冷たい風のような火

メモ書きですが、それにしても何で公開の場で書くんでしょうね。

長沢背稜から雲取山、飛龍山の縦走 3

2018-05-06 21:38:46 | 旅行
4月28日から30日のGW前半、2泊3日の奥多摩~奥秩父縦走記録。最終日の3日目です。この日は雲取山の山頂直下にある避難小屋から飛龍山に縦走し、その後は山梨県の丹波山村に下山する予定です。途中、天平尾根というなだらかな広葉樹の自然林を通るので、新緑を楽しむつもりです。

4時50分の日の出ということでしたが、ご来光を拝んだらすぐに出発できるようにパッキングをしたり避難小屋の掃除をしたりしていたら、あっという間にその時間に。慌てて外に出て山頂へ。その途中で太陽が昇り始めました。危うくご来光を見逃すところだった。


空気が少し霞んでいるのか、完全に真ん丸ではない感じの太陽。でも、今季初のご来光です。手を合わせて安全祈願。


西側を見ると、この日登る予定の飛龍山。まだ雲取山など東にある山々の影になっているせいか、太陽が当たっていません。


飛龍山の奥には南アルプスの巨大な山々が見えています。甲斐駒ヶ岳、仙丈ケ岳。


そして北岳。間ノ岳も半分見えています。


荒川岳、赤石岳、聖岳。


大菩薩連山の向こうに富士山。


太陽は、前日歩いてきた長沢背稜の上に昇っていきます。




朝日に照らされる奥多摩の山々。


十分にご来光の時間を楽しんだら、5時を少し回ったくらいの時間。気温は7度ほど。飛龍山方面に出発です。




まずは、三条ダルミという鞍部まで大きく下ります。下るのは250mくらいかな。その分飛龍山に向けて登り返すことになるのが面倒ですけど。


思ったよりも急な道で、テント泊装備だとスリップしないように気を使いました。登りで使うのも楽ではないでしょうね。雲取山は、鴨沢からのコースが圧倒的に楽で、あとは三峯ルートも三条の湯ルートも普通にキツイと思います。
早朝の気持ちのよい空気の中、朝日でオレンジに輝く山々が樹間から見えています。


富士山も。


5時20分ごろに三条ダルミに到着。やはり下りは早い。


ここからも大菩薩連山の向こうに富士山が見えます。結構眺めのいいところですね。


この後は、あまり激しいアップダウンもなく、比較的歩きやすいよく踏まれた道が続きます。基本的に足元は笹原で、左右を見るとかなりの数の獣道ができています。鹿とか多いんでしょうね。




右側の笹原が開けて湿原のようになっている場所。




やはり動物が多いようで、足跡こそ確認できなかったものの糞や獣道は分かるし、そしてこの写真のように(鹿と思われる)動物の毛が落ちていたりします。


笹原と針葉樹の向こうに富士山が見える。


拡大。


富士山だけではなく、付近の山々を眺めるのもとても楽しい。なぜなら、新緑の山肌がとてもきれいだから。1日目にハナド岩から眺めた小川谷の景色は、広葉樹の自然林がとても美しかったです。それに勝るとも劣らないと思われるのが、雲取山と飛龍山に囲まれた後山川の谷です。この縦走路の樹間から眺められます。山深さを感じられる、とても豊かな森のイメージ。




しばらく行くと、このような補強された道に出ました。道の右側には紫色の花が咲いています。


コイワザクラです。1日目に見たヒゲネワチガイソウと同様、今回の山行で見られるといいなと思っていたお花です。結局ここでしか発見できませんでしたが、このポイントでは結構な数が群生しています。




サクラソウの仲間ということで、ハクサンコザクラなどと近い種類の花ですね。この手のお花はどれも可愛いですね。夏の始まりを告げる花のイメージ。






それにしても山深い感じで気持ちのよい景色が続く道だ。森林限界の下なので常に眺望があるわけではないですけどね。




三条の湯からの道が合流するチェックポイントである、北天のタルに着きました。初日に酉谷避難小屋で会ったベテランの方に、この後は少し道が厳しくなると聞いていたので、少し休憩して注意しながら歩行再開です。


途中に見える雲取山と奥多摩湖の方に延びる尾根。この尾根はなだらかですね。


雲取山拡大。正面の坂を下って三条ダルミを経て、今の位置まで歩いてきています。


谷を覗くと緑が美しい。


道自体は確かに少し荒れた感じになりますが、急坂という訳でもないのでほぼコースタイム通りに進むことができました。飛龍山直下の飛龍権現には8時10分に到着。


ここにザックをデポして空身で山頂に向かいます。山頂は樹木に覆われていて展望がなく、地味です。そのため、今回の山行でお会いした方は全員「一度行けば十分」とおっしゃっていました。確かに特徴のない道を20分ほど登って着いた山頂は地味。まあ、せっかく来たのでやはり山頂は踏んでおきたいものです。


山頂への道の途中でかろうじて雲取山が見られるところから撮った写真。これが展望の限界。


飛龍山は、山頂への道もそうですが、下山で使ったルートもシャクナゲが多かったと思います。時期が合えば、シャクナゲロードで登頂する価値ももう少し上がるのではないかと思いますが。
それはともかく、これも酉谷避難小屋でお会いしたベテランの方に教わったのですが、飛龍権現から5分も離れていないところにある禿岩が展望台として最高だということだったので、下山前に行ってみました。この禿岩、今回の山行でダントツナンバー1の大展望台でした。西は奥秩父主脈だけでなく八ヶ岳方面、その北には浅間山方面、南西には南アルプス、南面には大菩薩連山の向こうに富士山、そして東側には奥多摩の山々。もう全部。すごい眺望。そして、何よりも景色が綺麗。特に大菩薩連山と奥多摩の新緑が本当に美しい。取りあえずGoogleのサービスでパノラマ化された写真を先にあげ、それに続いていくつかの写真を載せておきます。


















南アルプスの名峰も、雲取山の山頂からよりもここからの方がよく見えます。






圧巻の景色で、30分ほど山頂で遊んでいました。大きなカメラで撮影していた人もいましたが、それも納得です。アルプスの岩々しい稜線の景色もいいですが、このような緑多い山の景色は落ち着きますね。
さて、名残惜しいところではありますが、あまり遅くならないうちに下山しないといけないので禿岩を後にします。まずは前飛龍というピークまで下りて、そこからはかなりの急坂を下ることになります。


前飛龍からの眺めもなかなか良くて、後山川の谷などの深い谷が緑を湛えています。






ここからの下りはかなり気を付けて行かないとスリップしそうな道です。


以降、ある程度斜度が緩くなるまで写真なし。かなりの急坂でやっかいな石も多い道でした。時間的には30分程度の道です。まあ、南アの農鳥岳から奈良田に下る時の大門沢の道に比べればまともだし短いので、そこまで疲れません。
難所を過ぎても、まだ標高が結構高いので針葉樹の森や新緑が芽吹いていない樹林帯がしばらく続きます。ミカサ尾根というところだと思いますが、それなりにアップダウンもあって歩き甲斐がありました。




コースタイムをよく確認していなかったために誤解していて、11時前にはチェックポイントのサオラ峠に着くと思って歩いていました。実際には、コースタイム通りなら11時15分くらいだったのですが、誤解のために、なかなか着かないなあと思っていました。

まあ、焦るというよりは周囲の景色を楽しむようにしていました。なぜなら、徐々に新緑が目立つようになっていたからです。


主役はやはりカエデやブナで、ミズナラなどはまだ裸のままでした。






気持ちのよい道。登りで使っても楽しいと思う。








実際のコースタイム通りに11時15分頃にサオラ峠に到着。祠があります。3日間の安全山行を感謝。


ここは、三条の湯方面への道、直接丹波山村につながる道、私が来た飛龍山へつながっている道、そしてこれから向かう丹波天平に連なる天平尾根への道が四方に延びています。丁度よい休憩ポイントでもあり、何人かの人が昼食を取っていました。


私も残りのパンを食べたりして少し休憩し、天平尾根へ向かいます。天平尾根はアップダウンのほとんどない歩きやすい道なので、新緑を楽しむお散歩ですね。










カラマツの新緑も多く見られます。と言うか、カラマツのとても大きな森があります。




丹波天平と呼ばれる、広く開けたところに出ました。ここだけは樹木がない草地。不思議だ。


そこから少し歩くと分岐に出ます。30分程度の新緑お散歩も終わりです。蝶が多く飛んでいたりして、メルヘン感漂う道でした。何人かのグループで丹波山村から登ってきて、天平尾根を通ってサオラ峠経由で三条の湯に宿泊するというハイキングプランは楽しいのではないでしょうか。


