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気軽に茶道をしてます。

日々のお稽古とともに、できるだけ手作りのお菓子で
お茶を楽しんでいる様子や、四季折々の変化もお伝えします。

大和文華館「宴の器」展へ

2017-07-13 17:51:57 | 大和文華館
今日は奈良は猛暑日の予想でしたが、なんとか34℃止まり、

「宴の器」展の大和文華館から家に戻った時刻でした。アツイ

古来「宴」を通して、神仏と人、人と人の交流が深められ、
この宴に置いて重要な役割を果たすのは器です。
季節、しきたりなど文化により取り合わせも異なり、
今回大和文華館所蔵108作品(重要美術品3含む)から、
食や酒、お茶に関わる様々な器を見てまいりました。

館内の中庭は開けはなられており、青々とした竹の色で
優しい光の中で、入り口の3作品が目に飛び込んできます。
左側は【根来塗、茶入と茶杓】室町時代
 何とも言えない黒地が
中央は【蒔絵椿紫陽花文提重】江戸時代
 花見などの宴会で手提げの中に四段お重や2つの酒器等が
蒔絵椿紫陽花文提重
右側は【朱漆絵蓬莱文瓶子】江戸時代
 中国瓶子よりもS字状の体でなまめかしく、
 日本独自の美意識を感じます。

さあ4部門に分け展示されております。
Ⅰ.神仏の器・明器
【青磁多嘴壺】龍泉窯1080年、北宋 重要美術品
青磁多嘴壺
【粉青双耳盃】堅手、朝鮮王朝
 嵌入があり、堅手とは素地や釉や手触りが堅そうなところからで
 反対は柔手になります。
【朱漆絵蓬莱文瓶子】既述

Ⅱ.水注・酒器
【二彩碗】奈良時代
 唐三彩を模して金継ぎがほどこされています。
【金銅狩猟文脚盃】唐
 ワインを入れる盃で青銅に鍍金で、狩猟図
 馬に乗り、弓矢や投石で鹿や兎を狩っている
【赤絵市松文角瓶】景徳鎮窯、古染付手 明末期
 口や角が釉薬の収縮率の違いで欠けており、官窯は×だが
 民窯の作で日本の茶道では虫食いといい、景色を楽しむ
赤絵市松文角瓶
【黒釉箶芦瓶】朝鮮・高麗 重要美術品
ロクロ成形で、黒釉が赤褐色を呈し、部分的に濃淡のムラが
黒釉箶芦瓶

朝鮮半島からは三島手が、・・・

【東印度会社帆船図硝子酒盃】オランダ18世紀
東印度会社帆船図硝子酒盃
【黄瀬戸六角盃】【志野四方盃】【織部六角盃】美濃
【色絵更紗文盃】有田(鍋島)
【赤絵龍文盃】青木木米作‣京都⇐写⇐中国‣明【赤絵龍文盃】
【色絵花鳥文盃】ルイス・フィクトル作、デルフト窯、オランダ 1730年頃
 まだ磁器が造れず、亜鉛の釉薬で造った白地に絵を
色絵花鳥文盃

Ⅲ.食器
【善教房絵詞摸本】岡田為恭筆1841年 紙本墨画
 元はサントリー美術館蔵で、酒を盗み飲んでいる女性も
【文姫帰還図巻】明
 匈奴にさらわれた姫が、南宋へ帰還する物語、宴の場面を
根来塗が実用的な作品
【志野柳文鉢】
 志野柳文鉢 
【色絵竜田川文向付】尾形乾山作、京都 江戸中期
【赤絵牡丹蓮華唐草文鉢】景徳鎮窯、明 重要美術品
 民窯で赤と緑の釉で
赤絵牡丹蓮華唐草文鉢
【青花富士山形平鉢】景徳鎮窯、古染付手 明末期
 中国に注文して作られており、足は織部の足様です。
【蒔絵椿紫陽花文提重】既述

