ICANまにらブログ~第二巻~

日本のNGOアイキャンまにら事務所の日記。

戦闘のない遠いところ

2008年09月26日 | 紛争地の子どもたち
ゆきよ@ピキット



ミンダナオ島では、今日も紛争が続いている。特にICANのピキット事業地がある北コタバト州では、今年の8月以降治安が不安定になっている。

今日、私はピキットの村のひとつタケパンにある避難所で、ある家族と話をしていた。子ども3人がいるこの家族は、歩いて30分先にあるシティオ・オチョ(8番地区)と呼ばれる村に家と小さな畑を持っている。8月はじめに起きた戦闘で死亡者が出ている地域だ。

「すぐ近くに住んでいた人が犠牲になったの。怖くてまだ家に帰れない。うちは小さな子どももいるし。心配で。」



母親は子どもたちを見ながら語っていた。上のふたりの子どもたちは水疱瘡の後がまだ体に残っている。

この同じ地区には、戦闘の直後には260あまりの家族が避難してきていたが、戦闘が落ち着いたため半数が家にもどり、現在は120家族がビニールシートの屋根の下で暮らしている。

避難所暮らしは今回がはじめてではない。2003年にも戦闘があって恐ろしさの中逃げてきた。




「もしも俺たちにお金があったら、こんなところは出て、ずっと遠くに行きたいよ。遠くの戦闘のないところへ行きたい。」

父親の強い口調で言っていた言葉が印象に残っている。いつ情勢が落ち着くのか、人々はフラストレーションを積もらせている一方、予断を許さないような情報が飛び交っている。

ICANでは、このタケパンなどこのたびの戦闘の影響を受けた地区の緊急・復興支援をすすめるため、ミンダナオ平和基金をつくり、紛争の被害にあった人々の栄養改善や平和教育を実施している。今日の家族をはじめ、一人でも多くの人々に、平和を求める人々の声が届くように、ICANができることは大きいと感じている。