さて、いよいよここからは本格的に下山。しばらくは広葉樹の自然林の新緑を楽しむことができますが、徐々に杉や檜の植林帯になります。奥多摩の杉に比べ、丹波では檜が多かったように思いますが。


でも、自然林の中ではミズナラの新緑を見ることができました。ミズナラは標高の低いところでないとまだ葉が出ていないかったですね。


最後に大きなヤマツツジが登場。




ヤマツツジで締めというのはこの時期の山行の1つの典型的なパターンだと思う。もう少し時期が進むとタニウツギで終了というパターンが多い気がする。それはともかく、登山道は最後に小学校の敷地を通って終了です。地図には登山道の入り口が分かりにくいと書いてありましたが、確かにこの入り口を見つけるのは至難の業だ。私は下山してきたから自然と小学校に着いたけど。時間的には丁度午後1時でした。


その後は10分ほど歩いて丹波山村の温泉施設、のめこい湯へ。ここは、道の駅に併設されている感じで、温泉施設はつり橋で川を渡ったところにあります。


お湯自体は、露天風呂も室内も結構余裕のある広さだったし温度も丁度良く、なかなかよかったと思います。ただ、一般道から車の多い道の駅に入ってさらにそこから少し歩くので、大きい荷物をもって暑い中歩いていくのは結構大変でしたね。あと、この道の駅ではジビエの鹿肉を使ったハンバーガーやカレーなどのメニューが売りなんだけど、すべて売り切れていたのも残念でした。仕方ないので豚肉の角煮丼などを食して終わりました。
帰りは、3時45分ごろのバスで奥多摩駅へ。バスで約1時間かかるので、奥多摩駅から電車に乗って都心に着くのは7時過ぎになります。1時に下山というと余裕あるように聞こえますが、空間距離よりも時間距離的に結構遠いのです。丹波山村、あるいは飛龍山は。雲取山の1つ先の山なんですけどね。

さて、GWの山行は、予報通りのお天気に恵まれて目的を完全に達成できる充実したものになりました。このところの山行はずっとお天気に恵まれて安全に歩くことができているので、とてもありがたいです。神に感謝です。この調子で本格的な夏山シーズンも充実させたいと思います。

長沢背稜から雲取山、飛龍山の縦走 2

2018-05-04 20:48:43 | 旅行
GW前半の奥多摩・奥秩父縦走山行、2日目の記録です。1日目は東日原から酉谷避難小屋まで。2日目は雲取山に到達してそこでテント泊、3日目は飛龍山に縦走して丹波山村に下山の予定です。
さて、2日目もよく晴れた朝を迎えました。宿泊した酉谷避難小屋の位置的にご来光は見えませんが、夜明け前にトイレに行った時に星がきれいに見えていました。まあ、満月が近かったのでかなり明るく、天の川はくっきりとは見えませんでした。2名の学生さんは夜明け前に出発され、私を含めて残りの3人は5時半ごろほぼ同時に出発しました。ベテランの方は手際よく小屋の掃除もされるので、少し手伝いました。無料で使わせてもらっているので最低限のマナーですね。
で、朝日の照らす長沢背稜を進みます。相変わらずブナやカラマツ主体の道。朝日を浴びてオレンジ色。




長沢背稜で唯一ちょっと危険だと思った崩落地がありましたが、特に問題なく通過できました。


足元のお花はやはりスミレなどが主体ですが、少し違った種類に見えるものがあります。記録の意味で写真を撮りましたが、種類は特定できず。


また、雨が降ると細い流れになると思われるようなところに、ネコノメソウやハナネコノメ(すでに花はほとんど落ちたもの)を見つけました。沢に咲く花々に水の少ないはずの稜線で遭遇できて、ちょっと感動。




出発から45分ほどのところで、ハシリドコロの大群落がありました。


大きな葉が茂っているだけに見えますが、よく見ると下向きに赤黒い釣鐘上の花があります。






まだ蕾のものも。


付近には、ヨゴレネコノメやヤマエンゴサクも見られました。








少し行くと、また湿り気のある地面が出てきて、ツルネコノメソウと思われる花が群生していました。




長沢背稜、いろんなお花が咲いていますね。ちょっとした群生地があるのもなかなかいい。巻き道とは言っても基本的には稜線付近なので、水が乏しくてお花は少ないかと思ったのに。嬉しい誤算です。
順調に歩き続けて出発から1時間少し。樹間から雲取山も見えてきました。


ここでヘリポート出現。やはり遭難者が出るんでしょうね。遭難話は実際によく聞くし。長沢背稜だけなら登山道が明瞭なのですが、ちょっと外すと山深いところで自分の位置が分からなくなるのでしょう。バリエーションルートを行くのはかなりのスキルが要りますね。


この日も富士山はバッチリ。


ほぼコースタイム通りに進み、水松山の辺りで分岐に出ます。芋の木ドッケ、雲取山に向かうべく右に曲がります。この辺り、道標が多く立っているので間違える人はほとんどいないと思いますが、道が広くてやや不明瞭なので注意が必要です。


しばらくはこれまで通りの道に見えますが、、、


実際にはこの分岐を超えて長沢山方面に進むにつれ、植生が明らかに変化してきます。苔が増え、広葉樹は白樺が増え、針葉樹もカラマツからツガやシラビソに変わります。奥秩父の特徴が強くなります。奥多摩は奥秩父山塊の東の端に位置しているので、基本的には似たような植生なのだと思いますが、土壌などに微妙に違いがあるのでしょう。苔が多くなると共に、バイカオーレンが一緒に咲いています。












そして、分岐から約1時間の標高差150メートル程度の渋い登りを経て長沢山に登頂。結構キツク感じます。10分ほど休憩して朝食の残りを食べていると、雲取山荘に泊まられた方々がやって来ました。以降、全部で10名以下ですが、何人かの人とすれ違いました。まあ、歩く人の少ない道です。


8時頃に長沢山を出発し、コースタイムで2時間先の芋の木ドッケを目指します。と、この道で嬉しい出会い。




何と、イワウチワではないですか。今年はこの花を見るために何度か奥多摩に出かけました。絶滅危惧種と言うと言い過ぎかもしれませんが、個体数を減らしている花です。そして、とても可愛い。アセビの咲くところに一緒に咲いていることが多く、今回もアセビの近くに見つけました。








登山道は、それまでの比較的平らで歩きやすい道から大きく変化し、木の根が張り出して歩きにくい道になります。ツガやシラビソの森です。針葉樹の本格的な森は、独特の香りがして気持ちが良いです。




足元にはバイカオーレンやイワウチワが時々出てきて、癒しを提供してくれます。そして、小鳥の鳴き声がとても多く聞こえます。シジュウカラやコガラ、ヒガラ、あるいはウグイスなどの声は何となく分かりますが、それ以外にもたくさんの声が聞こえます。姿はほとんど見えませんが、時々背の低い木に止まっているのを見つけたり、目の前を飛び去るのが見えたりします。いずれも写真には収められません。頑張ってズームしてピントを合わせたと思ったら逃げられる。あの絶妙のタイミングでの逃げは何なんでしょうね。見られていることを察する、五感以外の感覚があるんですかね。芋の木ドッケまでの登りは結構キツイですが、何だかんだでコースタイムよりも早めに登頂です。


この辺りはツガなどの針葉樹の鬱蒼とした森です。これでも、10年程前に比べると立ち枯れた木が多くて森は明るくなっているとか。


芋の木ドッケでも小鳥さんは多く、何とか姿は捉えたものの種類すら判別できない写真。


少し休んで芋の木ドッケを下り、雲取山を目指します。かなり下ってから登り返すことになるので、途中の道から見える雲取山はだいぶ大きい。


和名倉山方面でしょうか。こっちも山深い山域で、時々遭難者が出るようですね。バリエーションルートになるので。


途中に見つけたスミレ。これはアオイスミレかと思うんだけど、確信がない。


芋の木ドッケからの下りが終わり、鞍部である大ダワに着きました。ここで鹿が出てきたんだけど、写真には撮れず。


ここから雲取山荘へは男坂と女坂のどちらかを通ります。以前は女坂を使ったので、今回は男坂。これが厳しい道。約20分の急登です。半日歩いてきてこの段階でこの急登は厳しいですが、苔やバイカオーレンを見ながら現実逃避しつつ登ります。