Ⅳ.茶器
【白天目茶碗】瀬戸、室町
【黒織部沓茶碗】美濃、桃山
 黒織部沓茶碗
【色絵金彩菊草花文茶碗】薩摩 江戸後期
【色絵夕顔文茶碗】尾形乾山作、京都 江戸中期
色絵夕顔文茶碗
【赤楽宝珠文茶碗】青木木兎作、赤膚 江戸末期 
 楽焼になります。
【黒磁金彩碗】定窯 北宋
黒磁金彩碗
【青磁五葉花形托】朝鮮・高麗
【青磁象嵌雲鶴文碗】朝鮮・高麗
【伊羅保手茶碗】朝鮮王朝
【青花山水人物碗】「大越国」銘、ベトナム16-17世紀
 高い高台のチョコレートボトムで下部に蓮弁文、上部は
樹下を歩く人が柔らかな線で絵付けが
青花山水人物碗

茶器を観させていただき、中国で一番は青磁、二番は白磁
ところが日本では侘び茶に代表されるよう素朴さが
国民性による文化の違いが垣間見えました。

大和文華苑はササユリから紫陽花へ

2017-06-10 06:40:24 | 大和文華館
先日訪れた大和文華館、特別展「没後300年 画僧古磵」は
二回目ですが、見飽きない作品の数々、直ぐに帰るには・・
余韻を味わいながら文華苑の花々に会いに行きました。

この季節はササユリなのですが、文華苑では開花は5月23日、
昨年と比べ数日遅く、一週間ほど見頃を迎えた5月30日でも
チラホラ止まりで残念でしたが、梅雨入り初日の6月6日には
終わりかけ?、
門過ぎのササユリも三輪から一輪のみ
 
本館の入り口の鉢植えも五鉢から一鉢のみに

そして谷筋も、最後のご奉公ですね。
 
最後のご奉公といえば、石楠花やタニウツギも散って
残りが、地面には花びらが雨でくっ付いていました。
万葉集で、大伴家持(巻19・4217)が詠っています。
『卯の花を腐す長雨の始水に寄る木屑なす寄らむ子もがも』
ここでは、おばさま方ばかりですが・・・
  
ところが、蛙股池畔の紫陽花の路にまで降りますと
もう紫陽花が色づき始めておりました。
雨に剪る 紫陽花の葉の 真青かな』飯田蛇笏
 
来週あたりから見頃になるのではないでしょうか。
ササユリから紫陽花へとバトンタッチになりますね。

でもまだ奈良でササユリを観られる行事があります。
奈良市最古の神社とされる率川神社で、別名ササユリ祭りと
呼ばれる奉納神事が6月17日(土)に三枝祭(さいくさまつり)と
して執り行われます。この祭典は罇(そん)・缶(ほとぎ)と
呼ばれる酒樽を笹百合で飾って神前にお供えされます。
実は前日の16日、ササユリを三輪山からお届けする神事が
「ささゆり奉献神事」です。ご祭神の「媛蹈韛五十鈴姫命」が
三輪山の麓、笹百合が美しく咲き誇る狭井川のほとりにお住まい
だった故事から、姫神様に喜んでいただくために行われます。
                 (率川神社HPより)
土曜日ですか???、今年も無理みたい。カナシイー


(おまけ)
始めてここで、少ないながらも花菖蒲が見られました。
  

大和文華館「特別展 没後300年 画僧古磵」

2017-06-08 19:17:18 | 大和文華館
今日は平日で、古磵(こかん)展の大和文華館の前は静か、
 
『明誉古磵』(1653~1717)は、尾形光琳さんと同時代を生き
浄土宗僧侶として江戸時代前半の有名な画僧で、京都や奈良で
活躍されたのに、時代を経てすっかり忘れ去れておりましたが、
晩年逗留され、多くの所蔵作のある薬師寺、執事大谷徹奘さんの
熱意もあり、5月23日の命日が没後300年ということで、
初めての特別展として「没後300年 画僧古磵」が開かれています。
本館前から展示室内を覗くと
 
中央に4X2.4mの大きな薬師浄土曼荼羅(1714年)が伺えます。
さあ今日は、古川攝一学芸員さんに説明していただけます。

奈良という説もあったが、研究で1653年京都に生まれ、
古磵さんの位牌の後ろには略歴が書かれており、それは
閲覧室に入ってすぐの右側に置かれておりました。
15歳頃には浄土宗僧侶になられているそうで、
東京芝の増上寺で修業し、報恩寺15代住職になりその後、
西岸寺、薬師寺そして浄福寺(京都)におられ、
享保2年5月23日(旧暦)に数え65歳で亡くなられたと。
絵は、10歳頃からで京都国立博物館であった海北友松の息子
友雪(1598-1677)や狩野益信(1625-1694)に師事されたと

