学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

日本の童謡

2017-04-28 21:12:34 | その他
最近『日本童謡集』(与田準一編、岩波文庫、1957年)を読んでいます。

大正7年から昭和20年までの代表的な童謡を、児童文学者の与田準一がセレクトした内容。

小学生の時分、音楽の授業で歌った曲が多くて懐かしい気持ちになります。

この本を読んで、私の中でいくつかの発見がありました。


ひとつめは、私が今でも口ずさめる童謡のほとんどは野口雨情の作詞であること。

「七つの子」、「赤い靴」、「しゃぼん玉」、「証城寺の狸囃子」などです。

北原白秋もだいぶ作曲をしているようなのですが、私はほとんど口ずさむことができません。

知っているのは「からたちの花」くらい。

以前、NHKのドラマ「白洲次郎」のエンディングテーマでも使われていましたね。


ふたつめは、昭和の童謡をまったく知らないということ。

歌える、という以前に聞いたことがないものばかりなのです。

そういえば…私が童謡を歌えるのは、学校の授業で習ったこともあるのですが、
祖母が童謡を教えてくれたこともあったのを思い出しました。

祖母が歌っていた歌は、大正時代に作曲されたものばかり。

祖母は昭和初期の生まれですから、昭和の童謡のほうが歌えそうな気はするのですが…。

祖母はお母さん(私からみれば曾祖母)から童謡を教わったのかもしれませんね。


童謡を通して、懐かしい記憶がよみがえりました。

歌川広重の生誕220年

2017-04-26 23:02:15 | その他
今年は浮世絵師歌川広重(1797~1858)の生誕220年目にあたります。

興味深いことに、日本には「広重」を冠した美術館がいくつもあるのです。

頭に思い浮かぶだけでも、山形、栃木、静岡、岐阜などなど。

個人の絵師で、ここまで全国に美術館がある例はそうはないでしょう。

それだけ私たちにとっては馴染みのある絵師です。

広重といえば、東海道五捨三次のシリーズもの。

そのなかでも特に蒲原や庄野が有名ですね。

私の趣味でいえば、鞠子でとろろ汁をおいしそうにかき込む旅人たち。

御油で、体格のいい留女にむりやり引っ張られている旅人たち。

そういう江戸時代の生活感がにじみ出ている作品も好きです。


それとあまり一般的に知られていない江戸近郊八景もなかなかのもの。

郡山市立美術館の展覧会でたった一度しかお目にかかったことがありません。

けれど、とても印象に残っていて、私は東海道五捨三次よりもお気に入り。

東海道五捨三次のようなにぎやかさとは対照的に静謐の世界が広がります。

江戸時代のもうひとつの一面を見ているような気持ちになりました。

機会があれば、もう一度見たいものです。

『考える人』の休刊

2017-04-25 20:26:23 | その他
書店へ出かけると、真っ先に向かうのが雑誌コーナー。

雑誌は表紙を見せるように置かれるから、その場が華やかだし、旬の話題が一目でわかる。

そんななか、ひとつ残念なニュースがありました。

季刊誌『考える人』(新潮社)の休刊です。

『考える人』は創刊当時からよく買っていました。

企画の内容が私の趣味とよく合っていたのです。

本棚がいっぱいになり、売ってしまったのもあるけれど、今でも大切にしている巻は次の3冊。


・フィンランドの森、デンマークの暮らし(2004年)
・海外の長編小説ベスト100(2008年)
・村上春樹ロングインタビュー(2010年)


雑誌は読み捨てが多いのですが、『考える人』はずっと手元に残しておきたい魅力を持っています。

ときどき本棚から取り出して読みますが、今でも楽しめるし、内容がちっとも古びていない。

こんな素敵な雑誌を作り続けて下さった編集部の方々と執筆者の方々にはとても感謝です。

(ちなみにウェブ版は継続とのことです)

バーベラとキモノケイトウ

2017-04-24 18:19:12 | その他
美術館に勤務してから、平日の月曜日が毎週の休みとなりました。

このあとのゴールデンウイークもないし、展覧会を見に他の美術館にも行けないことが多い。

けれど、道路も観光地も店舗も空いているときに行けるのが嬉しいところ。

今日は妻とショッピングを楽しんだ後、ガーデニングのための花を買ってきました。

私が買ったのはバーベラとキモノケイトウ。

バーベラは赤と紫の花を付けた鉢。

キモノケイトウはふわふわとした感じの赤と桃色の鉢。

さっそく庭に植えて、窓越しに見て楽しんでいます。

花を見ていると、とても気持ちがなごみます。

これから暖かくなって、いろいろな花が見られる季節になりますね。

毎日がとても楽しみです。

新しい美術館と図書館

2017-04-23 21:17:06 | その他
昨日は完成したばかりの群馬県太田市の美術館・図書館へ行ってきました。

駅前にひときわ目立つ現代的な白亜の建物。

美術館はまだオープンではなかったので、図書館を歩いて楽しんできました。

3階建てのらせん状の廊下になっていて、壁側にずらりと本が並びます。

ところどころ、本の表紙を見せて置いてあって、本の顔とあいさつしながら歩く感じ。

美術館が併設されていることもあって、美術系の本がとても充実していました。

1階にはカフェもあって、気分を変えたいときには利用できるスペースも。

太田市、うらやましい!!(笑)


