学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

2024/02/29

2024-02-29 20:18:00 | 仕事
 今日は査読の原稿を渡す日。そこそこ赤字を入れた原稿を担当に渡し、赤字を入れた理由を説明して、提出は無事に終わりました。
 別件で担当と話をしたときに、県内の美術館の学芸員を集めて、研究部会をつくれないかとの話がでました。私は研究部会までは考えていませんでしたが、例えばLINEでグループをつくり、この作家の情報を知っている人はいないかとか、この資料を持っている美術館はないか、など、情報共有をする仕組みをつくりたいとは思っていました。昨今のデジタルツールを使わない手はありません。まずは少しずつ前進、研究部会は段階的に、ということになりました。
 博物館や美術館は各館との連携が弱い、とある研修の場で指摘された方がいらっしゃいました。確かにこれからは単館として活動するのではなく、市町村を超えて、美術館同士が互いに協力することで何か大きなうねりを起こせるのではないかと思います。これから、私も色々なことにチャレンジしてみたいです。


2024/02/28

2024-02-28 21:41:00 | 仕事
 このあいだ、日経平均株価が1989年以来、35年振りに最高値をつけたとの報道がありました。しかし、多くの人は生活が豊かになったという実感がないそう。
 1989年当時、私は世の中も大して知らない子どもでしたが、のんびり余裕がある社会で、周りの大人たちはみんな明るく、特に若い人たちはキラキラ輝いていて、私も早く大人になりたいと思っていました。それが35年後の今、日経平均株価は同じ数字なのに世の中はどうも暗い。たぶん、あのときは未来に希望があって、それが今はなくなってしまった。多くの人が幸せや豊かを感じられない最も大きな理由はそこにあるのではないかと思います。
 こうした社会のなかで、私たちはどうやって過ごすべきなのか。残念ながら、私も考えてはみるのですが、どうもわかりません。ただ、明るい社会をつくるには一人ひとりの気持ちの持ち方を変えていく必要があるのでしょう。心を豊かにする。自分の仕事が、アートが、少しでも多くの人に明るい希望を持ち得るような作用になることを信じて、仕事に取り組んでいます。

2024/02/27

2024-02-27 18:34:00 | その他
 今日からパソコンで展覧会の作品解説を書く仕事を始めています。といっても、これもまとまった時間は取れないので、毎日15分とか30分などでコツコツと進めていく予定です。もっとも、私の場合は、常にノートを持ち歩くようにしていて、そこに手書きで文章を書いたり、ふいに頭をよぎったことなどをメモしておいて、パソコン作業はそれらをまとめるだけにしています。以前はパソコンに向き合いながら、うんうんと考えていたのですが、それよりも今のやり方のほうが時間が短縮できるし、記憶に残りやすいので、そちらの方が私には向いているようです。
 このあいだ、茨城県坂東市にある逆井城でいつもの「城浴」をしてきました。ここは後北条氏の城であったそうで、いま、この城跡は県指定文化財です。見どころは城内の幾重にも張り巡らされた空堀の跡でしょうか。まるで迷路のようで楽しかったです。ちなみに写真は堀底。土塁から堀底までの高さは10メートルくらい、城が現役のときはもっと深かったのでしょうから、なかなか圧巻です。
 昨年は土浦、今年になって、真壁、小田、そして逆井と見てきましたが、どの街も城跡を大切にしていて、地域の人たちの憩いの場になっているようです。逆井城跡でも、ゲートボールを楽しむ皆さんがたくさんいらっしゃいました。今回も心がなごむ「城浴」となりました。感謝です。


2024/02/26

2024-02-26 19:04:00 | その他
 今日は完全オフの日。以前から気になっていた「劇場版ハイキュー!!」を見てきました。私は原作を読んだことがないので、結末を知らずに見ましたが、とても面白かったです。最後は不覚にも泣きそうになってしまいました。歳を重ねると涙腺が緩む…。パンフレットを買って帰りたかったのですが、すでに売り切れ。ハイキュー!!の人気は恐るべし。
 その後、体を動かしたくて、久々にバッティングセンターへ。右打ち、左打ちの各1回ずつトライして、まずまずの打球。とてもサッパリしました。心身の充電をして、明日からまた仕事を頑張ります。