今回の見所として五つ挙げられており
①画僧古磵を紹介する初めての展覧会!
②?古磵さんの研究が進んだ
③白隠さん、仙厓さんと同様、親しみのある愛しい画風!
④大画面で本格的な仏画の数々!
⑤長い絵巻物作例の数々!
全てに渡り、愛らしさと親しみのある作品の数々で、
古磵さんが得意としたのは巨大な涅槃図と大黒天図になり、
特に絶筆の泉涌寺のとてつもなく大きな涅槃図(15×7.6m)を
スライドで示され、座って見る人の目線で描かれていますよ。
薬師浄土曼荼羅、薬師寺
大経曼荼羅図(1712年淨国寺)
大経曼荼羅図
そして法隆寺と報恩寺の同じ構図の当麻曼荼羅を示し、
七つの版木で下絵を描くという工房での手法を用いたのでは、
そして下部の絵は往生を9つのランクで右から左へ下がっており、
小学生はこれを見て、結婚式と。笑い・・・
さらに裏を見ると多数の寄進者の名前も書かれていますと
そしてもう一つ、二千点以上も及ぶ愛らしく漫画チック、
餅つきや船を漕いだりされている大黒天図になります。
「海北」の「龍」に対して「古磵」の「大黒さん」です。
大黒天図、画僧古磵研究会
大黒天図 宇賀志屋文庫蔵
大黒天図

長ーい絵巻物や風俗画も同様に柔らかい筆遣いで、
社寺縁起絵巻では大仏殿虹梁木曳図や浪速一心寺縁起絵巻
大仏殿虹梁木曳図
古磵の描き方の定型は、山水・人物でも「愛らしさ」があり
師の師の海北友松が描いた牧牛図と同様に、
四季耕作図(奈良県立美術館)も墨を入れ面を作っています。
四季耕作図
でも、特に富嶽図襖絵(1714年、薬師寺)は大きくて構図は
素晴らしいのですが、たらしこみの技法はやや雑だそうです。

霊獣・神像では、雲龍図屏風(薬師寺)や
正八幡尊像(1704年薬園八幡社)
正八幡尊像

本当に埋もれていたとは、驚きですね。

大和文華館、ササユリの無料招待日のお知らせ

2017-05-20 14:47:28 | 大和文華館
大和文華館のホームページを拝見しておりますと
月末の30日(火)がササユリの無料招待日とのことで、

19日のササユリの写真がアップされておりました。
11日(木)に訪れた時の写真と見比べてください。
昨年の開花は19日で、やや遅れておりますが、
この様子では明日にでも・・・。
5/19 5/11
同時に蕾だった石楠花も満開の写真に。
5/19 5/11
なお、今日20日から7月2日まで、薬師寺さんの特別協力で
特別展 『没後300年 画僧古磵』が開催中とのこと、

是非、ササユリも含め観に行かなくてはね。

先日の11日に訪れた文華苑の他の花等を紹介します。
登り口のエントランスの途中に一輪の『』、
光を浴びており、「ノアザミ」でしょう。
この薊、万葉集には見られないそうですが、
932年の『和名抄』では「阿佐美」の字に。
久保田万太郎はこんな句を詠まれております。
くもり来しひかりのなかの薊かな』          

「一輪の野薊床で何を問う」愚句 
こんなお稽古も、良いかもしれませんね。
でも今朝のお稽古は、捜しに行く余裕がなく、
庭で盛りを過ぎたバイカウツギと黒ロウバイに

    
忘れるところ、文華苑では満開の空木(卯の花)、
紅のタニウツギと白のバイカウツギに出会え、
 

また紅白といえば、紫蘭もまだ咲き続けているでしょう。


そしてもう散ったであろう躑躅も、この時は満開で、

クロマルハナバチが吸蜜にやって来ました。
  

これからの朴ノ木や栴檀は蕾でしたが、今は・・・
  
楽しみに訪れてくださいね。

大和文華館「松浦屏風と桃山・江戸の絵画」展へ

2017-05-12 15:35:07 | 大和文華館
恒例の大和文華館春の定番、国宝「松浦屏風」の展示は、
『桃山・江戸の絵画・都市のにぎわいと成熟』と銘うたれ、
国宝1点、重要文化財2点、重要美術品2点を含む50点で

