学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

トルーマン・カポーティ『花盛りの家』

2010-02-25 20:40:10 | その他
今日は展覧会の準備でバタバタする一日…立ったり屈んだりを繰り返したせいで、膝が痛くてしかたがない。明日の筋肉痛は間違いなさそうです(苦笑)

さて、近頃はなかなかまとまった読書の時間が取れないので、短編ばかり読んでいます。昨夜読み終えたのは、トルーマン・カポーティ『花盛りの家』。村上春樹さんの訳です。主人公のオティリーは、幼いときに父は家を出、母は死に、粗野な農民一家に預けられますが、ひどい目に合わされる毎日を送っていました。そうして今では娼婦。そんな人生でしたから、オティリーは恋を知らない女性なのです。ところが、目の前にとある男性が現れて…。

出だしは何気ない調子でスタートしますが、途中から幻想味を帯びてきて、先が読めない展開になってきます。死んだ人間の気配を感じるというのは怖い…。また、オティリーは紹介したとおり、悲惨な幼少期を過ごしていますが、性格として陰りのある女性としては描かれずに、むしろ闊達な女性として描かれます。人生を楽しむ、とまではいかないのでしょうが、この明るさはどこから来るのでしょうか。たくましさすら感じます。

私はこれまであまりカポーティを読んだことはありませんでしたが、面白い小説でした。今は《ティファニーで朝食を》を読んでいます。今までにない世界を楽しむことが出来て、とても良い作家、小説と出会えたなあ、と縁に感謝です。

●トルーマン・カポーティ『ティファニーで朝食を』村上春樹訳 新潮文庫 2008年
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ストレスの加減

2010-02-23 22:21:22 | その他
今日はとても暖かい天気でした。日中はコートなしでも、外を歩けるくらいの陽気。これがずっと続いて欲しい、とは思うのですが、暖かくなると怖いのが花粉。今年は例年よりも少ないそうですが…どうなることやら。

近頃、書店へ行くと「脳」をテーマにした本が山積みにされているのを見かけます。つい私も本を手にとって開いてみたところ、開いた場所にちょうど面白いことが書いてありました。それはストレスについて。私たちは生活の中で、何かしらのストレスを感じます。そうしてストレスがなくなればいいのに!と願います。ところが、まったくストレスを感じない毎日を送ると、人間のストレス耐性が弱くなってしまい、ちょっとしたことでも苦痛を感じるようになってしまうとのこと。ストレスを全くなくしてしまうのも、人間にとって良いことではないんだなあ、と思った次第です。

ストレスと上手に付き合う生き方。なかなか難しいようですが、私は…こう自分に話を振ってみると、ストレス解消に何をしているのか自分でもよくわからない(苦笑)しいて言えば、人と話をして笑うことでしょうか。笑うと気持ちが良くなりますよね。良いことだなあと思います。明日は…ストレスを感じそうな一日になる予感がすごくしますが、ためこまないように頑張ります(笑)


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『和泉式部集』・『和泉式部続集』

2010-02-22 20:14:23 | 読書感想
今日は曇り日でした。家に居るのも鬱々とするので、ラーメンを食べに出かけました。しかも2軒!さすがにお腹が一杯になりました。美味しかったですれどね!(笑)

さて、私は毎朝の日課として、文章の音読をしています。自分で言うのもなんですが、すこぶる変わった朝を送っていると思います(笑)最近読んでいるのは『徒然草』、『奥の細道』、Agatha Christie『Murder on the Orient Express』です。私にとって音読は、朝のぼんやりした頭から、一気に仕事モードに切り替えるために必要なことで、これはとても具合がいい。仕事モードに切り替わるだけでなく、勉強にもなる、まさに一石二鳥ですしね。

近頃、これに新しく加わったのが『和泉式部集』です。和泉式部が活躍したのは平安時代。紫式部と同じ頃の時代を生きた人です。もっとも紫式部は和泉式部のことをあんまり好きではなかったようだけれど。まだ読み始めたばかりですので、春夏秋冬の歌のみ(各20点読まれています)の知識しかありませんが、とてもいいです。私がいいなあ、と思った歌をそれぞれご紹介しましょう。

春 春がすみ立つやおそきと山河の岩間を潜る音聞こゆなり
夏 手にむすぶ水さへぬるき夏の日は涼しき風もかひなかりけり
秋 風吹けばいつもなびけど秋くればことに聞ゆる萩の音かな
冬 置く霜ははらはぬほどはおしなべて鴨の上毛の衣手ぞする

音読すると、歌がしみじみ伝わります。歌の余韻に浸りながら、仕事へ出かけるとは贅沢な朝の過ごし方。私はそう思います。また明日からの仕事、頑張ります!

