学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

4月も終わりて

2011-04-30 20:29:38 | 仕事
今日で4月も終わりですね。なんだか長く感じた4月でした。3月から始まった花粉症。私はいまだにひどくて、特に朝と夜になると症状が悪化します。例年こんなにひどくはなかったのだけれど…。朝のはれぼったい目を見ると、なんだか疲れてくる。

世間はゴールデンウィーク。けれども、学芸員には関係はなし。美術館にとっては、お客様がたくさんいらっしゃる時期です。学生時代、今年は最高で○○連休!などとテレビでにぎやかに放送しているのを見て、大変喜んでいたものですが、今はかえってテレビを冷静な目で見ている自分がいたりして(苦笑)

今夜は赤ワインを買ってきました。なんだか無償にお酒が飲みたくて(笑)これからワインを片手に読書をして、静かな時間をのんびり過す予定です。
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春の散歩

2011-04-25 16:16:15 | その他
早朝の散歩はとても気持ちの良いものです。休日の今日は、散歩からのはじまり。

いつもの散歩コースをてくてくと歩きました。

散歩で出会う全てのものを楽しみます。

タンポポやオオイヌノフグリなどの小さな花々、小川のせせらぎ、鳥の羽ばたくさま、心地よい日ざし、すれ違う地域の人たち…。

自分が自然のなかで、社会のなかで生きていることを実感します。

これからますます暖かくなって、散歩をするのが楽しくなりそうです。

気持ちをリフレッシュしたところで、また明日から頑張らないといけませんね!
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地震のつめあと

2011-04-23 19:01:08 | その他
震災後、初めて故郷へ行きました。家族はみんな元気で変わりない様子。ただ、家のなかは亀裂だらけで、しかも家の裏面が30センチ近く陥没。その陥没で家の基礎がむき出しになっていました。隣の家もひどい状態で、もう住めないから引越してしまうのだとか。これから我が家の復旧も大変そう…。

久しぶりに家族が全員勢ぞろいして、お互いの無事を感謝。晩御飯をみんなで頂きました。こうして無事ではなかった家族もいますから、複雑な気持ちではありますが、何気ないことが幸せであることに私は改めて気付きました。

今日は雨。さめざめと降る。外では早くも蛙の声が聞こえるようになりました。蛙の合唱。これからだんだんにぎやかな夜がやってくるのでしょうね。

今夜は雨音と蛙の声を聞きながら、ゆっくり眠ることにします。
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関容子著『日本の鶯』

2011-04-20 22:35:51 | 仕事
鶯が鳴く時節柄。ちょうど書店に行きましたら、『日本の鶯』なる本が売っていましたので買ってきました。『日本の鶯』というと鳥の図鑑でも想像されるかもしれませんが、「日本の鶯」とはフランス文学者で詩人の堀口大学のこと。彼はフランスの画家マリー・ローランサンに「日本の鶯」と呼ばれたんですね。それが由来となって、本のタイトルになったのです。

本は著者の関容子氏が晩年の堀口大学へインタビューした内容。聞書きです。全部で15章から成り立っています。初めのほうはぎこちない感じのインタビュー。それがどんどん勢いに乗って、堀口大学は雄弁に語りだします。父と母、師である与謝野寛(鉄幹)、晶子夫妻、永井荷風、親友の佐藤春夫、装丁を手がけた銅板画家長谷川潔、そしてマリー・ローランサン。様々な人物たちが登場します。そして甘い恋について、関氏の鋭い突っ込みをうまくかわす堀口先生もお見事(笑)文中には堀口大学が「日本の鶯」の詩の訳を変更する場面があって、それがすごくお見事。詩に関心がある方や気になる方はぜひ一読してみてください。堀口訳のフランス文学を読みたくなること間違いなしです。

●関容子著『日本の鶯 堀口大学聞書き』岩波現代文庫 2010年

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梶井基次郎『Kの昇天』

2011-04-19 21:47:11 | 読書感想
冬に逆戻りしたような寒さ。桜が寂しそうに雨にうたれていました。そういえば桜もいつの間にか少しずつ散り始め、葉桜に変わりつつあります。これから新緑の季節がやってきますね。