14日(日)までの日程、私は会期末間際になりました。

展示室内の竹林、竹の皮に包まれた二本の新しい竹が3m程に
その手前に、三つの出陳品が出迎えてくれます。
左から「婦女弾琴図」信方印、桃山時代
 初期の洋風画ともいわれ、和紙に日本の顔料にクルミ油を
 混ぜて描かれています。


中は、「扇面貼交手筥」尾形光琳筆 江戸中期 重要文化財
 扇面八面と団扇四面が貼られており、洒落た図で
 西行物語図、白楽天図、八橋図、雲竜図、紅白菊図など
 何度拝見しても、すばらしい!
 今までの絵師は富士山頂は三峰型でしたが、光琳さんは
 観た通りに、江戸と京都を往復していたからですね。
正面 富士図(懸子表)

右は、「阿国歌舞伎草子」桃山時代
 念仏踊:南蛮風の衣装は阿国で舞台下から元恋人の亡霊が
念仏踊
 男装した歌舞伎役者が阿国と女装の茶屋のおかかとの問答
茶屋遊
四部構成で
Ⅰ.祭礼・遊楽ー都市文化のにぎわいー
「京奈名所図扇面冊子」扇面が60枚も、東大寺もありました。
「輪舞図屏風」円形に並ぶ遊女やかむろなど
婦女遊楽図屏風」(通称:松浦屏風)国宝
 左右対称に配置された等身大人物は、お顔は横向きで、
 紅やマニュキア様等も細かく、着物の多彩な模様の
 素晴らしさも描かれております。
 ロザリオの十字架が消された跡を探してください。

美人図」宮川長春筆 江戸中期 重要美術品
 振り返る遊女を


Ⅱ.物語・歌仙ー王朝文化へのあこがれー
「源氏物語図屏風」伝岩佐又兵衛筆 江戸前期
 六場面が描かれ、若紫ではスズメを逃がしたしなく娘や
 若菜では蹴鞠中に次に蹴る人や娘を眺める男が判りますよ
「武蔵野隅田川図乱箱」尾形乾山筆 1743年 重要文化財
 波の上を鳥が飛び、色とりどりのすすきが武蔵野を表す。
 
伊勢物語八橋図」岡田為恭筆 江戸後期
 正面奥の八橋は写実的で、杜若をここに書いても判らず
 装幀部分の廻り中描いており、高い芸術性が伺えます。
 
「伊勢物語図色紙」六段 芥川、伝俵屋宗達筆 江戸前期
草木の露は、銀で表されており、経年変化で黒に
 
草木の露「三十六歌仙絵敦忠」伝岩佐又兵衛 江戸前期

三十六歌仙色紙貼屏風」江戸中期(写真なし)
色紙が貼られた下の部分の金と白の市松模様に桐の紋が
描かれており、これにはびっくり。元々は近衛家伝来の
婚礼調度として誂られたものらしく人の手から人の手へと、
不思議な縁で最近加わった所蔵品だそうで、
雅さを味わうことが出来ますよた。
 

Ⅲ.故事人物・山水ー中国文化へのあこがれー
「維摩居士像」狩野山雪筆 江戸前期 
「古画縮図(布袋)」狩野探幽筆 江戸前期

「雪舟写山水図」尾形光琳
 雪舟の《破墨山水図》を写したものです。
「金地山水屏風」渡辺始興筆 江戸中期
金地に墨で書くのは難しいのに、濃淡や遠近法も
左隻 右隻
「四季山水図屏風 秋隻」丸山応挙筆 1787年
 山の端に雲に一部が隠れた月が

Ⅳ.西洋人物・風景ー西洋文化のおとづれー
洋書の輸入制限が緩和され、西洋文化への憧れ?
好奇心旺盛な作品の数々ですよ。
「オランダ海港図」荒木如元筆 江戸後期
 麻布に油彩(日本画の絵の具を油で溶く)です。
「ライオン図」宗紫石筆 1768年
 平賀源内の蛮獣譜=ヨンストンに基づいていますが・・

「江の島図」小田野直武(秋田生まれ)江戸後期
メガネ箱からのぞく絵で、左右反対に書かれ、
エッチングの技法を模して墨を筆で描かれれており、
波汀の陰の付け方を見られると・・・

