ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

子どもたちの声@子ども議会~忘れられない経験~

2013年05月15日 | 子どもの参加
ゆきよ@まにら

アイキャンの各事業地の子どもたちが一堂に会して、互いの経験や考えを共有しあう、「子ども議会」を開催しました。うち8人は生まれて初めて飛行機にのってミンダナオからマニラにやってきました。

マニラの喧騒の中、路上で働く子どもたちの姿に、ミンダナオの子たちはショックを受けたようです。一方マニラの子どもたちは、イスラム圏から来た女の子たちの被るベールに興味津々です。背景の全く違う子どもたちが2泊3日一緒にすごし互いから学びあいました。


マニラのごみ処分場のあるパヤタス地区を歩くミンダナオ島から来た子どもたち。


社会の中で、子どもたちの経験や意見に大人たちは十分に耳を傾けているでしょうか。「子どもは、口を挟むんじゃないの」よく聞かれる言葉です。子どもたち自身に関わることでも、大人たちが決定してしまいがちです。しかし、国連の子どもの権利の1つに、「参加する権利」があります。子どもたちの関係する事柄に、自由に意見を言うことができるべきというものです。

アイキャンでは、子どもたち1人1人の経験からなる認識、意見、感情に耳を傾ける機会をもうけています。そのひとつが「子ども議会」です。子どもたちは、まずお互いの地域を紹介しあい、自分たちの地域の課題、子どもにとっての理想のコミュニティを描くなどのワークショップを行いました。









そのなかで、自分のシンボルを描いて説明し、それとともに忘れられない経験について話すというワークショップをしました。

子どもたちの忘れられないこととして、家族みんなで泳ぎに行ったこと、学校に新しくアイキャンが校舎を建ててくれたこと、歌のコンテストで勝ち残ったことなど嬉しかった経験もありました。しかし、一方で父や兄弟を亡くしたこと、ゴミ山で働いていた友達がブルドーザーにひかれて亡くなったこと、家族がバラバラになってしまったことなど悲しい経験を共有してくれた子どもたちも多くいました。





ある女の子は、経済的に家計が大変で、学校で必要な経費を払えなくてすごく困っているときに、友達に学費を貸してもらった経験を泣きながら話してくれました。また、ブラアンの男の子も泣きながら、炭鉱で働いた経験を話してくれました。重い石を運び出す大変な仕事に、彼は「危ないからもう帰りたい」と一緒に働いていた従兄にこぼしたそうです。でも従兄は「他にできる仕事がないんだから続けるんだ」と答えました。そうしているうちに、炭鉱のトンネル内の落石により従兄は亡くなってしまいました。そばにいた彼は気を失っただけで命は助かったとのこと。「もうあんな仕事には二度と戻りたくないんだ」とぽつぽつと語っていたその子の口調がとても印象的でした。





無邪気に笑っている姿からは想像もできないような経験を、子どもたちはしてきています。安心して表現できる場を与えられると、堰止められていた水が一気に流れ出してくるように子どもたちは語り始めます。辛い経験を語り、それを静かに受け止めてくれる人がいること、それは彼らの癒しの助けとなります。今回語った経験が、子どもたちの辛い想い出を自分の糧とできる力を育ててくれることを祈ります。

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●アイキャンに関する情報はアイキャンのHPへ
http://www.ican.or.jp/


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