この震災以来、様々な対応に追われていて、なかなか美術館の展覧会を見に行くことができません。私の場合、心持が忙しいと絵のなかに気持ちが入っていかず、美術館へ行ってもうわべだけ見て終わってしまいそうな気がするので、落ち着くまでもう少しといったところでしょうか。一連の震災では海外から作品を借用できなくなった美術館もあるそうで、影響が様々なところへ波及しているようです。

絵を見られない、その代わりに私は自宅に帰ってからは浴びるように本を読んでいます。かつてない読書欲求で、手当たり次第に読んでは、いつの間にか朝になっている、そんな日が続いています。

短編ですが、梶井基次郎の『Kの昇天』を読みました。Kという人物の溺死。彼はなぜ死ななければならなかったのか。非常にあらすじの書きにくい小説ですので、ぜひお読みいただければと思いますが、読み手をぐいぐいひっぱる力は相当なものです。一読した時、私は夏目漱石の『こころ』とよく似ているなと思いました。話の内容が、というのではなく、文章の書き方です。あの『こころ』に出てくる先生の独白文を連想させるのです。読み手は秘密の手紙をこっそり読んでいるような気分にさせられます。うまい。本人は夏目漱石に私淑していたようですから、文体の影響はかなりあるのかもしれません。

月、影、ドッペルゲンゲル。文章が流麗で、私はKが海岸で月明かりを頼りに影を探す姿が目に見えるようでした。梶井基次郎は明治から昭和初期に活躍した作家ですが、そうしたいわゆる「古さ」というものを感じさせないほど、未だに息遣いを感じさせる作品が数多くあります。代表作は『檸檬』。短編で読みやすいものが多いので、お勧めの作家です。

●梶井基次郎『檸檬』新潮文庫 1967年

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庄野潤三『臙脂』

2011-04-16 21:03:53 | 読書感想
男女の関係というものは、固い絆で結ばれているようで、実はふとしたことからほころびが生ずるもの。これは私の経験則ではなく、一般的なお話(笑)

そのほころびを縫い直しながら一緒に年を重ねていくのが夫婦だと思うけれど、この例えでゆけば「振り向けば継ぎ接ぎだらけの夫婦かな」と川柳にでも詠めるかもしれない(笑)

小説家庄野潤三(1921~2009)の『臙脂』(えんじ)は、そんな夫婦仲を書いた短編小説です。主人公の女性は、愛する夫と2人暮らし。悩みを持たない夫婦生活でしたが、ある占い師の言葉で一変。占い師から「夫には好きな人がいて、あなたと夫は来年で別れる」と言われたのです。心が揺り動かされた女性。そんなとき、夫がいつもの黒縁眼鏡を止めて、臙脂色の縁をした眼鏡をかけるのです。もしかしたら、浮気相手が勧めた眼鏡?と占いを信じる女性は疑心暗鬼に。そうして夫の何気ない行動も次々に疑わしくなってきて…。

『臙脂』は占いによってほころびが生じた夫婦をコミカルに書いた小説です。疑心暗鬼というものは厄介なもの。相手に対してこの気持ちが生ずると、なかなか掃きだすことができません。それは男女の仲に限らず、同性の友人でも起こりうることですね。現実の世界においてはなかなかに怖いものです。この小説の夫婦が最後にどうなったのか、かなり含みをもたせた終わり方なので、読者の想像力で楽しめる小説かもしれません。


●庄野潤三『愛撫・静物 庄野潤三初期作品集』講談社文芸文庫 2007年


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吉田健一『酒宴』

2011-04-15 19:25:01 | 読書感想
この時期になると、どこからともなく鶯の声が聞こえてきます。満開の桜と鶯の声があれば、それを肴にお酒をちょいと一杯やりたくなる。震災以後、お花見、歓送迎会が軒並み自粛となって、世間ではお酒を飲むこと自体がなんだか後ろめたいような調子になっているよう。

