学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

胃痛から思うこと

2019-10-17 20:12:04 | その他
このところ、胃が痛い。この胃の痛さの表現として「しくしく」という言葉の使われるときがある。実際、私の胃もしくしくとしている。この言葉を使うと、どうも胃が泣いているような気がして、自分の胃なのに気の毒になってくる。痛みの原因はよくわからない。私の母も胃痛がひどいので、おそらくは私もそれを受け継いだのだろう。子供は親の似てほしくないところが似る。子供のときに、母からよくそう言われた。

胃痛というと、私は夏目漱石のことが頭に浮かぶ。バケツ一杯分を吐血した、などと生々しい話も読んだことのある気がするが、彼は長く胃痛を患いながらも、大きな仕事を成し遂げた。胃の病で亡くなった作家としては、尾崎紅葉、島木赤彦、折口信夫らがおり、彼らも同じように苦しんだのかと思うといたたまれない。貝原益軒の『養生訓』によると、「胃の気とは元気の別名なり」とある。「病甚しくても、胃の気ある人は生く。胃の気なき人は死す」とあって、今のままでは私はどうも長生きできそうにない。では、胃の気を養うにはどうすればいいかというと、飲食を少なくすることと説く。暴飲暴食はもちろんだが、飲食を少なくして、絶えず胃に空を作っておき、その働きを良くしておくことが肝要らしい。

コンビニやスーパーに行けば、美味しそうな食べものがいくらでもあるのが現在の日本である。この環境のなかで節制をするというにはなかなかに難しそうだ。だが、健康を保つためには自分に規律を設ける必要がある。「しくしく」という痛さから逃れられるのであれば、私はそれもいとわない…と言いたいところだが、たぶんそれは私には無理で、ほどほどにが私らしい。何はともあれ、早く胃には元気になってもらいたいものだ。
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