一発電所の登山口までだと標高差1,900メートルくらいになるので、時間的にもここは丁度中間地点にある大門沢小屋を利用します。山の日ですが、このルートであれば北岳と違って無茶苦茶混雑するとは考えられないし。と、思っていました。

その前に、下降点で会ったソロの男性登山者。農鳥岳に向かうのかと思ったら広河内岳方面に向かうので、白峰南嶺に向かうのかどうか尋ねたところ、XX沢に下ってテントを張ってゆっくりするとか。翌日間ノ岳に登るとか。その時聞いた沢の名前は思い出せないのですが、池ノ沢だったと思います。いずれにしても道なき道。そして大井川源流から間ノ岳。ホント、南アの登山者はレベル高い人が多いです。さて、広河内岳を眺めつつ下山開始。


ところが、この道が一般登山道とは思えない。急な上にえぐれていたり、凄く細い道で片方が完全に切れ落ちていたり。大きいザックだとザックをハイマツなどにぶつけてよろけることがあるので危険です。それにそもそも道が凄すぎて、先行者がスリップしたあとが随所に。こことかも、右側にロープ見えますけど、ロープ掴む余裕もないし。塩見岳の岩場なんか目じゃない難所です。今回の山行で一番の難所はこの下山コースで間違いない。


倒木多いし。


木の根の下、道が雨のためか深くえぐれていて、ズドンと落ちたら怪我するレベル。慎重に行くのでペースはゆっくり。下山でこれほど苦労したのは初めてです。山歩きを始めた年の鳳凰三山で、ドンドコ沢コースを下った時も二度と行きたくないと思いましたが、その感覚以上。それに、当時より体力も技術もついているから、こっちの方がキツイ道だと言えるでしょう。


何とかスリップもせずに大門沢の見えるところまで来ました。ここまで来れば多少は道がよくなります。まあ、傾斜の斜度の問題でしょうけど。


高山蝶が癒しを提供。


でも橋も壊れていて怖い怖い。この道、登りでもあまり使う気が起きません。農鳥岳、次に来るのはいつになるか。


やっとのこと大門沢小屋到着です。結局はコースタイムとほとんど変わらず、1時半過ぎには受付できました。けど、ホントに厳しい下山道でしたよ。縦走の後にこの試練は凄かった。


テント場から見える景色に山深さを感じる。


私が到着した時にはまだ余裕がありましたが、流石は山の日、結局テント場は満員でした。HPには50張可能とありますが、実際には35張程度がせいぜいでしょう。
小屋の昼食時間は1時半キッカリで終わってしまったので仕方なく予備のフリーズドライ食を食べ、珍しくチューハイも飲みました。まあ、これまでの達成感&厳しい下山の後の一杯。
その後はテントで昼寝しつつ、起きて隣でテントを張られていたベテラン登山者の方にいろいろと情報をいただいたり、5時過ぎには最後の夕食を準備したり。
厳しく楽しかった山行も、翌日の短い下山でおしまいです。

さて、翌日。前日のような道全体が難所のような場所はありません。まあ、それなりにワイルドですが、花も咲いてるし。










途中、道が小川になっている所がかなり長いです。赤いテープで登山道と示してくれなければ道とは認識しないレベル。


樹林帯に入りました。針葉樹の香りがよろしい。






何度もこのような橋を渡ります。




この吊り橋に来ると、電力会社の施設が近いです。ついに文明社会に戻ってきてしまいました。




ずいぶん大雑把なマップ。


奈良田第一発電所のバス停に下山。コースタイムより1時間ほど早い下山で、奈良田の温泉はまだ営業開始前。


まあ、30分ほど歩いていきますから、到着するころには営業するはず。




女帝の湯。4日ぶりのお風呂はとても気持ちがよい。達成感。奈良田温泉は一度行く価値ありですね。特に、厳しい縦走の後は本当に気持ちいいです。


最後は甲府に出ていつものほうとうで締めです。


自分史上最長の縦走だった、2016年夏の南アルプス山行。お天気に恵まれて絶景を堪能しただけでなく、得るものが多かったです。
この年でも自分の限界を広げられるし、いろんなスキルを学ぶことができるし、新しい発見に感動できます。
大らかで、懐深くて、暑くて、繊細で、いろんな形容詞が当てはまる南アルプス。今のところ、自分の一番贔屓の山域になっています。

南アルプス縦走の旅 その4 北岳山荘~間ノ岳に切り返し

2016-09-24 21:28:30 | 旅行
南アルプス縦走3日目。この日もお天気に恵まれて間ノ岳山頂の絶景を楽しんだ後は、北岳山荘のテント場へ。


8時半頃には北岳山荘に着いて受け付けです。地図では水場は150メートル以上下ったところにしかないとなっていたので、一応念のために熊ノ平から1リットル以上の水を担いできましたが、実際には山荘脇にポンプアップされているので問題なく使えます。
テントを張ったら、寝袋をハイマツの上で干しつつ北岳に向かいます。7月の最初の週末以来、約6週間ぶりの再訪。
北岳に登っている時の写真を見返して思うのは、とにかく花が多いということ。縦走路にある山々の中で、何故か北岳だけが種類も数も圧倒的に豊富。入山者も一番多いでしょうから、人間に荒らされてだいぶ不利な立場だと思うのですが、とにかく他の山を圧倒して本当の花の名山です。今年登った山で言えば、蛇紋岩で有名な尾瀬の至仏山にも勝っているのではないかと思うほど。
雄大で大きな山容と多様な花々の共演は、男性的でもあり女性的でもある感じ。ここでも敢えて北アルプスに例えれば、立山や白馬岳のイメージでしょうか。まあ、この2つの北アの山には私は登頂したことはありません。眺めたことがあるだけですけどね。

それはともかく花々を少々。コゴメグサ。


タカネビランジの白花だと思います。咲き初め。


シコタンハコベ。初めて見ました。


ミヤマコウゾリナでしょうね。稜線だし。ヤツガタケタンポポとか、珍しいタンポポってやっぱり樹林帯に咲くのでしょうか。


花だけじゃなくて景色もねー。圧倒的な絶景というやつなので、絶景絶景って簡単に言うのはあまりよくないと思うんですが、ここではそれしか言いようがない。


仙丈ケ岳もだいぶ大きく見えます。ここまで来ると。


と、ここでライチョウさんご一家が登場。完全には数えられなかったけれど、4~5羽の雛と2羽のメスのように見えました。高山植物保護のためにネットの張られているところにいて、1羽がネットの中に入ってしまってなかなか出られず。そのために親鳥もその近くに止まっていて、かなり長い時間見ることができました。驚かさないようにあまり写真は撮りませんでしたけど。






私はライチョウさんは大好きなんですよね。氷河時代からの生き残りで健気に頑張っている感じだし、高山で会う動物の中で圧倒的に可愛いと感じます。
これまでは北アルプスで3回遭遇していましたが、南アルプスでは初めて。個体数が減少していると言われていますが、絶滅は絶対に避けてほしいし、効果的な保護策があるなら寄付とかしたいと思っています。

さて、ライチョウさんと別れて北岳山頂を目指す。で、花に気を取られる。ミネウスユキソウ。昨年までの山行では、あまりウスユキソウを見ることがなかったので貴重な花だという感覚がありましたが、今年はチングルマやコバイケイソウよりよく見る。ホント、花はタイミングだ。


キンロバイの大きな株。まだまだ咲き始めですな。






こういうお花畑状態のところは随所にあります。まあ、雲上の楽園です。


タカネナデシコもたくさん。


イブキジャコウソウもたくさん。


ハハコヨモギは、7月に来た時よりもだいぶ少なくなっていましたが、まだ少しは咲いていました。北岳固有種ではないものの、珍しい花。


チシマギキョウも多いです。


タカネシオガマはピンクが鮮やかで、お花畑でも目を惹く存在。


シコタンソウ。塩見岳からずっと咲いていますね。


ウサギギク。こうやってまとまって咲いているととても可愛く見えます。


ハクサンイチゲは7月にはお花畑の主役でしたが、今回はほんの少し残っていただけです。形の比較的よいものを一輪。


少しずつ高度を上げています。お花の写真を撮りながら、アタックザックでの身軽な登りなのですが、それでも結構大変なのは高度が高くて空気が薄いからなんですかね。
そして、振り返れば定番の北岳~間ノ岳稜線。雑誌で見たこのシーンが私にとっての日本アルプス稜線美の原点。




階段になっているところなどで息を切らせながらも、ついに登頂。今年2回目の登頂です。と言うか、人生2回目でもありますが。




あー、間ノ岳方面は夏雲につかまってしまった。まあ、これはこれで雲が景色に迫力を与えてくれるけど。


山頂には白花のタカネビランジがありました。南アルプスの高山植物の女王と言えるのではないでしょうか。


さて、山頂からの景色を堪能。北岳山頂には多くの登山者がいますので、まずは自分の目で楽しみつつ、邪魔にならないようにタイミングを見計らっての撮影。
甲斐駒ヶ岳の雄姿。確かに格好いい山容。ただ、甲斐駒を完全に見下ろすという北岳の位置は凄いと思う。


甲斐駒ヶ岳と仙丈ケ岳のいつものツーショット。


間ノ岳と、その奥に塩見岳。歩いてきたのですから立派なものだ。我ながら。






仙丈ケ岳と登山靴。アイテムに敬意を払うシリーズの写真。


見上げれば夏空。


またまた1時間くらい山頂で遊びました。岩に腰かけて、間ノ岳方面に雲がかかったり雲が流れたりするのを眺めたり、思い出したように風景やギアの写真を撮ったりしていると直ぐに時間が経ちます。
まあ、いつまでいても仕方ないというか、お昼も食べたいのでそろそろ下山。本格的に夏雲が上がってきた頃を見計らって、北岳山荘でカレーを食べに行く。