私はストレスのせいか、やたらとお酒が飲みたくてしょうがない。けれども、被災者を思うと飲むことがどうしてもはばかられてしまう気がするし、なにより強い余震が相次いでいるので、万が一のときに動けなくなってはいけない、というのでお酒は控えています。お酒が飲めないのなら、本の世界でお酒を楽しめばいい。そうして選んだのが、英文学者吉田健一の短編小説『酒宴』です。

吉田健一(1912~1977)は、無類の酒好きで知られ、彼が残した数々の小説やエッセイのなかにもお酒の話がいたるところに散りばめられています。この『酒宴』は、吉田を思わせる主人公がお酒をたらふく飲んで、「たらふく」というのは、一緒に飲んでいた飲み仲間が酒のタンクに見えてくるほど飲んで、自分がいつの間にか大蛇になっているという話。大蛇はおそらく「うわばみ」にかけたものでしょう。吉田は相当お酒がいける口だったそうで、どれだけ飲んでも一糸乱れなかったというから驚き。で、なければ、こういう小説は書けないでしょうけれど(笑)

「本当を言うと、酒飲みというのはいつまでも酒が飲んでいたいものなので、終電の時間だから止めるとか、原稿を書かなければならないから止めるなどというのは決して本心ではない。」

この一文は吉田がどれだけ酒を愛したのかを示していますね。お酒、要は節度の問題だと思うのです。酔いにまかせて桜の木に登ったり、夜中遅くまで騒ぎ立てたり、それはまったくの論外でしょう。

震災から、一ヶ月が経過。被災者を思う気持ちを留めつつ、生活のリズムをだんだん元に戻す時期に来ているのかな、と自分は心の中で感じ始めています。


●吉田健一『金沢・酒宴』講談社文芸文庫 1990年
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掃除の時間

2011-04-14 09:42:09 | 仕事
今日は休みです。明け方に近所を散歩して、桜を見てきました。桜は何度見てもいいものですね。

これから部屋の掃除をする予定です。この震災で電力消費量の問題を提示されていますが、私も少しでも節電を心がけようと、なるべく電気を使わない生活や掃除を心がけています。エアコンは使わず湯たんぽ、掃除機は使わず雑巾がけ、洗濯もちょっとしたものならお風呂の残り湯と洗剤を使っての手洗い、このブログも内容を紙に下書きしたあとに書いています。パソコンを起動させながら文章を考えるよりも余計な電気は使わないし、よりスムーズ。

ふだん、当たり前のように使っていたものが使えなくなったとき、新しい価値観が生まれるのかもしれません。

今日はラジオでも聞きながら、のんびり掃除をすることにします。
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ブログ再開

2011-04-12 19:54:58 | その他
お待たせしました。私自身の心持が幾分落ち着いてきたこと、美術館業務にもある程度メドが付きましたので、本日からブログを再開します。みなさまには大変ご心配をおかけしました。

さて、早いもので桜が見ごろの時期になりました。私が住む街の公園や河原の桜も、美しい桃色の花を咲かせています。お花見、のまとまった時間は取れないけれど、私は徒歩で職場まで通勤していますから、周りに咲く桜を見ながら歩くというぜいたくな時間を過しています。朝の青空に映える桜、夕方の西日にもえる桜、夜の妖艶な桜。同じ桜でも、出社・退社時刻によって見え方が異なるところが面白い。

桜前線はどこまで北上したのでしょうか。早くこの桜が東北まで届いて、たくさんの人々のもとへ届いて欲しいものです。

このたびの地震では、私の実家も被災しました。私たち家族がこれからどうするべきか、なかなか余震が収まらず、ゆっくり考える時間も与えてくれない状態ですが、日々、一歩一歩前進して、また元の平和な暮らしに戻れるよう、頑張らないといけませんね!

このブログ再開も、その一歩!

明日からまた定期的に更新をしていきますので、これからもみなさま、よろしくお願いいたします。
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