そして、11時5分ほど前に雲取山荘に到着です。この山域では唯一の食事を出す山小屋で、かなり大きいです。聞いた話では、この日も満員だった模様。


2日目はこの雲取山荘のテント場にテント泊の予定でいたのですが、1泊目の酉谷避難小屋で一緒になった方々から、どうせなら雲取山の山頂直下にある避難小屋に泊った方がいいと勧められました。そのうちお一人は実際に泊られる予定だったし。確かに、GWでテント場は混むし、山荘からは20分以上の比較的険しい道を経ないと山頂に着かないので、2日目のうちに少し多めの水を担ぎ上げていれば山頂の避難小屋の方が便利です。トイレもあるし。問題は、多くの人が泊まるとなると狭いだろうということと、騒ぐ人がいると困る点。それでも、あまりに酷ければテント場に戻ればいいと思い、せっかくのお誘いなので避難小屋に変更しました。結果、これが正解でした。山頂で日没もご来光も見られたし、効率的に時間を使えました。

時間的にはまだまだ早いので、トイレも水場もある雲取山荘のベンチで昼食を取りつつ時間をつぶしました。歩いてきた長沢背稜と思われる方向をを眺める。


そして、12時半ごろ山頂の避難小屋へ。30名近く収容の大きな避難小屋ですが、この日は私を含めて8名しか利用しませんでした。前日はもっと人がいたようです。3連休の中日ということで、避難小屋利用者は少なかった模様。ラッキーです。


ザックを置いて、山頂に景色を眺めに戻ります。この日は快晴に近い状態で、どの方角もとてもよく見渡すことができました。


翌日登る予定の飛龍山。ここから見ると格好いい。左側に前飛龍と呼ばれる小ピークがあり、そこから切れ落ちるようになっているので下山路は急坂で厳しいことが予想されます。


山頂自撮り。


山頂からは、奥多摩の山々や歩いてきた長沢背稜、奥秩父の主脈稜線上にある甲武信ケ岳や金峰山、その北西にある八ヶ岳、そして大菩薩嶺やその奥に大きな富士山も見えたのですが、春の空気の特徴なのか気温がそれなりに高いせいか、全体的に霞んでいて写真ではぼやけています。




しかし、夕暮れ時にはそれなりにハッキリと周囲の風景も姿を見せるようになりました。やはり飛龍山格好いい。




この日は満月で、東の空には登ってきた長沢背稜や奥多摩の山々の上に大きな月が見えました。




そして、太陽は甲武信ケ岳のやや北の辺りに沈んでいきました。


2日目もお天気に恵まれ、無事に長沢背稜を歩き通して雲取山の山頂からの景色も楽しむことができました。避難小屋も利用者が少なくて快適で、十分に休息を取ることができました。夜は7度くらいまで気温が下がりましたが、避難小屋だとテントに比べてずっと暖かいですね。この調子で3日目の飛龍山を制覇し、天平尾根の新緑を楽しめることを期待して就寝です。

長沢背稜から雲取山、飛龍山の縦走 1

2018-05-02 20:56:12 | 旅行
GWの山行は、例年より新緑の早い奥多摩~奥秩父の山を縦走して楽しむことにしました。奥多摩は東京に住んでいる私にとってはホームフィールドですが、幾つか未挑戦のルートがあります。中でも今回は玄人っぽいルートというか、前々から気になっていたマイナーで静かな稜線を選びました。東京都と埼玉県の境である長沢背稜という尾根道です。ここは避難小屋はあるものの営業小屋やテント場はありません。初の避難小屋泊体験もしてきました。なお、2泊目は雲取山荘のテント場にテントを張る予定。

今回の山行には幾つかのテーマがあります。
1. 新緑: 今年は残雪が少なく気温の上昇も早いので、お花も新緑も例年より2週間くらい早いイメージ。そんな状況なので、GWの奥多摩は新緑が楽しめます。特に、今回は飛龍山からの下山時に天平(てんでいろ)尾根という広葉樹の原生林を通る計画にしたので、期待が大きかったです。


2.今シーズン終盤となった春のお花: 今年はこれまでの年よりも多くの春のお花を見ることができましたが、奥多摩に咲く花の中にはまだ幾つかとても興味はあるのに見たことのないものがあり、それを見たいと思っていました。


3.長沢背稜: 人の少ない道ということで、難しい道というイメージがありました。奥多摩をよりよく知るためにもここを歩く経験は不可欠なので、日も長いし人出も比較的多くて安心できるこのタイミングで挑戦しました。


4.雲取山からの眺望: 前回は2014年の9月に登っていますが、この時は雲が多くて山頂からの眺望は今一つ。せっかくの東京都最高峰からの眺めは期待したいところです。ご来光も同時に期待。


5.飛龍山: 雲取山の隣にあり標高も2,077mと雲取山の2,017mより高いですが、山頂が樹林に覆われていて眺望もなく、雲取山と違って日本百名山でもないという地味な存在(山梨百名山ではある)。しかし、奥秩父の主だった峰は数回に分けて制覇したいと思っているので、今回挑戦してきました。


さて、GW前半の3連休の天気はバッチリ晴れ予報。4月28日土曜日に今季初のテント泊装備約17キロを背負って出発です。まずは7時27分に奥多摩駅から東日原へ向かうバスに乗り込みます。そのためには自宅の最寄り駅を5時少し過ぎに出る電車に乗らねばならなかったわけで、結構眠いです。なお、登山者は多かったのですが、西東京バスが臨時便として川苔山方面へ向かう人には別のバスを出してくれたので、座ることができました。で、8時くらいに東日原のバス停に到着。ほとんどの人は鷹ノ巣山に向かいますが、私を含めてごく少数の人はここから一杯水の避難小屋を経て天目山方面に向かいます。


ここでちょっとアクシデント。バス停にある簡略化された地図では、登山口はバス停から少し先にあることになっているのですが、10分ほど歩いても見つからず。引き返して人に尋ねて、ようやく実際にはバス停手前に登山口があると知りました。まったく、ミスリーディングな表示は危険です。まあ、大事に至る前に引き返してよかった。ヤマレコでよく見る標識も出てきて、安心して登山開始です。


奥多摩の山の多くがそうであるように、最初の400~500mは杉を中心とした暗い植林帯の急坂を行きます。これが例によって厳しい。テント泊装備に加え、気温も結構高かったので汗は出るし息が上がる。覚悟していたものの修行のようなスタート。やがて、道の片側が広葉樹の自然林になると、明るさも増してきます。


そして、新緑はとても美しい。私は紅葉より新緑の方が好きです。




やがて植林帯の急坂が終わると、ヨコスズ尾根という自然林の緩やかな尾根に出ます。鷹ノ巣山の榧ノ木尾根に似た感じで、広葉樹の多いとても明るく歩きやすい尾根です。そして標高1,000mくらいのところにはブナの新緑。まだ葉が柔らかいのが分かる。




新緑の樹間から見えるのは川苔山ですかね。


足元を注意すると、スミレが何種類か見られました。フモトスミレやタチツボスミレなどに交じって、これはヒナスミレだと思うんだけど。これまではあまり見ることのなかった種類です。


さらにヨコスズ尾根を登り、標高が1,300mくらいになると新緑もやっと芽吹いたところという感じ。樹間からはこれから歩く長沢背稜が見えてきましたが、初めて歩くところなのでピークの名前を同定できない。


時々大きなブナの木が現れます。奥多摩は巨樹の地だ。


なお、ミズナラはまだほとんど新芽を出していませんでした。広葉樹でも少しずつタイミングが違うらしい。カエデ系とブナ系は早めなのかも。標高が上がるにつれて新緑が目立たなくなり、まだまだ冬のような装いの木も増えてきます。


と、ほぼコースタイム通りで一杯水の避難小屋に到着です。綺麗に清掃されていて快適に泊まれる様子でしたが、まだ早いので今回はもう少し先の酉谷避難小屋を目指します。


各避難小屋の近くには水場がありますが、事前リサーチでは水量は一定ではない模様でした。そのため、酉谷の水場が万一水量不足の場合に備え、一杯水で2リットルほど補給しておきます。一気に荷物が2キロも重くなりますが、水の確保を優先。これはリスク管理上しょうがない。水場は避難小屋から3~4分の場所にあり、この日は水量豊富でした。