下山中もお花の写真は撮ってしまうので、あまり早くは歩かず。イブキトラノオの群生。


一輪だけ残っていたミヤマキンバイ。山行中は、ずっと葉だけ残ったミヤマキンバイを稜線で見てきたのですが、この一輪だけ残っていました。


タカネヤハズハハコ。


シコタンソウとタカネシオガマのお花畑。


シコタンハコベ。


ちょっと振り返ると北岳山頂の後ろに夏雲が迫っていて格好いい。


お花の写真続き。山頂や下山中には花々と背景のコラボにも挑戦する。トウヤクリンドウの写真は自分でも好きなもの。












ついに戻ってきてしまいました。塩見岳から熊ノ平も大パノラマだったし、早朝の間ノ岳は大展望台だったけど、やっぱり私は北岳が一番好みだと思う。


振り返ると北岳が眺められるテント場の贅沢。


間ノ岳は既に雲に隠れてしまっており、夏雲は東側からどんどん上がってきていました。西からの風で稜線上では押し返されるのですが、徐々にテント場からに風景も白さを増してしまいました。やはり午前中でないと駄目ですね。夏は。
さて、お目当てのカレー。あまり特徴はなかったように記憶していますが、食堂で食事すること自体がほっとする。


その後は、テントでちょっと休んだり、山荘のテラスのところでボーとしたりして贅沢な時間を過ごしました。2日目と4日目に比較的長めのコースタイムをこなして歩かなければならないので、3日目はゆっくりする計画でした。
午後の北岳。やはり雲に攻撃されている。かろうじて山頂は凌いでいるけど。


雲は基本的に東側にあり、南からの陽射しがあまり遮られなかったので、稜線でも結構暑かったしまぶしかったです。
テント場も結構混んできた。とは言ってもまだなんとかなるレベル。この日は山の日の前日。翌日は恐らく満員御礼でしょう。一番人気の北岳でテントを張る日が山の日にならないように日程を組んだのは正解でしたね。




この日のご飯もパスタ。だけどスープパスタにしてみた。フリーズドライのビーフシチューをソース代わりにして。悪くなかったと思う。3泊以上の縦走だと、予備の食料や行動食も入れると軽量化がどうしても課題になって、何とか工夫する必要が出てきますな。まあ、歩荷能力を上げろと言われればそれまで。


夕方の北岳。空の色が違いますね。夏雲は徐々に下りていきました。


翌朝、と言うか夜明け前。テントをたたんで出発すると、既に北岳方面にはヘッドライトが見えます。ご来光を山頂で拝む人たちですね。


2016年夏の南アルプス縦走も、1日中歩くのは4日目のこの日が最後。最終日の5日目はコースタイム3時間程度の下山を残すだけで、下山後は奈良田温泉にゆっくり入って時間に余裕を持って東京に戻る予定です。その分4日目は結構タフで、コースタイムは8時間半ですが、間ノ岳、農鳥岳(西農鳥岳を当然含む)、広河内岳と3つのピークを登る予定。そして、実際には一番苦労したのは大門沢小屋への下りルートでした。まあ、詳しくは後ほど。

徐々に明るくなって来ると、進行方向左手には富士山が見えてきます。富士山と朝日のコラボを見られるのがこの稜線のよさですね。雲海もよろしい。


北岳方面。この日は山の日。記念すべき最初の山の日は、雲海の上で晴れているという絶好のコンディションに恵まれた南アルプス。


鳳凰三山の奥から朝日が昇ってくるようです。


稜線を振り返るとこんな感じ。


日が出てきたかな。ちょっとだけ雲に邪魔されて、まあるい太陽は拝めない模様。


でも神々しい。




山の日万歳の富士山と朝日。


間ノ岳。もうちょっとピンクやオレンジに染まればいいのに。


もう一度北岳、鳳凰三山方面。


それほど気温は低くなかったと思います。12,3度くらいじゃないかな。しかし、西側からの風が結構強くてレインウェアを羽織って歩いていました。
そして、出発から1時間半程度で間ノ岳山頂。昨日の朝からちょうど1日ぶりに再訪。


この後、間ノ岳山頂でやはり30分以上遊んでから農鳥岳を目指しました。
ただ、このまま農鳥岳、そして下山の写真まで入れようとすると、Gooの制限に引っかかるのが目に見えているので、いったんここで切ってアップロードします。

南アルプス縦走の旅 その3熊ノ平への道 & 熊ノ平から間ノ岳へ

2016-09-22 20:02:27 | 旅行
お天気に恵まれ、本当に大感動の大絶景の山旅だったのですが、私の写真ではその醍醐味をほとんど伝えられませんね。こうして見直すと。写真技術が稚拙、残念なものです。
しかし、実はそれはプロの写真家でもほとんど伝えられないのではないでしょうか。お天気がいいと特に日本の山岳地帯の景色は圧倒的に美しく、大きさも感じられます。それなりに海外旅行もしてきましたが(海外で山岳旅行はしていないけど)、日本アルプスの絶景は世界的に見てもレベル高いと思いますよ。ホントに。そして、北アルプスの方がどうしても注目度が高いですが、今回の南アルプスの山旅を経て思ったのは、自分は南の方が好きかもしれないということ。北アルプスも大好きですよ。でも南の大きさは、山に溶け込む感じでしたね。まあ、北アルプスで3泊4日の縦走をした時は雨に降られてしまったので、快晴だったら北アルプスにも同じように溶け込めたのかもしれないですけど。

で、熊ノ平。山に溶け込むにはもってこいの山小屋、そしてテント場です。遠いけど。
まずは塩見岳直下の岩場を降りてきました。塩見小屋方面から登ってきたルートに比べると岩場は険しくないし、距離も短いのでそれほど問題ありません。振り返るとこんな感じ。


進行方向右手には、長大な蝙蝠尾根とその向こうの白峰南嶺の向こうに富士山が見えます。


進行方向は間ノ岳中心に大山脈。この写真とか、雑誌の夏山特集に使えないかしら。まあ、これでも実際に見えている風景の感動に比べると矮小化されてます。


少し行くと、ハイマツの森に沈み込むように入っていきます。ここでのすれ違いは困難。


それを抜けるとこんな感じで足を滑らせたくない道が続きます。


北俣岳分岐を過ぎるとガレた急な坂です。写真は結構格好いい稜線の道ですが、実際に下るのはなかなかたいへん。片側が切れ落ちているので結構神経使います。登るのもつらいと思うけど、下りは落石起こさないように注意です。もちろん滑落も。


難所を越えて振り返ると、左側には今下ってきた難所。右側には塩見岳バットレスと呼ばれる塩見岳の北面。


標識。まだまだ熊ノ平は遠いが。


この辺りから見る塩見バットレスは大きく見えて迫力がありました。稜線の緑とのコラボもよろしい。


塩見バットレスにズーム。


これはクロマメノキという植物。ネットで調べたけど、花はドウダンツツジやコケモモにちょっと似ている。かなりたくさんありました。


稜線の道。進行方向はこんな感じで北部の山々がとても大きい。


進行方向右手に見てているのは白峰南嶺と言われる稜線です。緑深くて南アルプスらしい感じ。一般登山道ではないので藪漕ぎ、ハイマツ漕ぎが普通な上、水場がないので縦走するならスピードハイク、もしくは6リットルとかの水を担いで行くらしい。ちょっとハードル高すぎエリア。笹山だけなら山頂の展望もありそうだし興味あるなあ。


右手後方には、白峰南嶺越しに富士山が見えます。まあ、楽園ルートね。このくらいお天気がいいと。神に感謝です。


後方は下ってきたルートと塩見岳。こうして見直すと、左に伸びる蝙蝠尾根は確かに魅力的に見える。


少し開けだ場所に出ました。大きく崩落している箇所を挟んで北荒川岳を進行方向に見るところです。崩落越しの農鳥、間ノ岳、甲斐駒、仙丈。


南アルプスは、薙(なぎ)と言われる地名が多いですが、崩落している場所を指すようです。今でも年間数センチ成長している山脈だし、降雨も多いので崩落する箇所もおおいのでしょう。南アルプス林道が土砂崩れで通行止めになってバスが止まるのはよくあるパターン。

この日あたりからザックの写真を積極的に撮るようになる。


15分くらい休憩して出発。ここからは崩落地の右に稜線を巻きながら少し下ります。高山植物に加え、まばらに生えた木々と草地のコラボが牧場のような雰囲気。ちょっと標高が高すぎですが。






ただし、こんな高地でも鹿の食害がひどいらしく、元々はもっとずっと多くの花々が咲いていたようです。今では、鹿が嫌うマルバダケブキが増えてしまい、こんな様相です。


5万分の1の地図にもあるキャンプ禁止標識の場所に出ました。元々はキャンプ指定地でトイレだったのかな。熊ノ平まであと3時間って、ちょっと大変すぎよね。


荷物の重さもさることながら、この辺りの時間帯できつかったのは気温。夏場のアルプスを縦走していていつも思うのは、素晴らしいお天気に恵まれた時の暑さによる苦痛。絶景と裏腹。暑さに弱い私はこれが本当に苦しい。歩き始めてすぐに3時間ならどうということはないのですが、既に5時間ほど歩いてきているし、難所もあったし、稜線では太陽が照り付けるし、樹林帯に下りれば風がないし、なによりテント装備重い。縦走の実態は、苦しみが主軸にあって、ちょっと休んで顔を上げると絶景に感動するというものですな。逆ではない。残念ながら。それでも楽しいんだけど。なぜか。

あとはお花。南アルプス固有種でとても可愛いタカネビランジ。山歩きを始めたばかりの夏に鳳凰三山に登ってたくさん見た花です。




崩落地の南側に回ってきた。樹林帯から再び稜線に出て振り返ると、やや小さく見えるようになった塩見岳。ただ、ここから見た方が両翼を広げる形で偉そうで格好いい。赤石岳とか北岳とかの盟主級に比べると地味な山なのかもしれませんが、塩見岳は3,000メートル峰ですからね。やはりでかいです。山頂の岩場感とか、山頂がバットレス的に盛り上がって見えるところとか、北アルプスで言うと黒部最奥の水晶岳に重なるイメージでしょうか。水晶岳は昨年登れず。雨にやられた。