●『和泉式部集』・『和泉式部続集』 岩波文庫 1983年


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宇都宮美術館「大原美術館名品展」

2010-02-21 20:59:10 | 展覧会感想
今日はとても心地よい天気でした。暖かな陽気に気分も良く、久しぶりに羽を伸ばして栃木県の宇都宮市にある宇都宮美術館で「大原美術館名品展-モネ、マティスから濱田庄司まで-」を見てきました。

大原美術館は、いわずもがな岡山県倉敷市にある美術館です。私は数年前、倉敷旅行へ出かけた時に館を訪れました。所蔵作品だけでなく、建物それ自体からも香る美の雰囲気は忘れられません。そんな個人的な思い出も重なって、展覧会を見てきたのです。

展示の順番は、まずはフランスを中心とした近代絵画から。シスレー、ピサロ、モネ…と続いて、次に日本の近代美術。この展示の仕方によって、日本人がヨーロッパの油絵をどのように消化しようとしたのか、ヨーロッパと日本の油絵を比較して楽しむことができます。そして民藝。河井寛治郎、濱田庄司、バーナード・リーチ、芹沢介、棟方志功が並びます。(芹沢介《団扇散らし模様屏風》、江戸以前まで扇を散らしたテーマはありますが、そこを団扇で散らしたのは新しくて面白い発想だなあと思いました)この他にも現代美術の作品が紹介されています。

今日は1点1点、作品を丁寧に見ながら楽しみましたが、帰宅してからもう1つの見方があったなあと。大原美術館の初期コレクションは、児島虎次郎という画家のフィルターを通して蒐集されました(もちろん全てではありません)と、すればコレクションには児島の個人的な嗜好が表れるはず。大原コレクションを通して、一人間の好みといったものを考えてみる、そうした見方も面白いですよね。またもし行く機会があれば、そうしたことを頭の中に置いて、見てみたいものと思いました。
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とある指揮者との出会い

2010-02-18 21:42:49 | その他
今日は朝には雪、夕方から晴れて、どうも妙な天気でした。寒いのは相変わらず、特に足元から冷えてくるのには閉口します。

こんな寒い日には、お酒を飲むのが一番と思い、行きつけのお店で麦酒を飲んできました。そこでの出会い。出会いといっても、残念ながら女性とではない(笑)私がカウンターで飲んでいると、オーケストラの指揮者をしているという男性と話をすることができたのです。恥ずかしながら、私は音楽に関する知識はほとんどゼロといっていいほど…。私が理想的な学芸員であれば、文化について考えなければならないのですから、美術だけではなく、文学、音楽、書道、華道、茶道…幅広い知識を網羅していなくてはならないはず。しかし、そこまで精通していない私は、自分の知っていること、ベートーヴェンの「皇帝」が好きだとか、ショパンの「雨だれ」(この曲名で合っているかはなはだ不安ですが…)はすごいとか、自分の持っている話をしましたら、色々なことについて教えていただきました。ベートーヴェンがいかに革命的であったか、それを継いだブラームスの苦悩はいかばかりであったか、音楽にも美術と同じようにドラマがあることを知りました。

クラシック、私はあまり聞いたことがありませんが、これを機会に演奏会などへ出向くと、また楽しいのだろうなあ、と思いました。クラシックを聞くと、自分の興味の幅がどんどん広がって、毎日が楽しくなりそうですね!
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吉野源三郎『君たちはどう生きるか』

2010-02-17 21:41:02 | 読書感想
今日もまた寒い一日でした。ここのところ、ずっと曇か雪です。ああ、早く晴れて欲しい!