さて、ここからは天目山の山頂を目指し、そこから長沢背稜に入ります。なお、実際には長沢背稜という名前はこの稜線のうち西側の方、具体的には雲取山の北方に位置する芋の木ドッケから酉谷山までを指すのが普通のようです。それより東は都県界尾根と呼ぶのが普通らしいですが、実際には同じ稜線なのでここでは長沢背稜で統一したいと思います。
ここでまたプチアクシデント。本来は避難小屋から天目山への直登ルートがあるのですが、なぜかこの時はピークを避ける巻き道を行ってしまいました。しばらく行くと巻き道と長沢背稜が合流するので、そこにザックをデポして空身で天目山の山頂との間をピストン。


無駄な行動のようでしたが、実際には山頂直下の急な所を大きなザックを担がずに済んだので楽だったかも。さて、11時10分くらいに天目山に登頂です。三ツドッケという別名の方が有名かもしれません。ちなみに、ドッケというのは尖った山頂を表す言葉のようです。マイナーなイメージの山ですが埼玉県の方からも登山道があるので渋めの山行を好む向きには結構知られているようで、山頂では数名の方が景色を楽しみながら昼食を取られていました。


山頂からは奥多摩の山々が見渡せます。よく行く大岳山と御前山も。写真だとうまく写っていないですが、実際には山肌が新緑の緑で綺麗です。


富士山も見えます。これを目当ての人も多いでしょうね。


これはこれから歩く方面。大きいのは雲取山の手前にある芋の木ドッケかな。


さて、三ツドッケを後にしていよいよ長沢背稜を歩きます。この標高では、木々はまだ多くは冬の状況でした。




ちょっとだけ芽が出ています。


足元で時々目立っていた葉っぱ。これはキバナノコマノツメかな。あるいはマイヅルソウか。いずれにしても、一斉に花が咲いたら結構な規模のお花畑になりそうでした。


11:45頃にチェックポイントのハナド岩に到着。


ハナド岩は、今回の山行で発見した2番目に素晴らしい展望台でした(トップは後ほど紹介)。ここからは登ってきたヨコスズ尾根と右手に見えるタワ尾根に囲まれた小川谷が眼下に広がります。正面は鷹ノ巣山が目立つ石尾根が連なり、その向こうに富士山という図式です。この小川谷ですが、植林は少ないようで広葉樹の自然林がとても目立ちます。写真ではうまく伝わりませんが、新緑が本当に美しく(恐らく秋には紅葉も同様に美しい)、感動的な景色でした。


少し視線を上げて長沢背稜とその先に見える雲取山を臨みます。写真中央のやや尖がった一番高い山が雲取山です。


雲取山拡大。山頂直下は少し急に見えますが、全体的にはなだらかな山容ですね。


そしてこれは雲取山から南東方向に延びる石尾根(奥の尾根)。手前はタワ尾根です。タワ尾根はもちろん、石尾根もこちらから見える側(北側)は広葉樹が多いようで、とても綺麗な色です。


ハナド岩に咲いていたアセビ。標高1,000mくらいのところだととっくに時期を終えたはずのアセビも稜線上には結構多くて、やはり環境が違うのだと思わせられます。


Googleのサービスでパノラマ化された写真。少しは全体の雰囲気が出ますかね。


30分近く大休止してお昼のパンを食べながら、ハナド岩からの景色を楽しみました。長沢背稜は山深い景色を見せてくれる道ですね。
さて、この日の予定ルートは残り1時間半くらいですが酉谷山の避難小屋を目指して再び長沢背稜を歩きます。オオカメノキやアカヤシオなど木の花が時々咲いていました。




アカヤシオはたぶん始めて見ました。奥多摩ではミツバツツジやヤマツツジが多いのですが、やや赤紫色の強いアカヤシオは比較的珍しいんじゃないかな。雰囲気的には、昨年谷川連峰で見たムラサキヤシオに近いです。






足元には引き続きスミレが多く、時々ツルキンバイが黄色くて可愛い姿を見せてくれます。これは斑入りのフモトスミレ。


長沢背稜の登山道ですが、これが意外なほど整備されていて安全でした。基本的に巻き道のため、無理して選ばなければ小ピークはかわすことができます。そのため体力的な負担も少なく、テント泊装備でも歩きやすかったです。確かに人は少ないので事故があった時には完全自己責任で助けは期待できませんが、道そのものはとてもよかったです。整備されている方々に感謝するとともに、これならもっと人が歩いてもいいのにと思いました。




途中、七跳山(ななはねやま)という素敵な名前のピークがあるので、ここは巻き道を外れてピークを目指しました。その直前に、今回の山行で狙っていた花を一輪だけですがついに発見。ヒゲネワチガイソウです。


白い小さな花ですが、オシベかな、小豆色っぽい赤が入ってとても可愛いです。この花は尾根に咲きますが、沢に咲く早春の花であるハナネコノメにちょっと似た雰囲気。昨年のヤマレコレポートなどではもっと咲いているように書かれていたのですが、今年は気候のせいかこのヒゲネワチガイソウはほとんど見つけられませんでした。白くて小さい花はカメラのピントが合わせにくいのですが、ザックを下ろして道に横たわって何とか撮りました。

あとは、七跳山への途中で見つけたこのスミレ。アオイスミレかと思うんだけど、確信ができず。


お花を探しつつ、七跳山に登頂。展望はないし山頂標識も簡単なものですが、素朴でいい感じ。


山頂を後にして登山道に戻ります。前方に見えてきたのが酉谷山ですかね(右)。左はタワ尾根の頭と呼ばれる滝谷ノ峰でしょう。


少し歩くと、ツルキンバイの大きなお花畑が登場です。これまでは基本的にちらほらとお花が道に沿って出てきていたのですが、ここは大群落。




ちょっと寄ってみるとこんな感じ。




大家族で可愛いです。




そして、その中にヒゲネワチガイソウも幾つか一緒に咲いていました。でも相変わらずピントが合わせづらくていい写真が少ない。




少しまとまって咲いているところもあります。




このお花畑で10分以上停滞。登山道は一人分の幅しかないのですが、他に歩いている人がいないので自由に使えます。長沢背稜、とてもいい。さて、お花畑を後にして再び歩き始めます。稜線は基本的に早春の雰囲気で、ヤマザクラが咲きはじめだったり新緑もやっと始まったところ。




2時になり、そろそろ目的地の避難小屋が近づいてきたはず。タワ尾根の頭もすぐ近くに見えるし。


この分岐の直下が避難小屋です。


で、2時10分頃に酉谷避難小屋に到着です。この日は私が最初の到着でした。GWなので混むと困ると思って早めに来ましたが、結局小屋の利用者は5名だったので、スペース的には余裕がありましった。


まずは水場をチェック。過去には愚か者によって破壊されたこともあるようで、水場は石や鉄製の覆いで補強されていました。水量は多く、安心です。ちなみに、味もよかったです。


小屋からは位置的に雲取山は見えません。正面は南東方向で、尖った鷹ノ巣山が一番目立ちます。


避難小屋はとてもよく整備・清掃されていました。こんな奥地で作業されている方に感謝ですね。トイレはバイオトイレで異臭もほとんどせず、快適でした。


ザックを下ろして整理していると、次の登山者が到着されました。70代の男性で、奥多摩の山々を歩きつくしているベテランでした。その後いらした壮年の男性も経験豊富な方で、バリエーションルートを楽しんでいるようでした。この方々からは翌日以降のルートについていろいろ教えていただきました。ありがとうございます。最後の二人はちょっと時間が経ってからやってきた学生さんでしたが、鳩ノ巣からずっと縦走してきたとのこと。距離的には私のこの日の山行の2倍くらいでしょうか。若い人の体力は凄い。
さて、日が長いので、私はこの日のうちに酉谷山の山頂を踏んでおこうと思って空身でピストンです。山頂は避難小屋から15分弱登ったところにあります。まだ葉の出ていないカラマツの林の中を登ります。