「神奈川風景図」谷文晁筆 1802年

時間を忘れて魅入ってしまいました。

大和文華館「花の美術-季節の彩-」へ

2017-03-09 12:20:10 | 大和文華館
先日、急な朝雨のなか大和文華館へ伺うと、
梅も盛りを過ぎて寂しいエントランスから館内へ入ると
 
2月24日から4月9日まで「花の美術-季節の彩-」展が
開かれており、嬉しいことに、学芸部係長の瀧朝子先生の
解説を聴きながら館内を巡ることが出来ました。

いつもの通り、左、中、右に三点
左側は「梅雀図六角筥」平福百穂筆 昭和時代
 松竹梅が描かれ、たらしこみも使われております
真中は「五彩花鳥文大鉢」景徳鎮窯 清前期
右側は「銅製銀象嵌柳水禽文浄瓶」高麗
 四面に四季が表され、柳に梅そして鴛鴦も
 背面
コンセプトは白居易の詩「寄殷協律」の一句
雪月花時最憶君』で言い表されており、
意味は「四季折々(雪月花の時)最も君を憶う」となります。
花や植物は、季節を感じさせる美しい景物の象徴であり、
季節の移ろいや吉祥の意味も込められた意匠を紹介します。
中国、朝鮮半島、日本の三部構成で76点(国宝1、重文1含む)
Ⅰ.中国-寒梅に春の訪れを思う(36点)
「清水裂」明
茶の湯で梅花に鳥の文様が紺地に表した錦を「清水裂」と称し
紺地で夜、銀箔の箔紙で月が描かれ、月の光に浮かぶ吉祥図
梅樹にカササギは早春の吉兆、蜂(官位の意味の封と音通)を
採る猿(高位 候)や鹿(俸給 禄)は立身出世を指し、
霊芝、竹、石、鹿、番の動物は不老不死や子孫繁栄を表す。
 
「放鶴亭図」蘇州版画 梅雪迎春図部分 明
と鶴を愛した宋の林和靖(りんなせい)を描く
「青磁雕花蓮華文瓶」耀州窯 北宋

「赤絵仙姑文壺」磁州窯系 元後期
女性は西王母?、蓮華や慈姑(くわい)等の文様が

「白地黒搔落牡丹文梅瓶」磁州窯、北宋
地は鉄分で黒いため上から白土を塗り搔き取り写実性の牡丹
「美人琴弾図」蘇州版画 清:金木犀が描かれています

Ⅱ.朝鮮半島 夏の蓮に見る清廉と繁栄
「銅製銀象嵌柳水禽文浄瓶」高麗
「鉄砂葱文壺」朝鮮:坊主が
「辰砂蓮華文八角瓶」京畿道広州群金沙里窯 朝鮮
八面に面取りされ、厚い辰砂で大輪の力強い蓮華

「芸苑合珍書画冊 貞」朝鮮後期
菊が描かれ、菊を愛した晋の陶淵明の詞書が
 
Ⅲ.日本-桜に祈る豊作、菊に願う長寿
「色絵松竹梅文大壺」有田(伊万里)江戸前期
吉祥の松竹梅、柴垣の後ろには梅と薔薇が描かれ
輪郭線も花などは繊細で細く、岩などは力強い太さで

「寝覚物語絵巻」国宝、平安後期
出家した母を探す物語ですが、欠落しており
第一段も初めも詞書がなく絵から始まっており、
の花の下で三人の童子が楽器を演奏しており
女がいる部屋の中をのぞく人が
第一段
第二段は中の君の息子が女二宮を垣間見ており、
松の枝に藤蔓が絡み藤の花が咲いております
第二段
「蒔絵南蛮人文印籠」江戸
「秀歌覚書」烏丸光広筆 江戸前期:紫陽花、鹿や笹
「黒味銅地銀象嵌藤花鹿文太刀金具」鎌倉 重文
春日社談義屋跡より出土し、藤原氏を表す、そして
特に鹿は高肉彫りも精緻です。

「金銅蓮華形馨」鎌倉前期 重文
馨(けい)は吊るして使う中国の打楽器
表裏とも同じ蓮華形の左右対称、蓮の実や花

「鎌倉彫牡丹大合子」室町時代:牡丹

「僧正遍昭落馬図」英一蝶筆 江戸中期
古今和歌集を絵画化されており、江戸の美意識で、
馬の力動感と女郎花の楚々として風情が巧みです

「蒔絵籬(まがき)菊文机」鎌倉時代 重文
中央の州浜等にと芒(すすき)が、平蒔絵や絵梨地・針描で
描かれ、次世代の高台寺蒔絵に過渡的な作例になります。

「辻が花裂」桃山時代
最後にこの作品で瀧朝子先生から宣伝です。
4月2日(日)14時から 講堂にて京都国立博物館 山川曉氏の
特別公演「桃山時代を飾る花-小袖裂の世界-」にて

