学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

南画を学ぶ

2016-01-28 21:28:44 | その他
学芸員には、それぞれ専門とする領域があるのですが、私の場合は日本の近代。ところが、仕事をしていくうえで専門外の領域を任されることも多々あるわけで、専門だけにこだわっているわけにはいかないのです。私が今の職場で任されている分野は、主に江戸時代の「南画」です。

「南画」とは、中国の南宗画に由来するもので、岩山や山岳などのいわゆる山水を主題に描かれた絵のことです。日本における南画の先駆者は紀州の祇園南海で…と、これ以上は長くなりそうなので、ここまでにいたしましょう(笑)

「南画」で描かれる世界…今の私たちには、ちょっと馴染みのない世界で地味(失礼!)ですよね。そのせいなのか、画集を読んでいても、なかなか頭に入ってこない。そうはいっても、池大雅と与謝蕪村は国宝級だし、谷文晁のカリスマ性はスゴイものがあるし、その弟子である渡辺崋山の写実性は見事なもの。でも、やっぱりどうも理解しにくい。

例えば、谷文晁の弟子に高久靄崖という絵師がいるのですが、彼の作品は生前随分高く評価されたよう。ところが図録を見てみても、代表作にはピンとこない。むしろ、彼が酔っぱらって戯れに描いた作品のほうが、私の眼からすれば開放感にあふれ、抽象的で、すごく面白い絵になっている。私が「南画」を見る視点で、決定的な何かを見落としているのかな…と不安になります。

これから、しばらく「南画」と格闘?することになりそうです。なかなか慣れない分野ではありますが、頑張ります!!