山頂到着。この日の最高点1,718mです。


そこそこの眺望があります。南東方面は奥多摩の山々。


北西方面に見えるのは雲取山から三峯方面に至る稜線でしょう。


北側には秩父の町が見えていました。秩父は山深いところに開けた盆地であることがよく分かる。


植生も、少しずつ苔が増えてきたりして奥多摩から奥秩父山塊に本格的に入っていくことが感じられます。


スミレも、これは今まで見てきたものとは葉の形が少し違うように思うけど、特定が難しい。


その後は避難小屋に戻り、ベテランの方にいろいろと教わりながら時間をつぶして5時ごろにいつもの早ゆでパスタとレトルトボロネーゼソースの夕食を取りました。他の方々はお酒も楽しんでいましたが、私はソロ山行の時はお酒は飲まないポリシーなので早めに就寝、翌日に備えました。
アルプスの稜線ももちろんいいですが、奥多摩や奥秩父の山深い、緑の多い景色もとても好きです。個人的には、癒しパワーは圧倒的に山深い、森深い山域の方が上だと思っています。特に新緑シーズンということで、この山域のベストシーズンを楽しむことができたと思っています。長くなってきたので、2日目以降の記録は次のエントリで。

今年の春の里山の花々

2018-04-22 20:06:59 | 息抜き
今年は奥多摩の山に早春から比較的多く出かけています。天候的には、今年は3月から暖かいので花も2週間くらい平年より早めらしいです。新緑も早くて、GW前に既に綺麗になってきています。GW頃までが春のお花の最後の時期になりますかね。その後でもウツギとかは楽しめると思いますが。
GWも山歩きをすると思うので、まだ他の春のお花にも出会うかもしれませんが、この時点でとりあえず列挙。

ハナネコノメ


コチャルメルソウ


カタクリ


ヒメレンゲ


ユリワサビ


ムラサキケマン


シロヤブケマン


ミヤマキケマン


ヨゴレネコノメ


ツルネコノメソウ


ミヤマハコベ


ツルカノコソウ


ニリンソウ


ミツバコンロンソウ


カキドオシ


クサイチゴ


ラショウモンカズラ


エイザンスミレ


フイリフモトスミレ


ナガバノスミレサイシン


ツボスミレ


シコクスミレ


マルバスミレ


ヒナスミレ


タチツボスミレ


イワウチワ


ツルキンバイ


ヒトリシズカ


ミツバツツジ


アセビ


モミジイチゴ


キブシ


アブラチャン


ミツマタ


ヒメウツギ


おまけ。新緑。









「メタ倫理学入門 道徳のそもそもを考える」

2018-04-07 12:05:17 | 社会

メタ倫理学入門 道徳のそもそもを考える

この本、とても面白かった。倫理学の教科書なのかな。とても読みやすいけど。
私は経済や経営のど真ん中を勉強してアメリカで学位を取った身であり、キャリア的にも資本主義のど真ん中だと思うけど、アダム・スミス自身が元々は倫理学者だったってことを考えると、倫理学ってのは意外と身近であるべきものなのかもしれない。
それはともかく、この本では以下のような問題提起がされ、基本的にそれに対して異なる2つの考え方(およびその折衷案のような第3の道)が紹介され、どれが最も有力な考え方であるかというような一種の答えは用意されません。従って、メタ倫理学の基本的な問題意識がどのようなものであるかを理解できる上、それに対して専門家はどのように考えてきたのかがよく整理されていて無理に一つの考え方を押すようなことがないので、自分なりの考え方を発展させながら読み進めることができてとても面白いです。

メタ倫理学っていうのは、倫理学の中でも「何をなすべきか(なすべきではないか)」を論じるものや、それを受けて実際の場面で「こういう職業上の場面ではこうすべき(すべきでない)」などを論じるものではなく、そもそも「どうしてなすべきことやなすべきでないことが決められるのか」「そんなの本当に決められるのか」、みたいなレベルで倫理・道徳を考えるものです。

実生活の中でも、ある瞬間にある行動を取るべきかどうか考える瞬間はありますね。もちろん、本書の中にも挙げられるような例としての状況、例えば脳死状態に陥った子供の臓器を親として他人に提供するべきかどうか、などの難しい状況もそうですが、単にちょっとした嘘を言う、交通規則のようなものを破る、なども含めると、いろいろと道徳的な判断をしているのでしょう。日常的に。そして、それらの中には、本当は道徳的にあるべき行動や判断はこうである、とある程度分かるものもあるのですが、それが分かりにくいものもある。そして、そもそも何故ある種の行動や判断こそが道徳的にあるべき行動や判断なのか、それ以外の行動や判断はなぜダメなのか、こういうことを考えるのがメタ倫理学ですね。

そもそも倫理学ってとっつきにくいというか、学問領域としては自分にはあまり関係ないとか思うかもしれないけれど(私も昔はそうだった)、倫理学、特にメタ倫理学で問われることは哲学の王道というか、哲学が千年単位で考えてきたことと重なりますね。例えば、
・道徳的な真理はあるのか、道徳的な問いに対する答えはあるのか
・倫理的な判断とは何か
・道徳的な真理は認知できるのか
・そもそも道徳的に行動しなければならないのか
などなど。こうしたことに対して、本書では以下のような立場が解説されていきます。

A1) 道徳的真理・事実は実在する。絶対的なもの、普遍的なものである
A2) 道徳的真理・事実は実在しない。相対的なもの、人それぞれ、文化それぞれなものである

B1) 道徳的真理は自然科学的なものとして説明可能である
B2) 道徳的真理は自然科学とは異なる次元のものとして説明されるものである

C1) 道徳判断とは、道徳的事実を認知し、それに基づく信念を形成するものである
C2) 道徳判断とは、道徳的態度を表出するものである

私の昔からの問題意識というか、自分の頭の中での整理は以下のようなものでした。もちろん、私はメタ倫理学の専門家ではないので、これまでに哲学に加え心理学とか大脳生理学的なものに関連する書籍から得た知識も交え、自分の生活体験に立脚して得た考え方です。
・道徳的な真理はある。それは、絶対的な善悪で示され、人の脳にはそれを判断する機能が生まれながらに備わっており、自然科学的な知識の増加に補助されて判断能力は広がる
・一方、普段の生活の文脈においては、その社会的文脈における真理が道徳的な真理とは別に存在する。それは、正誤で示され、人の脳はこれを社会的な交わりの中から経験的に学んでいく
・生活の中では、往々にして道徳的な真理と社会的な文脈における真理が一致しない。というか、上記の善と正、悪と誤が一致しているならいいのだが、善が誤、悪が正の場面に遭遇することが結構ある
・その際、善悪と正誤のどちらを選択するか、我々は意思決定しなくてはならない。これが道徳的な葛藤である

こうした自分なりの考え方があれば、それとメタ倫理学の様々な学説と言うか考え方と対比させることによって、さらに深く思考を掘り下げることができてとても面白いです。
実用書やビジネス書に飽きた時には、この本、とてもよいリフレッシュ読書になるのではないでしょうか。

里山の可憐な花々

2018-03-28 23:12:28 | 息抜き
山歩きを始めた理由の一つは、希少な高山植物を自分の目で見て、写真に撮っておきたいと思ったから。
2052」という本を読んで、地球温暖化は止まらないと確信したんですよね。悲しいけど。温暖化のために気候が変わると植生も変わってしまい、自然に予想不可能な影響を与えるのはほぼ確実。繊細なバランスで生きてきた動植物にとっては危機です。
そして、日本には固有種の動植物がとても多くて、その中でも高山植物は特に固有種が豊富。日本の固有種というレベルではなく、その山域にしか咲かない花、その山にしか咲かない花などがたくさんあって、それらの多くは特別な自然環境に適応した結果として今の生態がある訳で、繊細なバランスが崩れたら真っ先に絶滅してしまうと考えられる。
だからその前に見ておきたかった。

まだまだ東北地方や北海道のお花をはじめとして見ていないものも多いのですが、過去5年間の山行でかなりの種類の高山植物に出会うことができました。希少種としては、キタダケソウ、ナンブトラノオ、ミヤマサラシナショウマ、ハヤチネウスユキソウ、ホソバヒナウスユキソウ、オゼソウ、ウルップソウ、ツクモグサ、クモマグサなどなど。いわゆる稜線の高山植物ではなくても、ミヤマハナシノブやホテイランのような樹林帯の希少なお花にも出会いました。不思議な形の花も多いけど、可憐なものもやはり多くて、花を目的とした山行はとても楽しいです。

