ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

ミンダナオ紛争:「掃討作戦」の行く末は。。

2008年09月09日 | 紛争地の子どもたち
ゆきも@まにら

ICANはこの度のミンダナオ島北コタバト州での紛争再開において、現地カウンターパート団体バライとともに緊急人道支援事業(ピキット避難民、集落への帰還民と「ともに」行う平和構築活動)を実施することを決定いたしました。現在も、避難民・帰還民の現状調査と治安状況を見極めながら、事業開始の準備にとりかかっています。

事業内容の詳細はこちらを。
http://blog.goo.ne.jp/icanmanilaoffice/e/4a0725d4279ee56821a8347cb16889b6

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9月1日から、イスラム教のラマダン(断食月)が始まりました。この時期、イスラム教徒は、妊婦や赤ちゃん、病人や高齢者など体力や健康が衰えている人々を除いて、日の出から日没にかけて食糧の摂取を中断します。

年に一度、世界中のイスラム教徒が唯一神アラーへの信仰を一斉に深める神聖な月ですが、ミンダナオ島の多くの人々にとって、宗教的義務だけに平穏な気持ちで臨んでいられない現実が続いています。フィリピン国軍内でも、ラマダン時期は、イスラム教徒であれば戦闘の第一線部隊には配置されない、など組織内のイスラム教徒への配慮はされています。一般的に「キリスト教V.Sイスラム教」の2大宗教間での争いと誤解されやすいミンダナオ紛争は、特にラマダンなど宗教的な行事月に、「宗教対立」の一言では片付けられない一面を見せます。

昨日8日月曜日に、マギンダナオ州にある町(Datu Piang)で国軍による空襲により、市民7名(5人の子どもと1名の妊婦を含む)が犠牲となりました。この家族は、小さいボートで戦火を逃れるため避難している途中で爆撃に遭いました。政府の「テロリスト掃討作戦」の名の下で、各地で暴力が繰り返されています。この作戦の目的は、MILFの数部隊の司令官を犯罪者として捕えることとされています。しかし、その目的を達成するまでにあと何名の市民が犠牲となるのか、「掃討作戦」の成功の先に人々の生活に安らぎが訪れるのか疑問です。

今回犠牲にあった妊婦や子どもたち信条や背景は分かりませんが、とにかく、まだイスラム教徒でも、キリスト教徒でもなく、ただこの世に生を受ける前の子どもの一生までもが次々にいとも簡単に消されている「掃討作戦」の現状にやるせない気持ちでいっぱいになります。



【写真:バライのスタッフが先月末ICAN事業地があるピキットの北部のタケパン町で、戦闘の犠牲になった夫婦と子どもを訪れました。このような人々のお別れの光景があちこちで見られます。】

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http://www.mindanews.com/index.php?option=com_content&task=view&id=5131&Itemid=190