学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

栃木県立美術館「イノセンス-いのちに向き合うアート」

2010-07-30 21:29:33 | 展覧会感想
先日、栃木県立美術館で開催されている「イノセンス-いのちに向き合うアート」展を見てきました。この展覧会では、正規の美術教育を受けていない人たち、たとえば心身にハンディキャップをかかえた人や独学で絵を描き始めた人の作品を紹介しています。素晴らしいと思ったのは、日本各地のアーティストを紹介するだけでなく、地元である栃木県内のアーティストも多数紹介しているところです。まさに県立美術館の使命がそこに表れているように感じました。

展示されている作品は、どれも個性的で面白く、私は1点1点食い入るように見て行きましたが、しばらくして「アートは自由である」ことに改めて気付かされました。私は美術館に行くと、職業柄なのでしょう、この絵は誰々の影響を受けたものじゃないかと考えてしまうのですが、この展覧会に関してはそんな知識は一切不要で、とにかく絵のなかに引き込まれてしまいます。絵を描くことは何も特別なことではなく、人間としてごく普通のことなのではないかと。心を大きく開放される展覧会でした。

この展覧会は9月20日(月・祝)まで開催されています。ぜひご覧下さい。


岸田劉生の絵を求めて

2010-07-29 19:29:05 | その他
久しぶりのブログ更新です。

近頃、余暇を利用して岸田劉生(1891~1929)の作品について調べています。岸田劉生といえば、日本近代美術、特に油彩画においては高橋由一とともに触れられることの多い作家です。今でも高い評価を受けていますが、それは昔も同じこと。明治末期から大正、おそらくは昭和初期にかけての画学生にとって、岸田劉生の絵はまさに憧れでした。それぐらい影響力があったんですね。

私は先日から岸田劉生の画集、日記、随筆集の類を見ています。自分なりに岸田劉生について勉強をし直したいという気持ちからですが、日記に気になる文章がありました。

大正12年12月10日、岸田劉生32歳です。
「そろそろ画会もはじまらうからと思い六号にスケッチ風の味を主とした静物をはじめる。二日三日で仕上げるつもり。柿一つと剥きかけたみかんを一つを机上に乗せた図だが剥いたみかんを描くのはこれがはじめてだ。」(『摘録劉生日記』酒井忠康編 岩波文庫 1998年)

私が気になったのは、特に「剥きかけたみかん」です。実は私の勤める美術館に「剥きかけたみかん」を描いた静物画があるのです。どうしてこの作家は「剥きかけたみかん」を描いたのだろうと前から不思議に思っていたのですが、この日記を読むと、どうも岸田劉生の絵からヒントを得ていた可能性が…。私は早速岸田劉生の画集をひっくり返してみましたが、この文章のような静物画は発見できず。あまり一般的に知られていない作品なのでしょうか…知られていない作品をどうやってあの作家は知ったのでしょうか…謎は深まるばかりです。

しばらく岸田劉生の絵を求める日々は続きそう。「剥きかけたみかん」の絵、どうか発見できますように!


日本橋丸善にて

2010-07-20 20:01:12 | その他
今日は久しぶりに上京し、神保町の古書店街、日本橋丸善で買い物をして帰ってきました。東京はすさまじい暑さ(泣)汗が止まらなく、暑さに強い私もさすがに閉口しました。今はもうへとへとです。

さて、私は東京へ行くと必ずといっていいほど日本橋丸善へ行きます。本や文房具がずらりと並んだ、あの空間がとても好きなのです。もし私の職場の近くに丸善があったら、仕事帰りに毎日立ち寄ること間違いなし(笑)

美術書のコーナーで美術史家のゴンブリッチ著『美術の物語』を購入しました。分厚い本です。内容は洞窟壁画から現代アートまでの美術史を紹介したもの。見本を読んでいて、とても面白いと思いました。美術史が『物語』のように語られているからです。まるで小説を読むような感覚。こうした美術書は今まで読んだことがありませんでした。迷わずに即購入し。とてもいい本に巡り会えたと思います。大きな本なので、全部読むのには時間がかかりそうですが、これから読むのがとても楽しみです。

明日からまた仕事です。明日は少し涼しくなることを祈って…今夜は休むことにします。

作品の写真撮影

2010-07-17 21:12:53 | その他
今日は一日中、作品の写真撮影をしていました。写真の用途は、パンフレットや展覧会カタログはもちろん、広報用の新聞や雑誌に掲載するためのものでもあります。当館にはきちんとしたスタジオはありませんが、なければ無いなりに。仮のスタジオを作って行います。

当館では、かつてポジフィルムで写真を管理してきました。しかし、時代は変わり…今はデジタルカメラが主流となりました。取った画像をその場で確認できますので、大変便利です。しかし、美術館で制作している一般的なポスターの大きさ(B2判)まで画像を拡大することができず、無理やり拡大すると画質が荒くなってしまいます。美術館ポスターは美しく見せることが第一であるのに、肝心の写真が荒くなってしまっては元も子も無いわけですね。これから技術が進めば、いずれB2判でも画質が荒れなくなるのでしょうが、もう少し待つ必要がありそうです。

本日撮影の写真はどれも綺麗に取れた…ような気がします(苦笑)学芸員は写真撮影の技術も学ばなくてはなりません。まだまだ日々の修行が必要!こうした技術は常に磨いていきたいものです。


夏、到来?