聞き終わり、もう一回、館内を3巡しておりました。
先生の説明、難解なことを簡略に説明していただき
楽しかったのですが、知識不足で勉強しなくては・・・

大和文華館「白描の美」特別展へ

2017-01-19 16:38:16 | 大和文華館
「白描の美」なんのことなんでしょう。興味が湧きます。
また大和文華館で、この時期に特別展はないことなんで、
古川攝一学芸員からもお話が伺える講座に参加しました。
  
咲き始めた梅の香りが微かに漂うエントランスから館内へ
まずは説明を講堂にて、
白描画は描線を主体にしており、水墨画は墨の濃淡を使う
違いがある話から、白描画の歴史について
中国では白画(唐から北宋)から白描画(元以降)へと発展し
現代も水墨画と明瞭に区分けされておりますが、
日本では、白画、墨絵、素画(彩色しない)と中国から伝わり
時代が下るにつれ、彩色や墨絵の技法も使われています。また
未完成(紛体・下絵・素描)と完成(本画)に分けられるそうで、
仏様や僧を描かれる時は抑揚のある線で、一方
皇族・貴族を描かれるときは、均一な線で表すことが多く、
描線による美意識の表現と余白の大切さを強調されていました。

さあ展示室です。三つのテーマに分けられており、
「図像」、「歌仙」8件、「物語」25件、
正面にいつものように三作品、
左側に「尹大納言絵巻」五島美術館、14世紀、重要美術品
真中に「源氏物語浮舟帖」大和文華館、13世紀、重要文化財
細密な筆線の引き重ねにより、引き目鉤鼻を書くことにより
微妙な心理を表されております。
 
右側に「延喜帝」時代不同歌合絵、個人、13世紀


図像】3件 
「不動儀軌」兼胤、1245年 奈良国立博物館
短時間で、簡単そうに描いておりますが、
実は一発勝負の筆運び、そしてバランスが抜群で、
抑揚のある線がプロ(兼胤)を示すのだそうです。
不動儀軌・部分
「高僧図像」観祐、大東急記念文庫、1163年、重文
素人(真宗小野流の僧・観祐)それが味わいだそうで、 
油紙の色合いがなんともいえません。天台宗を中心に
30人の高僧、善無畏、達磨から空海から円仁だそうですが、
たどたどしい筆で義操、空海さんが書かれておりました。

「十五鬼神図巻」13世紀、大和文華館
十五鬼神図巻

【歌仙】8件
「延喜帝」
「釈教三十六歌仙絵巻」南北朝、東京国立博物館、重文
達磨大師から行基さんまで歌とともに描かれており、
一部に赤色で線が描かれております。
「時代不同歌合絵、蝉丸」鎌倉時代、個人
時代不同歌合絵、蝉丸

【物語】25件、
「隆房卿艶詞絵巻」 鎌倉時代 国立歴史民俗博物館
古川攝一学芸員推薦の一作品で、白描画の最高峰とのこと
柱などは定規で書かれたようで、真直ぐに
唇の赤色に気がつかれましたか?
一応下書き線があるそうですが、判りませんね。
悲恋の話で、桜を愛でる三人の登場人物(高倉天皇、
ごごうと従者)、桜の花びら(白く)を髪の毛
(にかわを混ぜた艶のある黒色)に散らし、
白黒の対比と余白が効果的な作品だそうです。
桜の幹などに葦(あしで)文字があしらわれ、華麗でした。
 隆房卿艶詞絵巻
「伊勢物語下絵梵字経」13世紀、大和文華館
貴族の女性が趣味で書かれ、墨で濃淡を出す自由さが素晴らしい
「善教房絵詞」14世紀、サントリー美術館
「善教房絵詞摸本」岡田為恭、1841年、大和文華館
岡田為恭は絵だけでなく文字までも、元を模倣しています。

「藤原師長像」田中訥言(とつげん)筆 19世紀 個人
淡彩で、墨が入れられております。外隅は?