近頃、読んでいるのが吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』です。タイトルとテーマだけで判断すると、難しそうな内容が書いてあると思われがちですが、まったくそんなことはなく、青少年を対象としていますから、とても優しい文体で書かれています。

中学生のコペル君(もちろんあだ名です)は、学校の内外で様々な体験をし、その報告を受けた法学士の叔父さんがコメントを加えてゆく、一貫してこの流れで物語は進んでいきます。私たちも体験したような日常の何でもない出来事も、実はとても素晴らしいことであることがわかります。私にもこんな叔父さんが欲しかった(笑)

私はまだ独身ですけれど、いずれ親になる日が来るのかもしれません。親として、子どもにどう接していけばいいのか、そんなヒントもこの本には込められているように思います。

また、本の最後に吉野源三郎への追悼文を丸山真男が書いていますが…これが名文です。吉野の文章を味わいながら、丸山の文章に泣く、私にとって忘れられない本となりました。

●『君たちはどう生きるか』吉野源三郎著 岩波文庫 1982年
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ゆるい休日

2010-02-15 16:11:16 | その他
昨日はあんなに晴れたのに、また今日は雨。天気の悪い日ばかりが続くと、どうもうんざりします。私の日頃の行いが、余程悪いらしいようで…(苦笑)

こういう日は大人しく家で掃除をするのが一番!と思い立ち、気の赴くままに掃除を始めました。そうして掃除をしながら、あれこれ明日の仕事の予定などを考えてゆく。私が小学生の時分、~しながら~するのは良くないと先生から言われました。テレビを見ながら、宿題をする、とかですね。さすがに社会人になると、そういうわけにもいかず、臨機応変にして行かなければならないわけで。テレビを見ながら、仕事をする、なんてのは論外ですけれども。

掃除の後は、伝記を読みました。私は仕事でモチベーションを高めるときに、よく伝記を読みます。伝記を読んで、自分の気持ちを奮い立たせると申しますか。『蘭学事始』(これは伝記ではないですけれど…)、『福翁自伝』の気になる箇所を読んでいきました。これでモチベーションは上がった…ような気がします(笑)

さて、やることはやって?明日から一週間の始まりです。天気も良くなることを祈って、頑張ります!
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平凡な日常であること

2010-02-14 19:43:06 | その他
久しぶりに暖かい日差しでした。ここ数日、どうもバタバタしてしまい、落ち着かない毎日でしたが、ようやく開放されました!好きな絵を見たり、本を読んだり、物事を考えたり、ごく平凡なことができないことは、私にとってはとても耐えられません(泣)

図書館で画集の背表紙を目で追っていましたら、「山口逢春」(アサヒグラフ別冊)の名が見えましたので、手にとってみました。山口は大正から昭和にかけて活躍した日本画家。画集の表紙に用いられている《夏の印象》は、山口作品のなかで私が最も好きな絵です。良い心持を家でも味わいたくて、しっかり借りてきました(笑)ちょっとしたことですが、得した気分です。

今夜はのんびり横になって、画集を眺めて心を遊ばせてみたいと思います。明日もどうか晴れますように!
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まぶたの重い読書

2010-02-09 21:36:32 | 読書感想
今日はとても暖かい一日でした!この勢い?で早く春になって欲しいものです。

さて、ある方から、フランスの詩人ボードレールの美術評論は面白いから読むべきと薦められました。さっそく、図書館から借りてきたのですが、これは…夜読むとまぶたが重くなる(苦笑)本の分厚さ、字の細かさ、やや抽象的な概念…とても仕事から帰って読むのでは非効率すぎるので、次の休日まで閉じておくことにしました。

本を読むとき、何か目的意識があるとぐいぐいと読み進められますね。近頃は美術館ボランティアに関心があるので、それに関連した本を読みましたが、他美術館との事例と自館とを比較して読めるので、随分得るものは多かったように思います。あとは取り入れたイメージを、どう職場に生かしていくのか、です。本を受身で読むのではなく、何かを取り込んでやろうと積極的な姿勢で読むと具合がいいようですね。それを常に意識はしますが、なかなか難しいもので…。

これから、まぶたの重くならないような本を読んで寝ることにいたします(笑)
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洋書にチャレンジ

2010-02-08 16:17:40 | 読書感想
暖かな陽気に誘われて、今日はラーメンを食べに出かけました。しかも、2軒(笑)味噌ラーメン、塩ラーメンと頂きましたが、とても美味しかったです。いい心持になった休日でした。

さて、突然ですが、私にはある夢があります。それは世界文学を洋書で味わうということ。夢というほどでもないか(笑)いきなり分厚い洋書ではモチベーションがたちまちにして落ちる私なので、最初は薄い本からチャレンジです。今読んでいるのは、『ジェイン・エア』。屋根裏部屋の女性の存在がミステリアスでかなり怖い…。洋書でも、この怖さはぐいぐい読者を引き込む力を持っています。

美術書とはまた違った言い回しがあるので、進んでは戻ったりであくせくして読んでいますが、楽しいですね。そう、まずは何事も楽しむことが大事、と私は思うのです。これからまた続きを読んでみます!
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