帰省の合間をぬって、数年ぶりに仙台市博物館を訪れた。この博物館は、中心市街地から西へ、広瀬川にかかる大橋を渡ったところにある。かつての仙台城跡の一角にあり、今でも水堀をかかえ、往時を偲ばせる。
特別展「伊達を継ぐもの」のトータルな部分は別にして、1点ごとの資料そのものが魅力にあふれ、特に伊達綱宗の指面は極めて奇妙なものだが、そこに藩主の趣向が色濃く出ているし、堀田正敦が編集した『禽譜』は実見した鳥類の姿をできるだけ丹念に写しとり、そのときの状況を細かく記録したもので、博物学としてのまとまりがあって面白かった。また、山家清兵衛の怨霊を描いたとされる軸ものもあったが、いわゆる幽霊の姿ではなく、武者の兜を高台に乗せる図案で、怨霊を描くのに見立ての手法を用いていることに驚かされた。
さて、一方の常設展は、いつの頃からか黒を基調としたシックな展示室に変わっていた。以前から足を運んできた私には寂しさもあったが、幸いというべきか、コレクション展示室1や慶長遣欧使節団の部屋は以前のまま残しておいてくれたことが嬉しい。この両展示室は資料が部屋を選ぶ。最適な空間を残しておいてくれたことに感謝したい。子どもが遊んで学べるプレイミュージアムも健在だ。仙台に来たら、ぜひ訪れて欲しい施設のひとつである。