閑話休題。本日は里山のお花。
高山植物とは違うのですが、里山にも多くの可憐なお花が咲きます。特に春にはスプリングエフェメラルと呼ばれる花々が咲き乱れ、とても賑やか。最近では、こうした里山の花々にもこれまで以上に関心を持っています。理由は、姿がとても可憐なものが多くて愛らしいのと、中にはやはり日本の固有種のような珍しいものもあるからです。また、高山植物同様にどんどん個体数が減っている様子だからです。気候変動も要因かもしれませんが、里山の荒廃やハイカー・トレランランナーの増加も大きな要因のようです。ヤマレコなどを見ると、貴重なお花畑の位置はあえて曖昧にして登山記録を書いている人が結構います。場所を教えると人がなだれ込むのでしょう。
私の場合はほとんど一般登山道のメジャーなところでの撮影なのでそれほど隠すこともないのですが、それでも先週末に出会ったハナネコノメは場所をあまり明確にしない方がいいと思いました。

で、これまでの里山山行で出会ったお花の写真を幾つか掲載。


カタクリ。


ニリンソウ。


ムラサキケマン。


カキドオシ。


ヒメレンゲ。


ハナネコノメ。


ナガバノスミレサイシン。


クワガタソウ。


ヒトリシズカ。


レンゲショウマ。

今後のターゲットは、イワウチワ、キクザキイチゲ、アズマイチゲ、フクジュソウ、セツブンソウなど。フクジュソウは、東京と埼玉の県境に近いところに群生地があるようだけれど、いわゆるバリエーションルートになるので初心者だと道迷いで遭難するかもしれないから今年も挑戦できませんでした。長沢背稜という県境の尾根を何度か歩いて、あの山域に慣れてからでないと危ないでしょうね。
あとは、佐渡島でトレッキングをすると多くのお花が見られるようです。せっかく行くなら観光を兼ねて2~3泊したいところなので、しっかりしたプランニングと天気図解析が必要ですけど。飯豊山脈などと並んで、お花目的で行ってみたいところの一つです。

白毛門から念願の谷川岳東面を臨む

2018-03-14 21:03:16 | 旅行
昨年はクレバスに阻まれて山頂に到達できず、お天気の面でも最後まで谷川岳山頂から雲が取れなかったためにその東面の大岩壁を完璧には捉えられなかった積雪期の白毛門登山(その記録)。今年は絶対に成功させたい雪山登山の1つでした。
で、一人では不安なこともあり、昨年の唐松岳登山でたまたまご一緒した方をお誘いし、3月11日の日曜日に再挑戦してきました。結果的には、高層天気図の読図もバッチリ決まってお天気に恵まれ、下山時に山頂直下で10メートルほど滑落するという愚かな失敗を除けば最高の雪山旅になりました。
まずは山行のまとめ的な写真を幾つか。








この日は珍しく新幹線を使って高崎まで行き、そこから上越線でいつもの水上駅を目指します。鈍行で全部行くよりも1時間半ほど早く登山を始められるので、ある程度危険を伴う白毛門の登山においては時間に余裕を持たせる作戦です。東京駅を6時8分に出る上越新幹線「とき301号」に乗り、高崎で上越線に乗り換えて水上駅まで。最後は水上駅を8時25分に出る関越交通バスの谷川岳ロープウェイ行きに乗って土合橋のバス停で降りると目の前が白毛門登山口です。
この日は天気予報やヤマテン予報では朝から晴れだったのですが、私は高層天気図の予想図を毎日見ながら午前中はかなりの確率で雲が出ると思っていました。雲が取れるのは、高気圧が西からある程度移動してくる正午くらいではないかと。それまでは上昇気流が雲を作りやすい環境ですが、高気圧が出てくれば西からの風が吹いて雲を払ってくれるという読みです。実はこの状況は好都合で、ヤマテン予報に乗っかって早朝から登山開始しているパーティが多いはずなのでトレースがついているのは間違いないし、下山してくる人たちとすれ違う時にクレバスの状況なども聞くことができます。私たちは公共交通機関利用なので登山開始が9時頃ですから、登頂するころに晴れてくれば、目的の谷川岳東面が白毛門山頂からバッチリ眺められるというシナリオです。
果たして、出発時の天気は曇りです。私としてはシナリオ通りなので、まったく気にせずに出発。


昨年は完全に雪に埋もれていた馬蹄形縦走路の標識。今年は既に雪の上ですね。まあ、去年は2月に来ていますから、時期も違います。


行動開始直後に現れる難所はこの橋です。雪がだいぶ解けて橋が見えていますが、実は手前側の雪がかなり積もっているので、急な坂のようになっていて、かなり神経を使います。


雪の季節の川の流れは好きな風景。


さて、橋を渡ると直ぐに白毛門名物の急登が始まります。この後、基本的に標高差1,000メートルを一気に登るイメージで、私の知る限り一番の急登ルートです。夏道はもう少しグネグネしているんでしょうけど。


曇りということもあって気温は予報ほど上がらず、出発時点では雪も締まっていて歩きやすかったです。キツいルートなのは分かっていましたから初めからハードシェルは着ずに、帽子もなし。手袋もアルパイングラブではなくて薄手のものしか着けていませんでした。それでも、すぐに汗が出てきてサングラスが曇るほど。とにかく白毛門の急登はハードです。写真はこの日の同行の方です。


松ノ木沢の頭というポイントまではダブルストックで行き、そこで山頂直下の壁のような急坂に備えるためにピッケルに持ち替える予定です。そこで少し休憩も取る。それまでは、2時間半くらいの道をあまり休憩せずに一気に行くつもりでした。実際、多少息を整えるために立ち止まりましたが、二人でかなりのペースで登りました。相変わらず雪庇が目立つ尾根道です。


まったく雲が晴れない、と言うか、ほぼガスに巻かれたような状況。ホワイトアウトではないですが、遠くは見通せません。


そんな中、この日はヤマテン予報のせいか白毛門としては結構な人が登山していました。皆さん、この急登には苦戦です。


景色が見えれば元気も出るんでしょうけど。樹間から見える谷川岳は完全に雲の中。


さらに大きな雪庇。この尾根は雪庇見物尾根である。




標高が上がるとクラック、クレバスも左右に見えるようになります。ルート上にあると厄介ですが、今年は昨年と比べてこの面では恵まれていました。


結構登ってきた。まだまだ山頂は遠いのだろうか。


11時を過ぎ、出発から2時間経ちましたが、視界が悪いせいもあってまだ山頂はおろか松ノ木沢の頭も確認できず。同行の方は休憩を取りたいようでしたが、松ノ木沢の頭はあと少しではないかと思うので我慢して登っていました。この時、急登続きのルートの上でも結構急な坂の下部で、下山してきた方々と私の同行者が何気なく会話。「松ノ木沢の頭はまだまだでしょうか。」「えっ? もう、この急坂の先は山頂ですけど。」「はあ?」みたいなやり取りがあり、少し前に松ノ木沢の頭を通過していたことに気付きました。チェックポイントになっているとは言っても、松ノ木沢の頭はそれほど広く平らな訳ではないのです。昨年登った時の記憶ではもう少し広いところのイメージだったのですが、どうやら5分ほど前に通過した緩やかな部分がそうだった模様。休憩のタイミングを逃し、同行者は不満です。さらに、ピッケルへの持ち替えを比較的急なこの地点で行うことになり、行動的にも慎重さを求められる結果に。いやはや、視界が利かないと分からなくなるものです。山頂だけでなく、目印のジジ岩、ババ岩も見えなかったし。自分の位置が分かっていませんでした。見上げても視界はこんなもんですから。


ここからは、このルートでも最高に厳しい急坂です。かなり慣れていなければ、ストックでは無理でしょう。ピッケルを使って慎重に登ります。さすがに写真はなし。特に下山時には気温が上がって雪が緩み、ピッケル・アイゼンが利きにくくて苦労しました。
そして、最後に鎖のある岩場を通過すれば山頂はもうすぐ。どうやら右下に見えるのがジジ岩とババ岩のようだ。確かに頭に雪をかぶって白髪に見える。白毛門の名前の由来どおり。