この日は雲もかからず、白峰南嶺越しの富士山はずっと見えています。


そして、北荒川岳に到着。11時頃です。ここで30分ほど休憩。残っていたパンなどを食す。他の登山者は少ないですが、皆さんここでフリーズドライや小屋で購入したお弁当などで昼食を取られていました。なぜここで休憩するのか。それはここが南アルプス最高の大展望台だからです。
仙塩尾根の稜線の開けたとことで、間ノ岳・塩見岳の中間とも言える位置。周囲が広く見渡せるうえ、どの山からも適度に距離があるので3,000メートル峰の巨体が大きく眺められる。つまり、1つか2つの巨体に遮られないでゆったりと全部が見渡せる。
まさにド真ん中にいるという感覚。あまりの感動に、「厳冬期にこの場所にヘリで連れてってくれたら3万円払います。10人くらいのツアーならチャーターできるんじゃないですかね。」とかアホなことを一緒にお昼ご飯食べていた登山者に話しかけたりしてました。
写真ではこの大パノラマというか、ド真ん中感を伝えるのは不可能ですが、一応幾つかアップします。

北部方面。仙塩尾根、緑深くて長い。


間ノ岳、農鳥岳は見えますが、ここからは北岳は見えません。


ボーっと感動していたせいか、この場所での写真はそれほど多くないんですよね。背景の山を変えて自撮りとか、ザック撮りしていて、あまりブログエントリ向きではありません。
むしろ1つ1つの山をズームして撮っている。ビッグマザー仙丈ケ岳。


農鳥岳。ゴツくて渋い。そして大きい。


間ノ岳。ずっと右手前方に見えていて、主峰の貫録。


塩見岳。両翼の広げ方は鷲羽岳に似ているとも言えそう。


塩見バットレスにズーム。


堪能して先に進みます。ここからは再び樹林帯に潜ります。風が欲しい。。。


相変わらずマルバダケブキ優勢の植相。


いい加減疲れてきましたが、遅くとも2時には熊ノ平に着くだろうということで歩みを早めることなく無理を避けます。それにしても風が欲しい。
1時間弱で新蛇抜山というピークへの分岐が出現。ちょっと登りますが、風にあたるために重い荷物を下して空身で登りました。


小さい山頂ですが、風が当たって気持ちいい。周囲も見渡せます。だいぶ夏雲が上がってきてしまいましたね。これはこれで迫力だけど。


仙塩尾根の道。まだ熊ノ平は見えませんが、奥の緑濃い森の中にあるはず。なお、この写真の中央の岩場は地図上で竜尾見晴と書かれているところでしょう。確かに眺望はよかったけど岩場の難所でした。


またまた樹林帯に戻る。南アルプスも小鳥が多くて、鳴き声はずっと聞こえています。でも、姿を見られる機会は少ない。貴重な一枚。


シラビソ樹林帯。この日の最終版。己との闘いに入っている。


ついに1時半過ぎに熊ノ平小屋到着。いやー、長かった。小屋の前にはテラスがあって、皆さんビール飲んで休まれていました。


テント場はやや複雑。3~4張くらいが限界の小さいテント場が幾つか点在しています。遅く到着すると水場やトイレから遠いところに張ることになるでしょう。まあ、張りたい場所は翌日の出発する方向にもよりますけど。私は比較的広くて樹の香りも濃い場所を選びました。


熊ノ平、樹林帯の中の落ち着いた山小屋で、とても雰囲気のあるロケーションですね。針葉樹の香りがとてもいい。水場も小屋脇にあって、水量豊富です。テント張ったら水場で体を拭きました。暑さにやられて汗だくだったし。


夕食。レトルトソースのパスタボロネーゼと卵スープ。パスタには赤やオレンジのミニトマトを入れています。卵の黄身に見えますが。


夕暮れ時。農鳥岳が夕日に真っ赤に染まるのを見たかったですが、残念ながら雲がかかってしまいました。それでも雄大。熊ノ平は農鳥岳の正面に位置するので、凄い迫力です。


この日は疲労もあって7時過ぎから爆睡。ただし、翌朝は早めに目覚めました。私とは逆に熊ノ平から塩見岳方面、三伏峠を目指す人が多くて、その方々は10時間コースに備えて4時前には出発されるので。ということで、私も夜明け前にはテントをたたんで間ノ岳方面に出発しました。
熊ノ平からは、まず400メートル以上と思われる登りで三峰岳(みぶだけ)を目指します。これは山頂というよりも岩の出っ張りのイメージですが、それでも標高は2,999メートル。北アルプスの剣岳に匹敵します。当然森林限界を越えた岩稜になるはずで、晴れていれば景色はいいはず。

ところが、この日の明け方は濃い霧が立ち込めていました。夜明け前は当然真っ暗ですが、やや明るくなってきてもガスが濃くて視界が限られます。こういう状況で森林限界を抜けて稜線にでると、道を見失う恐れが高まります。北アルプスや八ヶ岳と違って歩いている人は私だけ。慎重に前方を確認し、ペンキのマークなどを探します。風もそれなりにあって、緊張しながらすすみました。
まあ、それも1時間くらいだったでしょうか。日が昇ってくると地面が暖められて上昇気流が出たのか、徐々にガスが上空に抜けてくれました。進行方向に三峰岳らしきものも見えてきます。


右手を見ると、間ノ岳と農鳥岳のあいだの鞍部に富士山が。






農鳥岳自身はまだガスの中。


ガスで神秘的な感じの三峰岳に向けて歩く。


そして三峰岳登頂。後に控えるはボスキャラの間ノ岳。間ノ岳は3,190メートルなので、まだ200メートルほど高いのです。スケール大きい山域だ。


山頂ケルン。雲海見事。ザック写真シリーズです。どうも格好良くないですが。


農鳥岳、富士山方面。やはり絶景展望台ですね。


塩見岳、荒川三山方面。三伏峠も見えていると思います。だいぶ長い距離歩いてきたな。


それにしても、毎日お天気に恵まれてありがたい限り。やはり熊野三山と赤城山のお守りのご利益か。
何より、北岳から間ノ岳までは歩く人が結構いると思うけど、絶対仙塩尾根方面がお勧めですね。この景色は見られないですよ。こっちを歩かないと。農鳥岳のガスも完全に晴れましたね。


なお、この写真の手前からガレ場のバリエーションルートを下ると、大井川の最初の1滴が生まれる源流にたどり着きます。これまたスケールでかい話だ。
こちらの写真だとイワツメクサの先の谷底に沢が見えますが、これが大井川源流ですね。


イワギキョウは絵になる。


タカネツメクサも。後の谷は右俣沢だったと思う。


標識。私は間ノ岳を見ながら仙塩尾根を歩きましたが、こっちから塩見岳を見ながら行くのもいいかもしれない。


アルプスの定番、チングルマ君が風に吹かれる図。早朝のアルプスの空気感が伝わるのではないでしょうか。この手のシーンを見たことある人は多いでしょう。登山趣味なら。場所は間ノ岳ではないかもしれませんが。


そしてついに間ノ岳登頂。初日から様々な場所から眺め、その大きさと格好良さに感動してきた山です。流石は百名山の一角で標高日本3位タイ。そして、その背後には標高2位の盟主、北岳が見えているという。その奥の甲斐駒ヶ岳が小さく見えるという。


ここで自撮りしない人はいない。


ついに間近に北岳を捉えました。7月初旬に登り、自分の贔屓の山トップに躍り出た感がある雄大かつ繊細な山です。


東側にはケルン越しに雲海に浮かぶ富士山が美しい。


間ノ岳、感動の展望台です。間ノ岳自体がかなり格好いいと思いますが、富士山含めて周囲にスターが多く、大きな谷が切れ込んでいることもあって眺めがとてもいい。山頂が広いからあっちに行ったりこっちに行ったりして眺めたり写真撮ったりしていると、1時間くらい直ぐに経ってしまう。

仙丈ケ岳と甲斐駒ヶ岳方面。こっちはまだ雲が垂れ込めてますね。


農鳥岳、仙塩尾根、塩見岳、荒川岳、そして南部の山々。うーん、南アルプスグリーン&ブルー。


ズームすると、荒川岳の奥に赤石岳も確認されます。ここからの方が角度的に見えやすいんですね。こっちの山域は公共交通機関だと行きにくいからなあ。高山植物の綺麗な時期に行ってみたいけど。


ゴツくてどっしり農鳥岳。北アルプスに例えると五竜岳とか赤牛岳ですかね。


仙塩尾根を確認したくてこっちの方面を眺める。仙塩尾根は長大で、今回は仙丈ケ岳と三峰岳を結ぶラインは歩いていません。そこだけで丸1日以上かかります。この写真の左手前から伸びている尾根で、雲に隠れた仙丈ケ岳まで。


奥には北アルプスも見えています。向こうからもこちらを見ていることでしょう。


北岳、ボーコン沢ノ頭から池山吊尾根方面と、その後ろに鳳凰三山。3年前に山歩きを始めた年に登った時にはとてつもなく大きな山だと感じた鳳凰三山ですが、こうして見るとやはり南アの主峰ではない。前衛峰ですね。それにしても雲海凄い。


