ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

「世界結核デー 08'」②

2008年03月21日 | スタッフとオフィス
すずき@まにら。

行政が行っているガイドラインに沿った結核対策と、NGOが実際にコミュニティに入って実施している結核対策では、違いが出てくるのは仕方がなく、また、こういった「違いを知る」という経験もお互いにとって必要なことなのではないでしょうか。

たまたまこの日参加していたケソン市保健局の結核対策従事者は、NGOがどのような活動をしているかあまり知らなかったようですが、このワークショップに参加している保健省やWHO(世界保健機構)で、フィリピンの国レベルで結核対策を行っている方たちは、「フィリピンの結核対策にはNGOの協力が不可欠だ」と言っています。さらに「医療サービスの手が届きにくい地域でこそ、結核対策にはNGOの存在が欠かせない」とも。だからこそ、今までお互いの活動をあまり知ることのなかった公的機関と私的機関が協力していこう、というのが、このワークショップの大きな目的なのです。



この日、マデットとテスは行政の人が考えている「結核対策」にがっかりした気持ちを隠しきれない様子でしたが、むしろ彼女たちにこそ、自信を持ってNGOが行っている結核対策を行政の人たちに伝える役割をして欲しいと思うのです。





2006年から正式に始まったパヤタス・コミュニティケアセンターでのDOTS(直接服薬確認療法)によって、既に多くの患者さんが結核治療を終えました。しかし、服薬を始めて一時的に症状が改善したために、治療を中断してしまう患者さんや、パヤタスのように人の流出入が多い地域では、引越しを機に治療を止めてしまう患者さんもいます。(引越しをして居住地域が変わった場合でも、「治療録カード」を持っていれば、引き続き移転先でも無料で治療を受けられる)そういう患者さんは「薬剤耐性結核」という、薬の効かない結核になり、その後の治療が大変困難な状態となります。

また、基本的に結核の治療は無料ですが、それを知らずに「お金がない」という理由で、治療を受けない患者さん、また小児結核は費用がかかるので治療を受けられずにいる子どもたちも沢山います。

こういった問題に取り組んでいくために、ICANではスタッフばかりではなく、CHVs(コミュニティ・ヘルス・ボランティア)が医療的知識や技術を身につけるべくトレーニングを受けています。結核対策にとって大変重要なことは、患者や住民自らが結核に対する正しい知識を身につけることなのです。


そして、今年の「世界結核デー」のテーマは「I’m stopping TB」。結核は誰かに治療してもらうものではありません。自らが確実な服薬を行ない、結核に立ち向かっていくことが必要です。

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関連リンク【結核ってどんな病気?

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