でも、前を見ても山頂は見えない。


とは言え、歩いていれば頂上に着きます。標識は雪の中でしたが、白毛門に登頂。標高は1,720m。


振り返っても谷川岳東面は雲の中。


白毛門より先の馬蹄形縦走路、笠ヶ岳、朝日岳方面は少しましですが。この日は3名ほどの方が笠ヶ岳まで往復されていました。


結果的にはたいして休憩しなかったこともあって2時間40分ほどで山頂に到達し、ペース的には悪くないものでした。12時から1時くらいにバッチリ晴れるという自分の予言を信じ、気温が比較的高くて風もないないので山頂でパンなどを食べながら晴れるのを待ちます。お天気は明らかに回復傾向なのですが、風が相変わらず上昇気流で東からの風だったので、これが西風になるのを待ちました。同行者はTwitterに投稿などしていたようです。
山頂には我々を含めて10名程度の登山者がいましたが、皆天気の回復を祈って待っていました。12時ちょうどくらいの様子はこんな感じ。だいぶ青空が見えてきましたが、まだ谷川岳山頂付近や馬蹄形縦走路の稜線には薄く雲がかかっており、絶景ゲットという訳ではありません。これは谷川岳東面。


その右半分の一ノ倉岳から茂倉岳、そして武能岳方面。


蓬峠や七ツ小屋山方面。


笠ヶ岳と朝日岳。


ジジ岩とババ岩もハッキリと見えてきました。確かに白髪をかぶった門に見える。


そして、12時13分。朝日岳方面はほぼ雲が取れました。登山者同士で写真を撮りあったりします。




谷川岳東面は一本の線のような形で少し雲が残っています。西風が本格的に出てくれば取れるでしょう。まだまだ待ちます。


12時22分。だいぶ雲が取れてきて、皆さん喜んで写真撮影中。


縦の図。








トマノ耳、オキノ耳拡大。




一ノ倉沢、一ノ倉岳拡大。




一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳。


武能岳、馬蹄形縦走路。


笠ヶ岳と朝日岳。


12時29分。谷川岳東面。西風に変わってしかも少し強くなり始め、完全勝利を確信。






12時36分。完全に晴れ。


トマ、オキ。


一ノ倉、茂倉。


十分堪能し、写真を撮るよりも自分の目で楽しんだり他の登山者と会話して勝利の時間を過ごしました。そして、1時少し前に下山開始。写っているのは同行者です。






そして私。


山頂から少し下った、偽山頂付近から。




この先は例の急坂。慎重な行動が求められます。が、何とあっという間に滑落。しかも10メートル程度。止まらなければ谷底かという恐怖と、すごいスピードで落ち始めるととてもではないけどピッケルで滑落停止する余裕ないことを身をもって知る。幸い、何とか止まってくれたので助かりましたが、恐怖体験でした。それにしても、唐松の時に2メートルほど滑落した時とは異なり、今回は自分のミスに気付かないほどあっという間の滑落。理由は、下山後にアイゼンを外すときに分かりました。気温が上がったせいで雪が緩み、ダンゴなってアイゼンにつくのですが、なんとそれがアイゼンの底部のプラスチックを突き破っていて(プラスチック版は曲がっただけで折れてはいなかった)、前爪はともかくアイゼン前方の爪がまったく利かない状況だったのです。おそらく、山頂で写真を撮りながら走り回っている時からそうなっていたのでしょう。気付かずに歩いていたので、急坂でスリップしたのだと思われます。この恐怖体験がたたり、クライムダウンには必要以上に慎重になり、約1時間かけてゆっくりと下りました。同行者は我慢して待っていてくれて、ありがたかったです。やっと下って一休み。山頂を見ると、再びだいぶ雲が出てきてしまいました。


谷川岳東面も雲がかかっています。ここまで早く天気が崩れることは予想していませんでしたが、12時から1時くらいに晴れるという予想が当たって幸いでした。


少し雪も舞うような天候でしたが、逆に気温がそれほど急激に下がらなかったので、むしろ下りやすかったかもしれません。安全重視で無理せず、他の下山者に追いついても抜かないでゆっくりと下りました。そして、3時35分ごろに下山完了。


登山口で装備を外していたら臨時便が出たのかバスが来たので、飛び乗りました。その後は水上から鈍行でゆっくりと東京まで帰りました。下山中に愚かな滑落がありましたが、それ以外は極めて順調と言うか狙い通りの山行になり、2年越しで谷川岳東面の絶景を拝むことに成功しました。これまでの雪山行でも最も困難な道だったと思われ、その意味でも達成感のあるものでした。水上では、記念に地酒を購入。気温の上昇が激しくて燗酒の時期は終わったようですが、純米酒を買ったのでできれば寒い日に一肌燗で飲みたいと思います。

谷川連峰は贔屓の山域です。2,000m程度の標高ですが、豪雪地帯で冬の景色は北アルプス並みの迫力。初夏からは高山植物の宝庫にして独特の稜線美が魅力。そして紅葉の時期も圧倒的な迫力と美しさ。昨年は主脈縦走をしたので、次は馬蹄形をやりたいと思います。

とてもいい本です 「宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八」

2018-03-02 15:39:02 | 息抜き
新聞などの書評欄でも高い評価を得ている、とても読みやすい新書です。

宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八

宇宙開発・探査の歴史についてあまり詳しくない人はもちろん、ある程度知識のある人でもとても楽しめると思います。アポロやボイジャーについてはある程度知っていても、その裏で科学者や技術者がどんな夢や問題意識を持って仕事してきたのか、プロフェッショナル 仕事の流儀とかの感覚で楽しめます。さらに、惑星探査を超えて地球外生命体の探査についての部分はイマジネーションを掻き立てられます。そう、イマジネーション。これがこの本のキーワード。著者も何度もそれを強調されているのですが、本当にイマジネーションって大事だと思います。想像力と好奇心が人生を決めますよ。人生の豊かさを。この本は特にイマジネーションについてフォーカスして書かれています。想像してみよう、と何度も促されます。

純粋に、本気で夢を追い、イマジネーションを働かせている人は、短期的な利益や目の前の問題を超えたものが自然に見えてくるものです。優れた経営者も同じだけど。宇宙のことを考えれば、それは当然時間の感覚が日常生活とは全然異なるものが多くて、その夢を実現しようと本気で考えれば、短期的な利益のために地球を害する政治や経済には困惑してしまう。そんな感覚にも激しく共感します。

子供のころから宇宙にもエンジニアリングにもサイエンスにも興味なかった人でも、純粋に楽しめる本です。なぜならイマジネーションを刺激され、短期的な利益や問題から離れた視点を提供され、圧倒的に大きなものに対峙して謙虚な気持ちにさせられるから。
中学生に読んで欲しいと思うと同時に、Politically correctなことに心を砕いて小さくまとまったりストレスためている現代社会人にも読んで欲しいと思う。

AIは政治家の代替として利用するのがいいと思う

2018-01-11 18:04:37 | 社会
AI関連の記事が毎日たくさん。人間の仕事を代替するなら、政治家を代替してもらいたい。経済指標や社会統計、世論調査の結果やいろんなビッグデータ、そして国際統計や国際情勢についての情報をインプットして、必要な政策の優先順位付けと予算配分、あるべき税・社会保障費、国債の内訳の計算などやってもらう。決めてもらう。コンピューターの得意とするところでしょう。明らかに機能不全の政治、日本だけではなくて世界的に、これをAI様にお任せするのがいい。

もちろん、これの意味するところは民主主義の放棄。でも、どうせ民主主義は終わってると思う。選挙して政治家を選ぶだけの民主主義じゃなくて、リベラルデモクラシー、自由民主主義の話だけど。民主主義という言葉だけなら、北朝鮮もロシアも中国もジンバブエもベネズエラも民主国家をうたっているし、実際に選挙もある。要は、リベラリズム、つまり個人の自由権を重視することが大事。そして、その自由を謳歌する個人が責任を持って公共の利益のために参加する政治体制としての民主主義が自由民主主義なのだと思う。これは壊れた。リベラルが行き過ぎて、自由権とかいう話とは関係ないくらい我儘で強欲でジコチューになったから。ジコチューを正当化するための詭弁の嵐。それを詭弁と指摘すれば、寄ってたかって皆でそれを攻撃する。こうなると当然トランプ政権も出てくるし、アメリカなんか今後25年くらいのうちにジコチューのあり方によって4つくらいに分裂してもおかしくないと思う。リベラリズムが上手くいかないと、そもそも共和制が上手くいかないから、民主主義なんて形だけ、選挙があるだけになる。