うーん、日本か、ここは。


富士山があるから日本だな。なお、写真でも分かりますが、ここまで来ると急に登山者が増えます。大学の山岳部やサークルらしい集団もいます。


朝日と富士山。自分的富嶽三十六景に入ること間違いなし。


ザック写真シリーズ。まったく、シューズもザックもお疲れ様です。ホントに。


さて、十分堪能したら北岳方面に向かいましょう。途中の北岳山荘にテントを張り、北岳山頂を再訪する予定です。


途中にあったトウヤクリンドウの大株。


北岳は南アルプスの中では山頂が尖っていて、ちょっと雰囲気違いますね。


甲斐駒と北岳。鞍部に北岳山荘が見えてきました。


この北岳~間ノ岳稜線の美しさは自分史上最高の稜線と言ってもいいかもしれませんね。1日目のエントリに書きましたが、山歩き始めた年の雑誌の特集記事で使われていた写真は、この稜線の写真でした。そういう意味で、憧れの稜線を歩いています。荷物は重いですが。
次のエントリでは、3日目の行動の中で北岳登頂から先をカバーする予定です。4日目についてはどこまで書くか決めてませんが、アップする写真の枚数によります。

南アルプス縦走の旅 その2塩見岳

2016-09-19 18:52:06 | 旅行
2日目(8月9日)はコースタイム約10時間の長丁場。塩見岳に登頂してから長い稜線を縦走し、熊ノ平のテント場を目指します。まだ暗い朝の4時ごろにはテントを撤収して出発しました。
この時期の日の出時刻は午前5時頃ですが、実際には樹林帯でも4時半過ぎには結構明るくなってくるので、ヘッドランプの灯りに頼るのはそれほど長い時間ではありません。三伏山に着いた時はまだ真っ暗ですが。


ちなみに、よく知られていることかもしれませんが、南アルプスのピークには東海フォレストさんが立てた立派な山頂標識があります。人があまり入らない山域のピークにもあるようで、流石は社有林を多く持つ地場企業。と言うか、この標識立てることを仕事にしてる人って結構タフかも。

シラビソと立ち枯れの木々の合間から朝日が昇りつつあるのを感じる。


塩見岳も悠然とそびえています。まあ、あと2時間半くらいで征服する予定。


樹林帯の道はこんな感じ。アップダウンは比較的少なかったと記憶しています。塩見小屋直前に体感的に250メートルくらいガッツリ登らせてくれますが、それ以外はコースタイムよりだいぶ早いペースで歩くことも可能でしょう。


もう夜が明けて見晴らしもよくなりました。


塩見小屋に到着。樹林帯を抜けて稜線に出ると結構風が冷たくて、それまでは早朝にも関わらず汗だくで登ってきていたんだけど、ここでレインウェアを着こみます。


ここからは北アルプス的な岩稜帯で、ある意味今回の山行では一番の難所です(後から別の難所の方が数倍厳しいことを知るが)。まずは天狗岩という岩に登り、その後で塩見岳の山頂(西峰)に至ります。ちなみに、一応は西峰と東峰に分かれていますが、その間5分もかからない距離にあるので実際にはほとんど1つのピークです。
で、岩場。それなりに緊張感。テント泊装備15キロ以上を背負っての岩場は初めてなので、3点支持を確実にするように意識しました。風がそこまで強くなくて助かりました。


急な登りは疲れるので、綺麗な花があると現実逃避とちょっと休む目的もあって写真を撮ります。イワツメクサはこういうところに撮ってくれと言わんばかりに咲いていることが多い。


この日はトウヤクリンドウも参戦。


アキノキリンソウも咲き始めていました。


イワツメクサ再び。


ヤマレコなどを見ると、チシマギキョウとして紹介されている方が多いと思うけど、花に毛がなかったのでイワギキョウだと思う。


ちょっと下を振り向くと結構な高度感ですね。中央の黄色い丸印、丸だからあの辺りも正しいルートのはずだけど、今見直すとあんなところがホントに正式ルートなのかと疑いたくなるレベル。


天狗岩を攻略し、荒川岳方面を眺める。いや、気持ちいい朝ですな。


塩見岳を見上げる。あとちょっと。


最後の登りですが、その前に花も楽しむ。塩見岳、実は高山植物がとても豊富です。7月の最盛期に登ればそれこそ綺麗な花だらけなのではないでしょうか。8月9日でこのレベルですから。


シラネヒゴタイ?


キンポウゲの仲間にも菊の仲間にも見えるけど特定できない白い花。見え方の問題でハクサンイチゲなのではないかとも思うが。


タカネツメクサ。


シコタンソウ。7月の北岳では風雨の中でシコタンソウを見つけられなかったのですが、ここでついに邂逅。写真並べると違いがハッキリ分かるけど、必死で岩登りしている時にはパッと見てタカネツメクサと区別できるようになるにはある程度経験が必要でしたね。




花が主役の山旅のつもりはなかったのだけど、塩見岳の実力の前に花を楽しむことに時間を割いてしまい、なかなか頂上にたどり着かない。
ピンクのお花もここで登場する始末。タカネシオガマだと思う。ミヤマシオガマと迷うけど。いつも。


タカネツメクサも背景に山が映ると高山植物感が出てよろしい。


コゴメグサも相変わらず多いです。今年は尾瀬でも南アルプスでもよく見るな。よく見ると複雑な形なのよね。


何だかんだ言って登頂です。塩見岳西峰3,047メートル。7時頃だったかな。かなりいいペースで登ってきたという記憶があります。山頂はあまり広くないのですが、昨日三伏峠でテントを張ってていた高校生と引率の先生のパーティと、塩見小屋に泊まられていた4名の比較的高齢の方々のパーティしかいなかったのでゆっくりできました。30分以上遊ぶ。今回の旅は山頂に長居するパターン。


一応自撮りしておく。


三角点越しに中央アルプス方面。


後に控えるのは御嶽山かな。


これまで来た道を振り返る。中央やや右のちょっと盛り上がった所、小さく2つ崖になっている崩落地が見えるところですが、あれが三伏峠です。小さく小屋が映っているのが分かるでしょうか。そこから左に行って黄緑色の美しいハイマツの上に小さくピラミッド型に盛り上がったところが、前日登った烏帽子岳。昨日は烏帽子岳から塩見岳を眺めていましたが、今日は逆です。


そこから少し東側を眺めると、荒川岳が大きい。荒川三山と言われるのですが、二山にしか見えないのは荒川前岳が荒川中岳の後ろに隠れているからでしょうか。登ったことのない山域は同定しにくいですね。
恐らく、右奥の黒くて大きいのが聖岳、左奥の双耳峰が笊ヶ岳だと思われます。ところで、正面に見える塩見岳の北俣尾根は、バリエーションルートを攻略する上級者には好まれるようですが、確かにここを登るのも下るのも絶景でしょうね。


荒川岳、標高は左側の荒川東岳(悪沢岳)が一番高くて3,141メートル。南アルプス南部の盟主と言われる赤石岳(3,120メートル)より高いです。左のピークが悪沢岳、中央が荒川中岳、その後ろにちょっとだけ稜線が見えるのが赤石岳ではないかと思われます。
荒川岳アップ。


更にアップ。


塩見岳東峰と荒川岳、そして南アルプス南部の山々。


そして北部の絶景。これから熊ノ平に向かって歩く稜線の道が見えます。その奥に鎮座する3,000メートル峰達は、右から農鳥岳、間ノ岳、ちょっと北岳も見えていますので白峰三山そろい踏み。一番奥に1つだけ2,900メートル級の甲斐駒の綺麗なピラミッド型の白い山頂が見えて、左は仙丈ケ岳。奥穂高岳や薬師岳から見た北アルプスの山々も大迫力でしたが、これだけ多くの3,000メートル峰が見られるのはここが初めて。


なお、今日のテント場として目指す熊ノ平は農鳥岳の真横にあたるので、稜線のピークを3つか4つ越えていくことになる訳で。最初から分かっていたことですが、その遠さを意識せざるを得ない。やはりアルプスは巨大だ。同じような図ですが、少し東側に寄ったもの。農鳥岳の稜線から続く白峰南嶺のうち、一番北のピークの広河内岳が見えます。ここが今回の山旅で登る予定の最後のピーク。


それにしても、岩峰の北アルプスとは明らかに違う景色です。南アルプスの3,000メートル峰は緑が目立つし、それが空の青さや雲の白さと相まってとても美しい。雄大という感じ。大きい。厳しいのは厳しいのだと思うけれど、おおらかな感じがする。
白峰三山アップ。


間ノ岳とその後ろの北岳。北岳は大好きな山ですが、この旅では間ノ岳がずっと圧倒的な威容を見せつけていました。とにかくでかい。


甲斐駒と北岳、間ノ岳。


仙丈ケ岳と甲斐駒ヶ岳。登ったことのある山は、分かりやすさもあって撮りまくる。


塩見岳東峰方面には富士山も見えています。南アルプスは富士山が比較的近いので、大きく見えますね。


東峰をアップ。山頂に単独行者がいます。熊ノ平にテントを張って、ピストンされている方でした。自動車を運転する人は機動力がありますが、縦走はしにくいですね。公共交通機関利用だと縦走しやすいというメリットがあります。


富士山をアップ。自分の登った山頂から撮った富士山の写真を36枚集めて富嶽三十六景にしてもよいかもしれないと思う。


これは、Googleのサービスで自動的にパノラマ化した写真。まあ、360度絶景な訳です。塩見岳山頂。


さて、他の登山者が出発して山頂一人占め状態になったので東峰に移動です。塩見岳の最高峰は東峰で、標高3,052メートルです。


東峰から見た西峰。


東峰からの富士山。手前のピークは北俣岳でしょう。ここから長大な蝙蝠尾根が続いていますが、深いハイマツ帯などもあるらしく、私の技術では突破できないでしょう。


東峰から見た荒川岳と南アルプス南部。


ザックに敬意を払い、荒川岳とのコラボ写真に収める。


さて、そろそろ私も先を行きましょうかね。東峰から下り、熊ノ平へ続く道。結構険しそうだ。何より、500メートルくらい下ってしまうから、翌日間ノ岳に登るときはまた600メートルくらい登り返すのか。南アルプスでかすぎ。