この特別展は前期は1月6日から1月29日までで、
展示替えがあり、後期は1月31日から2月19日までに。

特別展「呉越国」-大和文華館へ

2016-11-02 11:10:00 | 大和文華館
大和文華館で開催されている特別展「呉越国」の招待券が、
手に入り、秋を感じに来させていただきました。
 
ところが、開門前だというのに多くの方々が、

今日は近鉄沿線無料招待デーなのです。

館内は、人で込み合い、
あっという間に、隙間のない状態になりました。
ところで、「呉越国」あまり聞きなじみがありません。
呉越国は907-978年に現在の中国浙江省杭州市(江南)を
中心とし、資源に恵まれた豊かな土地だそうで、新石器時代には
玉文化を誇る良渚文化、漢時代以降は青磁の越州窯があり、
唐時代になると、海上交通の要衝となります。
釈迦・舎利信仰の中心地であり、唐の天宝三年(744)に鑑真が
日本への渡航中に立ち寄り、阿育王塔を目にされております。
さらに天台仏教の聖地である天台山があり、仏教の盛んな地域でもあり、
東アジアの文化交流に果たした役割は大きいと。
本展は中国浙江省博物館及び臨安市文物館と日本に呉越国関連作品
の92点が展示されておりました。展示室に入ると、恒例の3点、
左に「饒益神宝」銅銭、右には白玉製雲龍形飾
真中に 銀製阿育王塔、雷峰塔天宮出土 北宋 浙江省博物館
銀色に光リ輝いておりました。

四部構成になっております。
第一章 呉越国と西湖
西湖図 如寄筆 室町 京都・天寧寺

金製龍 五代~北宋 浙江省博物館
薄い一枚の金板から立体的に


第二章 呉越国の工芸 - 金銀製品、陶磁器、玉製品 -
白磁の水注や青磁の素晴らしい合子や壺が見飽きず、
灰色or紅色の掛った青緑色の肌艶がなんともいえません
青磁瓜形蓋付小壺 越州窯 五代 臨安市文物館

青磁方盤 越州窯 五代 呉越国 臨安市文物館

銀製鍍金香炉 唐 臨安市文物館


第三章 呉越国の仏教事績
入り口の銀製阿育王塔や「饒益神宝」銅銭 のほか
如来・菩薩・観音さんなど、15躯も
銅製菩薩立像 五代 浙江省博物館

手を合わさせていただきました。

第四章 呉越国の余波 - 東アジアの中で -
国宝一点、重要文化財5点もありました。
特に青磁の色にオリーブグリーンという表示がされており、
本当!なんです。大切にされてきたからなのでしょうか?
青磁水注 越窯 京都国立博物館蔵 重要文化財
宇治茶畑から出土し黄色味掛った茶緑色がなんとも。
重要文化財
銅製阿育王塔 五代呉越国955年 東京・永蒼文庫

版画 弥勒菩薩図 木造釈迦如来立像納入物 京都・清凉寺
国宝
宝篋印陀羅尼経・附宝篋印経記 鎌倉 大阪・天野山金剛寺
重要文化財
もう一度行かなくては、
あと10日ほどですが、招待券が残っておりますものね。

十日後の大和文華館の秋の訪れはどうなのでしょうか。

大和文華館「中国工芸名品展ー陶磁・金工・漆工」

2016-09-27 12:48:20 | 大和文華館
大和文華館の中国工芸名品展ー陶磁・金工・漆工ーへ
お稽古の合間を見つけてやっと行くことができました。
  
芙蓉の咲くプロムナードを上り、到着です。

ここ大和文華館は、中国陶磁の流れを一覧できるほど
収蔵品が豊富なため、期待を胸に展示室へ
入り口直ぐに、三点が並べられております。
左から堆黒屈輪大盆(元時代)、径が60㎝の大盆で、
日本で名付けられた屈輪文が外に向かって一面に、
堆黒屈輪大盆
青磁多嘴壺(龍泉窯、1080年)重要美術品、
高さ27㎝の副葬品で蓮弁紋を持つ五段の胎土に
青磁釉が掛けられており、北宋の龍泉窯の最古の品
青磁多嘴壺
細金細粒細工飾金具(南北朝)
金板に透かし彫りと金粒がロウ付けされ、
色鮮やかな玉が象嵌されています。
蝉文や唐草文にギリシャや北方騎馬民族の影響をみる。
細金細粒細工飾金具

