学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

柳田国男の『遠野物語』

2014-07-23 21:30:35 | 読書感想
私の興味は美術に発して、昆虫や鳥類へ行ったかと思えば、文芸へ行き、さらには民俗学へも向かう。まるで葉から葉へ飛び跳ねるカエルのようです(笑)私は自分の知らない世界を知ることが好きなのかもしれません。

民俗学者柳田国男の『遠野物語』は名著として知られていますが、私が初めて手に取ったのは大学時代。民俗学の授業のときに先生が薦めてくださったのが、この本でした。読み始めて、あまりの面白さに止まらず。その日のうちにあっという間に読み終わってしまいました。

先日、図書館へ行ったときにふと背表紙を見かけ、久しぶりに手に取ったしだい。また改めて読むと面白いですね。遠野へ足を運びたくなります。

言わずもがな『遠野物語』は岩手県の遠野を舞台に、土地で言い伝えられている伝承をまとめた本です。不思議な話が満載で、昔の人々はこうした文化や社会のなかに生きていたことを感じます。もちろん、遠野に限らず、日本各地のあちらこちらにこのような伝承はかつてあったのでしょう。『遠野物語』が刊行されたのは明治43年。まだ江戸時代に生まれた人たちが健在だった時代です。今から振り返れば、とても貴重な伝承を取りまとめたわけですね。

この本は、私の生まれたところ、住んでいるところにはどんな伝承が伝わっていたのだろうか、と自分とゆかりのある土地との関係についても知りたくなる本です。一冊の本から興味が広がりますね。また、前述したとおり、舞台となった遠野へ行ってみたくなる魅力もあります。私は小説なり論文を読んで、その土地へ行ったみたいと思うことはほとんどないため、これは大変珍しい気持ちです(笑)

ちなみに、私が読んでいる本には『山の人生』も掲載されており、こちらはテーマ別の伝承から考察が加えられていて、また面白い内容です。

今日もこれから続きを読みます。小説のなかで、いざ遠野旅行へ!

昆虫を探しに

2014-07-22 22:05:57 | 仕事
昨日の夕暮れからヒグラシの声が鳴くようになりました。
また、学生たちも夏休みに入り、街のなかもどことなくゆったりした感じ。
夏、ですね。

さて、昨日は3連休の最終日。前回、雨のため途中で帰らざるを得なかったこともあり、またもや昆虫を探しに出かけました。

その結果、「ジャノメチョウ」と夏鳥の「キビタキ」、「ニイニイゼミ」を見つけることができました。

チョウは写真に撮るのが難しい、なぜなら留まっている時間が短いから(笑)「ジャノメチョウ」はたまたま止まっている姿を見かけてシャッターを切りました。羽にあるふたつの丸い模様が特徴ですね。小さい蝶でしたが、グレーの地色に丸い白抜きの姿は美しいものです。

「キビタキ」はたまたま。鳴き声のするほうに歩いていくと、枝の上に留まっていました。遠くからでしたが、こんな色鮮やかな鳥を見られたことに感動!カメラの性能がもっと良ければ、と悔やみます。

「ニイニイゼミ」は見るのは初めてかもしれません。セミといえば「アブラゼミ」の姿を想像していたので、鳴き声を頼りに何度も木を見たのですが見当たらず。どうも変だと、鳴き声を頼りにネットで検索すると「ニイニイゼミ」らしいことが判明。その姿は「アブラゼミ」とは全く違う、木と同色のセミでした。そこで、もう一度よく目を凝らすと、木肌のなかに姿が見えてきました。まるで忍者!名前をよく聞くセミでしたが、間近で見たのは初めてです。

まるで小学生の昆虫採集のような休日を過ごしました(笑)けれど、懐かしい子供時代に還ったような気持ちがしてとても楽しく過ごせました。今年は昆虫や鳥類の探索に夢中になりそうな予感です。

※前回、「アキアカネ」のトンボを紹介しましたが、図鑑で調べてみるに「ノシメトンボ」のようです。失礼をいたしました!




「ジャノメチョウ」



「キビタキ」



「ニイニイゼミ」

まさか自然系の学芸員に?

2014-07-19 21:38:43 | 仕事
この夏、私の所属する部署は地域に生息する昆虫展を開催することになりました。

「学芸員」ならどの分野でも対応できるだろう、との上からの指示で、自然系はまったくの専門外ながら、開催に向けての準備を進めています(笑)

私は今までずっと美術をやってきましたので、昆虫や鳥類などのキャプションを書くときは、かたちやいろの特徴に注目します。

赤いベルベットを着たようなベニカミキリ、雪のなかで春の到来を待つエナガの美しさ…今まで私の知らない世界でした。

それなりに読めるキャプションを作って、さらに読み直すと、やはり自然観察の経験がないために生態について書けないのがくやしかったり。

それはしかたのないことかもしれませんが、仕事を通して、新しいことを学ぶことができ、とても充実した毎日です。

3連休初日の今日は、近所の林のなかへ入って昆虫、鳥類さがしの自然観察にチャレンジしてきました。

途中で雨が降ってきてしまったので、途中で退散でしたが、「イトトンボ」と「ノシメトンボ」の写真が撮れました。

特に「イトトンボ」は羽の網目が美しい…まるでガラス細工が飛んでいるようでした!





イトトンボ



ノシメトンボ