参議院選を狙って「最後の矢」を放ったという

2013-04-21 13:05:30 | 日記
 情報の原則は3Tと言われる。いわゆるタイトル・タイミング・テーマ。そこで使われ
たのが、今回の「最後の矢」というタイトル。これは毎日新聞4月17日の記事であるがアベノミクス3本の矢をもじった表現としてまさに言い得ているタイトルである。
 この「最後の矢」と言わせた安倍首相の19日の講演がテレビで報道されていた。それを見て、このようなことを言わせるところに国民の責任があると考えたのは私だけであろうか。今次春闘の前段、首相は経団連の上層部に対して賃上げを要請した。賃上げの要求は労働組合の課題というのが常識であるはずなのに、当の労働組合は賃上げ「ボースアップの要求」を取り下げている。なのにである。そこへローソンの賞与アップが飛び込んだ。首相は即座に「政府の要望を受け止めたもの」と胸をはる発言をしている。しかし、何のことはない。賞与の対象は、ローソン20万人の労働者のうち、僅か3000余人の正規従業員であり、その他大多数はアルバイト、パートといった非正規労働者であった。さらに円安、株高をもって景気の上昇を謳い、国民の収入増と消費力の増加が事実であるかの言葉を発し続けている。これとて百貨店の高級商品を手にする国民は何人居るのだろうか。大多数の国民は、今なお安売り広告を手にしての買い物の実態にある。
 そして今般の上記の講演光景である。一オーク高い、高揚した声から出てくる医療、介護、そして保育の職場を「陽のあたる女性の職場」と提起し、17年度待機児童ゼロ、3年育休。さらに企業の役員に女性の登用をとの主張に、裏づけのない絵空事の基調と受け止めたのは私だけであったろうか。
 ローソンの賞与を取り上げても一国の最高責任者である首相が「国民のかまど」の煙を見ているのだろうか。フランスの原発関係者が福島県を訪問した。その中の原発労働者の代表が原発にかかわっているのが民間労働者であることに驚き、その労働者の賃金をはじめとした実態を知りたいと述べていた。実態は知ったその代表はどう思うだろうか。数次にわたる下請け形態、そこに存在するピンハネ。しかも危険手当からも引き抜くことを知ったら。
 子どもの保育も大事だ。もしかして「子どもを生まない、生めないことによる自然減をソロバンにはじいているとしたら」。これは恐ろしいことである。しかし高齢者の数は確実に増加の一途をたどり、「在宅介護、看護」の社会が目の前にある。ではこの問題はどうするのか。参議院選を意識し、今まで自民党がつかめなかった子どもを持つ層に狙いを定めての3Tの戦術を駆使するのであれば、それを許す側の責任もあると、自らを戒めたいと痛感するがどうだろうか。

70の坂を越えれば何があっても不思議ではない

2013-04-18 15:48:31 | 日記
 自宅の向かいに80歳を超えた一人暮らしの女性がいた。2年前の震災時、テレビの画面は避難された皆さんの姿を映し出している。炊き出しの前に並ぶ人人、床の上にダンボールを敷きそのうえに毛布。3月である。まだまだ気温は低い。乳飲み子を抱えた母子一組くらいなら家に連れてきてもいいがと考えた。しかしそれとて誰にするか、いつまで続けられるか。そんなことを考えると難しい。しかし食事をしていても、酒は好きなので晩酌をしていてもまずいし、切ない。心優しいことを考えたとしても、本音は食事がまずいという自分勝手なことである。そこで向かいの家のチャイムを鳴らした。幸いにして水、電気は止まっていない。「灯油はありますか。食事はどうですか」と尋ねる。灯油もあり、保存食はそれなりにありますとのこと。そして「ストーブはつけません。揺れますから、コタツがありますし、米に味噌、塩があれば大丈夫ですよ。戦後を経験しいますからこのくらいでは驚きません」と。
 その女性が先月亡くなった。この2ケ月姿が見えなかった。今年の冬は厳しかった。子どものところにでも行っているのかなと思いつつも気にはなっていたが、息子さんがご挨拶に来られ母が亡くなったとのことの報告を受ける。長期間にわたり夫の看病をしたとのことは聞いていたが、それもあってのことか、子どもには余り負担をかけない「子ども孝行」の終い方をしたのだろう。それにしても昨年暮と新年に私の縁故の老人二人が亡くなった。一人は孤独死、一人は突然死。介護、看護の問題を抱え、しかも老老介護、認認介護などが言われる今日、そのことによって悲しい事件も起している。とするなら、この二人の終り方もある意味では受容されて良いのかもしれないと感じた。
 それにしても1500万円を孫の教育費に当てるなら免税するなどをシャーシャーという国の最高責任者の言葉には憤りを感じる。戦中、戦後を生き抜いてきた高齢者の晩年にささやかな安心感を与えることこそ政治であろう。


相続問題が補償の障害に、そして対立が生まれる要素に

2013-04-17 12:41:09 | 日記
    相続問題が補償の障害に!
 
 原発被災地での復旧課題の一つでも  ある損害賠償が、今困難な問題に直面している。それは賠償の対象となる資産の名義である土地、家屋などが曾祖父の名義になっているという。さらには建築した家屋や購入した土地などの未登記も少なくない。
土地柄と習慣からして「兄貴が相続し親の面倒を見てくれれば」となっていたのも事実であろう。いろいろな経過はあれ、そのことが家族関係や親族関係の和が保たれた智恵であり習慣でもあった。しかしここにきて、原発被災の損害賠償となれば具体的に金銭が顔を出す。賠償からして、その金額も価値プラスアルファとなる。「遺産相続の権利は私にもある」と称する遠隔地の親族にも押印を求めることになるだろう。すんなり同意をしてくれるか。しかもその数は多い。賠償問題一つとっても深刻な問題を生むことが想定される。
 補償対策のスピードが遅い、具体的進展が見えない。被害者の苛立ちも募る。しかし内なる問題を抱えていることも事実である。
 放射能の地域選別があり、どのように選別されるかによっても補償の内容が異なる。悩ましいことであり、そのことが家族間、住民間の和を乱すことになっていることも事実である。
 常に述べられてきたことであるが、「放射能問題は、被災者の対立、分断を生む要素を持っている。そのことは時の為政者を喜ばすだけである」と。