一足先に行く高校生のパーティ。この後右に行くように見えますが、そうすると蝙蝠尾根に入ってしまいます。実際は、左側の切れ落ちたような険しい道を下っていきます。


東峰からの下りでも高山植物が多かったです。イブキジャコウソウとか。


イワベンケイとシコタンソウ。


オンタデ。天気がいいと、青空を背景にした花は本当に綺麗だと思う。




アキノキリンソウも。


この後も縦走は続くのですが、Gooの制限で1つのエントリにアップできる写真の枚数が限られるので、とりあえず山行2日目の途中でいったnアップです。
この後はこの山行最大の絶景ポイントと言ってもよかった北荒川岳を経て熊ノ平、そして翌日は間ノ岳、北岳と続きます。あー、長い。

南アルプス縦走の旅 その1 まずは三伏峠小屋テント泊

2016-09-17 23:53:36 | 旅行
昨年の夏、北アルプスの黒部方面を3泊4日でテント泊縦走しました。途中で雨と霧にやられたものの、3泊以上を山の中で過ごして黙々と歩き続けるという経験は初めてのもので、それまでの山行とは異なる充実感がありました。自身の体力を計るにも悪くない感じなので、これを機に1年に1回は3泊くらいの縦走をするのを目標にしました。やはり、長めに山に入っていると日帰りや1泊の山旅と比べると気づくことも多いし、ちょっとしたスキルも向上するし、絶景や珍しい高山植物、ライチョウさんなどの動物に出会う機会も多くなりますから。

で、今年のターゲットですが、白馬岳を中心とした後立山連峰、裏銀座の縦走コース、昨年は雨と霧で残念な結果だったものの山容と小屋の方々の気配りに惹かれた黒部五郎岳エリア、立山から薬師岳への縦走など、やはり北アルプスを中心に幾つかのプランを考えていました。が、その中で唯一、そしてかなり有力なプランとして当初から頭にあったのが、南アルプスの塩見岳と北岳をつなぐ縦走。これは、私が山歩きを始めた年に「ワンダーフォーゲル」という雑誌が夏山特集として「歩こう南アルプス」という特集記事を発行しており、その中で出てきたモデルルートです。この記事の写真、正確にはこのルートの写真で雑誌の表紙になっていた、北岳~間ノ岳稜線の格好良さは、自分にとってはアルプスの山歩きを始めてみようと思うきっかけの1つになったものです。今回は、そのルートに加えて塩見岳近辺の烏帽子岳、そして北岳、間ノ岳と一緒に白峰三山として知られる農鳥岳を登り、奈良田温泉に下るルートを取りました。最終日は2時間少しの下山だけですが、それも1日に数えると4泊5日の自分史上最長の縦走となります。山が大きくて縦走が辛いと言われる南アルプス。果たして、40代になってから山歩きを始めて4年目の中年一人旅は無事に成功するのか。

まったくもって、タイミング悪い話ですが、この縦走に出かける直前には急な用事でシンガポールに出張していました。行きも帰りもレッドアイのフライトで水曜夜中に羽田を発って木曜の朝5時前にシンガポール入りし、金曜夜中にシンガポールを発つという強行軍。土曜の朝に帰宅した時には疲れ切っており、土曜日はほどんど寝飛ばしました。そして日曜の夜行バスで縦走に向かいます。翌週は1週間の夏休みをもらっていました。まあ、土曜によく寝たのと日曜の昼間は十分時間があったわけで、体力回復も準備もそれほど問題はなかったですが、サラリーマン生活しながら縦走計画を実行するのは綱渡りです。

まずは塩見岳攻略ということで、鳥倉の登山口を目指します。自家用車のない私はいつもの毎日アルペン号で行きます。これ、北アルプスの便はともかく南アルプスの便はちょっと微妙ですね。大型バスでそれなりにゆったりできるのは諏訪湖サービスエリアまで。そこで小型のマイクロバスに乗り換えて南アを目指します。もともとの大型バスは白馬行き。つまり、鳥倉という比較的マイナーな目的地を選択した人たちは夜行バスで寝るのはとても困難です。特に小型のマイクロバスは足も全然伸ばせないしリクライニングもほぼ利かない。拷問的。取りあえず運んでくれるだけですね。

あと、気付いたのは同乗していた登山者もかなりの縦走を計画しているということ。ご高齢の方のグループが主体なのでテント泊ではないですが、それでも北岳を目指す人が多かったです。7月に北岳を登った時に思いましたが南アの登山者は平均的にレベルが高いと思います。経験も体力も。

ま、前置きが長くなりましたが、夜が明ける少し前の4時半過ぎに鳥倉のゲート前駐車場に到着です。本当の登山口はここから林道を50分程度歩いた先にありますが、バスはここまでしか入りません(路線バスは登山口まで行くのかも)。この駐車場には比較的きれいなトイレもあるので、便利と思います。
周囲を見回すと既に南アらしい山奥の様相。標高は1,630メートル。特に涼しくは感じなかったですが、東京の猛暑とは全く違う空気です。


さて、まずは登山口までの林道歩き。周囲には白や黄色の花が多く咲いており、針葉樹の森が深いです。途中に尾瀬の名物ネジバナらしき花も登場。


少し開けたところからは南アの深い山が見渡せます。


ウメバチソウはいたるところに咲いていました。


徐々に朝日が差し込みます。


そして、いよいよ登山口。何やらお勉強になるボードを読みながらおにぎりなどを食す。


登山口の標高は1,770メートル。2,560メートルの三伏峠まで約800メートルの登りを行きます。まあ、距離的にも斜度もアルプスの登りの中では特にキツイ道ではないと思いますが、15キロ程度のテント泊縦走装備だとそれなりにたいへんです。汗だくにはなりますね。
バイケイソウやセンジュガンピ、ウツボグサやエゾシオガマなどの花の多い道ですが、深い樹林帯であまり明るくはありません。






特徴的なのは、1合目からかなり正確に等距離でx合目の看板が出ていること。私の脚では丁度15分くらいで1合登る感じでした。いいペースメーカーでした。写真は撮らなかったんですけど。後半まで。
同じバスで来た登山者は、1名だけ凄いスピードで私の前を行かれた方を除くと皆さん高齢でゆっくりだったので、実質的に完全ソロで登りました。
時々樹間から景色が見える。


花は特に派手さはないですが、ヤマオダマキも結構数がありました。流石に南アの原生林。


中央アルプス方面かな。


ヤマレコレポートにも多く出てきますが、このような木の階段というかハシゴと言うか、道が多く出てきます。雨でなければ特に滑らないので、見た目ほど危険ではありません。


6合目辺りで水場があります。冷たくて美味。


この水場のあたりで、木の枝を杖代わりに使いながら凄く早いペースで登って行った人がいました。ザックの大きさ的に明らかにテント泊。この後一回も見かけなかったので、荒川岳、赤石岳など南部方面またはバリエーションルートに行かれた可能性が高いです。今回の南ア旅で見かけた人達は本当にレベルの違う人が多いイメージ。Twitterでも南アクラスタは一般登山道は余裕過ぎてバリルート、バリもバリで道迷いしないのが不思議なレベルだし、しかも凄いペースという超人が多い。まあ、八ヶ岳とは違います。

引き続き見た目危険な木のハシゴ。


ヤマハハコは咲き切ったものよりこのくらいのが可愛いと思う。


いっぱいあるこの花は名前が特定できない。エゾシオガマにしては小さいと思う。


南アルプス特有の長い樹林帯。特に盛夏は暑くて風も遮られて苦しいですが、この鳥倉から三伏峠は結構いいと思います。標高差がゲートからでも900メートル程度とあまり大きくないので、疲労度は小さいです。昨年の北アルプス、新穂高から双六小屋の1,500メートル以上の登りはかなり死亡しましたが、この程度なら何とかなりますな。まあ、それでもラヴェルのボレロが頭で鳴るようなワンパターンの繰り返しなんですけど。

大分登ってきて、樹の合間から見える景色もよくなってきました。まあ、お天気に恵まれています。




私はある分野で多少なりとも科学者的なアカデミックバックグラウンドを持っているくせに神の存在を信じていて、長い縦走には5つのお守りを持っていきます。その1つが昨年行った熊野三山の1つ、熊野速玉大社のお守り。お天気を制するものと勝手に信仰していますが、このお守りを持って風雨にさらされたことはありません。

8合目で初めてこの手の標識の写真。丁度2時間くらいで登ってきています。


アザミ。


シラビソと思われる針葉樹の森を行きます。登山道の整備度合いがよくなったので山荘が近いかと。


おー、甲斐駒や仙丈ケ岳もよく見えるのね。ここからだと相当遠いと思うけど。確かに甲斐駒格好いいな。仙丈ケ岳ビックマザーの大きさだ。


ちょっと右の方にずれると明日狙う塩見岳がようやくその姿を少しだけ現しました。


足元にはオトギリソウ。で、このあたりでヘリの爆音がしばらく響く。ヘリが目に入ると、こっちに飛んでくる時には墜落するんじゃないかと心配するくらいでした。遭難者が出たのかと思いましたが、後ほど三伏峠小屋の荷揚げだったことが分かりました。


ヤマレコなどでも有名な、あと200歩の標識。これでテント泊装備のザックを下せる。


ということで、登山口から丁度2時間半で三伏峠小屋です。8時半頃ですよ。まだ。


しかし、スタッフの皆さんは荷揚げで忙しくて誰も対応できない様子。テント場の一部に荷物が着くようで、テント場には入れないとのこと。仕方ないので別館の玄関のあたりにザックをデポして、烏帽子岳に向かうことにしました。時間があるので本当は塩見小屋に行きたいところですが、塩見小屋にはテント場がない上にあいにくの満室。この日は睡眠不足&登山口から稜線近くまで登ってきたので後はゆっくりすることにして、活動としては烏帽子岳に登るだけにします。比較的長い縦走ではこういう余裕を持った時間の使い方が大事ですね。縦走後半の体力温存のためにも。毎日10時間とか歩いていると事故のもとだと思います。