リベラリズムを前提にした形では上手く民主主義を機能させられないなら、指導者(指導層)にある種の強権を認めることで中国やロシアのような強権制民主主義というか全体主義の香りがするシステムにするのも一つのアイデアではあると思う。でも、しょせん誰がリーダー(リーダー層)でも愚かな人間のやることなんか合理的ではないなので、AI様に政治は導いていただく方がよさそう。

初冬の奥多摩 榧ノ木尾根から鷹ノ巣山、石尾根で下山

2017-12-10 22:05:06 | 息抜き
本当は紅葉シーズンに歩けばとても美しい道だと思いますが、2度目となる今回もこのルートは冬に歩くことになりました。榧ノ木尾根は鷹ノ巣山登山では比較的マイナールートだと思いますが、広葉樹林がとても綺麗で気持ちのよい道です。お天気が良ければ西側には南アルプスも見えますし。そして、石尾根は言うまでもなくメジャールートで、ここも広葉樹林が見事です。今年2月の積雪期に歩いた時には野鳥がたくさんいたのですが、今回は鳥は比較的少なかったのが少し残念でしたが。

12月2日の土曜日、気温は低めでよく晴れるという予報を信じて奥多摩にハイキングです。一時痛めていた膝の状態も大分良くなったので、今回は鷹ノ巣山に行きました。奥多摩駅からは峰谷行きのバスに乗り、朝8時05分頃に倉戸口のバス停で下山。ほとんどの人は小河内ダムを横切って御前山に行くか、鷹ノ巣山でも峰谷ルートを取るようで、倉戸口で降りたのは私だけでした。この日は気温が低かったせいで奥多摩湖の湖面から霧が立ち上っていました。


奥多摩湖の周囲はまだ紅葉が綺麗な木々も残っていました。いろは楓でしょうか。






さて、まずは倉戸山に登らなければいけません。倉戸山の山頂から石尾根方面に向けて北に伸びているのが榧ノ木尾根ですから。晴れていはいますが、霧がガスのようになって山を登って行くのが気になる。


本格的な登山口の前の舗装された道で、セキレイと思われる小鳥さんがいました。直ぐ逃げてしまうので写真を撮るのは至難です。


さて、倉戸山です。奥多摩湖畔からは山頂までの標高差600メートル弱ですが、これが奥多摩でも有数の急登なんですよね。落ち葉がふかふかなシーズンですが、斜度が急なところでは足を滑らさないように注意が必要です。それ以上に、写真のような状況なのでルートを見失って道迷いのリスクがあります。


ブナと思われる落ち葉。紅葉という感じではないですが、晩秋~初冬の感じで、木々に少し残っている濃いオレンジ~茶色の葉がよい雰囲気だし、落ち葉の香りもよくて気持ちのいいスタートです。


樹幹から倉戸山が見えます。まだ遠いな。


徐々に高度を上げていくと、木々は完全に葉を落としていました。冬の装いとなった広葉樹の森の先に青空が見えているシーンは好きです。


前日・前夜に少し雨が降ったのか、濡れた落ち葉の道が綺麗。濡れると色が濃くなりますから。


登山道に入ってから約1時間で倉戸山の山頂に着きました。急登続きでやれやれといった感じ。


奥多摩湖を見下ろす。少しだけ見えます。湖面に朝日が当たっている。


目指す鷹ノ巣山はまだまだ先です。あと2時間はかかるでしょう。


さて、ここからはいよいよ榧ノ木尾根です。幾つかの短めの急坂を除けば、全体としては比較的緩やかな尾根道が続きます。この日は霜柱が凄かったですが、その上に多くのドングリが。


広葉樹林の尾根道なので、明るくてとても気持ちがいいです。紅葉シーズンに来たかった。


見上げると空が美しい。空の色が冬ですね。


それにしても、榧ノ木尾根は道迷いの注意書きがあるのは頷けます。落ち葉のせいでルートを見失う可能性は高いでしょう。この日は、バス停で降りたのが自分一人だったこともあり、比較的慎重にピンクテープを探したりしながら進みました。


途中、ちょっと開けたところに出ます。開けてしまうと余計にルートが分かりません。まあ、2月に歩いた時の感覚があったので素直にまっすぐ進むのを基本として、確実にルートを追うようにしました。初めて歩くのだったらもっと緊張したでしょう。


西には大菩薩嶺が見えます。その奥には南アルプスも見えているのですが、樹幹からズームして写真に収めるのは難しく、この段階では眺めるだけ。


これは雲取山でしょうかね。


とっとこ歩いて、10時15分頃に水根分岐に到着。もう道迷いの心配はないですが、榧ノ木尾根の美しい広葉樹林帯ともお別れです。


ここからは針葉樹が増えます。カラマツが見事です。やはり黄葉は終わっていて、葉は落としてしまっていましたが。


更に行くと別の針葉樹の森です。これは自然林ですね。杉ではないし、檜ともちがう感じ。木肌が松とはちがうので何の樹か分かりませんが、推測するに槇の木か、あるいはコメツガでしょうか。


西の方角には南アルプスも見えているのですが、樹幹からコンデジで撮影しようとすると手前の木にピントが合ってしまうので難しい。やっと撮影できた甲斐駒ヶ岳。甲斐駒だけは雪が目立ちません。


北岳と間ノ岳こちらは真っ白。仙丈ケ岳も真っ白でしたが、上手く写真を撮れず。


さて、石尾根と交差するところに来ました。10時40分くらい。やはり鷹ノ巣山までは全体で3時間くらいのコースですね。


この日は富士山は見えませんでした。と言うのも、石尾根に合流して鷹ノ巣山山頂を目指し始めたところから、急にガスが出てきたのです。湖面からの霧が夏雲のように上がってきたのでしょうか。遠くは晴れている感じなので、この一帯だけがガスに包まれつつあります。


それでも南ア方面は何とか見えている。頑張って撮った北岳。


最後の滑りやすい急坂を登り切り、鷹ノ巣山に登頂です。11時少し前でした。


歩いて来た榧ノ木尾根方面を見るものの、急速にガスに巻かれつつある。まったく、ここまでは青空で気持ちよかったのに、山頂に着いたらガスとは。天気図的にも天気予報でも一日晴れだと思っていたのに。


しょうがないのでお湯を沸かしてカップ麺を食べつつ、少しでもガスが切れるのを待ちます。と言うか、寒い中ですが四方に目を凝らしてガスの薄いところからの景色を探す感じ。大菩薩方面へは山が重なる感じの山深さがあっていいんですけどね。写真はガスで何となく煙った感じになっています。




それほど本格的に曇っている訳ではないのでガスが切れる時間もあって、石尾根を少しだけ七ツ石山方面に下りて北側が開けたところから。左の高いピークが雲取山でしょうかね。


山頂から甲斐駒と仙丈ケ岳。


白峰三山。今年は南アはキタダケソウを見るために初夏に北岳に登っただけでした。来年は赤石岳とか南部に行ってみたい。


まあ、スッキリはしていない風景ですが、これだけ見られればよいでしょう。富士山は残念でしたが。お昼を食べ終えたら、石尾根で奥多摩駅方面に下山します。寒かったのにそれなりに頑張ったから汗もかいたし、やはり寒ければ暖かい温泉が恋しいということで、もえぎの湯を目指します。それにしても、下山はガスに突っ込んでいくような状況。


あっという間にガスの中。


見上げても榧ノ木尾根の時のような青空には恵まれず。


こんな状況なので写真もあまり撮らず。暗い感じになると小鳥さんも活動が鈍るのか、あまり声が聞こえませんでした。この状態ではわざわざ登ってもしょうがないので、六石山への分岐も素直に無視してひたすら下山です。石尾根の激下りゾーンも落ち葉が多くてこの時期ならではの趣がありましたが、青空がないと締まりませんね。




林道との合流地点を過ぎてしばらくいくと、流石に標高が下がってきたので紅葉が少し残っていました。このくらいまで来ると、ガスも逆に晴れてきました。標高の高いところに雲が滞留していた模様です。




最後は杉の植林帯を抜けて林道を歩き、奥多摩の集落に出ます。


もえぎの湯は小さい施設ですが、この時期は流石にそれほど混んでいないので十分にリラックスできます。