ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

ICANマニラスタッフにみる宗教の多様性

2009年07月10日 | スタッフとオフィス
ゆきよ@マニラ。

5月からICANマニラ事務所には、大学を出たばかりの華奢なムスリムの女の子がスタッフとして加わっています。フェアトレード担当のこのファラは、いつもヒジャブという布を頭にかぶっているのですが、その色がその日の服とコーディネートされていて、いつもおしゃれです。このあいだ、事務所の近所の人と話していて、「ああ、あなたのところは、あのムスリムの女の子がいるところね」と、言われたくらい、どうやらファラは目立っている様子。いつも静かに微笑んでいるファラですが、なんだか存在感があります。



マニラ事務所勤務のフルタイムのピノイ(フィリピン人)スタッフは、現在10人ですが、うち5人がカトリック、3人がボーンアゲインクリスチャン(日本でいえばプロテスタントの福音派)、1人がダテン・ダアンと呼ばれるキリスト教系のフィリピンをルーツとする新派。そしてファラです。つまりファラ以外はみんなキリスト教系。最近のスタッフたちの話題は、ヒジャブで隠れているファラの髪はいったいどんなんだろう、というもの。カールしてるの?ストレートなの?見せたらだめなの?とみんな興味深々です。面接のときにファラは、このヒジャブはブラとかと同じで、これをつけないと、裸をさらしているように私にとっては恥ずかしいものなのです、と言っていました。

「いつかスタッフみんなでプールに泳ぎに行ったら、ファラの髪が見れるかな?」というマニラ事務所にふたりしかいない未婚男性のうちのひとりポール(パヤタス生計向上・協同組合担当)に、「そういうときは水泳用の帽子をかぶるのよ」とファラ。「でも泊まりに行ったりすると女の子の前ではヒジャブをとることもあるわ。」「じゃあ、やっぱり僕は見れないじゃないか。けちんぼだだなあ。」とポールは不満そうですが、ファラは「たくさんの友達がいつか私の髪の毛を見たいって言ってるのよ」とニコニコしています。

新しい文化をマニラ事務所に吹き込んだファラですが、一番古株のマデット(看護師・パヤタス保健事業担当)の信仰もフィリピンではちょっと異色。ダテン・ダアンという彼女の宗派は聖書の解釈が厳しくて、女性の装いなどにも決まりがあります。だからマデットは体の線の見えるジーパンなどは決して履かず、いつもロングスカートに、ながーい髪。腰のあたりまである髪の毛をひとつに結っています。他の宗派のお祈りで捧げられた食べ物は食べないなど、食べ物にも制限あり。

日曜日にも事業地ではいろいろな行事が入ることがありますが、日曜日は礼拝の日なのでできるだけ仕事を入れるべきでないと主張するのは、プロテスタントのエド(会計担当)。

フィリピン社会の大多数を占め、マニラ事務所の半数を占めるカトリック教徒が一番いろんな制約がないみたいです。というよりか、なにが「制約」でなにが「自由」なのかは、ひとりひとりの信仰によって、解釈が違うものなのでしょう。

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http://www.ican.or.jp/kakisonji.html





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1 コメント

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Unknown (Sammy)
2009-07-25 11:29:55
スタッフの背景が多様であることで、諸宗派間の「顔のある」相互理解につながっていけると素晴らしいですね。
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