怒涛の一週間

2017-04-11 21:59:06 | その他
美術館へ戻ってきてから、おおよそ一週間。それは、ただの一週間ではなく、怒涛の一週間でした。年度当初の事務的な仕事と、美術館の新しい企画に向けた仕事が重なっており、とても忙しい毎日を過ごしました。夜遅くまで働いた帰り道、癒してくれるのは夜桜。いよいよ私の住む街も桜が咲き始めたのです。仕事帰りに桜を眺められるなんて幸せ…これでお酒でも飲めたらなあ(笑)

年度当初の仕事がおおよそ片付き始め、今週は展覧会の企画に向けた作家の調査研究の時間がとれそう。数年のブランクがあって、まだまだ記憶がにぶっているのですが、いろいろと展示構成の腹案なども頭にちらほらと浮かび始めているので、具体化するための勉強がかかせません。といっても、仕事中にはほとんど本を探したり読んでいる時間もないので、家に帰ってからメモしたものを元に机に向かいます。何だか懐かしい気がする(笑)気合をしっかりいれて、展覧会が成功するよう頑張ります!

新聞紙上に見る新入社員たちへのメッセージ

2017-04-03 21:59:46 | その他
4月の始まりは土、日だったので、今日からデビューする新入社員が多いようです。そのせいか、今日の日経新聞朝刊は新入社員に向けた企業からのメッセージを載せた広告が多く見受けられました。私が印象に残った広告は下記のとおりです。

●パソールグループ…大笑いする初老の男性の顔を一面において「はたらいて、笑おう。」のメッセージ。シンプル・イズ・ベストで、インパクト大!

●三菱ケミカル㈱…穀物の種でミレーの《種をまく人》を構成。《種をまく人》と「科学で未来を咲かせよう。」のメッセージがつながっています。

●伊藤忠商事…商人語録として、20名ほどの社員たちの語録を掲載。そのうちのひとつ「メールや電話で繋がっていても、足を動かして会いに行く。」

●サントリースピリッツ㈱…作家伊集院静さんからのメッセージ。言葉のもつ力の強さをひしひしと感じます。

興味のある方はぜひ休日に図書館で紙面をご覧ください。私も職場が変わって心機一転。新人だったときの初心に返って、しっかり頑張りたいと思います。



まだまだ慣れない調子

2017-04-02 20:50:41 | その他
昨日から、美術館の仕事がスタートしました。そして2日目の今日。いま、かなり頭が疲れています(苦笑)。

まだ年度が始まってすぐなので、施設関係の契約をこなし、その合間に展覧会へ向けての原稿作成をしていました。契約関係は事務的な仕事なので、さくさくと進むのですが、原稿作成は当然そうもいかず。かつてやっていたように、ある作品が生まれてきた美術史的な背景などを考えて原稿を書こうとすると筆がすぐ止まる。止まるということはカンが鈍っていることなので、それを取り戻そうと、美術史年表などをバラりと開いて読んでいくと、もう夕方。一日はこんなにも短いのか…と嘆いてしまった2日目でした。

結局、残業してもカンは取り戻せず、もう心身ともに疲れ果て、仕事の効率が悪くなってきたので切り上げてしまいました。数年のブランクは相当に大きいのかも…。嘆いても仕方がないので、少しずつギアを入れていくしかありませんね。明日は休日、徹底的にリフレッシュです!

美術館へ再登板

2017-04-01 20:48:32 | その他
今日から4月です。いよいよ新しい年度の始まりとなりました。春といえば桜。けれど、私の住んでいる街はまだ開花する気配さえ感じられず、いつもよりものんびりとしたペースで春が進んでいるようです。

さて、私は数年ぶりに美術館へ再登板。職場が変わることが決まってから、もう緊張で心臓はバクバク、頭はフラフラ、目はクラクラするし、やはり再登板とはいえ、職場や生活環境が変わることは少なからずストレスになるようです。

旧職場で文化財や文化振興に携わってきて、ジャンルは違えど考古学や近世史の専門家などと交流を持つことができ、大きな勉強をさせていただきました。こうした経験をふまえ、美術館でどこまで自分の力が発揮できるのか、不安でたまらないと感じつつも、楽しみなところでもあります。

まずは、頭の中を美術のモードへ切り替えること。私の新しいチャレンジの1年となりそうです。