とりあえず山荘から15分弱下ったところにある水場で水を確保してから烏帽子岳に向かいました。途中には鹿除けの柵に囲われたお花畑があります。マツムシソウがこれでもかというくらいに大量に咲いていました。蝶も多くて、特に昔は南アの南の方は本当に楽園だったという話を思い出す。






ハクサンフウロもとても多いです。薄紫の花はやっぱり綺麗ですね。


他にはコゴメグサ。


ミヤマリンドウ。ただしつぼみ。


タイツリオウギかな。


私の影とウメバチソウ。


トリカブト。キタダケトリカブトのような固有種ではなさそう。


花は本当に多かったです。いわゆる固有種とかではないのだけれど、蛇紋岩の至仏山のように厳しい環境下で頑張って咲いているイメージではなく、暖かくて雨も多い南アルプスで楽園を形成しているイメージ。

お花畑を過ぎると開けた場所に出ます。南部の展望が開けます。緑が深くて山深いイメージ。北アルプスの岩稜とは明らかに違う。大らかな感じだけど、山深くて人間が入っていいのかどうか。自然に対する畏怖の念が湧いてくるような。


この写真の左端に見られるように、崩落地が多いのも南アの特徴だと思います。雨のせいというより、今でも毎年数センチ成長を続ける若い山脈だからなんでしょう。


緑が美しい。


これはトモエシオガマかな。


再びタイツリオウギでしょうか。


こんな崖のようなところに花が多く咲いていて、近くに寄って背景の山と一緒に撮影したいんだけど滑りやすくてとても危険です。




そんなところで頑張った写真。まあ、素人感が強く出ている。




ミネウスユキソウもありました。今年は尾瀬でも北岳でもよく会います。


タカネナデシコも。


烏帽子岳の山頂が近づいてきました。いやー、いい天気、


ほとんど他の登山者がいないので、余裕を持ってお花の写真に夢中になりながらも1時間程度で烏帽子岳へ。ここ、かなりお勧めスポットです。展望台として。標識の向こうに見えるのは塩見岳。その奥には間ノ岳。北岳がちょっとだけ見えて、左に甲斐駒。


快晴の南アルプスブルーと呼びたくなるような濃い空の色。そして緑濃い3,000メートル峰達。この時すでに南ア稜線の実力は北アを凌駕するのではないかと思い始める。本格的な縦走は翌日からなんですけど。
まずは振り返って南部方面を烏帽子岳からは前小河内岳、小河内岳につながる稜線、そしてその先には荒川三山のはずですが、行ったことのない山域なので山座同定はちょっと困難。




でも稜線は綺麗で歩いてみたくなります。


小河内岳には避難小屋があります。こうして見ると北アルプスの種池山荘のようにメルヘンな感じだけど、実際にはどうなのかな。




その奥に見えるこれが悪沢岳などの荒川岳なのだろうか。


富士山はちょっと雲隠れ。


西には中央アルプス方面。


北側には塩見岳。右側に見えるのは北俣岳かな。


塩見岳の左側には間ノ岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈ケ岳など南ア北部の重量級メジャーが勢ぞろい。手前のハイマツ帯の緑がとても美しくて、空の青さと合わせてかなり楽園感が強いと思います。


やはり甲斐駒と仙丈ケ岳はペアでアップせざるを得ない。2014年の7月に登った時は、仙丈ケ岳は晴れましたが甲斐駒は雨だったので、甲斐駒にはもう一度挑戦したいです。黒戸尾根には興味ないですが。


塩見岳と白峰三山。でかいし男くさい山々だ。バリルートとしては、塩見岳に塩見沢や北俣尾根から登るのはありなのだろうか。写真を見るととても美しいルートのように思われます。


山頂で一人で写真撮ったり蝶を眺めたりして30分くらい遊んでいると、小河内岳方面から高齢の女性が単独で登って来ました。どうやら昔から南ア中心に歩かれている筋金入りの山ガールのようで、毎年この時期には10日以上この山域に入り、山小屋や避難小屋に泊まりながら赤石岳を中心に稜線を歩いて楽しんでいるとのこと。冒頭から何度か触れている南アの超人が出現し始めました。

そうそう、花も写真に撮らないと。ヒメシャジンですかね。いっぱいある。


定番のイワツメクサ。




注意してみると三伏峠小屋も発見できました。結構周囲は崩落していますね。


キアゲハ。仙丈ケ岳でも会いました。南アには多いのかな。


それにしても、ハイマツ帯越しの塩見の絵は美しいと思う。




小河内岳稜線とその奥の荒川三山方面も重厚で格好いい。明日はもっと高い塩見岳から眺められるので、その全景が見られるはず。


大満足で1時間近く遊んでから三伏峠小屋に戻ります。途中でトウヤクリンドウ発見。秋のイメージですが、天気がよいとその白くて可憐な花を開くので、背景が決まると美しい花です。


マツムシソウの群生地帯に入りました。背景に甲斐駒とか見えているし。何気ない道に絶景が。。。




鳥の声もいつも聞こえていますよ。尾瀬にも負けません。


で、三伏峠小屋に戻ってテントを張って、お腹が空いたのでカレーライスを頂きました。肉が多めでリッチなカレーでした。


この後、午後は小屋泊の人やテント場の人と語らって過ごしましたが、冒頭から何度も書いているように超人が多かったです。例えば:
聖岳から仙丈ケ岳まで縦走する人。
妙高の辺りにあるアウトドア専門学校の1年生(18歳)の女子で、黒戸尾根から始まってその後は仙塩尾根をここまで歩いてきて超余裕で来年は30キロ担いでコースタイムの80%で行くと豪語する人。
80歳だけど若いときから南ア登山しまくっているベテランで、今でも20キロの荷物担いで聖まで行くという人。

私、密かに今回の鳥倉登山口から北岳、そして切り返して農鳥岳、奈良田下山というのはレベル高いルートと自負してましたが、初日から圧倒的に敗北しました。使える時間の問題もありますが、皆さんとにかくスケールでかいですね。スケールでかい山域に臨むならこういう山行の方が本質に迫れるのでしょう。

夕飯は茄子と豚肉のピリ辛炒めを作りました。4泊もすると、どうしても軽量化のためにフリーズドライが多くなります。それでも1日目くらいはある程度ちゃんと作って今後のために備えたかったので。


いつの間にかテント場もいっぱいに。さて、明日からはいよいよ大縦走です。






遥かな尾瀬第2弾 盛夏の湿原と花の名山至仏山 続き

2016-08-30 22:54:35 | 旅行
まったく、Gooのリミットのせいで、せっかく最後まで書いた記事がおじゃんになってしまいました。
自動保存されていたところまでは先ほどアップしましたが、その続きはこちらに書きます。

オゼソウを見た後も下山は続きます。眺望の開けるところからは尾瀬ヶ原や日光方面が望めるので、とても気持ちがいいです。そして、足元には花が絶えません。アヤメの咲いている一帯がありました。ヒオウギアヤメかな。尾瀬ヶ原ではとっくに終わっている花ですが、標高の高い至仏山だから残っているのか。










そして、オヤマ沢田代の湿原にたどり着きました。


この辺りからは、至仏山の隣の山である笠ヶ岳が望めます。北アルプスの同名の百名山とはもちろん違う山ですが、形はよく似ていると思う。こちらの笠ヶ岳は、蛇紋岩の山かどうかは分かりませんが、ヤマレコを見ると至仏山同様に高山植物の宝庫のようです。


湿原はやはり小さなお花がたくさん。ここでもタテヤマリンドウが咲いています。




これはイワイチョウかな。ちょっと時期が違うと思うけど。


そして、ここにもキンコウカがたくさん。うっすらと黄色く染まる湿原。




この辺りが、標高的に尾瀬ヶ原や燧ケ岳を眺められる最後のポイントです。


ここからは樹林帯。


北関東の原生林を要する山々も、夏山本番の趣。






そして、ついに鳩待峠に到着しました。


至仏山(実際には見えているのは小至仏山だと思います)を見上げる。いやー、流石の花の名山だった。


ここで旅が終わればよいのですが、山ノ鼻まで下りてテントを回収しなくてはいけません。観光客の方々の邪魔にならない程度に小走りで駆け下り、テントを撤収しました。途中、ソバナが見事だった。


それにしても尾瀬、2か月弱の間にすっかり表情を変え、違ったお花が咲き乱れていました。貴重な湿原と蛇紋岩の至仏山、まさに世界の宝と言うべき自然遺産です。燧ケ岳に登って尾瀬ヶ原や尾瀬沼を眺めたり、草紅葉の時期に湿原を歩いたり、水芭蕉やリュウキンカ、あるいはニッコウキスゲの群生が花の盛りの時を狙ったり、まだまだ何度か来てみたいところですね。



遥かな尾瀬第2弾 盛夏の湿原と花の名山至仏山

2016-08-30 22:41:16 | 旅行
7月の23日、24日の土日で1か月半ぶりに尾瀬に行ってきました。残念ながらニッコウキスゲの最盛期は逃してしまいましたが、キンコウカが咲き始めてアヤメ平が美しく変化しているのを堪能すると、7月頭から入山可能になる至仏山で希少な花々を見るのが目的です。尾瀬はシーズン中色んな花々が交代で見頃になるので、飽きることがなさそうです。



今回も、関越交通のバス、尾瀬号を利用して鳩待峠から入山しました。前回は夜行だったのですが、今回は既に満席だったので朝の6時台に出る便を利用。途中幾つかの停留所に停車するので、尾瀬に入るのは11時半頃になります。まずは至仏山方面を眺める。明日のターゲットです。
既に11時半ということで早朝の空気は感じられませんが、天気はいいし早速アヤメ平を目指して歩き始めます。序盤は木道の付いた樹林帯。緑の色が6月に比べて明らかに濃くなっており、草や木の葉も成長して茂っています。盛夏の趣。