まずは、右側へ『陶磁』で68点からなります。
新石器時代の彩陶のアンダーソン土器、殷、西周(白陶)、
前漢(灰陶)そして後漢時代の緑釉、
唐時代、三彩の三彩立女
北宋・南宋時代の白磁や青磁(青磁多嘴壺:上記)
 柿磁金彩碗(定窯、北宋)
元時代の釉裏紅:酸化銅、ここから景徳鎮窯が登場し
 18点が次から次へと
明時代の青花(後述)や五彩(祥瑞手の五彩兎鶴文皿)
 青花双魚文大皿(明初期、景徳鎮窯)
 イスラム圏向けにコバルト顔料で絵付けされ、
 牡丹、蓮華、菊、椿の四季の花を繋げた唐草文が

 黄地紫彩花卉人物文尊式瓶(明時代後期)
黒の輪郭線の文様の外側を黄彩で、内側は紫彩です。
黄地紫彩花卉人物文尊式瓶
清時代の粉彩(粉彩梅花文盃)
清時代にこんな合子もありました。
桃花紅合子(6.5㎝)と蘋果緑盃(9.5㎝)景徳鎮窯
 
落ち着いた色の煌びやかさに眩暈

金工
殷時代から戦国、漢、唐、宋まで26点
銅製貼銀鎏金双鳳狻猊文八稜鏡、重要美術品
白銅製の鏡で、獅子と鳳凰、上空に鳥が
西域の唐草文があり、東西交流の証しなのでしょうか
銅製貼銀鎏金双鳳狻猊文八稜鏡

漆工
漢時代から宋、元、明(13点)を含む17点
存星龍牡丹文輪花盆(17.8㎝で明時代)
文様内を彩漆で埋めて表す存星を用いております。
存星龍牡丹文輪花盆

見応え十分で、本当に疲れ、駐車場まで戻る手前に
ツツジの花が、二度咲きなんでしょうか?

見送ってくれました。

『鉄斎』生誕180年記念・大和文華館コレクション

2016-07-27 06:43:39 | 大和文華館
昨日朝、出発間際に一段と激しくなった雨の中、。
生誕180年記念『鉄斎』大和文華館コレクション展が、
8月21日まで開催中の大和文華館へ出かけました。
60点ほど鉄斎コレクションを有されており、鉄斎の妻が
愛媛出身で、その縁から旧家の石浜家を訪れており、
この旧家の番頭であった近藤家と親交がありました。
鉄斎が50歳から87歳にかけて近藤家に贈った作品は、
お中元やお歳暮で贈られた鯛や海老等の返礼の図になり、
近藤家旧蔵品が当館のコレクションのメインとなりました。
今回はそのうち48点展示されております。

駐車場から入館券売り場を過ぎると
 
スロープを上りますが、花は木槿だけ、
  
特徴的ななまこ壁の展示館へ

エントランスから定番の左、中、右と三箱の作品がお出迎え
【海産物】
左:鮮魚図、80歳

中:伊勢海老図、69歳

右:車海老図、50歳

お年を召されるとともに、画風の変化が楽しめます。
【通訳人物】
寿老人図、54歳

朱描鍾馗図、72歳  
  
漁夫図、制作年未詳

【戯画】
閻魔図や西遊記表紙図
【樹石・花鳥】
古木図屏風、六曲一双(制作年未詳)
刷毛目にエネルギーが満ちていますね。
 
松鶴図、77歳

【山水】
山荘風雨図、85歳
躍動感あふれる画で、嵐が吹き荒れているのに、
二階で静かに読書にふける文人が・・・
鉄斎の学問に対する強い意志が感じられます。
賛は『人間万事塞翁馬 推枕軒中聴雨眠
元時代の禅僧 煕晦機(きかいき)
「寄径山虚谷陵和尚」と題した詩の一説で、
前半の『人間万事塞翁馬』
は有名な「淮南子」の「人間訓」より(追加)
クリックで拡大
賛からいろいろ考えさせます。

【書蹟】
万歳書、80歳

2011年の開館50周年記念『富岡鉄斎展』に伺えなかったので、
今日、大和文華館へ雨にも拘らず、出かけてよかった。
(混んでもいないし)
鉄斎、鉄斎、鉄斎尽くし、予想以上の見応え、
鉄斎さんの賛が読めれば良いのですが・・・