2010-07-16 20:19:52 | その他
すこぶる暑い一日。もしかしたら、私の住む地域は梅雨が明けたのでしょうか。暑いときに、暑いというと、また暑くなるので、もう言わないことにします(苦笑)

7月も中旬。もうすぐ学生は夏休みですね。懐かしい響きです。夏休み、といっても、さしたる思い出もなく、小学生の時分は虫捕りや魚釣りをして、プールへ行って、後半は夏休みのドリルに悩まされる、毎年その繰り返しだったような気がします。思えば、小学生の夏休みが一番暢気に過していられたかもしれません。

夏休みになると、当館では家族連れのお客様が多くなり、また学校の課題で学生が単独で見に来る場合もあります。夏は美術館がとてもにぎやかな雰囲気になりますね。

私の夏休みは…8月末になりそうです。3連休、どこか旅行に出かけたいと思っています。今からとても楽しみですね!

今夜はお蕎麦でさっぱりと

2010-07-15 20:57:11 | その他
毎日暑い日が続きますね。毎年、私はクーラーを使わずに夏を過ごすので、今は団扇で涼をとっています。腕は疲れますが、なかなかどうして涼しいものですね。

今夜は蕎麦を食べました。大根おろしときざんだネギで、スルッと食べる。さっぱりしてとても美味しいものです。蕎麦といえば、私の住む地元では水蕎麦なるものがあります。これは蕎麦をつゆにつけずに、水につけて食べるというもの。それで味がするの?と思われるかもしれませんが、蕎麦の風味が口の中に広がって、とても美味しいのです。特に10月、蕎麦が取れたばかりのときに食べると格別!

この暑さ、栄養をしっかり取って、乗り切りたいものですね!

ウイスキーを片手に

2010-07-14 21:02:48 | その他
日中から今までずっと雨が降り続いています。少し湿気も出てきて、部屋の床はちょっとぺたぺたします。梅雨ですね(泣)

こんな暑い日は麦酒を飲みたいものですが、ここのところ、私はウイスキーを飲んでいます。マッカランをストレートで飲んだり、ロックで飲んだり…。マッカランはそれほどクセもなく、飲みやすいお酒ではないかと思います。

近頃、ウイスキーがブームで、なかなか品薄になってきたとか。私が美術館スタッフにウイスキーを飲む話をすると「渋すぎる!」と言われたものですが、品薄になるほどウイスキーを飲む人が多くなれば、そう言われない日も近いかもしれません(笑)

ウイスキーを飲みながら、ぼんやりとした明かりで、本を読む。私にとって特別な時間が過ぎてゆきます。いつまでもこういう時間は大切にしたいものですね。

日記を書くということ

2010-07-13 19:58:07 | その他
一日大雨の天気。お昼休みにお弁当を買いに外へ出かけましたが、どしゃ降りに遭いました。ほとんど傘は役に立たず、ズボンも靴もずぶぬれ…(泣)

突然ですが、みなさんは日記をつけていますか?私の場合は、このブログが日記代わりになっています。もちろん公開を前提としていますけれど。『未完の横尾忠則』(美術出版社 2009年)には、横尾忠則さんの40年以上も継続して書かれている日記の一部が、図版として掲載されています。文字、イラスト、写真、名刺、スタンプ、果てはおみくじまで、縦横無尽に書かれたり、描かれたり、押されたり。ずっと眺めていると、文字やその他のものが紙のなかで躍ってくるような調子に見えてきます。

1987年4月の日記には、こんな言葉があります。

「人生全てを作品として提出する」

人生を作品として捉える、人生観、アーティスト。

この言葉は、図版を読むたびに少しの間だけ私の心に留まる。細い小川に流れている葉っぱが、水草にしばらくひっかかって、また、スッと流れてしまう感覚。私の好きな言葉です。

日記を書くことは、自分自身を客観視することにもなるそうです。私も過去のブログを読んで、自分を客観視してみることにいたしましょうか(笑)

北の風は部屋を涼しく

2010-07-12 19:14:07 | その他
今日は昨夜の大雨が嘘のように晴れて、今は涼しい北風が部屋のなかを通り抜けています。このぶんなら、夜は気持ちよく眠れそう。

一日掃除に明け暮れました。洗濯したり、窓を拭いたり、花を手入れしたり…。ときどきコーヒーで休憩。昨夜買ったばかりの『1Q84』を読みながら、のんびりと時間を過すことができました。『1Q84』については、読み終えたら、このブログで感想を書きたいと思います。

今夜は久しぶりにゴーヤチャンプルを作ってみました。苦味がなんともたまらなく美味しい。麦酒も飲みたいところでしたが、まだ飲むには早いので(笑)


夏はよる。月の頃はさらなり、やみもなほ、ほたるの多く飛びちがひたる。


清少納言の『枕草子』ですね。今年の夏は蛍を見に出かけようかと思っています。蛍が見られれば何年ぶりでしょうか。そろそろ梅雨も明けるそう。良い夏が過ごせますように!

休日を楽しんで

2010-07-11 17:17:26 | その他
今日は急遽休みになって、これから出勤になりました(泣)朝少し遅く起きて、コーヒーを飲んだ後、英語を勉強したり、小説を書いたり、わりと好きなことをして過しました。ごろごろしても良かったのですが、ごろごろするよりは何か自分に有益なことをしたほうが少しは良かろうと思いまして(笑)

今日のお昼は久しぶりにお寿司。私は毎日食べてもいいくらい好きなのですが、我が家の財政が破綻するので、ほんのときどき食べるように押さえています(笑)私が好きなネタはシャコです。どうしてシャコが好きなのか問われるとこまるのですが、取り立てて理由もなく、とにかく好きでして…。今日はシャコは食べられなかったのですが、とても美味しく頂きました。

午後は書店へ行って、村上春樹さんの『1Q84』を買ってきました。仕事から帰ってきてから、じっくりと読むつもりです。村上春樹さんの小説はウイスキーを飲みながら、読みたいですね(笑)帰りがけに買ってくると致しましょうか。

さきほどから降り続く雨が止むことを祈って、仕事へ行ってきます。