樹林帯ではハナニガナがたくさん咲いていました。


ルート取りの問題で、今回テントを張る山ノ鼻にはこの日の最後に到着する予定。つまり、1泊とはいってもテント泊装備を背負っての歩行が続くのが唯一の問題。まあ、この時点ではまだ元気で、1時間ほどサクサク歩いて横田代の湿原が見えてきました。


この横田代の湿原、あまりメジャーではないのが不思議です。鳩待峠からコースタイムでたったの1時間20分、開放感があり、花々が綺麗だし、お天気がよければ至仏山方面が綺麗に見渡せる絶景ポイントです。私は大好きですね。






前回は綿毛が大きくなり始めていた、湿原のメルヘンの主役であるワタスゲは、すでに終盤の状態。


しかし、替わってキンコウカが咲き始めていました。とても上品な感じ。贔屓の高山植物リスト入り決定。




池塘の水辺に咲くキンコウカ。


サワギキョウもありましたが、標高が尾瀬ヶ原よりも400~500メートル高い横田代やアヤメ平では、まだ蕾でした。


今年大当たりのタテヤマリンドウ。6月に来た時には、湿原がうっすらと水色に見えるほど咲き乱れていました。まだ咲いています。


キンコウカとタテヤマリンドウの共演。


コバギボウシも横田代ではつぼみ状態でした。これはこれで貫録を感じるのは私だけ?


ニッコウキスゲが少しだけ残っていました。


それにしても、横田代は天国感が強い湿原だ。去年の7月に行った鬼怒沼を思い出す。鬼怒沼からは日光白根山が見えたけど、横田代からは至仏山。訪れる人が少なめなのも幸いして、静かな楽園。






さて、横田代を後にしてアヤメ平に向かいます。この道も、道端に多くの花が咲いているし、樹間から燧ケ岳が見えたりして飽きることがありません。
ドクセリですかね。セリ科は見分けるのが難しいですが。可愛い花ですが、毒があるのか。


キンコウカも多いです。




燧ケ岳が見える。


そして、お約束のモウセンゴケ。ここで時間をかけて、あるものを必死に探しまくる。


あったー。モウセンゴケの花。昨年、鬼怒沼に登った時に、写真家の荒武さんに教えていただきました。盛夏の頃に白や薄紫の小さい花をつけるということを。密かに、この花を見ることが今回の尾瀬旅の目的の1つでした。


時期がちょっとずれていたのか、見つけられたのはこの1輪だけ。木道を外れて奥まで行けばもっと見つけられるでしょうが、それはマナー違反。木道の近くに咲いているもので満足して進みます。
アザミが咲いていた。秋のイメージがある花なので、ちょっと意外。なお、尾瀬には固有種のオゼヌマアザミがありますが、事前のリサーチ不足で見分けることができず。このアザミは何だろう。オゼヌマアザミでないことは確かです。アザミは種類が多いので特定できず。


そうこうしているうちに、アヤメ平に到着。本日2つ目の楽園。




湿原がキンコウカでうっすらと黄色く染まっています。


なお、アヤメ平の名前の由来はキンコウカです。キンコウカの葉がアヤメに似ていたので間違えてしまい、アヤメがたくさん生えている湿原ということでアヤメ平と名付けられたとのこと。一度は人間に踏み荒されて荒廃してしまったアヤメ平ですが、東京電力などの努力で徐々に植生が回復してきています。原発問題では組織の機能不全をさらけ出した東電ですが、尾瀬での貢献は認識すべきだと思います。


アヤメ平からは燧ケ岳の眺めがよいですね。池塘とのコラボも。






そして花々も。やはりここでもタテヤマリンドウ。


サワランを幾つか見つけました。トキソウはなかった。いずれも、時期的にちょっと遅かったですね。標高の高いアヤメ平だから少し残っていましたが、尾瀬ヶ原ではみませんでした。


そしてキンコウカ。あまりに美しくて写真を撮りまくる。












アヤメ平で至福の時間を過ごした後は、富士見峠方面に向かい、途中で長沢新道に入って尾瀬ヶ原に下ります。途中には南側が開けた場所があり、晴れていれば日光白根山など日光の山々を見渡せるのですが、この日は雲が上がってきてしまって見られませんでした。
長沢新道に入る直前には池塘があり、ここから眺める燧ケ岳も綺麗です。




さて、長沢新道。最初の半分は木道が整備されていて歩きやすいのですが、後半は結構急な坂で木道もなく、本格的な山道です。まあ、この道では樹林帯の香りや鳥の声を楽しむのが正解。湿原のイメージが強い尾瀬ですが、樹林帯は見事なブナ林やクロベなどの針葉樹の森で、巨樹も多いし豊かな植生が感じられます。








カニコウモリの花がたくさんありました。


クワガタが道の脇に。子供の頃は夏と言えばクワガタやカブトムシを探したものだった。今は花の方が興味がある。


沢を横切ると尾瀬ヶ原も近くなってきた証拠。


尾瀬ヶ原です。ここからは尾瀬ヶ原の中心にある龍宮の十字路を目指すのですが、この比較的マイナーな区間には小さい可愛い花がたくさんありました。あまりメジャーではないのか、どれも名前を特定するのが難しいですが。でも、とても可愛い。
ミゾホオズキかな。黄色の花は特定するのが一番難しいと思います。


これはミゾソバかな。下のはピンクが淡くて白いけど、同じ花のように見える。




ケナツノタムラソウかな。難しい名前だ。特定も難しい。


これはネジバナ。尾瀬ヶ原で結構たくさん見ました。


湿原の草も背が高くなり、6月とはまったく違うイメージですね。雲が結構出てきてしまい、絵的にはちょっと残念。


コバギボウシがたくさんありました。紫系の花は絵になる。






龍宮小屋。尾瀬ヶ原の真ん中に立つ小屋。比較的古い建物なんですかね。尾瀬の山小屋の中でも風格を感じる。


さて、十字路からは直接山ノ鼻方面に向かわずに、北上して東電小屋方面を目指します。4時過ぎに山ノ鼻に着けばテント登録は問題ないはずだし、できるだけ湿原歩きを楽しみたいので。まあ、結果的には結構疲れましたけど。平たんな道とは言ってもテント泊装備背負っていると。
道中目立ったのはオゼミズギク。たくさん咲いていました。






ワレモコウ。つぼみのものも含め、横田代からいくつか見ていました。が、形のよい株で絵になるものには尾瀬ヶ原に下りてきてから遭遇。


タカネアオヤギソウだと思いますが、自信なし。個体数は多くなかったと思いますが、背が高くて目立つ。


サワギキョウ。もっとたくさん咲いているかと思いましたが、私はそれほど多く見つけられず。紫の花がこれだけ大きいと迫力ありますね。栄養が少ないはずの湿原で、アケボノソウもサワギキョウも迫力十分だ。


そして、尾瀬ヶ原の中田代で圧倒的に群生してたこの植物。怖いくらいの群生。シダっぽいけど。正解は、どうやらヤマドリゼンマイという植物。確かに、6月に来た時に山菜のような植物がたくさん生えていました。ゼンマイの一種だとは思いましたが、結構大きくて、食べるにはどうかと思った記憶があります。それが真夏にはこんなに葉っぱを茂らすんですね。




こういう季節ごとの植物の変化を目の当たりにするのは楽しい。アルプスだと、年に何回も同じ山域には行かないですからね。
さて、花に戻ると、ノアザミが綺麗でした。アザミは下向きに咲くものが多いと思っていましたが、上向きに咲いて色もピンクと紫の中間くらいでとても輝かしい。




ニッコウキスゲも、群生の時期は外しましたが、少し残っていました。やはり絵になる花。


そして、池塘に咲くヒツジグサ。夕方になると花を閉じてしまい、翌日日が高くなるまで開きません。お寝坊さんで可愛い。


ヨッピ吊り橋まで来ました。


吊り橋の近くに咲いていたトモエソウ。明らかに終盤。


これはアブラガヤという植物です。かなり多く見られました。花ではないのかな。何となく秋っぽいかんじ。


時々燧ケ岳方面を眺める。


おっ、イワショウブ。昨年は北アルプスの北ノ俣岳から太郎平小屋に至る間の湿原でたくさん見ました。これも秋のイメージが強い花です。




特定しにくい白い花。ミズチドリかなあ。


キツリフネ。奥多摩でも見るので自分にとって珍しくはない。


そしてネジバナ再び。ねじのようにくるっと巻いているからネジバナ。白とピンクでとても可愛いのですが、色が薄いせいかカメラのオートフォーカスがなかなか決まらずにとても撮りにくかった記憶があります。


只見川にかかる橋のところまで来ました。時間の問題もあってこれ以上は進まず、山ノ鼻方面に引き返します。




サワギキョウがこの辺りには多く見られました。一方で6月に多く見られたオゼヌマタイゲキは完全に終わっていて、まったく識別できませんでした。


山ノ鼻方面に歩きながら至仏山を見る。至仏山登山と花々がメインのエントリになると思ったのに、1日目の湿原歩きでの写真を相当載せているという事実。それだけ花が多くて景色がよいのが尾瀬だということ。