2024/02/25

2024-02-25 17:53:00 | 仕事
 今日は昨日できなかった分の仕事をサクサクとこなしていきました。デスクワークの合間に、動く作業も取り入れて、なるべく煮詰まらないように意識しながら。今は新しい企画展の準備をしながら、来年度の企画展全般の概要などをチェックしている段階です。こうした作業をしていると、1年過ぎるのが本当に早く感じます。
 先日、たまたまある博物館に行ったとき、展示の解説員から、私を学芸員と知ったうえで、近世文書の読み方について教えて欲しいと頼まれました。そもそも私は近世が専門ではないし、まして古文書はほとんど読めないのですが、渡された写真版が割と読みやすい文字だったので、あくまで参考までに、とわかる部分の概要をまとめて話をしました。
 私の友人に近世を研究している学芸員がいて、彼が文書を読み、その文書が照らす社会的な背景までを語り出す姿を見ると、専門家の知見に唸らされます。専門は別でも、仲間の学芸員に刺激を受けることは多々あり、とてもありがたい存在で、私も負けずに勉強せねば、と思う毎日です。

2024/02/24

2024-02-24 19:42:00 | 仕事
 今日は午後から打ち合わせの予定があり、それが気に掛かってか、午前中はなかなか仕事が捗らず。私の場合、何かひとつ、懸念事項が頭の中にあると、驚くほど効率が悪くなり、もう、これは性格だと思って割り切っています。午後、打ち合わせも終わり、ほっとした頃にはすでに夕方。1日が終わるのは早いものですね。
 効率が悪いながらも、依頼されていた査読と文章執筆は無事に終わりました。執筆の方は、自分の中で長年研究していたことのひとつの区切りだと思っています。これから新しい研究テーマを探すため、今まで以上にアンテナを高く張って、いろいろなことを勉強していく予定です。どんなことに出会えるのか、今からとても楽しみです。


2024/02/22

2024-02-22 18:59:00 | 展覧会感想
 先日、栃木県立美術館の「春陽会誕生100年それぞれの闘い」展を見てきました。春陽会は今なお続く美術団体です。展覧会は、その始動から1970年代くらいまでの活動をたどるものでした。
 数多くの作品が展示されていましたが、三岸節子の《自画像》は小さいながらも、その存在感がとても強かったですし、萬鐡五郎のユーモアは何度見ても心地よく、また、鳥海青児や中川一政の作品は圧倒的な存在感でした。そのなかでも、岡鹿之助の6点はいずれも良かった。風景や静物を主題とし、アンリ・ルソーを思わせる世界に仕上げる。油絵ながら、画面の印象はとてもやわらかく、見ていて飽きない魅力がありました。帰りに岡の絵葉書を買って帰りました。しばらく部屋に飾って、展覧会の余韻を楽しみたいと思っています。

2024/02/21

2024-02-21 19:36:00 | 仕事
 今日は昨日の春のような暖かさから一転して冬に逆戻り。しかも雨降り。そのせいか、肩がやたら重たく、どうもフラフラする1日でした。体調があまり良くない時は、それなりの仕事しかできないので、いつもよりペースを落として、淡々とこなしていきました。こんな日もありますよね。
 私は美術も好きですが、本を読むことも好きです。何かしら本と関わりたいと思っていたところで、いま新しい本屋の開業を目指している方がいて、クラウドファンディングを募集していたので、ほんの少しばかりですが応援させていただきました。開業にはもう少し時間がかかるようですが、とても楽しみです。開業したら、あわよくば、ぜひ美術館とコラボしたいという思いも抱きつつ…。

2024/02/20

2024-02-20 19:40:00 | 仕事
 今日は予定していた仕事が早めに終わり、以前からの査読と文章執筆に時間を取ることができました。結果、査読は終わり、文章もほぼ骨子ができて、あとは細かいところの確認になるので、ようやく目処がつき、ほっとしています。
 このあいだ、このブログで哲学の勉強の必要性について書きましたが、ちょうど、知り合いに哲学を勉強している人がいて、相談してみたところ、哲学のとっかかりとして「史上最強の哲学入門」(飲茶著、河出文庫)をお勧めしていただきました。近く本屋へ寄ったときに買う予定です。この年になっても勉強することが多く、とてもやりがいがあり、学芸員になって本当に良かったと感じています。

2024/02/19

2024-02-19 17:15:00 | 読書感想
 今日は家族と共に遠出をして、栃木県は日光市の駅で蒸気機関車を見てきました。現役の蒸気機関車を見るのは初めて。生きもののように煙を上げ、シュシュと音を立てる姿に驚きました。「古いものは新しい」、いわばオクシモロンのそんな言葉が思い浮かんだ次第です。
 前日から「天下人たちの文化戦略」を読んでいるのですが、豊臣秀吉の仁王胴具足が紹介されていて、これはインドに渡ったそうですが、仁王の姿を形どった肌色に塗られた具足だったそう。欠損前の写真も掲載されているのですが、薄気味悪いこと甚だし。仁王、というより、戦で死んだ人間の幽霊のような具足です。当世具足とは、ちょっと違う異質な…。晩年の秀吉のセンスは黄金の茶室やこういう具足を作らせたりと、私にはちょっと理解しがたいな、と改めて思いました。