学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

北茨城芸術祭

2016-09-22 17:05:21 | 展覧会感想
9月の3連休を利用して「北茨城芸術祭」へ行ってきました。北茨城芸術祭は、北茨城市、高萩市、日立市、常陸太田市、常陸大宮市、大子町の6市町の範囲にまたがって開催されているアートイベントです。総合ディレクターは南條史生さん。北茨城芸術祭のサイトによれば、南條さんは「茨城県は日本のアートと科学技術発展の拠点」になっているとし、「自然との対話と同時に、最先端の科学技術との協働にも注目をしていきたい」と述べていらっしゃいます。

私がまず向かったのは、北茨城市の五浦にある茨城県天心記念五浦美術館。ここではチーム・ラボとミトゥ・センさんの作品が展示してあります。会場内は子供連れのお客さんで大賑わい。特にチーム・ラボは見て楽しむだけではなく、壁面に投影されたCGにタッチすることで蝶が落ちたり、壁面のCGの彩りが変わるなどするため、子供たちはおおはしゃぎ(笑)もちろん、大人でも楽しめる内容でした。

そのあとは北茨城の美味しいお刺身を食べ、旧富士ヶ丘小学校へ。廃校になった小学校を利用して、4人の作家の作品を展示しています。なかでも私の好みは林剛人丸さんの体育館のフロアを使った作品。真っ暗な会場内に、青い映像を投影した飛行船が展示されています。飛行船が動くわけでもないのだけれど、子供の頃のわくわくした気持ちを思い出させてくれるような作品ですし、なにより今まで見た作品のなかではスケールが大きい!

その後は穂積家住宅と海岸沿いの作品を見てきたのですが、しだいに雨が強くなってしまったので、野外の作品はゆっくりは見れず。ここでタイムアップ。全体の5分の1ほどの作品しか見ることができませんでしたが、充実した一日となりました。

「北茨城芸術祭」は11月20日まで開催しています。まだまだ時間はありますので、ぜひご覧になって見てはいかがでしょうか。

飛行機で見た映画

2016-09-11 08:37:27 | その他
先日、久し振りに飛行機に乗りました。エコノミークラスで11時間ほどのフライト。私が飛行機に乗るのは、およそ15年ぶりです。15年前、飛行機の機内には音楽を聞くことのできるヘッドホン(今では考えられないような大きなもの)、座席の肘掛けの横にCAを呼ぶためのボタン、そして機内中央の大きなスクリーンに映画が流れていて、発着時には飛行機の滑走路が映しだされるというものがあった気がします。

2016年の現在は様変わりして、座席正面にスクリーンがついていて、スマホ感覚で雑誌は読める、映画は見られる、ゲームもできる、さては機内食のメニューまで見られるという優れもの。大したものですねえ。

11時間のフライト、手持ち無沙汰になった私はそのスクリーンを使って映画を楽しむことにしました。私が選んだ映画は「Eddy the Eagle」。1988年のカルガリー冬季オリンピックへの出場を目指すイギリスの若者Eddyが主人公。みんなにオリンピック代表なんて夢物語、と言われながらも、自分の夢を信じ続け、わけありのコーチと二人三脚でオリンピックへの出場を目指すのです。最後の最後まで挑戦し続ける主人公の姿はとても美しいものでした。この映画、日本での上映は11月のようですが、ぜひオススメです。

わたしは何を知っているのか

2016-09-01 21:51:51 | 仕事
どうも哲学的なタイトルをつけてしまいました。

が、ことは簡単で、新しい職場になってから、わたしの知識がいかに少ないかを思い知らされること多々あり。美術館で働いていた時は自分の専門分野だけに特化していたわけですが、今の職場はそうもいきません。市内の蔵などを調査すると、様々な作品と出会います。谷文晁、高久靄厓、岡本秋暉、枚田水石…など。前者3人は知っていても、枚田水石は初めて耳にする絵師。当然、作品の現物を一度も見たことがなく、蔵から出てきても、それが彼にとってどの程度のレベルの作品なのかもなかなか判断をしかねるのです。とほほ、と情けない話です。

一度、美術館から離れて自分自身を見た時に、わたしはこれまで一体何をしていたのだろう、と弱気になります。美術館にいたときには、それなりに網羅的に知識はつけてきたつもりでしたが…。といって、美術のことなら何でもオールマイティーに知っているというのも現実的ではないような気がしますし、人間にはそれだけの知識を身に付ける時間もありません。そこが救われる?ところでしょうか。

そんなこともあり、この頃のわたしは、江戸時代の絵師たちの作品をより多く見て考えることを課題としています。少なくとも、この時代の美術に関する知識は、今の職場では最低限に求められるスキルと判断しました。もう一度、学生時代に戻ったつもりでみっちりと勉強です。