オニシモツケかな。結構たくさん咲いているけれど、あまり特徴がないので無視しがちな花。


タカネアオヤギソウと思われる花。時々出てくる。大きいので迫力あるけど、色が地味。よく見ると1つ1つの花は綺麗です。


アブラガヤにとまる野鳥。稲穂にとまるスズメではない。この写真、今から見返すとよく撮ったな。野鳥はすぐ逃げちゃうから撮りにくいので。


そして、ノアザミ。


これは、池塘の近くにたくさん咲いている花。特定しにくい。ミカヅキグサか、ミヤマホタルイだと思う。拡大してみると結構繊細で綺麗です。




この時間になると歩いている人が減り、尾瀬ヶ原を独占できるというメリットがあります。テント泊装備で11時半から4時ごろまで歩くので疲れてきますけど。




尾瀬ヶ原でもキンコウカは咲いています。まあ、アヤメ平で感動した後なので、ここでの感動は抑制気味。


そして、牛首分岐の辺りで池塘が増え始めると、ヒツジグサ。




こんな感じで、すでに閉じている花が多いです。




大きなクガイソウが時々現れる。あまり珍しくないものでも種類が違うものはすべての花を1枚は写真に収めようとしているので、どうしても枚数が増えます。


コバギボウシ。


ここで、セグロセキレイが1羽、木道に下りてきて鳴きながら私の右前方を逃げるようにしながら並走します。話しかけても当然反応しませんが、逃げもしません。で、せっかくなのでポートレイトを撮影。これまではあまり野鳥の写真は撮れなかったですが、さすがは尾瀬。人気のなくなった夕方ならこういう邂逅もきたいできるのです。


牛首分岐を越えると池塘が増え、ヒツジグサ君もたくさん。






やや曇りがちな天気も雰囲気があってよろしい。


そして、モウセンゴケの中でもちょっと種類の違うナガバノモウセンゴケを発見。確かに葉が長い。


クルマユリなど、高山でおなじみの花も出てきます。ホント、花だらけの尾瀬。


時刻は4時半頃となり、かなり疲労感を覚えていたところ、ついに山ノ鼻の山小屋が見えてきました。


受け付けを済ませてテントを設営。おそらく、この日最後にテント場に到着したのは私です。いつもは比較的早めにテント場に入って無難な位置を確保するのに努めるのですが、この日はどうせスペースに余裕があるだろうと踏んでいました。まあ、想定通り問題なかった。


日が落ちるころから(午後7時)、ビジターセンターで職員の方がスライドショーを上映してくださいました。尾瀬の自然の成り立ちや今見られる花や動物の解説などで、なかなか面白かったです。こういうのも尾瀬ならでは。流石に自然保護に真剣な国立公園です。環境が厳しいアルプスでこの手の催しをずっとやるのは難しいでしょう。
そして、8時過ぎからは蛍の鑑賞会。尾瀬の清らかな水には蛍も当然住んでいるわけで。久しぶりにたくさんの蛍が飛ぶ光景を見ました。

さて、よく寝て翌日は夜明けとともに行動開始です。花の名山である至仏山に登るのがこの日の目的ですが、その前に朝方の霧立ち上る尾瀬ヶ原を少し散策します。気温が下がる夜間は水蒸気が霧になり、尾瀬ヶ原に滞留するのですね。










花も少々。ドクセリとキンミズヒキかな。




さて、いよいよ至仏山に向かいます。序盤は針葉樹の樹林帯。クロベの巨木がたくさん。そして、かなりの急登です。花の名山ということで優しいイメージもありますが、意外と侮れないタフな山でした。


オオバギボウシ。それにしても大きな株だ。


私はテントをたたまずにアタックザックだったので身軽ですが、多くの人はテントをたたんで荷物をすべて担ぎ上げていました。それらの人たちは大変そうでしたね。


至仏山に山ノ鼻から登り、鳩待峠に下山すると、テントを回収するために往復1時間半から2時間ほどの道を登り下りする必要があります。これを避けてテント泊装備を担ぎ上げるか、アタックザックで至仏山に登頂してその後に体力と時間をかけてテントを回収するか、判断の分かれるところですね。私は、6月に来た時の感覚から、鳩待峠と山ノ鼻の間を後から往復する方が楽だと考えていました。結果的にそれでよかったと思っています。

ある程度登ると、尾瀬ヶ原にかかった朝霧の上に出ます。そうすると、尾瀬ヶ原の雲海を臨む形に。至仏山、花だけでなく景色でも一流です。




そして、このくらいまで登ってくると高山植物もちらほら。まずはミネウスユキソウ。




そしてここでもキンコウカ。


徐々に高度を上げるにつれ、尾瀬ヶ原ではだんだん霧が晴れていきます。




シブツアサツキ。至仏山一帯にしか咲かない固有種です。至仏山は、2014年に固有種の花を求めて遠征した岩手県の早池峰と同じで、蛇紋岩という特殊な岩で形成された山です。この岩は養分の関係で珍しい植物が生き残っているらしく、蛇紋岩の山は固有種の宝庫なのです。




この手の白い花は特定困難。




見上げる先の雰囲気も早池峰に似ている。ちなみに、両方とも百名山ブランドを冠しています。


このくらいまで登る頃にはすっかり霧は晴れ、尾瀬ヶ原の池塘や木道もくっきり見えます。


ツリガネニンジン。たくさん咲いています。




これもたくさん。ホソバコゴメグサ。


至仏山のものが世界標準ということになっているらしい、ムラサキタカネアオヤギソウ。




これも時期がピッタリだったのか多く咲いていました。タカネナデシコ。とても複雑な花びらです。


ちなみに、一帯はお花畑状態。




こうなると登山には時間がかかります。アタックザックで身軽だったせいもあり、序盤では他の登山者をどんどん追い抜いていました。しかし、この辺りでは花を見たり撮影するのに忙しくて全然進まない。至仏山、花好きにとってはコースタイムはまったく当てになりません。特に、高天原と呼ばれるお花畑一帯では全然進みません。

イブキジャコウソウ。


タカネナデシコ群生。




登山道を外れて高山植物を傷つけることがないように木道が出てきますが、その木道の下にも花が多いです。


ここで、至仏山一帯と谷川岳にしか見られない固有種のホソバヒナウスユキソウが登場です。今年は雪が少なくて花の時期が例年より早かったため、時期的にもう見られないと思っていました。ラッキーです。早池峰でも、固有種のハヤチネウスユキソウをたくさん見ました。ウスユキソウとの相性はいいようです。




これが普通のミネウスユキソウ。花の感じも葉も違います。


タカネトウチソウ。




ミヤマシオガマとヒメシャジン。


ホソバツメクサ。早池峰でもよく見た花です。やはり蛇紋岩に咲く花は似てくるのでしょうか。




イブキジャコウソウとホソバヒナウスユキソウ。


イワシモツケ。


どんどん出てくるタカネナデシコやイブキジャコウソウ。そしてツリガネニンジン。






そして、至仏山でもタテヤマリンドウの大家族。


チングルマの花穂も。


エゾウサギギクはあまり多く見かけませんでした。形の良いものは少なかった印象。


そして、花を見ながらゆっくりしたペースでの登山もついに終わり、至仏山2,228メートルの山頂に到着です。


一応自撮り。


山頂からは360度見渡すことができます。冬は雪深い新潟、群馬の県境の辺りの山々です。








南方には小至仏山も。


東方は尾瀬ヶ原。


山頂にウメバチソウが。秋の花のイメージですが。


さて、山頂からの景色を堪能しておにぎりなど簡単なエネルギー補給をしたら、小至仏山方面に向かいます。至仏山は、下山ルートは鳩待峠に向かう一本道しか許されていません。登りは山ノ鼻からでもいいんですけど。高山植物を守るためにある程度人の流れをコントロールするのと、蛇紋岩は滑りやすいので急な坂を下る危険を避けるためだと思われます。
下山ルートも、やはりお花が多いです。ムラサキタカネアオヤギソウ。


ホソバヒナウスユキソウ。


ミネウスユキソウ。


ヒメシャジン。




イブキジャコウソウ。


ホソバツメクサ。


そしてタカネナデシコ。


ミヤマダイモンジソウは終盤で、あまり形のいいものは残っていませんでした。ジョウシュウアズマギクやタカネバラも。アズマギクはピンクが綺麗なはずだから盛りの頃に見たかったなあ。










ウメバチソウがちらほら。まとまり感のある花だと思う。


そして名前を特定できない花々。以前どこかで見かけた覚えがあるけれど、年のせいかなかなか思い出せず。






晴れて気持ちのいい稜線歩きです。やはり、蛇紋岩の山の風景は何となくどれも似ているように思う。


で、小至仏山に到着。ここからの眺望もいいです。






自撮り。


この先にもお花はずっと咲いていて、ジョウエツキバナノコマノツメなど普通のキバナノコマノツメとどこが違うのか分からないけれどどうやら初めて見るスミレの仲間にも無事に巡り合いながら、徐々に下山していきます。










しかし、実は私は小至仏山を過ぎた辺りから神経を張り詰めてある花を探していました。それは至仏山の固有種。世界でこの山の一帯にしか咲かない花を探していたのです。
事前のリサーチで分かっていたこと。それは、どうやらお花畑のスケールは山ノ鼻からの登りのルートにある高天原周辺が最高。しかし、この固有種は鳩待峠方面のルートの中で、小至仏山と湿原の間に咲いているのを見つけるのが一番見つけやすいらしい。ということで注意していました。
そして、出会いは突然に。逆方向から登ってくる団体を先導しているガイドさんが、「はい、これがオゼソウですね。オゾソウです。オゼソウです。」と連呼していたので、全然注意していなくてもすぐ分かりました。と言うか、注意していてもこのガイドさんの連呼がなかったら見逃したかも。事前リサーチでも分かっていましたが、地味な花です。






オゼソウ。希少価値からありがたがって眺めて写真に収めたものの、正直言ってタカネナデシコやヒメシャジンの方が可愛い。。。
まあ、いいでしょう。今年はキタダケソウを狙ってうまくいかったりしていましたから、日本の希少な高山植物を追いかける私の山歩きとしては、元気なオゼソウに巡り合えたのはとても意義深いことです。

と、ここでGooのリミットに引っかかってしまいました。調子に乗って写真をアップしすぎていました。取りあえずここで一回記事をアップします。